聖☆おにいさん

☆☆☆☆☆(6点)


聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)

制作/ A-1 Pictures
監督/高雄統子
声優/くまいもとこ,来宮良子,島田敏ほか


あらすじ
バカンスのために下界に降臨し、東京・立川のアパートで共同生活をするブッダとイエスのおかしな日常を、宗教における逸話などを交えて描くコメディ。




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これは苦行用の映画として大変優秀な作品です。


原作は漫画な本作品。
TVアニメでもなくいきなりアニメ映画化された作品だ
なお、珍しく私個人が原作を読んでいる。
それゆえに本作品は大変苦行な映画になっていた

基本的なストーリーはギャグ日常系。
目覚めた人ブッタ、神の子イエス、彼らはバカンスのために下界に降り
日本の立川のアパートで暮らしていた。
彼ら、聖人男性の日常を描くというのが本作品のストーリーだ。

見だして感じるのは意外に声優があっているということだろう。
星野源さん、森山未來さんの両名は本業は役者であるが
声での演技もしっかりとしており、
個人個人のキャラの印象で最初は合っていないと感じるかもしれないが、
中盤ごろには二人の声に違和感なく慣れることができる

以上、本作品の良い所はこれで終わりだ。

まず最初からテンポが恐ろしく悪い。
原作の話をそのままアニメの脚本にしているという脚本家が仕事していない仕事ぶりで
ギャグ作品であるはずの本作品でテンポが悪く笑いに繋がっていない。
更に原作にはないオリジナルのギャグも入れているのだが、
コレが見事な滑りっぷりで寒気すら感じるほどだ。

更にアニメ制作の仕事しなさ加減は「漫画という表現だから笑える」部分も
そのまま映像化してしまっているため、伝わらない部分がかなりある。
例えば原作にもある遊園地の入場料金で二人が
「成人料金」を「聖人料金」と勘違いするというシーンも
漫画では絵と字があるからこそ伝わるネタなのだが、
アニメでは文字が出ないため伝わりにくい。
原作では伝わるがアニメでは伝わらないシーンが多く見られた。

作画に関して言えば普通という感じだろう。
劇場という大きなスクリーンを生かさないシーンの数々は見ていて冗長に感じ、
テンポの悪いストーリーの中で「スローモーション」や「背景を写す」シーンが多く
余計にテンポの悪さを感じてしまい、退屈に感じるシーンが多い。

背景の作画は確かにそれなりだが、別に感動するほど素晴らしいというわけでもなく
舞台が「日本の立川」という地域であまり馴染みがなく、
どれほど再現しているのか知らないが、
背景はよく描き込まれてるなくらいの印象でしか無い

更にオリジナルストーリーがこの作品をより面白く無いものにする。
アニメオリジナルのストーリーを所々ぶち込んでくるのだが、これが最悪だ
原作にもあった「ブッタ」の額の白毫を小学生が狙うというシーンを流すのはいいが、
小学生サイドのストーリーをなぜか展開してしまい、
原作ネタを裏でかぶせながら表で小学生のストーリーを描くという意味不明な
ストーリーを展開しており、これが本当につまらない。
この部分も短いならまだ許容出来るが長い・・・ここも尺稼ぎだ。

何とか・・・何とかこの作品を映画としてのストーリーとして
膨らませようと必死なのは分かる。
原作はギャグ漫画であり「一貫性のあるストーリー」があるわけではない。
故に本筋のストーリーがなく、原作のネタをただつなげただけのストーリーになっており、
それだけでは映画として成り立たないのでオリジナルのストーリーを入れているが、
オリジナルのストーリーがひどくつまらない。

そもそも映画としての脚本ができていないのだ。
言いすぎかもしれないが、これなら私にでもできるんじゃないかと感じるほど
原作をつなげただけ+オリジナルのつまらないストーリーでふくらませているだけだ。

アニメーションとしても背景の作画はいいが、
キャラの作画は原作の絵をアニメ加工したような感じになっており、
背景の作画から浮いている感じが出ており、動きの面での面白味はほぼない。
唯一、ブッタの「マダール泳法」だけはアニメとしての動きの面白さが出ていたが
他は本当に緩いシーンばかりだ。

全体的に見て最悪な作品だ。
1時間40分という尺を何とか稼ごうと必死で、
ギャグの勢いはなく、つまらないオリジナルストーリーで尺稼ぎをし、
背景を流し、スローモーションをし、1時間40分何とか作り上げたという感じだ。
アニメ映画としての脚本、アニメ映画としての動き、アニメ映画としての演出。
そういったものがほぼ無く、アニメとしてのおもしろみが殆ど無い。
スクリーンという大きな画面を殺しまくりだ。

恐らく制作側もいろいろな要求があったのだと思う。
原作にある「宗教ネタ」はやはり使えなかったのかほぼ無い上に、
1時間40分という尺のアニメ映画を作るのは大変な苦行だっただろう
しかし、その苦行の成果が出ているとはいえない。

原作ファンの方に言うなら、聖人や弟子キャラは殆ど出ない、一瞬出るくらいだ。
その分、オリジナルのキャラクターを増やしているため
余計に本作品が「聖人という設定だけあるキャラクターの日常」という感じになっており、
ギャグアニメというよりも日常アニメのような作り方をしており、
ご近所さんたちや小学生たちとの交流など
別に誰も求めてないストーリーを展開してしまっていた。

なぜ、映画だったのだろうか・・・
これが15分ないし5分ほどの短編アニメでテレビで1クール作られれば
テンポの悪さの問題は解決され、もっと面白く感じられたはずだ。
最初から本作品で「映画」を作るというのは無理な話だ。
どこの誰が本作品を映画にしようと言い出したかわからないが、
原作を読んで「映画化」を決めたのか疑問に感じてしまう。

今から見に行こうかと迷っている方は「苦行用の映画」として
見終わった後に悟りを開けるレベルだと思った上で行ったほうがいいだろう
決して期待してはいけない、自分の中の「マーラ」を追い払い
悟りの境地で見ることをおすすめしたい。
というよりもDVDが出るまで待ったほうが無難だるう(苦笑)