「神様になった日」レビュー

青春
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評価 ★☆☆☆☆(19点) 全12話

あらすじ 大学受験を控えた高校生成神陽太の前に全知の神を名乗る少女があらわれ、「30日後に世界は終わる」と予言する。引用- Wikipedia

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動かざること山の如し、いざ動いたら土砂崩れ

本作品はPA.WORKSによるTVアニメオリジナル作品。
監督は浅井義之、脚本は『Angel Beats!』『Charlotte』でおなじみの麻枝准。

なお個人的に麻枝准氏の脚本とは相性が非常に悪く、
本来はこの作品も触れずにおこうと思ったのですが、
世間的な評判がいつも以上に悪く、褒める意見がほぼなかったため
気になって見てしまったのでレビューします。

今回はいつも以上に、偏見、
個人的主観が強いレビューであることをふまえて
ご覧いただければと思います。

なお、この作品のキャッチフレーズは
『神を殺して世界を守るか、世界を狂わせてまで神を生かすか』
見終わった後だとこのキャッチフレーズは何だったのかと
言わざる得ない。

我は全治の神である


画像引用元:神様になった日 1話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

1話、唐突に主人公の目の前に「全治の神」が現れる。
アニメ史上、まれに見る唐突さだ。

ヒロインが主人公の目の前に突然現れるというのはアニメあるあるだ。
あるものは空から降ってきて、あるものは曲がり角でぶつかって、
「唐突な出会い」は運命めいた何かとともに起る事が多い。
だが、この作品の場合は本当にただ何の前触れもなく
目の前にあらわれるだけだ。

「運命めいた何か」は一切なく、あまりの唐突なヒロインの現れっぷりと
主人公の反応にはやや違和感を感じる部分があり、
自然なストーリーの始まりとは言えない。

ヒロインはボケまくりであり、自らを神と名乗ったかと思えば
「30日後に世界が終わる」と予言し、
主人公の名前が「成神 陽太」であることをしると、
ナチュラルに神な主人公の名前にだだをこねる。

ギャグとしてやっているのはわかるものの、
この「ノリ」についていけないと感じてしまう。
ヒロインの怒涛の台詞、一人でボケて、そのボケに付き合ってくれない
主人公に怒り、結局は一人で自分に突っ込んでいる。

ボケもツッコミも全て1~100まで説明しているのような感じであり、
常にボケている。そこらのギャグアニメよりボケが続く中で、
ヒロインは何度も何度もしつこく主人公に告げる
「30日後に世界が終わる」と。

彼女は本当に神様なのか?予言は正しいのか?
ときおり予知を当てることもあったり、
主人公やそんな主人公の想い人の名前に神の名前が含まれていたり。
1話の段階で見ている側に「考察」させる要素が多い。

未来予知という名のタイムループ説だったり、本当の神様説だったり。
色々と考察できる部分があり、先が気になる部分があるのは確かだ。

ギャグ満載


画像引用元:神様になった日 5話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

2話以降もノリは変わらない。
怒涛のギャグを入れながら、少しずつキャラを追加しつつ、
主人公とヒロインの日常が描かれている。

しかし、気になるのが尺の使い方だ。
この作品は毎話の最後に「世界の終わりまで」の日数が表示される。
1話は残り30日、2話は残り24日、3話では残り17日。
1話で1週間ほどずつ進んだかとおもえば、4話は13日だ。

法則性があるんだか無いんだかわからないものの、
日付が進んでいる割には内容はギャグばかりだ。
自主制作映画を作ったり、ラーメンを作ったり、麻雀をしたり。

何かが起こりそうな伏線めいたシーンはあるものの、何もおこらず、
日付だけがただただ進んでいく。
何かが起こりそうな期待感と、
なかなか何も起きない焦燥感にやきもきさせられる。

伏線めいたシーンの伏線になにか意味があるのか?
こんなにギャグを盛りだくさんにやっていて尺は大丈夫なのか?
見ているこちら側が「ストーリー構成」と「尺」を
心配してしまうほどの盛り沢山すぎるギャグにやや胸焼けしてしまう。

例えば2話の映画界はひたすら有名な映画のパロディだ。
アルマゲドンやロッキーやシザーハンズなど
有名ではあるものの微妙に古い映画のパロディは
分かる人とわからない人で笑えるかどうか
はっきりと分かれそうだ。

笑える笑えないは個人の好みではあるものの、
それを差し引いてもギャグを入れ過ぎだ。
ギャグシーンを抜いたら序盤の4話くらいまでの話は1話くらいで
できるんじゃないか?と思うほどギャグを入れまくっている。
これで2クールの作品なら尺の心配をしないが、この作品は1クールだ。

このギャグ回ともいえる序盤の話のギャグが何か
地球の終わりに結びついているのか?と邪推してしまう。
「世界が終わる」という予知とギャグまみれの日常、
笑いとその裏に隠れているシリアスを匂わせることで、
日常のストーリーの先にある「何か」を気にならせている。

その「何か」が視聴者の予想を超える何かであれば、
この作品は名作になったかもしれない。

動かざること山の如し


画像引用元:神様になった日 3話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

5話は主人公の想い人である幼馴染の回だ。
単発の回としてみればこの回のエピソードは決して悪くはなく、
人によっては涙腺を刺激されてしまう家族の物語になっている。
だが、本筋には一切関係ない。

ヒロインであるヒナは一応、1話から主人公の恋を応援している。
幼馴染である彼女と主人公の一方通行な恋愛、
告白しても振られ、振られて告白するチャンスが来ても告白しなかったり。
その部分だけ見れば青春ラブコメのような面白さがある。

しかし、この作品で見ている側が描いてほしい、
見たいと思ってる部分はそこではない。
神様を自称するヒナは一体なにものなのか、世界の終わりが近づく中で
世界の終わりはどう起るのか、思わせぶりな伏線やキャラが多い中で
そこを中々見せてもらえず、幼馴染の家族の話やお祭りを楽しんでたりする。

ゆるやかな日常とギャグとキャラの掘り下げばかりをやっており、
本当に話が進まない。
キャラクターもそこそこ多いものの、そのキャラクターが
本筋の話で果たして必要になるのかすらもよく分からずに、
深く掘り下げられるわけでもないキャラがかなりいる。

いつになったら伏線を回収するのか、
いつになったら世界が終わるのか、
いつになったら秘密が明かされるのか。
引っ張られれば引っ張られるほど「核心部分」へのハードルが上がり、
やきもきしてしまう。

ようやく、本当にようやく8話で話が動き出す。

ハードルの下


画像引用元:神様になった日 8話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

1話の主人公とヒロインの出会いも唐突だったが
8話のネタバラシも唐突だ。
「ヒナ」の父の元へあっさりと行き、彼女の出生が語られる。
彼らが知っている「7歳まで」のヒナの話。

あれだけ引っ張っておきながら
あっさりとネタばらしする拍子抜けも凄まじく、
ネタばらしされた内容もハードルの下をくぐり抜けてしまう。

彼女は難病だった。生きている時間が長くなればなるほど
脳は萎縮し、筋力が低下していく。
父にとっての彼女は「歩く」ことも「しゃべる」こともできない存在だ。
しかし、彼女は歩き、しゃべることができる。
本当に神様にでもなったかのような奇跡が起きている。

そんな彼女が予言する「世界の終わり」とは何を意味するのか。
ようやく話が動いたことに安堵しつつも、
やや拍子抜けするネタバラシだ。

世界は終わらないし、なんかお前の事好きだ


画像引用元:神様になった日 9話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

結局、「世界」は終わらない。
ヒロインであるヒナの目線では終わるものの、
作品の世界自体が終わるわけではない。
彼女にとっての世界、病気である彼女を病気ではない状態にしている装置、
それが奪われてしまえば彼女の世界が終わる。

話の流れ自体は分るものの、それが面白さにはなっていない。
散々引っ張って、散々ハードルを上げて、
色々な「可能性」という名の伏線を匂わせておいた割には
明かされる事実がそれに見合っていない。
広げた風呂敷の割にはこじんまりとしてしまっている

特にギャグ回の内容が重要な伏線になっているわけでもない、
キャラクターたちの名前に神をモチーフにしたものが多いのも意味はない、
主人公の友人や弁護士や幼馴染やラーメン屋のお姉さんも特に意味はない。
物語の結末に行くにつれて色々な要素が削れていく。

9話では意味不明な告白を主人公がする。
私の勘違いでなければ彼は1話から7話あたりまで
幼馴染が好きだったはずだ。明らかに好意を向けていて
告白したりできなかったりという青春ラブコメを展開していた。
そんな彼の姿を見て「ヒナ」自身は嫉妬のような反応を見せていたが、
主人公はヒナに対してそんな視線や反応はほぼしていない。

だが、何故か9話で彼は彼女に告白する。驚くほど唐突だ。
一体いつ、どこらへんで彼女に対して恋愛感情が生まれたのか。
1話で突然、主人公の目の前にヒロインが現れたように
突然、告白する主人公にまるでついていけない。

音楽で最大限に告白シーンを盛り上げようとしているが、
見ているこっちは口が空いたまま塞がらなくなるほど
状況についていけない。

量子コンピューター


画像引用元:神様になった日 10話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

ヒロインであるヒナに埋め込まれているのは「量子コンピューター」だ。
あまりにもふわっとした設定ではあるものの、
すごいコンピューターが冷却装置もなく小型化されている。
色々と突っ込みたくなるものの突っ込んではいけない。

そこまで深くは設定されていない。
なんか予測とかがすごいできる小型コンピューターくらいの認識だ。
それが脳の萎縮や筋肉の硬直をどう防いでいるのかなどと
考えてはいけない。

ヒナが謎の組織に攫われ、主人公は空虚な日々を送る。
何日も何ヶ月も、特に行動はしない。
自分から探したり会いに行くのではなく、
「会いに行く?」と言われて会いに行く。
物語の盛り上がり方があまりにも薄い。

いざ病院でヒナと会う際も、見てる側の主人公へのストレスが半端ない。
彼は病院で「静かに」「驚かさないように叫ぶな」と言われているのに
大声で何度も叫ぶ。1回なら許せる、会いたかった想い人に
会えたのだから気持ちはわかる。だが二度目はありえない。
黙れと言いたくなってしまう主人公だ。

終盤は主人公の一挙一動にイライラさせられ、
感情移入どころではない。

設定どこいった?


画像引用元:神様になった日 11話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

ヒロインであるヒナは脳が萎縮し筋肉が硬直していく
という病気だったはずだ。
その病気に対して彼女の祖父は「量子コンピューター」という
とんでもないものを彼女の頭に埋め込むことで奇跡が起きた。

そんな奇跡の象徴である「量子コンピューター」を取り除いたのに、
彼女の病気はまるで徐々に良くなっているかのような素振りを見せる。
拙いながらも言葉を出せたり、少しは動けたり。
一体どういう状況で、病気はどうなったのかがいまいちわからない。
未知の病気と言えば何でもありなのだろうか。

そんな「介護」が必要で主人公のことを忘れているヒロインに対し、
主人公はもうわがままMAXだ。
嫌がってそっぽを向いてるヒロインの顔を無理やり自分に向けさせたり
介護施設に居る彼女が幸せでないと決めつけたり、
ゲームをやらせて指示を出しまくったり。

見ている側としては放っておいてやれと思うほど
主人公の行動にイライラさせられる。
トイレにも食事にも「介護」が必要だ、
誰かがつきっきりでやらなければならない。
介護施設に居たほうがいいのでは?とすら見てる側は思ってしまう。

時間がない中で焦る主人公の焦りっぷりに
見ている側のストレスもマックスだ。

はいはい、奇跡奇跡


画像引用元:神様になった日 12話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

量子コンピューターを取り除かれ、記憶もなくなっていたはずだが
最終話では奇跡が起きて記憶が蘇り、
危ういながらも歩けるほどになっている。
彼女の病気はどういう状況なのか本当によくわからない。

そんなよくわからない奇跡を見せられつつ、
謎の組織は謎のままで終わり、ハッカーの少年はどこへやら、
序盤から8話までさんざん出てきていた
キャラクターたちの活躍はほぼ無い。

主人公だけは奇跡的なこの状況に号泣しているものの、
彼に対してはストレスしか感じていないため
彼が泣こうがこちらの感情は1mmも揺り動かされず、
なんか感動的なラストについていけずに終わってしまう。

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総評:まるでギャルゲー業界の衰退を見てるかのようだ…


画像引用元:神様になった日 12話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

全体的に見てこの作品は結果から設定を考えている。
逆算的に話が作られていると言ってもいいかもしれない。
まず前提として「主人公が何も出来ないヒロインを介護する」という
エンディングにつなげるにはどうすればいいか。
そこから物語や設定が作られているのだろう。

感動的な結末から物語を逆算的に作っており、
「可哀想なヒロイン」になるまでの過程をその後に作っている。
ゲームで言えば「エンディング」を作った後に、
そこに至るまでのルートにイベントを置いていく。

それゆえに物語に最低限必要なキャラクターは
主人公とヒロインだけで他のキャラクターは後付に過ぎない。
だからこそ意味ありげなキャラや設定が序盤に見えるものの、
終盤にはそれがまったくもって意味がないものになっている。

物語をまっすぐ積み重ねるのではなく、
ピラミッドを逆から見ているような作品だ。
話が進めば進むほど世界観が狭まってしまう。

麻枝准氏が手掛けるTVアニメはよく
「1クールじゃ足りない」と言われる。
それほどキャラや設定を盛り込みがちで、
色々な選択肢とルートが見えるような作品が多い。

しかし、この作品は逆に1クールもいらない。
むしろ90分くらいの映画だったら余計な設定やキャラがなく、
スッキリとこの作品が見せたかったものが見せられたのでは?
と思う部分が強く、1クールのTVアニメにするための肉付けが
結果的にじゃまになってしまってるように感じる。

もう少しシンプルに、短い尺でぎゅっとまとめられたら
感動できた作品かもしれない。そういう可能性は感じるだけに
いろいろな意味で「残念だな」と思ってしまう作品だった。

個人的な感想:麻枝准氏に花束を


画像引用元:神様になった日 11話より
©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

麻枝准氏はこういったゲーム的な脚本作りをするのが得意な人だ。
私はそんな彼の「選択肢」が見える脚本がいまいち好きになれなかったが、
この作品はそんな選択肢すら無い。

複数のエンディングがなく、一本道。そしてイベントが少なく、
攻略できそうなヒロインすら攻略できない。
斬新な設定というわけでも強烈に感情が揺さぶられるわけでもない、
キャラデザとスチールと声優さんはいいもののストーリーと
ボリュームがいまいち。

何か新しいことをしようにも出来ず、昔とった杵柄を焼き直するだけ。
そして平成という時代に取り残されてしまう。
この作品を見ているとそんなアダルトゲーム、
ギャルゲーム界隈の衰退を見るかのようだ。

おそらくはアルジャーノンに花束を的な作品をやりたかったのはわかるが、
それがストレートに伝わらず、結果的に何か抽象的すぎるものに
仕上がってしまっている作品だ。
今後、TVアニメで麻枝准氏の脚本作品を見れるかどうかわからないが
2クールか映画作品のほうが合っているのかもしれない。

「」おもしろい?つまらない?

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