攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man

2016年6月29日

評価/★★★★☆(65点)

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これは総集編ではない、濃厚な2時間半のSFサスペンス映画だ

本作品は攻殻機動隊のTVシリーズの1期の総集編OVA。
内容的にはタイトル通り「笑い男」のエピソードを中心にしたものとなっており、
総集編としてはかなり長い尺の2時間ほどの作品だ。

見出してそうそう4話から始まる。
各キャラクターの紹介、公安九課の説明、世界観の説明。そういったものは一切ない。
だが、だからこそ最初から「笑い男事件」の事件としての魅力に引き込まれる
序盤から語られる断片的な「笑い男」の情報、事件の詳細、
それに振り回され捜査するキャラクターたち。

アニメ本編では2クールの中で単発エピソードなどを入れつつ進めるため
笑い男事件の細かい部分を理解できなかった方も居るかもしれない。
「攻殻機動隊の話は難しい」と感じる人がいるのも納得できる
物語全体で1つの事件を追いつつも違う事件が描かれるため
何度も見ないと理解できない部分がある人も多いだろう。

だが、この作品はそんな「他の事件」を描かない。
あくまでも笑い男事件に関連するストーリーのみを自然につなげており、
他の事件がないからこそストレートにこの重厚なストーリーを味わうことができる。
この事件はここまでシンプルに「面白い」と染み染みと言いたくなるような
ストーリーだったのかと多くの視聴者は気付かされるだろう。

この作品は初めて見る人にもTVシリーズの攻殻機動隊を見たことのある人にもおすすめしたい。
単純な総集編ではない、この作品は「笑い男事件」という名の単体のSFサスペンス作品であり
2時間30分の尺の中でキャラクターの説明も世界観の説明もないのに
がっつりとこの作品の世界観に入り込み、設定を理解でき、キャラクターに感情移入できる

TVシリーズの全26話の中でゆっくりと進んでいく笑い男事件の解決模様も確かに面白かった
だが、この作品はそんなTVシリーズの面白みとは又違う
シンプルな「SFサスペンス」ものとしての笑い男事件の面白さを再認識させられる
テンポよくサクサクと進むストーリー展開なのにそのサクサク感と裏腹にストーリーは重厚だ。
テンポがいいからこそ、まるでボクシングのパンチのように
「激しく叩きつけられる」ような感覚になるほどだ

あまりにも重厚過ぎて時間の感覚がおかしくなる。
ストーリーのいいところらへんでふと時計を見る、
私個人の感覚では2時間半の尺のウチ2時間位終ったかな?と思っていたら
まだ「半分」の時間しか立っていなくて驚愕したほどだ。
ここまで笑い男事件は濃厚だったのかと実感させられる

笑い男事件から始まる「オリジナルなき模倣者」たちの総監暗殺事件、
トグサが潜入する事件、電脳硬化症と村井ワクチンを巡る笑い男事件の真実、
これらの事件が連続で描かれることで「笑い男事件」が分かりやすく見ている側に伝わる。
そして1つ1つの事件の「衝撃」と「笑い男」というカリスマ的存在の面白さが
「トグサ」を通して伝わる。

そう、この作品の主人公はトグサだ。
本来の攻殻機動隊の主人公は「草薙素子」ではあるが、
この作品における主人公は昔ながらの刑事のような操作方法を取るトグサが主人公であり、
彼が地道に操作を進めるさまをテンポよく描いていおり、
彼の最後の行動もまたこの作品を象徴する行動であることを改めて実感させられる

全体的に見て素晴らしい総集編だった。
いや、この作品を総集編と呼ぶにはあまりにも「内容」が「重厚」すぎる。
あえてサイドストーリーを省き、笑い男事件という事件だけのストーリーを描くことで
SFサスペンスものとしての重厚さと「笑い男事件」という事件の面白さと
「笑い男」というカリスマ敵キャラクターの魅力、
そして、ソレを追う「公安九課」のキャラクターの魅力を改めて感じることが出来、
2時間半にまとめたことでそれがよりストレートに伝わるようになっている。

惜しむべきはこの長さだろう。後30分ないし1時間ほど尺が短ければ
「攻殻機動隊」を見たことがない人のための最初のキッカケとして
この作品を勧めるところなのだが、2時間30分という尺は正直長い。
1度この作品を見たことがある人にとってはこの長さは攻殻機動隊の面白さを描くには
必要な尺であることはお分かりいただけると思うが、
この作品を見たことがない人にはこの長さは厳しいかもしれない。

個人的には何度見ても「タチコマ」達のあのシーンは涙腺を刺激されてしまう。
何度見ても、知っていても、鮮明に記憶シテイルはずのシーンなのにあのシーンは反則だ。
少なくともあのシーンを3度以上は見てるのに4度目でも私は泣いてしまっていた。

TVシリーズを見たことがある人にも是非身て欲しい。
TVシリーズとは又違った面白さをこの作品では感じることができるはずだ
見たことがない人も若干長いが、SFサスペンス映画を見るつもりでご覧頂きたい。
きっと「攻殻機動隊」の面白さと魅力に取り憑かれるはずだ