「Cutie Honey Universe」レビュー

評価 ★★☆☆☆(34点) 全12話

あらすじ 如月ハニーは聖チャペル学園に通っている女子高生。だが、その正体は天才科学者・如月博士によって生み出された美少女アンドロイド愛の戦士キューティーハニーである。引用- Wikipedia

これは紛れもないレズビアンな作品である。

本作品は永井豪の漫画作品であるキューティーハニーのアニメ化作品。
キューティーハニーは何度もアニメ化されており、
最新のものだと2004年にガイナックスがOVAでアニメ化している。
監督は横山彰利、制作はプロダクション リード。
ちなみにストーリー構成はご存知、「高橋ナツコ」さんである。

1話冒頭、いきなり濃厚な女性同士のキスで始まる(笑)
永井豪作品らしいオープンなエロスを見せてくれる期待感と、
やや古臭いキャラクターデザインは独特な雰囲気を醸し出しており、
作画の質自体は悪くないのだが所々、演出が古い。

この演出の古さはあえてだろう。
90年台というよりは80年台のアニメの演出を
2018年のアニメのデジタル作画であえて描いており、
古臭いが一周回って逆に新鮮にも感じ、逆に面白い。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

ど定番の一瞬裸になる変身シーンから、ど定番の技名を叫んでからの攻撃、
妙な安心感すら感じる懐かしい演出をグリグリと動かすカメラワークで
キビキビと動かし、ド派手なエフェクトが古臭い演出を古臭いだけで
終わらせていない。走ってるだけでパンチラしたり、
攻撃されて喘ぎ声とともに服が破ける演出など妙な安心感すら感じる(笑)

ただストーリー構成が問題だ。
さすがはシリーズ構成に高橋ナツコさんを起用しただけはある、
なにせ1話から「キューティーハニー」を知ってる前提で描かれる。
パンサークローという悪の組織や、これまでどんな戦いをしてきたか。
そんなのは「知ってて当然でしょ?」と言わんばかりの1話だ。
2話以降で解説されるものの、はっきり言って初見に優しくない。

1話1話の話の密度も薄い。
毎話色々な能力を持つ敵が出てくるのだが、驚くほどあっさり倒されたり、
「意味深な台詞」で次の話への引きにするパターンが多く、
せっかく1つ1つのシーンは悪くないのにテンポが悪いせいで
だらーっと間延びしてしまっている話も多い。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

さらに言えば変身形態による声優の変化。
通常時のハニーとキューティーハニー時のハニーは坂本真綾さんが演じてる、
しかしキューティーハニーは状況に合わせて5つの姿の変化できる。
その姿ごとに何故か声優を変えている。

内田真礼、田村ゆかり、黒沢ともよ、花澤香菜、三森すずこと
びっくりするほど豪華な声優陣ではあるものの、
5つの姿ごとに声優を変える意味があるのか?と疑問に思うほど、
それぞれの姿での活躍のシーンが短い上にセリフ量も少なく、
あまり効果的に作用していない。

ただストーリー、というよりはキャラ描写が面白い。
キューティーハニーはアニメ化のたびに特色違い、
最初のキューティーハニーは永井豪作品色が強く、
新・キューティーハニーはOVAらしいセクシーさが強く、
キューティーハニーFは子供向け、Re:キューティーハニーはGAINAX臭全開と
作られた年代も違えば作風も結構違う。

そして2018年の本作は「レズ」だ(笑)
過去作品では男性キャラとの結婚し、子供を身ごもったくらいだが、
今作では男性キャラの存在感はかなり薄く、脇役に収まっている。
その分、女性キャラの存在感がかなり強く百合な表現もかなり多く、
出てくる女性キャラがほぼ誰かに片思いしてるというカオスな状況だ。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

そんな中で主人公であるキューティーハニーも恋をしてる。
その相手は敵の幹部である「シスタージル」だ。
過去には正体はペットだったり、生体兵器だったりと
作品ごとにかなり設定が変わりやすい敵キャラだ。

そんなシスタージルが今作では変装し偽名を使い捜査官として
ハニーと接触し普通に交流しており、
ハニーにとっての素敵なお姉さまポジションを確立している。
だからこそ話が進めば進むほどハニーのジルに対する思いは募っていく。

中盤以降はもはや「心の支え」みたいなポジションになっており、
シスタージル自身もハニーを愛しており、
こじらせまくった思考でハニーをより「美しく」するために
「ハニー」を美しくするために色々と画策してる。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

ときにはあえて情報を提供し役に立つことでハニーの信頼を得たり、
ときにはハニーの友人たちをすべて抹殺し孤独感を強めようとしたり、
ハニーに執着し、狂った思考で追い詰めて精神的に支配しようとしている。
だからこそ、彼女達の部下が大変である。

彼女達の部下は「傷つけないようにハニーを連れてこい」という
シスタージルの命令に戸惑いつつも従おうとする。
暴走しハニーを傷つけたり、歯向かったりすれば命はない。
シスタージルという幹部が狂ったレズビアンになったからこそ、
「敵の裏切り」という要素も生まれる。

中盤以降は「永井豪」原作らしい展開も待っている。
デビルマンを彷彿とさせるような残酷な描写一歩手前の展開や、
シリアスかつ悲惨な展開も待ち受けており、
この作品でやりたい事や描きたいことが
話が進めば進むほど明確になってくる。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

ただ終盤はやや拍子抜けだ。
変装していたシスタージルの正体が分かる展開も、
「え?今ここで?」と思うようなタイミングであり、
話の展開として自然流れというよりは
「あと1話しかないので正体表しました」みたいな描き方になっている。

最終話の展開にしても、せっかくシリアスな状況が盛り上がり、
この物語を「どう締めるのか」という重要な部分にもかからず、
ふざけてしまう。あまりにもカオスな状況から、
本来見たかったシーンに切り替わってもふざけた余韻が残ってしまっており、
なんだかいまいち消化不良のまま終わってしまった


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

総評

全体的に見て色々と惜しい作品だ。
80年台の演出をあえて2018年のアニメに取り入れ、
キビキビとしカメラワークは見ごたえのある戦闘シーンを生んでおり、
「同性愛」を強調したレズビアンな世界観でのキューティーハニーは
独特の面白さがあり、永井豪作品らしいシリアスな展開もきっちりとある。

しかし、その反面で1話1話のストーリーの密度が薄く、
テンポが悪い回も多いせいで、せっかく要素としては面白く、
キャラクターも魅力的で制作側のやりたいことも伝わるのに、
最終話まで見て素直に「面白かった」と言いづらいもどかしさがある。

最終話があんなふざけた展開にならなければもう少し印象は違っただろう。
1話は初見に優しくない部分はあったものの、2話~11話は面白かった。
しかし最終話でめちゃくちゃかつカオスな展開はいわゆる
「笑える展開」ではなく「投げた展開」にしかすぎず、
残念な印象が強く残ってしまう作品だった。


引用元:©Go Nagai/Dynamic Planning-Project CHU

個人的な感想

個人的には、もうさすが「高橋ナツコ」という感じだ。
やらかす脚本でおなじみの彼女だが、本当に期待を裏切らず
今回もやらかしてくれている。

せっかく同性愛要素を強めたキューティーハニーという面白さがあったのに、
それをきっちり感じさせてくれたのは序盤から中盤くらいまでで、
終盤のまとめ方の下手さや投げっぷりはさすがとしか言いようがない。

余談だがAmazonプライム・ビデオの本作品のレビューで
「キューティーハニー」でお馴染みのあの曲が使われてないから
最悪というレビューがあった(苦笑)
確かに最終話のあのシーンくらいは流しても良かったと思うのだが、
定番の曲を使わないから駄作というのはかなりぶっ飛んだ評価だった。