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「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」レビュー

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評価 ★★☆☆☆(37点) 全12話

あらすじ 前世で過労死したOL相沢梓は、不老不死の魔女アズサ・アイザワとなって異世界に転生した引用- Wikipedia

ジェネリックきらら

原作は小説家になろうで連載中の作品。
監督は木村延景、制作はREVOROOT

スローライフ

この作品の冒頭は分かりやすい始まりだ。
もはや「なろう」作品なら当たり前な死からの転生、
神によって「不老不死」となり異世界に主人公、
社畜だった前世とはちがいスローライフを目指す。

家を手に入れ、スライムを倒し、戦利品をギルドに売り、
薬草を採取して薬を作る。すこしだけ働き、のんびり生きる。
異世界の世界観を主人公を通して見せ、
そこから一気に「300年」という月日を経過させる(笑)

どんだけスローライフを楽しんだんだと思うほどだが、
300年という月日の経過をあまり感じさせない。
主人公が不老不死ということもあるが、外見も変化せず、
周囲の彼女に対する反応が変わるくらいだ。
近場の村で色々としていたはずなのだが、深い交流はなかったようだ。

唯一の変化が彼女のレベルだ。
スライムを倒し続けた結果、「レベル99」になっている。
スライムだけ倒してレベル99にする、
どこぞのしばりプレイのようなものを300年続けた結果、
チートな感じの強さを手に入れている。

転生した時点でチートで最強能力を手に入れる作品はあるが、
この作品は「最強」になるまでの過程をしっかりと描きつつ、
同時にそれを彼女は拒否している。
彼女が目指すのはあくまでスローライフだ。
そんなスローライフに99なんてレベルは必要がない。

似たような設定は多くあるものの、
この作品は基本的に「ギャグ」として作られており、
軽いノリで話が展開し、チートな能力に惹かれてやってくる異世界の来訪者と
それを拒否する主人公というボケとツッコミが成り立っている。
彼女は英雄視されることも救世主扱いされることも望んでいない。

それなのに冒険者パーティーが勝負を仕掛けてきたり、
ドラゴンが最強の座を求めて戦いを仕掛けてきたりするものの、
一瞬で主人公はやっつける。
チートな強さを「ギャグ」として見せることで不快感がなく、
サクサクとした面白さを1話からしっかりと醸し出している。

家族

話が進めば進むほどキャラクターが増えてくる。
ドラゴンの少女やスライムの精霊の双子、エルフ、幽霊、魔族など
様々な理由で主人公の元を訪れ、時には主人公を勝負を仕掛け、
時には守り、彼女の家族になる。

300年一人で暮らしていた彼女の生活がどんどんとにぎやかになる。
このホッコリ感やスローライフ感、
可愛い女性キャラ同士の百合とまではいかないまでの、その一歩手前な
キャッキャウフフ感はこの作品の面白さであることは分るものの、
似たような展開で序盤はキャラを増やすことでは話を作っている感が強い。

ストレスになるような展開や不快感のある描写はないものの、
そういった要素を極力排除しているからこそ展開の面白さや
強烈に印章に残るシーンもなく、淡々とストーリーが進んでいく感じだ。
ストーリーの面白さをキャラクターの可愛さや
彼女たちの家族感で補足しており、それ以上でもそれ以下でもない。

魔法を使った戦闘シーンもあるものの、別に殺し合いをするわけではなく、
そこに面白さがある作品でもなく、すでにレベル99まで
レベルが上っている主人公の成長が描かれるわけでもない。
あくまでも可愛い女性キャラ同士の異世界スローライフを楽しむ作品だ

似たような展開を繰り返しつつ、キャラが増えている序盤は
あきやすい部分も多く、ギャグに関しても好みが分かれるところだ。
序盤はキャラの掘り下げも甘く、サクサクとしたストーリー展開のせいで
ワチャワチャ感も薄い。

そもそも論として転生して「300年」という月日が
経ったような感じが主人公にまるで見えない。
まるで転生して1年もたたないような精神状態や言葉遣いであり、
本来はそこにもう少し意味合いや何かしらの話が生まれても
おかしくない部分なのだが、あくまでスライムを300年倒し続けたら
最強になってましたという最強にするための理由付けでしか無い。

300年の間に起こった出来事、出会った人々、
その中での話が無く、あとは300年後に出会った人達との物語でしか無い。
その理由付けがタイトルにもなっているが、それが弱い。
あくまでタイトルにインパクトを出すためだけの300年になってしまっている

ワチャワチャ

しかし、キャラクターが増えるほど「ワチャワチャ」感がましていき、
一人ひとりのキャラの掘り下げが徐々に行われるほど
この作品自体が盛り上がってくる。

ただ、序盤から中盤までほぼ毎話のように新キャラが出てきて、
キャラクターを出すことで話を作る。
いわゆるギャグ漫画的なストーリーの作り方をしており、
7人のメインキャラに更にサブキャラも、
新キャラを出さなきゃ話を作れないのかと思うほどどんどん出てくる。

メインキャラが7人揃うことでワチャワチャ感は生まれるものの、
話を作るために更にキャラを出すため、
ごちゃごちゃした感じまで出てしまっており、
中盤からはいわゆる話の当たり外れも出てきている。
笑える話は笑えるが、笑えない話は笑えない。

本質

キャラが増えると百合要素やワチャワチャ感が
強まるため、序盤の似たような展開の繰り返しな感じがなくなり、
この作品で描きたいことや面白さが見えてくる。
メインキャラが揃ってからがこの作品の本番だ。

主人公が元社畜だからこそ、何かに縛られることや
働きすぎることを彼女は誰かに求めない。
彼女は前世とちがい、今自由に生きている。
だからこそ彼女は家族にも「自由」で居てほしいと願う。
掟やしがらみ、生まれにこだわらずに自由に生きることこそ
彼女にとっては最大の幸福であり優先事項だ。

彼女の強さだけでなく、彼女のその自由を求める心が
家族の心をも救っている。一人で300年生きてきた孤独感、
そういったものは描かれていないのが残念なところではあるが、
前世でも異世界でも長い間、一人で暮らしていた彼女が
成り行きとは言え色々な女の子と一緒に暮らし、「家族」に
なっていく物語と言えるかもしれない。

きらら系のような可愛い女の子のキャッキャウフフな感じから、
終盤にかけて絵本や童話で描かれるような優しい世界観が描かれている。
それゆえに強烈な面白さや個性はないものの、
この優しい世界と可愛いキャラの居る作品だった。

総評:きらら系なろうアニメ

全体的に見て、序盤から中盤までのキャラが出揃うまでの
ワンパターンさや「300年」という設定を活かしきれていない部分は
気になるものの、中盤からキャラが出揃ったことによるワチャワチャ感と
「家族」を強調した作品の雰囲気は悪くはなく、
まるで「きらら系アニメ」のような可愛い女の子たちの異世界日常を
楽しめる作品だ。

ただ、よくも悪くもそれ以上でもそれ以下でもない。
主人公の成長があるわけでもなく、大きな変化と呼べるものもほとんどない。
あくまでも日常系であり、そこにどんどんキャラを増やすことで
話を作り上げており、キャラの多さや話の当たり外れは気になるところだ。

5,6年前の「きらら系アニメ」全盛期にこの作品があれば
色々な人がこの作品に触れたかもしれないが、
やや「きらら系アニメ」のブームも終わった2021年に放映された事もあって
「ジェネリック感」のある作品だった。

個人的な感想:ところどころ感じるシャフトの匂い

この作品を見てるとたまに「ん?」と思わず引っかかってしまうほど
シャフトっぽい演出がたまに見られた。特に7話はそれが顕著だったのだが
7話のスタッフを調べてみると演出に「小俣真一」さんが参加されており、
思わず納得してしまった。
(小俣真一さんはひだまりスケッチ×☆☆☆や荒川アンダーザブリッジの
 制作スタッフの一人)

原作はまだ続いているようでストックもある。
もしかしたら2期があるかもしれないが、ある程度、
キャラの出揃った状態で始まる2期のほうが楽しめる作品になるかもしれない

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. resin K. より:

    動画:サムネイル酷評・中身で持ち上げ
    記事:評点酷評
    ということで… 

  2. 匿名 より:

    全然つまんない。これに限らず異世界系は基本チート無双ばかりでなんの面白味もないというのが俺の感想。2点。最近のアニメは面白いと言わしめるものがない。