青春

「A3 SEASON SPRING & SUMMER」レビュー

青春
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評価 ★★★★☆(60点) 全12話

あらすじ 東京郊外の街・天鵞絨(ビロード)町には『ビロードウェイ』と呼ばれる通りがあり、多くの劇団が拠点にし、劇団員の聖地となっている。引用- Wikipedia

大根たちが役者になる物語

原作はソーシャルゲームな本作品。
監督は中園真登、篠原啓輔、製作はP.A.WORKS×Studio 3Hz。

演劇


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 1話
©A3! ANIMATION PROJECT

この作品は「演劇」を題材にした作品だ。世界観がなかなかにカオスであり、
この作品の世界では「ストーリートミュージシャン」ではなく、
「ストーリートアクト」が行われている(笑)
弾き語りではなく町中で演劇を繰り広げており、
自らの演劇を通りすがりの一般人にも見せつけている。

そうかと思えばヤクザのようなやつがショベルカーで建物を壊そうとしている。
メチャクチャな始まりに色々と度肝を抜かれる中で、
丁寧にキャラクターが置かれている状況がわかってくる。

借金にまみれた劇団、歴史を感じる劇場。そんな劇団にはお客さんもいない。
そんな寂れた父の劇団を立て直すために主人公が訪れるという所から物語が
始まる。やや唐突かつツッコミどころがある部分はあるものの、
ストーリー展開としてはベタだ。
そんなベタだからこそ「王道」の面白さを感じさせてくれる予感をさせてくれる。

大根演技


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 1話
©A3! ANIMATION PROJECT

そんな劇団で主人公は新入りの初舞台を目にする。
彼はお世辞にも演技力があるとはいえない、いわゆる大根演技だ(笑)
まるで幼稚園児のお遊戯会を見ているかのような演技を
「プロの声優」さんが演技するという面白さがこの作品にはある。

棒演技な声優さんが棒演技をすれば聞いていられないが、
きちんと演技力のあるプロの声優が棒演技をわざとする面白さがある。
演技力がなうとも楽しそうに、生き生きと演技をする彼に
「演技をする」ということの面白さと彼自身のまっすぐな愛くるしさを感じさせ、
そんな彼の演技に思わず拍手をする主人公にきちんと感情移入できる。

主人公にも役者として努力していた過去もあるものの演技の才能はなく、
そんな自身の才能や役者としての実力を自覚しているからこそ、
失踪した父の代わりに彼女は劇団を立て直す覚悟をする。

わかりやすいストーリー展開と、主人公の魅力、劇団員たちの魅力が
きちんと1話からしっかりと伝わることで、
この作品の世界観にきっちりと引き込まれる。
廃れた劇団になんとか劇団員が集まり、
借金を返し1つの劇団として立て直していく。1話でストーリーの方向性も見える。

大根


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 3話
©A3! ANIMATION PROJECT

借金返済を待ってもらえるための条件は厳しいものの、
その条件があるからこそ彼らは必死に劇団を盛り上げようとする。
それぞれが演劇に掛ける思い、劇団に掛ける思い、主人公に掛ける思いがある。
一人を除き(笑)

だが、彼らはまだまだ演劇素人だ。
大根と言われてしまい、ストリートアクトでは笑われるほど演技力がない。
しかし、主人公は彼らを暖かくは見守りつつも彼らの演技力や正確を把握し、
特徴をのばし、彼らを信じ、彼らの背中を押す。

寄せ集められた彼らも決して仲良くはない。
ぶつかり合い、せめぎ合いながら互いを理解し、それが成長につながる。
ときには先輩に厳しい言葉を言われ、自分を見つめ直し、
舞台をより良いものに仕上げようと努力する。

「もっともっと芝居がうまくなりたい」

彼らのまっすぐな叫びが見ている側に彼らに対する愛着を湧かせ、
彼らの成長を主人公と同じように見守りたくなる。
この作品はすごく真面目だ。

真面目すぎると言ってもいいくらいストーリーが実直に進み、
ひとりひとりのキャラにきちんとスポットを当てながら
成長物語が描かれ、キャラを掘り下げつつ、演劇という主軸を描いている。
やや「お遊び」が逆に足りないと思う部分はあるものの、
時折混ざるギャグや即興演技がクスクスとした笑いにつながっている。

作画


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 5話
©A3! ANIMATION PROJECT

ただ、残念なのは作画だ。3話あたりから露骨に作画が崩れだしてしまう。
昨今の社会情勢的に色々と延期になる作品も多く、この作品も本来は
2020年の冬アニメだったが、4話から延期されて春アニメになった作品だ。

色々と仕方ない部分もあったのかもしれないが会話をしているシーンが多く、
キャラクターが動いていないシーンが多いだけに余計にキャラの顔が
露骨に崩れかけたり、違和感のある作画になってしまうのはもったいない。
「PAWORKS」という製作会社から期待できる作画の良さが
感じられないのは残念でならない。

このあたりは社会情勢的に致し方ない部分はあるものの、
せっかくストーリーが真っ直ぐに作られているだけに
悪目立ちしてしまうのは残念だ。

演技


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 4話
©A3! ANIMATION PROJECT

この作品の面白いところはキャラクターの演技を声優さんが演じている所だ。
演技の経験がろくにない彼らの「大根」な演技をプロの声優さんが
わざと下手に演じることで「大根」っぷりをしっかりと感じさせる。
それだけでなく、人から指摘されて演技のやり方が変わるという
繊細な演技の変化もきちんと声優さんたちが演じている。

だからこそきちんと成長が見える。
2話では通行人に笑われていた彼らの「ストリートアクト」が
5話では人の注目を集めるまでになっている。
きちんと「成長」し、その変化が見える。

その成長が見てる側にも納得ができるストーリーがきちんと有り、
その変化を「声優の演技」によって後押ししている。
だからこそ、その成長が見てる側にまっすぐに伝わる。

公演


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 6話
©A3! ANIMATION PROJECT

公演はしっかりと描かれる。キャラクターが時折話を解説しながら、
それぞれの思いを抱えて舞台に挑んでいる。
6話まで積み重ねてきたキャラクター像、演技力が舞台の上で花開く。
悩んだ部分、あがいた部分がきちんと劇の中で彼らの演技につながっている。
何度も練習し、何日も努力したからこその舞台だ。

それぞれが積み重ねてきたものが舞台で形になる。
「アイドルアニメ」の「ライブ」のように派手な動きや歌があるわけではない。
しかし、染み渡るように彼らの演技に魅入ってしまう。

彼らの努力、彼らのキャラクター、彼らの成長がきちんと描かれたからこそ、
見ている側の感情移入が強くなり、熱が入る。
キャラがアドリブをした瞬間に感動してしまうのはこの作品くらいだろう。

彼らのカーテンコールには思わず涙腺を刺激される。
必死にやってきたからこその成果だ。汗だくになり、5人揃って頭を下げる。
そんな姿に見てるこちらも拍手をシたくなるような感覚だ。
アイドルアニメのライブではない、演劇アニメの舞台だからこその拍手を
思わず画面の前で贈りたくなる。

夏組


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 7話
©A3! ANIMATION PROJECT

7話で物語の主軸が春組から夏組に切り替わる。
借金を待ってもらう条件として以前の劇団と同じように
春、夏、秋、冬の4つの組を作るように言われており、
大きな劇場を維持するためにも多くの役者が必要だ。

春組でようやく軌道にのり、先が見えてきた中で夏組を募集する。
劇団に関わっていたもの、スカウトしたもの、応募してきたもの。
春組がいたからこそ新しいキャラクターが応募してくる。
春組のキャラクターが集まってくる流れはやや強引な展開は合ったものの、
夏組は自然な展開だ。

春組に負けない癖の強いキャラクターとしょっぱなから喧嘩してる様が
むしろ微笑ましく見える。
春組よりも前途多難そうな彼らがどうまとまり、どう成長し、
どんな物語とどんな舞台を作り上げるのか。
春組の成長と舞台を見たからこそ、夏組にも期待してしまう。

先輩と。


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 8話
©A3! ANIMATION PROJECT

夏組は演技ができるキャラクターが多い。
しかし、そんな中でも悩みぶつかり合うことがある。
そんな悩んでる夏組のキャラに春組のキャラが先輩としてアドバイスを送る。

経験をし、舞台に立ち、成長した彼らだからこその
言葉は夏組のメンバーの背中を押す。
春組から夏組に物語の主軸は入れ替わるものの、春組のキャラもきちんと
夏組に関わることで物語に厚みが生まれている。

春組が素人が多く演技力の向上が物語の主軸でも合ったが、
夏組は演技力はあるものの逆に問題児ばかりだ。
春組以上にぶつかりあううことが多く、口喧嘩をする。
思ったことをそのまま告げてしまい、相手を傷つける。
そんなまっすぐな彼らのぶつかり合いを繰り返す中で夏組の関係性が生まれてくる

友達


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 9話
©A3! ANIMATION PROJECT

不器用な夏組の彼らは癖がありすぎる。そんな癖があるからこそ
互いを理解するのがなかなか難しく、反発しあってしまう。
何度も何度もぶつかり合う中で相互理解が生まれ、徐々に仲良くなっていく。
重いシリアスになってもおかしくないところを、ギスギスするシーン合っても
重くなりすぎることがないのがこの作品のいい所だ。

口喧嘩をしぶつかりあっても一晩経てば自分の過ちを見つめ直す。
彼らは若くはあるものの、決して子供ではない。
高校生や20歳に近いキャラクターだからこそ、
彼らは大人の考えできちんと謝ることができる。
シリアスを引き伸ばしすぎず、すっきりとした展開が微笑ましい。

春組が家族だとすれば、夏組は友達だ。雰囲気やストーリーがきちんと違い、
流れ自体は春組と同様に王道ではあるものの、
春組と動揺に6話構成だからこそ変に引延なさないストーリー展開を楽しめる。

嫌われたくないから本音を言えない、
しかし、本音を言わないと深いつながりは生まれない。
不器用な彼らが「友情」を培うストーリーを微笑ましく見守れる。
癖があるキャラクターは多いものの、不快なキャラクターは居ない。
だからこそ彼らの成長と変化を素直に楽しめる。

舞台は完璧にはできないが最高のものにはできる


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 11話
©A3! ANIMATION PROJECT

終盤で夏組で1番演技力のあるはずの「皇 天馬」に問題が生じる。
彼は天才子役あがりの有名な俳優だ。映画やドラマに引っ張りだこだ。
しかし、彼は舞台だけはやらなかった。

子供の頃のトラウマがあり「舞台」という取り直しのきかないものに怯えていた。
完璧な自分を見せることが出来ない、完璧な演技をすることが出来ない自分。
自らの演技に自身があるからこそ失敗の効かない「舞台」というものが
彼にとってある種のトラウマだ。

他のメンバーに演技指導できるほどの演技力のあるはずの彼が
人前での演技になると途端にズタボロになってしまう。
舞台に立つのが怖い。落ち込む彼に主人公がそっと言葉をかける。
舞台では完璧なものを作る必要はない、しかし何度でも最高の舞台を作れる。

彼自身も夏組のメンバーも主人公も彼の「弱さ」を受け入れる。
完璧じゃなくても良い、1度限りの最高のものを見せよう。
そんな彼らの友情が話の中でしっかりと作られ、彼の支えになる。
春組とは違う、友情と青春模様をまっすぐに見せてくれる。

コメディ


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 11話
©A3! ANIMATION PROJECT

仲がいいからこその悪口、友達だからこその悪口が
彼の緊張を取り除く。夏組の舞台はコメディだ。
テンポよく繰り広げられるセリフの応酬、だからこそ台詞が飛んではいけない。
例えセリフがとんでも他のキャラがアドリブでフォローする。
楽しそうに演技する彼らに自然と見てる側も笑顔になる。

互いが互いをフォローし支え合う。夏組だからこその友情できた
完璧じゃない、だけど最高の舞台を見せてくれる。
支え合う彼らの姿に思わず涙腺を刺激される。
一人ひとりの成長と変化が最終話で形になる。最後の舞台だ。

そして物語は秋組へとつながる。

総評:show must go on


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 12話
©A3! ANIMATION PROJECT

全体的に見て非常に丁寧に作られた作品だ。
社会情勢的に作画の厳しさはややあるものの、きちんと魅せるこ所は見せており
1話のやや強引な導入や唐突な展開など細かいツッコミどころもあるものの、
きちんと丁寧に「演劇」を主軸にした王道ストーリーを見せてくれる。

大根役者だった彼らが立派な舞台役者に、
癖がありぶつ受かり合っていた彼らが最高の舞台を見せてくれる。
一人ひとりにスポットを当てつつ、ひとりひとりの成長と変化を描き、
丁寧に積み重ねながら、それぞれの舞台を見せてくれる。
だからこそ彼らの本番で、舞台で感動できる。

1話1話丁寧に積み重ねて変化を描いてきたからこそ、
その成果である本番の舞台に感動できてしまう。
アイドルアニメのような派手なライブシーンがあるわけじゃない、
だが、一人ひとりの成長を感じられる演技と晴れ姿に思わず涙腺を刺激される。

各組6話構成のためやや尺不足を感じる部分はややあり、
国から逃げてきたというキャラがなぜ国から逃げてきたのかわからないなど、
過去がしっかりと描かれていないキャラも居るのは気になる部分ではあるものの、
限られた尺の中で各キャラを掘り下げ各組のストーリーをよくまとめている。

気になる部分はあるものの、そんな気になる部分がどうでもよくなるほど
まっすぐなストーリーとキャラクターの成長と変化を感じられる作品だ。
アイドルアニメのような華やかさはない、だが、アイドルアニメとは違う
演劇アニメの面白さが詰まっている作品だった。

2期の秋組と冬組がどんなストーリーを見せてくれるのか楽しみだ。

個人的な感想:うるうる


画像引用元:A3 SEASON SPRING & SUMMER 12話
©A3! ANIMATION PROJECT

三角が好きすぎるキャラなどちょっと癖のあるキャラクターはいるものの、
嫌味なキャラはおらず、見ているうちに主人公と同じように
彼らの成長と変化を見守ってしまう作品だった。

主人公の異様なまでのカレー好きは意味不明ではあるものの(笑)、
話が進めば進むほど、積み重なり厚みが生まれる。
まるでカレーのように煮込めば煮込むほど面白さが深まる作品だった。

2期も楽しみだ。

「」は面白い?つまらない?

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