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名作になったかもしれないB級アニメ「クオリディア・コード」レビュー

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評価★★☆☆☆(28点)全12話
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あらすじ 約30年前、突如として地球に襲来した第一種災害指定異来生物――通称アンノウンは、人類を蹂躙し世界を崩壊へと追いやった。
引用 – Wikipedia


名作になったかもしれないB級ギャグアニメ

原作はライトノベル作家・さがら総、橘公司、渡航の3人からなる
Speakeasyによる作品。ストーリーはアニメオリジナルとなっている。
監督はかわむらけんいち、制作はA-1 Pictures

見だして感じるのは作画の不安定さだろう。
敵によって世界がなんか知らないが1度終わったらしく、
1度終わった世界のあとの海に佇む主人公が謎の力で飛び立ち、
敵っぽいものと戦う様子が描写される。

この1話冒頭のシーンは非常にアニメにおいては重要なシーンだ。
しかし動かない。
壮大な曲、壮大な世界観、壮大なストーリーが描かれているはずなのに、
明らかに作画枚数の少なさを感じさせる硬すぎる動きと、
冒頭の段階からキャラの顔が怪しい「作画崩壊」を感じさせる。

作品が面白い、面白くないという以前に
「この作品は大丈夫なのだろうか?」という制作側のスケジュールに対する不安を、
1話からビンビンに感じる。
普通は作画崩壊を起こすような作品でも1話くらいは安定しているものだ。

しかし、この作品は1話から作画枚数の少なさ、1枚1枚の絵のクォリティの低さ、
それをごまかすための「演出」が所々に見受けられ。
そもそもスケジュールの問題ではなく、
作品にかけている予算が少なかったのか?と感じてしまう。

逆に言えば1話の段階から「このアニメの見方」が定まる。
決して名作を期待しない、決して純粋な面白さを期待しない、
B級駄作アニメ好きに1話からターゲットを絞った作品と割り切れば、
1話から何度もの爆笑に襲われる。

特に主人公のセリフ。もはや笑ってくださいと言わんばかりのセリフだ。
中二病的なキャラであり下級生には愛想が悪く、
もう少し愛想を良くしろとヒロインに言われても
「魂のレベルが下る」と言い放つ。素晴らしいセリフだ(笑)

まともなアニメを見る気持ちでこの主人公を見てしまえば、
嫌悪感しか産まないが、1話の段階でまともなアニメじゃないことを
作品のクォリティから見る側に伝えているため、
主人公の狙ったセリフにいちいち爆笑できる。
独断先行して大ピンチなんてわかりやすい行動でも笑いを誘ってくれる(笑)

更には「そのシーンは必要なのか?」と思うようなシーンを唐突に挟んだり、
1シーン1シーンが無駄に長回しだったり、1テンポ切り替えが遅かったり、
やたら遠くのアングルから写してよくわからなかったり、
キャラクター同士の会話でキャラの関係性を描写しようとするのはわかるが、
特にその会話劇が面白くないうえに無駄に長い。

展開の切り替えや進行が遅い作品は他にもあるが、
そういった作品の場合は1枚1枚の作画のクォリティが高いからこそ、
間延び具合が薄れるのだが、この作品は作画崩壊ギリギリ。
じっくりと、そんな作画を見せられても
じわじわと何かシュールな笑いを湧き上がらせるだけだ。

そして戦闘シーン。
この作品は作画のクォリティが低く枚数が少ないのに、
よりにもよって作画枚数が結構必要な「空中戦」が基本だ。
キャラクターたちの動きは非常に固く、
私は脳内で「大リーグボール養成ギブス」をつけているものだと割り切った。

敵に関してもほぼ静止状態で飛んでいるだけの敵だ。
なんかたまにビーム的なものを出したり突撃してきて攻撃はしてくるのだが、
そんな敵よりも味方による「フレンドリーファイア」のほうが
戦場では危険という状態を1話から見せられる。

普通は主人公の強さや能力、敵の描写など
1話は普通に倒すようなシーンが多いはずなのだが、
この作品の場合はそんなことはしない。
1話から「フレンドリーファイア」の心配をしてるのはこの作品くらいだろう。

作画のクォリティも話が進めば進むほど不安定になる。
喋っていないシーンで口が動いていたり、キャラの等身がおかしかったり、
せっかくの戦闘シーンなのにクソみたいな演出だったり、
最終話なのに背景を写したり、カットしたりと、キャラの顔が違ったりと、
最終話なのに作画枚数の少なさと崩壊ぶりは凄まじい。

ただストーリーに関してはそこまで悪くはない。
序盤はいかにもラノベという感じはあるものの、
ギャグアニメ基盤だからこそ「予想」と言うものがしづらく、
急展開が何度有り思わず「えぇ!?」と叫んでしまうようなストーリー展開だ。

しかし中盤、ストーリーが意外な方向へと進んでいく。
作画のクォリティに関しては低いままではあるものの、
序盤のようなギャグ的な意外性ではなく、
きっちりと考えられたストーリーの中での意外性であり、
序盤との強いギャップが余計にストーリーへと引き込まれる。

この作品の場合、あまりネタバレすると、
中盤からのストーリーの面白さが損なわれるため、これ以上のストーリーに関する
レビューは避けるが、見ていない人にわかりやすく伝えるならば、
「ラーゼフォン」や「ゼーガペイン」を想像してもらうとわかりやすい。
B級アニメを見ていたはずなのにいつの間にか、
そんな硬派な面白い作品のストーリーになるような感覚だ。

前半と後半で印象が全く違うだけに、
この作品が2クールで丁寧に作られていれば、
B級アニメでは終わらなかっただろう。


全体的に見てストーリーは決して悪くはないのに、
そのストーリーをクォリティの低すぎる作画と、
それをごまかすための演出、ストーリー構成などで台無しにしている。
1話から台無しにされているからこそB級ギャグアニメ的な楽しみができるが、
もっと丁寧に作れば純粋に面白い作品になりそうなだっただけに、
もったいなさを強く感じてしまう。

ただ、ある意味でこの作画崩壊ぎりぎりの作画があったからこそ、
序盤からいい意味でも悪い意味でもこの作品の世界観に取り込まれ、
中盤からのストーリー展開にやられる。
まさかこんな作画のクォリティであんな展開になるとは!という
1話の段階では一切予想できない内容だからこそ、
だらけずに最後まで見れた作品といえるかもしれない。

本当にもったいない。
作画のクォリティは低いがサブキャラなども個性的かつ
魅力的に見えるキャラクターも多く、
メインキャラもきちんと考えられて作られている。

1クールではなく、きっちりとした予算で2クールあれば
この作品は間違いなく素直に面白い作品になっただけに、
B級作品になってしまったことが悔やまれる。

A-1 Picturesという製作会社は作画崩壊ギリギリの作画で
作るような会社ではなかったはずなのだが、
全話に渡ってここまでギリギリの作画になってしまったのは残念だ。
せめて1話くらい、きちんとした作画で見たかったが・・・(苦笑)

万人に勧めにくい作品ではあるものの、
1話の段階で笑って見れる人ならば最後まで楽しめる作品だ。
駄作アニメ好きとしては中盤からストーリーが面白くなってしまって、
駄作とは言えない作品になってしまったのがある意味残念であるが、
1話の出来栄えからは想像できないくらい楽しめる作品だ。

驚いたことにDVD・BDで1巻の作画はほとんど修正されていないらしい。
よっぽどA-1 Picturesに余裕が無いのだろうか?
それとも、この崩壊具合は狙いだったのだろうか・・・(苦笑)

個人的には物語のターニングポイントである9話が1番ひどかったのは、
ちょっとがっかりだった。

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  1. アンドレイ より:

    予算の問題ではなく
    スケジュール面の問題ですね

    予算に関しては枠的にも マーベラスの
    メディアミックス前提による企画的にも
    何種類も起用してたアーティストなど
    むしろ他より掛かってたぽいです

    なおスケジュール崩壊の原因は
    どうも脚本素人ラノベ作家を脚本会議に入れた
    リレー方式にあるようで メインアニメーターさんの1人がこの事にちょっと言及しております

    しかしそういう風に企画しちゃったのも
    マーベラス社員の渡航氏のようなので
    ぶっちゃけ自業自得のようですね

  2. アンドレイ より:

    しかし作画云々抜きに
    構成やキャラの扱いも含めて雑だなぁと
    思ったのは自分だけでしょうか?

    作画さえ〜という意見には
    正直同意しかねます

    この枠でメディアミックス前提の
    原作も全然売れなかったようですし
    公式はもう敗戦処理からの企画撤退の動きすら

  3. アンドレイ より:

    あるようです

    根本的な話も
    ちょっと前の流行りを焼き直したようなしか見えず テンプレなキャラクターを使用して
    薄く浅くやってたような印象しか受けませんでした。

  4. 匿名 より:

    キャラの等身→頭身