夜ノヤッターマン」

2016年6月29日

評価/★★☆☆☆(36点)

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おしおきだべぇ~!!

本作品ははアニメオリジナル作品。
名前の通り「ヤッターマン」のスピンオフ作品ではあるが、
基本設定や世界観などに若干の変更がある。
制作はタツノコプロ、監督は吉原達矢

見出して感じるのは期待感だろう
「ドロンボー一味」を倒したヤッターマン達、
そんな原作の後の世界が舞台となっており、
ヤッターマンたちは「伝説」として語り継がれる存在になり、
「ヤッターキングダム」という国が作られている

ヒーローが悪を倒した後の世界。
それは本来なら「幸せ」に満ち溢れ「ハッピーエンド」な雰囲気に包まれているはずだ
だが、この作品は違う。
どこか廃退した世界、どこか寂しげな世界、どこか息苦しさを感じる世界
悪を倒した後の世界のはずなのに何とも言えない空気を匂わせている
そんな空気の中に「一人の少女」がヒロインとして物語を進める

彼女は「ドロンジョ」の血を受け継ぐ少女であり、
ドロンボー一味たちの血を受け継ぐものと共に追放され「お仕置」を受け続けている
貧しい暮らしをしつつも、「ヤッターマン」という伝説に希望を持つ。
だが、そんな希望はあっさりと裏切られる

この世界はヤッターマンが悪を倒してから時間がたった世界だ
すでに過去の「ヤッターマン」はおらず、ヤッターマンが掲げた正義は存在しない
この世界にあるのは「ヤッターキングダム」というヤッターマンに支配された国と
それ以外の辺境の痩せた大地だけだ。
正義の味方のはずのヤッターマンが悪にしか見えず、
悪のはずのドロンジョ一味が「正義」に見える。

勧善懲悪の「ヤッターマン」という作品の価値観をひっくりかえす。
たった1話でオセロの白と黒をあっさりとひっくり返されることで
完全に正義という白に染まりきっているはずの「ヤッターマン」という世界を
どうやって悪という黒でうめつくすのか。
「悪が正義に勝つ」というダークヒーローストーリーをどう見せてくれるのか
子供向けのわかりやすい正義とわかりやすい悪というヤッターマンという作品を
「ダークヒーロー」ストーリーでどう大人向けに仕上げるのか

たった1話で強烈に物語に対する期待感とハードルを上げることで
「夜ノヤッターマン」という作品の印象を強める
1話の段階では登場人物も少なく、はっきりいって淡々としているのだが
そんな「淡々」とした見せ方が衰退した世界観を後押ししており
1話だけを評価するなら文句の付け所が殆ど無い。
だが、そんな「ハードル」をこの作品は超えられなかった

淡々した見せ方は全話にわたって徹底してしまっており、
はっきりいって「テンポ」が悪い。
ヤッターマンをリスペクトするような「ギャグ演出」もあり
お約束コメディ展開やシーンも多いのだが、
どうにも「淡々」とした雰囲気のせいでギャグがギャグになっていない
ギャグになっていないのに過剰なギャグ演出のお陰で強い違和感が生まれており
ギャグ部分とシリアス部分が噛み合っていない

更に間延びしているストーリー。
ヤッターマンがいる所まで旅をするストーリーではあるのだが、
その過程の中で「ヤッターマン」の酷さを際だたせるストーリーが多く、
微妙な日常ストーリーも多い。
はっきりいって「本筋」とは関係ない話が非常に多く、
1話はあんなに濃ゆかったのに話が進めば進むほど内容が薄まっていく。

メインのストーリーだけを知りたいなら3話まで見た後に9話から
最終話まで見ればメインのストーリーは終わるし問題なく理解できるだろう
10話のAパートではご丁寧に総集編っぽい回想シーンもあるので
10話からでも問題ない。
約5~6話分、確かにキャラクターの掘り下げや可愛さが描写されている
ストーリーではあるものの、物語の本筋を描く上では必要がない。

これが2クールないし4クールなどの長尺なら気にならないが
1クールの作品にしては「本筋」の話があまりにも進まず、
淡々と回り道をしながらゆっくりとストーリーを進めてしまっており、
妙に思いシリアスと中途半端なギャグのおかげで
「どういう姿勢」で見ればいいかわからず楽しみづらい。

更に終盤で「どんでん返し」がある。
なるべくネタバレせずに言ってしまえば、
「正義」は結局、正義であり「悪」は結局、悪だった
1話でダークヒーロー的なストーリーを予感させる展開だっただけに、
終盤でそれをあっさりひっくり返し王道ストーリーにしてしまうことで
「拍子抜け」シてしまう感じが物凄い。

これが1時間半や2時間でまとめられた映画やOVAならば、
中だるみせずに「どんでん返し」が効果的に物語に作用したが、
中だるみしてしまったために終盤のどんでん返しの効果が薄く、
どんでん返しになっても「あー・・・そういう展開」という感じになってしまう
本来はもっと「どんでん返し」が効果的なはずなのだ、
ダークヒーロー的な展開からの王道ストーリーは見せ方次第では
もっと素直に「面白い」と言えるはず。

だが中盤の中だるみのせいで、
素直な気持ちでそのどんでん返しを受け止めることができず、
最終話の作画の崩れ具合や「すべての伏線や設定を黒幕が話す」という
ストーリー構成は釈然としない感覚が残ってしまった。

全体的に見て色々と惜しい作品だった
ダークヒーロー的なディストピアでの序盤のストーリー展開は素晴らしく
「ヤッターマン」という勧善懲悪のコメディタッチの作品の雰囲気を
スピンオフであえて逆転し物語への期待感を高める。
終盤は王道的なストーリーではあるものの「王道」らしい熱さを秘めており、
若干勢いに任せた感じはあるものの物語はきちんとと終っている。

だが、その「序盤」と「終盤」のストーリーを繋ぐ中盤が
あまりにもグダグダとしてしまっており、
はっきりいってどうでもいいストーリーが多い。
序盤と終盤だけを見ればもっと高い評価ができたのに、
中だるみと強い疲労感を生み出してしまった中盤が足を引っ張ってしまっていた。

これが1時間半の映画や6話ほどのOVAで作られていれば
間違いなく名作になっただろう。
スピンオフではあるものの「ヤッターマン」のアフターストーリーとして
きちんと「ヤッターマン」という作品の設定を活かしたストーリーになっており
「どんでん返し」からの「どんでん返し」から生まれる爽快感が
素直に「面白かった」と言える作品になっただろう

それだけに1クールという尺の都合上、
せっかくの作品の要素を引き伸ばし薄めてしまっていた
最後の真の「ヤッターマン」のシーンとOPが流れるシーンは
自分の中に染み付いた「タツノコアニメ」に対する思いのせいか
妙な「感動」を覚えてしまうだけに
あのシーンを素直に「よかった」と言えない出来栄えなのが残念だ

余談でネタバレになってしまいかねないが、
「ホリ」さん演じる某キャラのモノマネのクォリティが素晴らしかった
あえて新しい声優さんではなく「ホリ」さんのモノマネを起用したことは
強く評価したいところだ。

ガッチャマン、ヤッターマンと旧作のスピンオフ作品が目立つが
次はなんだろうか???
最近、色々と精力的な「タツノコプロ」だけに破裏拳ポリマーあたりの
スピンオフを期待したいところだ(笑)