惡の華

評価/★★★☆☆(54点)

惡の華 評価

全13話
監督/長濱博史
声優/植田慎一郎,瀬茉莉也,日笠陽子,山本希望,小岩井ことりほか

あらすじ
クラスの美少女・佐伯奈々子に密かに想いを寄せる春日高男。ある日の放課後、出来心により彼女の体操着を盗んでしまうが、その様子は嫌われ者の女子・仲村佐和に目撃されていた。窮地に陥り、仲村からの無茶な要求に翻弄される中、意外なきっかけから佐伯と付き合うことになり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。そんな彼に呼応するかの如く、佐伯も内に秘めた意思を徐々に示すようになる。

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やはり俺の変態ラブコメは間違っている

原作は漫画な本作品。
アニメでは「ロトスコープ」という技術が使われている
この技術に関してはこのアニメだけではなく他のアニメでもたまに似た手法で見かけるが
あくまで一部分だけ使う場合が多く、全編に渡りロトスコープというのは珍しい。

しかしながら、このロトスコープ。
簡単にいえば「実写」の「アニメ加工」に近く、まず実写ドラマを取る要領で実写をとり、
その映像をトレースしつつアニメ加工するようなものだ。
利点としては動きや表情が相当リアルになる、
その反面、実写を撮ってからアニメとして制作するので二度手間で予算もかかるという欠点もある

だが、欠点はそれだけではなく実車の動きをそのままアニメとして作ってしまうと
動きとしての「コマの枚数」を実写より削らなければならないので動きがリアルというよりも
気持ち悪い、または生々しくなるという欠点がある。
リアルというよりも「変にリアル」という表現が正しい。

このロトスコープの作画や動きを受け入れるかどうかが
「このアニメを最後まで見れるかどうか」の最大のポイントの1つとなっている。
普通なら立っているだけの登場人物が微妙に揺れたり、
作画の枚数を削るためなのかとことん静止しているシーンが有ったりと
独特の生々しさが他のアニメでは味わえない感じだが、若干気持ち悪くもある。

この作品の雰囲気に合っているとは言えるのだが、
同時にこれは「アニメなのか?」という疑問も浮かぶ。
所詮は実写のアニメ加工、最初から実写ドラマででやれ、キャラが不細工など
この作品の評価を検索するとそういった意見も多々見られる。
それと同時に「この作品を理解できる、分かっている俺。」という人も多くいる。
1番驚いたのは「まず理解できない自分の感受性を恥じろ」というようなコメントだw

それだけ人によってこの「ロトスコープ」というのは好き嫌いが別れる。
トレースの際のアニメ加工がもう少しアニメ寄りの加工ならば
もう少し受けいられる人も多かったかもしれない、あまりにも実写に寄りすぎている感じはある。
特に序盤はその傾向が強い。

私個人としては・・・この生々しい動きは面白かったと素直に評価したい。
他の作品では味わえない「独特の現実感」が作品の雰囲気を後押ししている。
ただ、それは最初だけだ。
最初のインパクトは強く、生々しい動きも悪く無いと感じるのだが
ロトスコープの雰囲気に慣れてしまえば後は感覚として普通のドラマを
アニメというレンズを通してみているだけにすぎないと感じてしまった。

せっかくロトスコープを使ったのだから、もっとロトスコープにしかできない動き、
普通のアニメーションにはできないロトスコープならではのシーンを見たかったと感じる
現状では「ロトスコープをつかった雰囲気」は出ているが、
雰囲気以上の「ロトスコープすげぇ!」と思うようなシーンが欲しかった
凄いといえるシーンもあるには有るのだが
「あれ、実写でやったほうが迫力あったんじゃない?」と思うようなシーンになってしまっており、
実写とアニメの中間、2,5次元の魅力を感じられるシーンがあればモット評価できたかもしれない。

ストーリー的にも好みが分かれる。
主人公はどこか斜に構え、少し変わった本が好きな中学生だ。
そんな彼が思わず「クラスメイトの体操服」を盗んでしまい、
更に盗んでいる所をクラスのとある女子に見られてしまう所からストーリーが始まる

序盤から主人公を悪の道へと誘う「仲村」の存在と「主人公」の行動が興味をそそられる。
中学生や小学生という年代ならクラスには1人は居たかもしれない
「普段はあまり喋らないやつで好きな女子の笛を盗む」ような奴が主人公だ。
しかし彼は出来心、思わずやってしまったと自分の罪を後悔し嫌悪する。
一時は自分の罪をさらけ出そうとしたくらいだ

しかし、そんな彼に対し「仲村」という登場人物が彼の衝動をまるで擁護するかのように行動をする
わざと彼が盗んだ体操服の持ち主である「佐伯」を呼び出し彼の背中を押し胸に顔をぶつけたり
彼の変態行為を「作文で提出」させようとしたり、あげくには盗んだ体操服を着せる始末(笑)
彼女が何故そういった行為を彼にするのか、
それは彼女自身もまた「変態」であり、彼女自身もまた「社会からずれた」感性の持ち主だ

ストーリー的にはその二人を中心に物語がゆっくりと進んでいく。
ゆっくりと書けば聞こえはいいが「テンポ」は悪く、丁寧といえば丁寧ではあり
心理描写が大切なこの作品においては確かに丁寧に描くことは重要だが話がぜんぜん進まない

普通のアニメなら1話でやりきってしまうような展開を3話まで伸ばしているような感覚があり
変に空く「間」や背景を写すシーン、意味があるのかわからないシーンなど
登場人物の心理を情景にを現したいのは分かるのだが、5分以上無言で歩くシーンなどもあり
そのせいで物語のテンポがかなり悪くストーリーが全く進まない。

衝撃的かつ印象に残るシーンに至るまでだらだらっと展開し、急にインパクトの強いシーンを描写する。
この抑揚の強さは作品の「陰湿さ」や「心理描写」の演出にはなっているのだが、
肝心の話が進まないならばテンポの悪さと暗さで見るのが疲れるだけだ
特に後半はその傾向が強く尺稼ぎに感じるシーンも多々見られた
全13話ではなく、全11話なら作品の印象ももう少し違っただろう

ストーリー自体はよくある学校トラブルが基本だ。
主人公が体操服を盗む、給食費が盗まれる、クラスが荒されるなど
その中で「不思議な三角関係」が築かれることで物語に深みが増している。

「主人公」は「佐伯」のことが好き、だが彼女の体操服を盗んだ罪がある。
「仲村」はその罪を目撃し「主人公」と契約を結び変態を謳歌する、
「佐伯」はなぜだか「主人公」に途中から好意を持つ

と、この三角関係が非情にいじらしい(苦笑)
主人公が佐伯といい感じのシーンを繰り広げたかと思えば、
その直後には物凄い目線で「仲村」が現れたり、夜中に突然つれだしたりと、まあ怖い。
だが別に怒ったりはしない。主人公に対し変態的行動を強要するだけだ

「仲村」が主人公に対して怒るのは彼が普通の人間になろうとするときだけだ。
「仲村」は自分と同類出会ってほしいと主人公に望んでおり、だが主人公は嫌だ、嫌だと否定する
仲村の命令に逆らえば好きなこの目の前で水をブッカケられる始末だ(笑)

この三角関係がどうなるのか。ある意味でこの作品は「ラブコメ」だw
体操服を盗んだ主人公と狂ったヒロインと正統派ヒロインの三角関係の中で
生々しいまでの変態行為と犯罪行為を繰り広げる。
初デートで服の下に盗んだ体操服を着せられている主人公など他の作品ではありえないだろう。
話が進めば進むほど主人公は仲村と佐伯の板挟みになる。
佐伯の前ではきれいな自分で居たい、だが体操服を盗んでしまった自己嫌悪に悩まされる
そんな自己嫌悪を更に深め、自己嫌悪を仲村がくすぐりまり、主人公は徐々に徐々に壊れていく。
いや・・・正しくは「解放」されていくといったほうが正しいかもしれない。

終盤のストーリー展開・・・というよりキャラクターの行動や言動が面白い。
序盤から中盤は主人公と仲村の行動や言動が気になっていたはずなのだが、
終盤では正統派ヒロインにしか見えない「佐伯」の言動や行動が面白くなる。
彼女は体操服を盗まれた張本人のはずなのに、
その犯人である主人公を犯人と知っても頑なに彼と付き合い続ける

なぜそこまで彼女が変態糞虫の主人公に固執するのか、
狂ったヒロインである「仲村」よりも理解不能だ。だが、それゆえに面白い(笑)
ある意味でもっと仲村のほうがキャラクターとして理解できるのだが、
「佐伯」の正統派ヒロイン・・・というより主人公に対する極度の愛情ともいうべき行動や言動は
こちらの予想をはるかに超える。
更に主人公も・・・なぜか終盤は「仲村」に固執しだす。
もう、こちらの想像や予想できない展開や言動の数々を繰り広げており先が読めない。

しかし残念なことに物語がものすごく面白くなってきたところで最終話を迎え
更に2期でやるような内容を総集編のごとく描いてしまう。
これである程度のストーリーがアニメオリジナルで1クールできちんと完結していれば
高い評価ができたかもしれないのだが、色々なことを2期に投げてしまった。

全体的に見てものすごく好みの分かれる作品だ。
ロトスコープという独特の作画と生々しいキャラクターデザイン、
そして物語自体は青春ラブコメとも言えるのだが、
「仲村」という狂ったキャラクターと主人公の陰鬱とした態度や言動など好みの分かれる内容になっており
更にそこに独特の間や尺稼ぎと感じてしまう冗長なシーンやストーリー構成など
好みの分かれる作品になってしまっている。

これでストーリーがアニメはアニメとして完結していれば
1つの完結した作品としてロトスコープでやりきった独特の作品と評価できたかもしれないが、
2期を期待させるような内容を描写してしまったことでその評価がしづらい。
2期をやるかどうかで1期の評価もだいぶ違ってくるのだが、
2期があって2期で完結するなら1期はそれなりに評価できる、
だがこの状態で2期がないならば投げっぱなしで、原作を読むしかなくなる。

更に言えばこの作品は売れていない。
独特の間やだらっとしたストーリー構成と陰鬱とした内容のせいで
面白い、面白くない以前にかなり「疲れる」アニメとなっており
もう1度見たいという気持ちが中々おこらない。
ロトスコープ、ストーリー構成、キャラクター、セリフなど
色々と濃ゆすぎて1回見ただけですでに胸焼けしているくらいだ。
現実問題としてDVDはほとんど売れていない。

2期があれば見たい作品ではあるが・・・原作の売り上げ次第といった所だろう。
だが逆に「原作ファン」の批判の声も大きいだけに

原作を読んでしまうとせっかく良く評価していたアニメを 原作を読んでしまったために悪く評価してしまいかねない危険性もある。
あまりにも原作の絵や雰囲気が違うだけにそういった欠点も生まれてしまっている
原作が売れれば売れるほど批判の声も高まりそうだ。

個人的にはロトスコープの作画よりも間やストーリー構成が気になってしまう作品だった(苦笑)
ロトスコープという試みは面白く、ロトスコープによる雰囲気も出ていたが
素直に原作絵でアニメにしていたらどうなったのか。逆にそれが気になる作品だった。

DVDには実写版の映像も付いているようなので比較しながら見るのは面白いかもしれない。
「もし」の話でしか無いが、ロトスコープ版、実写版、そしてアニメ版と
3つのバージョンがあればその3つを比較しながら見るというような
試みができれば面白かったかもしれない。

2期がなくとも何年後かにリメイクされてきちんと原作絵でやりますみたいな事になるかもしれない。
そうなると「ロトスコープ版のほうが面白かった」というような声も出てくるんだろうなとw
私はそんな展開をひっそりと期待している(笑)

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