モンスターズ・ユニバーシティ

評価/★★★★☆(62点)

モンスターズ・ユニバーシティ 評価

110分
監督/ダン・スキャンロン
声優/田中裕二,石塚英彦,柳原可奈子,青山穣,一柳みるほか

あらすじ
小学校の授業でモンスターズ・インクの見学にきたマイケル・ワゾウスキ(マイク)は、”怖がらせ屋”フランク・マッケイの勇姿を目の当たりにし、自分も怖がらせ屋になることを決意する。 月日は流れ、マイクはフランクの出身校・モンスターズユニバーシティに入学することに。

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人間味あふれるモンスターたちの大学生活、覗いていませんか?

本作品は2001年に公開された「モンスターズインク」の前日譚、
前作を見ていなくても問題のないストーリーになってはいるが、
前作を見ていると楽しめる小ネタもいくつかある。
しかし、逆に前作を見ないで本作を見た後に前作を見ると
時系列的に正しいので「モンスターズインク」をより楽しめるかもしれない

基本的なストーリーは青春コメディ。
モンスターの世界では夜中に人間の世界に行き子供を驚かして悲鳴を集める
「怖がらせ屋」という仕事があった。
そんな怖がらせ屋はモンスター達の世界ではあこがれの仕事であり、
子供の頃のマイクは社会科見学で「怖がらせ屋」の仕事を見て憧れていた。
そんな彼がモンスターたちの大学「モンスターズ・ユニバーシティ」に入り怖がらせ学部で
トップを目指そうとしていたのだが、彼には1つの欠点が・・・そう、彼は怖くない。
という所からストーリーは始まる

見だして感じるのはモンスターのデザインの素晴らしさだろう。
前作以上の登場するモンスターの数は増えており、
多種多様で1つも同じようなデザインがなく、新しいモンスターが登場する度に
わくわくするような感覚を駆り立てられる。

更にCGの質が凄い。
少し引くくらいのCGのレベルの高さであり、
モンスターの毛並み、モンスターの肌質、そういったモンスターを触った時の感触が分かるような
繊細で綿密で描かれたCGの質はこの作品には欠かせないものになっている。
そんなキャラクターデザインとCGの質がキャラクターたちの動きにも拍車をかけている。

モンスターたちが自分の体型や特徴を生かし、時にはユニークに時には軽快に動きまくる。
もし、本作品がサイレント映画だったとしても「動き」だけで楽しめるような感じだ
更に動きだけではなく、モンスターの表情も「人間味あふれる」表情をしており
おどけたり、怒ったり、笑ったり、悲しんだり。
細かい顔のパーツの1つ1つの動きで感情を表しており
音や言葉がなく、動きだけでストーリーを追えるような
本当に見ていて楽しいアニメーションになっている

更に光の演出。
これほどピクサーの中で「光」の演出に目が行ってしまった作品はない。
暗いシーンでのライトの位置でモンスター本来の怖さをより実感させたりと
明暗の演出がすごく効いており、より作品の世界観に入り込める演出がされていた。

作画、演出、音楽、前作と同じ声優さんなどは問題ない。
しかし、今作品は若干「ストレート過ぎる」ストーリーだったといえるだろう。
序盤から中盤までのストーリーは割と王道でテンポが悪い。

マイクは怖くないモンスターだ、しかし、彼は努力家だ。
そんな彼に対し親が有名で怖いモンスターのサリーは天才型。
そんな二人が対立しつつ、張り合いながら大学生活が描かれる
この部分も「動きの面白さ」があるから単調に見えないのだが
ストーリー自体は王道なのでそこにこの作品独特の面白さがあるとはいえない。

中盤以降のストーリーはこの作品ならではのおもしろみが生まれている。
「怖がらせ屋」を育てる学部での「怖がらせ大会」で
サリーとマイクは落ちこぼれチームの中に入り、優勝を目指すことになる。

大会で行われる試合はコミカルに動きまわるモンスターと
モンスターの特徴を生かした動きの数々が試合を盛り上げ、
落ちこぼれチームをマイクが自分の知識を生かし勝利に導いていく
そんなマイクをサリーは中々受け付けない。

モンスターズインクを見ている方はマイクとサリーの仲の良さを知っているだけに
彼らが「いつ」仲良くなるのだろう、「いつ」友だちになるのだろうと
そういう期待感も生まれる。

本当に徐々に徐々に仲良くなっていく、この過程は妙にリアルで
二人の友情が簡単な友情ではなく、しっかりとした過去があり
二人の歴史があるからこそ築かれた友情なんだなという実感が生まれる。
そして、そんな友情が生まれつつあるからこそ
サリーはマイクに対し中途半端な「優しさ」=試合での「ズル」をしてしまう。

私はこのサリーの「ズル」が発覚するまで、この作品のストーリーは子ども向けで
簡単に試合に勝ってしまい簡単に終わってしまうのかなという不安があった。
しかし、この「ズル」が発覚したことで見事に大人の予想も裏切る。
サリーとマイクの友情が中途半端だからこそ中途半端な優しさが生まれ
中途半端な結末になってしまう。

この世界のモンスターはモンスターだ。
しかし言葉としておかしいのかもしれないが何とも
「人間味あふれる」モンスターたちだ。
彼らは大学生という立場だからこそ無駄に自信があったり、虚勢を張ったり、
自分の存在や、自分の価値をわかっていない。

だが、大学という場で他人とふれあい
自分より才能のあるもの、自分より努力するもの、自分とは全く違う他人と触れ合うことで
「自分」というものを見つめる。

本作の主人公である「マイク」は本当に人間味あふれる主
人公だ。
駄目なチームを自分の知識で支え、なんとかなる、 自分たちでも優勝できると言い放ちそれを実行に移す。
しかし、最後の最後で「自分が本当は怖くない」という現実を知り挫折する。

少しネタバレになってしまうが、終盤でマイクは自分がほんとうに怖いかどうか確かめるため
人間の世界に1人向かってしまう。
自分が培った技術を使いながらこっそりと人間の子供に近づき・・・叫ぶ。
しかし、人間の子供には「可愛い」と言われてしまう。
このシーンはモンスターよりも「人間の子供のほうが怖い」という演出が効いており
よりマイクの挫折を後押しする

そしてマイクとサリーの友情が人間の世界できっちり結ばれる。
マイクは自分のことなんて天才のサリーにはわからないと叫ぶ、
サリーはああ、わからないと言い放つ。
本当の意味で他人を理解し切ることはできないという本質を描きつつ
二人の間に「友情」が生まれる
そして友情が生まれたからこそ「大人をも恐がらせる」二人の協力プレイが光る。

全体的にみてCGの質やアニメーションとしての動きは素晴らしいが
ストレートで王道なストーリーは賛否両論という印象を受けるが、
終盤での「ご都合主義ではなく現実的な厳しい展開」は大人の予想をも裏切る内容だ
しかし、ラストの厳しい展開からトントン拍子に物語が進んでしまい
あっさりと終わってしまった感じは若干1つの作品を見終わった感じが薄い。

本作品に期待し過ぎるとその期待感を中途半端に裏切られたような感覚はある。
前作を超えるというのが続編の難しさではあるが、
そこで本作品は「前日譚」ということで少し逃げを作っており、
その逃げた部分を見ている人がどう消化するかで本作品の印象は随分と変わるだろう。

だからこそ素直に見れる子供は素直に楽しく、
素直に本作品を楽しみに来た大人は素直に楽しめる。
しかし、前作品以上の作品をこの作品に求めてしまうと肩透かしを食らってしまうだろう。
キャラの性格の違いなどファンであればファンであるほど気になる部分は多いかもしれない。

本作品を見る前に「モンスターズインク」を見直す、もしくは見ておくかと思う人はいるかもしれないが
私個人としては見直す&見ないほうがいいと感じる。
その後で「モンスターズインク」を見たほうがよりモンスターズインクを楽しめるだろう。
あくまで前日談と割り切れば楽しめる作品だ。

個人的にはスクイシーのキャラと彼のお母さんのキャラが物凄い気に入ってしまった(笑)
彼とお母さんの人形があれば思わず買ってしまうほど可愛らしいキャラだったw