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「リコリス・リコイル」レビュー

4.0
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評価 ★★★★☆(67点) 全13話

TVアニメ『リコリス・リコイル』PV第3弾|2022年7月放送

あらすじ 世界一の治安の良さで定評のある国、日本。その治安の良さの裏側には、犯罪者を極秘裏に抹殺・消去する極秘の治安維持組織「DA」の存在があった引用- Wikipedia

これが覇権アニメだ!

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は足立慎吾、制作はA-1 Pictures

悪即斬

この作品の1話はベタな始まりだ。
アニメでは十八番の1つともいえる「朝」から始まる。
主人公がたった一人で朝の準備をし、その中で電話がかかってきて家を出る。
その中でこの作品の世界観を「アニメーション」として見せてくれる。

美しい国日本、安全大国日本、平和で安全な東京、優しい日本人。
東京には一切の危険はない。

そんな主人公のナレーションと同時に
「テロ」や「犯罪」を企み、まさに今、行動を映す瞬間が描かれる。
だが、そんな悪巧みは制服を着た少女たちによってあっさりと破られる。
サイレンサー付きの銃で、瞬きする日まもなく
悪意を排除する「リコリス」という存在が居る。

たった1分30秒ほどだ。
そんな1分30秒ほどのナレーションとアニメーションで
この作品がどんな作品かを「見て」伝えてくれている。

多くの日本人、一般人にとっては平和な日本だ。
だが、その裏では「ありとあらゆる犯罪」が巻き凝っており、
そんな犯罪を世間に知られる前にDAという組織が、
リコリスという孤児の少女兵を使って対処している。

「悪即斬」だ(笑)
彼女たちは犯罪者に容赦がなく、殺すことに罪悪感を感じない。
リコリスの中には感情が死んだように仲間の犠牲すら
意識しないものも多く、淡々と任務をこなしている。

この作品には二人の主人公がいる。
一方は明るく元気な女の子、一方は物静かなおとなしい女の子、
二人のデコボコな少女が「相棒」になる。

シリアスかつ一歩間違えば危うい世界観ではあるものの、
基本的にはコメディタッチに明るく、テンポよく描かれている。
特に「千束」の底抜けの明るさは犯罪者をたおしまくっており、
暗殺者とは思えない見た目と性格をしている。

日常アクション

そんなちょっとした日常の中でも不穏な空気は流れている。
不穏な空気の中での「アクション」はきびきびと動いており、
目まぐるしく場面が展開し、話が展開していくさまが心地良い。

そんな中で彼女たちが請け負うのは「ストーカー」から
女性を守ることだ。
序盤はどこか「シティハンター」のようなノリがあるといってもいい、
困っている人をDAという大きな組織ではなく、個人が個人を助ける。

彼女たちは町中であろうとめちゃくちゃに撃ちまくる(笑)
至近距離で縦断を避けるのなんてなんのその、
最近では見かけなくなった「ガンアクション」を
1話からこれでもか!と見せつることで、
アニメーションとしての面白さを感じさせてくれる。

JKが暗殺者、スパイとして東京を守っている。
そんな突飛のない設定の裏付けもきちんとしており、
彼女たちが「制服」を着ているのも、都会では迷彩服のように
まさかJKが暗殺者やスパイな訳がないという思い込みを利用している。

居場所

彼女たちは「孤児」だ。引き取られ暗殺者として育てられている。
それゆえにそれ以外を知らない、そう育てられ、そう生きることを強いられ、
そうするか生きる術を知らない。「たきな」もそうだ。
仕事でのミスを理由に飛ばされ「千束」や喫茶店の仲間と出会うものの、
最初は元の場所に戻りたいという気持ちのほうが強い。

しかし、「千束」の不殺の仕事の仕方や「千束」との日常を味わううちに、
彼女は徐々に「人」としての楽しさを知っていく。
ゲームをすることを、おしゃれをすることを、どこかに行くことを。
序盤はそんな彼女が徐々に変化し、成長していく物語を丁寧に描いており、
彼女の表情、感情が徐々に表に出てくるさまが本当に可愛らしい。

組織に与えられたものを着て、組織の命令どおりに任務をこなす。
それだけが彼女の生きがいでもあった。
そんな彼女が「女の子」として変わっていく姿は
どこか「親心」のようなものすら刺激される。

リコリスとしての自分、「たきな」としての自分。
任務よりも日常を求めていく変化が丁寧に描かれることで、
二人の主人公により感情移入できる。

そんな中で徐々に「世界」が紐解かれていく。

千束

彼女は不殺を心がけており、敵も味方も全て助けようとしている。
リコリスとしてはトップクラスの実力を持ちながら誰も殺さない。
それは彼女が誰の「時間」も奪いたくないからだ。

彼女の心臓は「人工心臓」であり、命を誰かに助けてもらった。
それゆえに彼女は誰の命も奪わず、時間も奪わない。
それは彼女の「時間」も限られているからだ。

残された時間、限られた時間を彼女は目一杯楽しもうとしている。
それが彼女の明るさ、天真爛漫さにもつながり、不殺の理由にもなっている。
少しずつキャラクターの設定を開示しながら、
この世界観にふさわしい重い設定を見せつつも、
シリアスには振り切らない。

ガバガバ

いい意味で「ノンストレス」に割り切った作品に仕上がっており、
テロリストたちでさえどこか明るく描かれている部分がある。
ただ、逆に言えば「ご都合主義」も目立つ部分だ。
日本を舞台にし、おそらく現代の設定で、SF的な要素や魔法はない。
そんな世界で主人公は「銃弾」を避けまくる始末だ。

メインキャラは絶対に死なない。
それは物語の都合上仕方ない部分ではあるが、
そのあたりのご都合主義、リアリティラインを
みている側がどう受け止めるかで作品の評価も変わってくる。

個人的に言えばこの作品は「ノリ」を楽しむ作品だ。
確かにリアルではない、だが、そこにこだわれば作品が面白くなるのか?
といえばそうではない。
どの程度、創作物という名の嘘を視聴者に「信じさせる」かが
作品の是非につながると言ってもいい。

そういう観点で言えば、この作品はノリで細かい部分や
ツッコミどころを貫いている。
コメディやギャグ、キャラクターの可愛らしさで押し切ることで
「リコリスリコイル」という世界観を描いている。

たとえ千束が車に衝突されて無傷でも、
そのあとに「たきな」が助けに来て、最後にじゃんけんで彼女が
「勝って」喜ぶ姿でツッコミどころが吹っ飛んでしまう。
二人の主人公の毎話のように変わる衣装や髪型へのこだわりも、
制作側の方向性のあらわれだろう。

ダイ・ハードなどのアメリカのハリウッド映画特有の
ガバガバなストーリーを覆い隠すような爆破とアクション、
この作品においてそれはキャラの「可愛さ」だ。

アラン機関

この世界には謎の支援組織「アラン機関」というものが存在する。
オリンピック選手やなにか優秀な才能をもって生まれたものを
支援し、そのものがもつ「使命」のようなものを全うさせようとしている。

決して正義の組織とはいえない。
テロリストである「真島」にも支援していたり、
殺しの才能を持つ「千束」にも支援をしている。
この機関の目的のようなものはわからず、
ふわっとしているのは残念なところだ。

終盤になると序盤から中盤までのコメディ色は消え、
一気にシリアスになる。
残り2ヶ月しかない命、そんな彼女を助けるために仲間も動き出す。

リコリスの存在意義、彼女たちが所属するDAの正義の意味、
シリアスが極まってくることで、逆にこの作品の
「アラ」がやや目立ってくる印象だ。
組織もやたらハッキングされており無能感があり、
主人公を際立たせるためとは言え、色々とガバガバになっていく。

殺してでも

「千束」が助かるためには恩人を殺して同じ人工心臓を奪うしか無い。
しかし、彼女は誰かの時間を奪うことだけは絶対にしない。
そんな彼女の代わりに「たきな」が彼を殺そうとするものの、
「千束」は必死に止める。

たきなにとって「千束」の存在はかけがえのないものだ。
感情を全開に表しながら戦うさまは、
1クールで彼女が一人の「人間」になったことを感じさせる描写だ。
愛するものを救うために愛するものを殺す。

偽りだらけのこの世界で、偽りだらけの少女たちが
真実を手に入れる物語と言ってもいい。
日本はまだ真実を知らない、だが、気づき始めてるものも居る。
そんな中で少女はどう生きるのか。

2期の可能性を残して物語は幕を閉じる。

総評:令和版シティハンター

全体的にみて序盤から中盤まではコミカルかつ
アニメらしいキビキビと動くガンアクションと
シティハンター的なストーリーが面白く、
そこに二人の主人公の可愛らしさを描くことで、
「リコリスリコイル」という作品の面白さを感じさせてくれた。

ただ、その一方で終盤のシリアスストーリーはガバガバだ。
キャラクターの可愛らしさと日常の良さ、
序盤のガンアクションはスッキリとした面白さがあるものの、
終盤からは設定に踏み込み、シリアスなストーリーになってしまうことで
そのガバガバさが顕著に感じられてしまった。

結局、黒幕と言える「アラン機関」が何をしたいのかがわからないのが問題だ。
才能のあるものに資金や技術などを無尽蔵に提供する謎の機関は
一体何が目的でそんなことをしているのか?

クォリティは高く面白いものの、引っ張ってはいけない部分の謎を
2期のためにか引っ張ってしまったせいで
ハッピーエンドではあるのに、引っ掛かりも同時に生まれてしまっている。

作画のクォリティも高くアニメーションとしての表現も素晴らしく、
キャラクターもカワイイ、面白かった…
しかし、面白かった「けど」とつけたくなってしまう、
そんな作品だった。

個人的な感想:うぅーん

世間的には覇権と言われるアニメであり、BDの売上もとんでもないことになっている。
確かに序盤から中盤はその実力を感じることができたのだが、
終盤はその序盤から中盤の面白さを維持できていなかったような印象だ。
序盤から中盤までなら90点、終盤だけ見ると60点、
そんな印象を受ける作品だ。

これが1クールではなく2クールくらいなら、
もう少し世界観や設定の掘り下げもあったかもしれない。
売上的に2期も期待できそうなだけに、もし、2期があれば
1期の評価が上がる作品になるかもしれない。

「リコリス・リコイル」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. 匿名 より:

    笠さんの言う通りだと思います
    この作品は面白いけど…みたいな作品だと思います
    2クールで描けばさらに掘り下げられて本当に面白い作品になったかもしれません

  2. もにょ より:

    面白くてイッキ見してしまいました。確かに設定はガバガバですよね。平日の午前中に制服でブラついてたら普通に補導されそうですし。最近はそうでもないのかしら?(汗)
    2期に期待、ですね!

  3. 匿名 より:

    2クールあればというのは仰る通りだと思います。
    世界観の掘り下げがもう少し欲しかったです。

  4. 匿名 より:

    ちさたき二人の関係に寄せている点は良かった。しかし、真島の行動が納得できない。平和を維持しているリコリスもといその機関の存在を明るみにすることが目的だが、市民からしてみれば警察が守っていようが自分たちが知らない何者かが守ってくれてようがどちらでも良い。その為、DAの存在が真島の中で悪だという理由がきちんと提示されて欲しかった。これは好みの色がより強いが、ノリで見るアニメなのは承知な上でそれなら何故シリアス方面に向かったのかなと感じた。戦闘で誰も死なないのは察しが付くので個人的には少し白けてしまった。
    長文失礼m(_ _)m

  5. ガバガバ男子 より:

    バカな私には、ちょうどいいガバガバでした。テンポも台詞もキャラもイキイキしてたのでオッケーです。

  6. 匿名 より:

    逆に2クールもあったらもっとボロが出てたんじゃないかな、という印象でした。
    序盤でやりたいことやり尽くして失速した感。

  7. ごんたろう より:

    ご都合主義シロップがぶちまけられてしまったのが残念。
    記憶処理剤の無いSCP財団のカバーストーリー、機能するのかよ。

    いやまぁ設定が設定だからご都合主義シロップのぶちまけ方次第なんだ、ってのは分かってたけど。
    普通。そう、普通のオタクのアニメなんだよね。それが残念だった。