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ガバガバスカスカ「ガス人間」レビュー

ガス人間 実写映画
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

「ガス人間」 予告編 – Netflix

評価 ★★☆☆☆(35点) 全8話

あらすじ 生放送中のTV局で突如起きた、人間が膨らみ爆死するという未曾有の殺人事件。その犯人はガス化した人間――ガス人間だった。 引用- Wikipedia

ガバガバスカスカ

本作品はNetflixオリジナル作品。
監督は片山慎三。
1960年に制作された特撮映画をリメイクしたものになる。

特撮

Netflixのドラマというと、ヒットしているものは昭和や
平成の日本を扱ったものが多く、あの時代の日本の空気感や
ヤクザなどが絡んだ話がドラマになりやすい。

しかし、今作は現代を舞台にしている。
もともとの作品は1960年に制作された「ガス人間第一号」という
作品をもとにしているものの、ガス人間という題材以外は
ほぼ別物といっていい。

韓国のWOW POINTと日本のTOHOスタジオの共同制作による
8部作シリーズであり、この作品は第一弾として制作されている。

特撮という日本の文化がNetflixで描かれる。
試みとしては非常に面白い。

ガス人間

本作品の主軸となるのが「ガス人間」だ。
彼は自らの体をガスに変え、そのガスで人間を次々と襲う。

朝のニュースの生放送時、インタビューを受けていた男が唐突に
「ガス」に襲われ、内部から破裂して死亡するというところから
物語が始まる。

この劇的なシーンの衝撃は素晴らしい。

「ガス人間」という未知の存在に人間たちが振り回されていく。
警察組織、キャスター、YouTuber、謎の団体。
様々な人間模様が絡み合いながらガス人間の正体、
そして裏にいる黒幕に迫っていくサスペンスドラマになっている。

主人公を演ずる小栗旬さんやヒロインを演ずる蒼井優さんなど、
実力派の俳優が集うことで、この作品のダークで重い世界観を
作り上げているといってもいい。

特に3話くらいまでの緊張感は素晴らしい。

ガス人間という未知の存在感も相まって、
次に誰が、どこで、どんな形で襲われるのかわからない。
ガス人間のターゲットに関わる謎の組織の存在も気になり、
「これは面白くなりそうだ」と素直に期待させられた。

だからこそ、4話からが問題だ。

YouTuber

なぜか弱小YouTuberの話になる。

彼らがオカルト系のYouTuberとして活動する中で、
ガス人間の手がかりをたまたま手に入れ、
ガス人間のアジトを突き止め、その情報を売ろうとする。

そんなどうでもいいストーリーが挟まれる。
この4話には主人公もヒロインもガス人間もろくに出ず、
このどうでもいいYouTuber二人が主軸になってしまう。

3話までガス人間という未知の存在を追いかけ、
徐々に事件の規模が広がっていたのに、
突然どうでもいいYouTuber二人の話を1話使って見せられる。

彼らの存在が終盤で効いてくる部分はあるものの、
別にいなくてもほかのキャラで成立しそうなところも多く、
わざわざこのYouTuber二人を出した意味もよくわからない。

明らかにこの4話で物語のテンポ感も落ち、
それまで積み上げてきた緊張感も一度切れてしまったように感じる。

ヤクザ

そんなYouTuberが出たりする中でヤクザもしゃしゃり出てくる。
またヤクザだ。
Netflixは極道映画でもやりたいのだろうか?

猫も杓子もヤクザが出てきて大暴れする。
これが昭和から平成初期ならヤクザも元気な時代だが、
今時のヤクザはこの作品に出てくるような感じではない。

そんなヤクザと都知事がつながっていて、
都知事はガス人間を利用しだす。

ここまで未知の存在として描かれていた「ガス人間」が、
急に権力者にとって都合のいい便利な道具になってしまう。
ガス人間の正体がわかっていく面白さではなく、
ガス人間が誰にどう利用されるのかという話に変わり、
どんどんと物語が矮小化してくる。

それどころか、中盤からはツッコミどころまで
とんでもないものになっていく。

びっくり人間

中盤から暗躍しだす裏切り者の刑事がすさまじい。
ヒロインが主人公にとある刑事が怪しいと助言するのだが、
なぜか主人公は「警察がそんなことするわけないだろ」と
その助言を無視する。

しかも警視総監は、そんな裏切り者の刑事に
あっさりと殺されてしまう(苦笑)
警視総監という立場なら護衛や監視カメラなど、
もっといろいろと警備があるはずだ。
しかし、そんな警備はガバガバ。

あっさりと自殺未遂に見立てられ、それを警察も大して疑わない。
ガス人間を操っていた黒幕も、過去にとある人物をガス人間で殺させた際、
その死体を自殺に見せかけている。
そんな簡単に自殺扱いできるのだろうか?

もう何もかもがガバガバで見ていられない。

それ以上に面白いのが裏切り者の刑事だ。
銃はすぐぶっぱなす。ナイフやらの凶器もどんどん出てくる。
とにかく何でもありだ。
ガス人間よりも面白い人間が出てきてしまい、
ガス人間がすっかりと舞台装置になってしまっている。

小栗旬も無駄に強い。
終盤、ヤクザ相手に一騎当千するさまは
何を見せられているんだろうという感じだ。

未知の怪物を追いかけるサスペンスを見ていたはずなのに、
いつの間にかびっくり人間大集合になっている。

終盤

事件の真相が終盤でいろいろと明らかになり、
様々な伏線が回収されていく。

「なるほど、そういうことか」という
ストーリー的な面白さは確かにある。
素材そのものは決して悪くない。
事件の詳細や黒幕の目的、ガス人間が生まれた理由など、
物語を構成する要素自体には面白さがある。

しかし、終わった後の「面白かった」という感想にはつながらない。
どうにも消化不良な部分が多く、登場人物たちの結末も飲み込みにくいものが多い。
YouTuberを描くより、主人公やヒロインの部下の描写に
もっと尺を割いていれば、ラストあたりの描写も
もう少し飲み込めたかもしれない。

特にがっつり描かれたわけでもないキャラが
ラストあたりで突然出てきても、
思い入れも何もないキャラの「その後」など心底どうでもいい。

竹野内豊さん演ずるキャラクターや、主人公の上司の刑事、
警視総監やヒロインの上司など、
もっと掘り下げて描いてほしかった人間はいくらでもいる。

そんなキャラクターたちを描かずに、
無駄にYouTuberに尺を割く必要があったのだろうか?
いろいろと疑問が残ってしまう作品だ。

総評:ガバガバスカスカ

全体的に脚本を練り込み切れていない印象だ。
素材そのものは決して悪くない。
物語として描きたいこと、事件の詳細や黒幕、
キャラクターや設定、ガス人間という存在。
要素としては面白いものが揃っている。

しかし、それをきちんと見せ切れておらず、
要素同士のつながりがガバガバで、
キャラクター描写はスカスカになってしまっている。

特撮でツッコミどころを説明するのは野暮な話ではある。
そもそもガス人間などの奇天烈な存在が生み出された世界だ。
だが、そういう「ファンタジー」で飲み込めるツッコミどころと、
ストーリー自体のツッコミどころは大きな違いがある。

ガス人間がガスになる。それは飲み込める。
だが、警視総監があっさり殺されて
自殺扱いされるのは別の話だ。

ストーリー自体の細かいツッコミどころがノイズになり、
強引な展開が続いてしまうせいで物語を飲み込めず、
見終わった後に強烈な消化不良感が残る。

つまらない作品なら、ここまで不満も残らない。
1話から3話までに「これは面白くなる」と期待させられたからこそ、
中盤以降のガバガバな展開が余計に目についてしまった。

小栗旬さんや蒼井優さん、竹野内豊さん、
そしてガス人間を演ずる「UTA」さんの存在感や演技は素晴らしい。
映像面のクオリティも高い。逆に言えば、
俳優の演技と映像の力にかなり頼り切ってしまっている作品でもある。

映像は素晴らしい。俳優も素晴らしい。題材も面白い。
なのに、ストーリーと脚本がついていっていない。
本当に、もったいない作品だった。

個人的な感想:ヤクザはもういいって

相変わらずピエール瀧さんが出ているのは笑ってしまうが、
ヤクザはもうおなかいっぱいだ。

Netflixはいつまで日本のドラマといえばヤクザという
印象から抜け出してくれるのだろうか……

何かヤクザを出さないといけない事情でもあるのか?
と思うほどヤクザばかりが出ているネトフリドラマ。

ヒットする作品も多いが、
そろそろヤクザから卒業してほしいところだ……

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