天城ブリリアントパーク

2014年12月27日

評価/★★★☆☆(42点)

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いい意味でも悪い意味でもラノベらしいアニメ

原作はフルメタル・パニックでお馴染みの「賀東招二」によるライトノベル作品
アニメーション制作は京都アニメーション、
監督はこれまたフルメタのアニメでお馴染みの武本康弘。

見出して感じるのは「ああ、京アニだな」という雰囲気だろう。
ちょっと文章にしがたいものがあるのだが
冒頭1分位のシーンでの「キャラクターの表情の変化」「光の当て方」「キャラデザ」が
いかにも「京都アニメーション」という雰囲気を醸し出しており、
その後に流れるOPも京アニらしさを強調している。
「京都アニメーション」という制作会社が作り出すアニメの空気感がしっかり出ている

だが、京都アニメーションという制作会社が作るアニメの空気はしっかりとあるのに
その空気感からは「想像」できないセリフをキャラクターたちがどんどんと言い出す。
今までの京都アニメーションの作品、特にここ数年の京都アニメーションの作品では
ここまでの直接的な「エロワード」をキャラクターが言い放つことはなかった
しかし、この作品の場合は「セクシーシーン」の表現に力を入れまくっている

1話の段階から胸、裸と京アニ作品では考えられないほどの
「肌色率」で様々なヒロインの「胸」をしっかりと描いており、
ぷるんと揺れまくり、光規制など一切ない「お尻」の描写などびっくりするぐらいエロい。
2話以降もストーリー的にダレそうになる所「セクシーシーン」を入れてくるため
サービス満載だ(笑)

ちょっと早々に決めつけた表現をするが、
この作品は「京都アニメーションが作る典型的な最近のラノベアニメ」だ。
キャラクター設定、描写するシーンの内容、カメラアングル、ストーリー、
様々な要素が京都アニメーションらしさのない内容だ。
恐らく別のアニメーション制作会社が作れば典型的でつまらないラノベアニメでしかない。
だが、そこに強力な「京都アニメーション」の制作能力が
典型的でつまらないラノベアニメを独自の作品に仕上げている

まず目立つのは「作画」だろう。
女性キャラクターの可愛さの表現は細かい動きと質の高い作画で
きっちりと「可愛い」魅せ方をしており、純粋に女性ヒロインの可愛さに見惚れるシーンが多い。
中途半端なかわいい表現ではただの可愛いだけのシーンだ、
そこに「可愛いだけではないキャラクターごとの魅力」を描写することで可愛さが引き立ち、
更にセクシーシーンがあることで余計にキャラクターの印象が強まる。
「一瞬のシーン」を思わず巻き戻してもう1度見たくなるのは流石だ。

そしてセリフの量と喋る時間。
ラノベアニメの場合はキャラクター同士の会話でストーリーが成り立ってる場合が多い
この作品もそれは同じだが、キャラクターの1回毎の「セリフ量」と「喋る時間」が長い
1シーンでキャラクターが喋る時間がながければ長いほど
キャラクターが静止する時間が長くなってしまい、それをさけるために小間切れにしたり
無駄な動きを足すことで「絵を持たす」作品も多いが、
この作品の場合は「絵力」でセリフを喋るシーンを飽きさせずダレさせない。

作画の質がいいから成せるシーンづくりだ。
中途半端な作画ならここまでキャラクター同士のセリフ量が多いと
ダレてしまったり展開の進まなさにテンポの悪さを感じたりもするが、
可愛らしいキャラクターデザインと作画の質の高さがダレを産まない

しかし、根本的な話作りができていない。
ある意味でそこは「ラノベらしい」とも言えるのだが、
色々な要素が「要素」でしかなく、作品としての「1つ」のまとまりになっていない
序盤こそ「京アニフィルター」を介されてこの作品を楽しむことができるのだが、
話が進めば進むほど設定の練り込みも甘さが目立っていってしまっている

この作品は「遊園地再興」の物語だ。
地方の廃れた遊園地をどうやって再建させるのか。これがメインストーリーだ。
この根本のストーリー自体は面白さを感じるのだが、
そこに「ファンタジー要素」を足してしまうことで作品としてのまとまりが無くなってしまう。

この作品の世界観では「中の人など居ない」というきぐるみのお約束がマジだ。
遊園地にいるキャストたちは多くが「魔法の国」の本当の住人であり
テーマパークで人々を楽しますことで「アニムス」と呼ばれるものを得て
魔法の国を支えている。
だからこそ登場人物たちは必死で「遊園地を再興したい」と考えている。

だが、はっきりいってこの要素が不要だ。
確かに多く存在する「マスコットキャラ」を喋らせるためのファンタジー設定は悪くない
口の悪い個性的なマスコットキャラクターはこの作品には欠かせない存在であり
彼らの愛くるしい外見とのギャップから生まれるギャグは優秀だ
だが、その部分のファンタジー設以外が作品としての統一感を失う原因にもなっている。

主人公は1話で魔法の国の姫から「人の心を読む」魔法をもらう。
これが誰に対しても何回でも使えるならストーリー的に生かせる部分は多かったかもしれないが
「同じ相手には二度と使えない」という仕様のため、主人公はめったに使わない。
メインストーリーである遊園地再建にこの能力の必要性をあまり感じないのだ

更にヒロインも「銃」を召喚する魔法を持っている。
基本的にムカついた相手に対して銃口を向けるだけで、これも特に意味が無い
倒すべき敵がいるわけでもないのに攻撃アイテムの召喚魔法など無意味でしか無く、
変に「暴力的」要因だけ強まってしまいヒロインの魅力が少し削られてしまう
安易に「記憶削除」の都合の良い銃弾などが使えてしまうだけに余計に邪魔だ
後半はタダのツッコミ道具にしかなっていない

メインとなる「遊園地再興」が非常にしっかりしているだけに余計に邪魔に感じてしまう。
序盤は本当に廃れた遊園地だ
だが主人公は「真面目」に遊園地の動員数を増やすために様々なことを行う。
水着の宣伝動画アップロード、入園料の値下げ、炎上狙いの動画アップロードなど
素人が思いつきそうなことではあるもののそれを着実にこなしていく。
魔法を使って反則まがいのことをするわけではない。
堅実に積み重ねる遊園地再興ストーリー自体は悪くない

だが、その部分のストーリーの起伏が薄く淡々と進めてしまっている部分が大きく
その中で「ファンタジー要素」をいれることで起伏を入れたかったのは分かるが
結局盛り上がりどころにはなっていない。
それところかキャラクターが多いのに掘り下げきれていないキャラクターがあまりにも多い

メインとなる主人公とヒロインはきっちりと描かれるのだが、
本来はもっと掘り下げて描くべきはずの「サブキャラ」たちが
ファンタジー要素を描く部分での尺で使われてしまっており、
せっかく魅力的なサブキャラがいるのに中途半端にか活躍せず、
ストーリーの盛り上がり所を作るための役に立っていない。

せっかくキャラクターが可愛いのに、せっかく「魅せる」シーンづくりができているのに
本来をソレが生きる「ストーリー」が終始、淡々と強引に進めてしまい
本来ストーリーの中にあるべき「盛り上がり所」の盛り上がりが弱く
1話1話の印象が妙に薄い。
魅力的なキャラクターが動いて生まれる「イベンド作り」ができておらず、
1つ1つの要素だけで強引にストーリーを進めている印象だ

全体的に見て京アニフィルターを介して見るとそれなりに楽しめる作品なのだが、
化学調味料が大量に入った料理のごとく「深み」がなく、
1話から最終話まで「ずっと同じ味」の料理を食べているような気分になる
あまりキャラクター描写を深めずに淡々とストーリーを進め、淡々と終わる。
終った後に強烈に水が欲しくなるような感じだ。

1つ1つの要素は面白いのだ。
遊園地再興という本筋、下衆な喋るマスコットキャラクター達、
色気のある魅力的なヒロイン、どこか傲慢ではあるが憎めない主人公と
要素要素は素晴らしいのだ。
だがその要素が「1つの作品」としてまとまっていない。

キャラクターがきちんと動いてストーリーが作られてる回は面白い。
特に8話などギャグアニメとして非常に優秀で心底笑った(笑)
それだけにその他の話でキャラクターが動かしきれていないのは残念で仕方がない
使い余している設定も多く、もう少し「削れる」部分があったのではと感じてしまう
余計な要素が素直に素晴らしい素材を味わえなくしてしまっている

これが2クールあれば後半からの展開でファンタジー要素が生きてきたかもしれない
だが1クールと言う尺の中ではファンタジー要素がいまいち生きてこない
特にファンタジー要素の中で最重要項目である「姫様の命」の設定が終盤で妙に重くなってしまい、
序盤のキャラクターたちの悠長な感じと見合わなくなってしまった
もっとシンプルでいいのに、もっとストーリーでいいのに
変に凝った設定が素直にキャラクターとストーリーを楽しめなくなってしまった。
ある意味でそこも「ラノベらしい」といえばそれまでなのだが。

ただラストは良かった。
堅実に、淡々と積み重ねて「入場者数」を増やし目標間近までいく
だが時間ギリギリでもう少し足りない。その「もう少し」の達成の仕方が本当に素晴らしい。
王道ではある、王道ではあるのだがこの「ストレートド直球」な展開が
王道の面白さをしっかりと出していた。

物語の目的の達成の仕方と「オチ」がしっくりと王道にハマっており
気持ちのいいラストを迎えていた。
このラストのようなストレートさがもっと作品全体にあればもっと作品が面白くなった
そう感じるほどこのラストの展開は素晴らしい物があった
最終話自体は原作と違う結末になっているらしいが、
個人的にはこれくらいの軽さとストレートさがこの作品には合っているような気がする。

2期があるかどうかは分からないが、
2期があれば多すぎたキャラクターもきっちりと掘り下げて
不満な部分が改善されるかもしれない。
色々と気になる部分はあるもののラストまで見るとラストの心地よさのお陰で
意外にもスッキリとした感覚が残った作品だった。