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四月は君の嘘」

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評価/★★★★★(83点)

四月は君の嘘 評価

全22話
監督/イシグロキョウヘイ

あらすじ

かつて国内外の数々のピアノコンクールで優勝し、指導者であった母から厳しい指導を受けて「ヒューマンメトロノーム」とも呼ばれた神童有馬公生は、母の死のきっかけに、ピアノの音が聞こえなくなってしまう。

これぞノイタミナの集大成!
これぞドラマチックアニメーションっ!

原作は月刊少年マガジンで連載していた漫画作品。
監督はイシグロキョウヘイ、制作はA-1 Pictures

見出して感じるのは驚くほど美麗な作画だ
桜舞う中、金髪の女子中学生が猫を追いかける。
何気ない普通のシーンを繊細に描き込まれた作画で描くことで
たった1分足らずの冒頭で一気にこの作品の世界観に引きこまれる
そして演奏シーンへ移り変わる。

アニメにおいて「曲を演奏する」というシーンはあまり多くはない。
特に最近のアニメの場合はどちらかといえば「アイドル」だったり
「バンド」だったりの描写が多く、音楽アニメでもなければ演奏するシーンは少ない
奇しくも同じ「ノイタミナ」で放送されたアニメではそういうシーンが多く、
「のだめカンタービレ」や「坂道のアポロン」など
印象的な演奏シーンを覚えている方も多いだろう。

ある意味、この作品は「ノイタミナ」の集大成のような作品だ
「実写ドラマ」でもやれるような内容をあえてアニメにする
本来アニメを見ない視聴者に受けるような内容を放映するのが本来のノイタミナだ
だからこそ「妥協」が許されない

実写と同じように崩れない作画、アニメ的ではない描写、
テンポの良いストーリー展開、分かりやすい王道的ストーリー展開。
実写でやってもいいような内容を「アニメ」に落としこむ
これは単純なように見えて難しい。
実写的に作りつつも、アニメとしての面白さを追求する
私は「ノイタミナ」のそこが好きであり、それがノイタミナらしさだと感じている

そして、この作品の演奏シーンは
「実写的なアニメーション」というノイタミナの集大成のようなシーンだ
実写ではできない動きを「アニメ」という空想で補う
実写では非現実的すぎる表現を「アニメ」で描くことで
幻想的な雰囲気を強く感じさせる。

単純にピアニカを弾いているシーンだ。
公園の遊具の上でノリノリで「素足」でピアニカを引く少女、
桜舞い散る中、彼女が演奏する「だれでも知っている曲」とソレを見つめる主人公。
言葉にすれば2行ほどで片付いてしまうこのシーンを
この作品は「ドキッ」とするようなアニメ的で実写的で素晴らしい表現に仕上げており、
演奏シーンが描かれば描かれるほど、この作品の世界観にハマっていく

1話だけ気合を入れる。
アニメにおいて1話は大切な始まり部分であり、
多くのアニメは1話は気合を入れている。
だが、この作品の場合は「全話」に気合が入っている。
気合が入っているだけではない演奏シーンのレベルがどんどん上がってくるのだ

1話ではピアニカで幻想的な雰囲気とヒロインの魅力を伝えたかと思えば
2話ではその1話の演奏シーンを軽々と超える「ヴァイオリン」のシーンを魅せてくれる
アニメの中で彼女の演奏を聞いている聴衆者と同じように彼女の演奏に思わず見惚れる
モブキャラに同じ曲を何度も聞かせた後に、ヒロインに「同じ曲」を再度演奏させる
同じ曲なのに全く違う曲に聞こえる。

彼女の「独創的」な演奏表現をアニメーションの中で最大限に表現する
1話の演奏シーンが幻想的なら、2話の演奏シーンは「圧」を感じるシーンだ
同じアニメで180度違う演出を見せてくれる
1話で可愛いと思ったヒロインが2話では綺麗と思える。
ピョンピョン跳ねるようなヒロインかと思えば、汗だくで演奏する姿を見せてくれる。

すると4話では主人公との演奏シーンが描かれる
1話は幻想的、2話は圧、そして4話は「喧嘩」だ
自らの「トラウマ」と闘いながらピアノを弾く、
そのトラウマと「ヒロイン」のヴァイオリンの喧嘩ともいうべき、
演奏シーンの表現は殴り合いの喧嘩のような演奏シーンだ

「キャラクター」の魅力を丁寧に、繊細に、だが大胆に。
妥協しない作画と大胆な演出と繊細な表現で「キャラクター」の印象を強めることで
見れば見るほど、キャラクターたちの魅力に取り憑かれていく

これを実写でやってしまったら
「過剰な演出」で「わざとらしさ」を感じてしまうだろう
だが、アニメーションという創作物に落としこむことで、
その過剰なわざとらしさを感じるようなシーンを
「幻想的」な美しさを感じるシーンに仕上げている。

もっと過剰に演出してしまえばアニメでさえ、わざとらしく感じる
もう少し抑え気味に演出してしまえば、つまらないシーンになってしまう
絶妙なバランスで「演奏シーン」を描き上げていることで、
実写的でありながらアニメーションとしての面白さが最大限に出ている

演奏シーン以外の描写も素晴らしい。
普通の学生たちの何気ない会話、ある理由でピアノをやめた男子中学生と、
おせっかいな幼なじみ。
淡い幼なじみの「恋心」を感じさせつつ、主人公の過去を描く
この何気ない会話のシーンでさえ、淡々の描かれる過去の描写でさえ
この作品の「描写」の拘り方は半端ない

主人公の独白を聞かせつつ、主人公の母親の「虐待」という衝撃を織り交ぜ、
「子供時代の主人公の泣き顔」の描写で
日常シーンも「ドキッ」とするような、唐突に背中を切りつけられるような
演奏シーンとはまた違う演出と描写の仕方をしている

そして、いかにもアニメ的なシーンの数々。
実写的なシーンをこれでもかと詰め込んでおり、
ドラマ的なストーリー展開で分かりやすくストーリーが進む中、
「パンチラ」や「SDキャラ」などコミカルかつギャグ的なシーンを
いかにもなアニメ的シーンに仕上げることで、
演奏シーンやシリアスなシーンとのギャップを産んでおり
ソレがいい刺激になり飽きない。

更に「ポエムチック」なセリフ。
主人公がヒロインのことを考えるときに、
彼女を表現する普通の言葉が見つからないからこそ
少し「嘘」っぽいようなポエムのようなモノローグが挟まれる。
これが実写だったら「臭すぎて」見ていられないだろう。
だが「幻想的」に描いたシーンの数々と魅力的なヒロインを見たからこそ
主人公のそのポエムセリフが不思議と自然に感じる。

ここまでかなり褒めているが、この作品には最大の欠点がある。
テンポだ。
1話から4話くらいまでは演奏シーンの表現や演出の数々で面白さを感じるのだが、
話が進めば進むほど「しつこさ」を感じてくる。

主人公のトラウマも繰り返し同じようなシーンが描写されるうえ、中々治らない
主人公のモノローグセリフも悪くないのだが、正直多すぎる
そのせいでストーリー展開が恐ろしく遅く、
ストーリー的には「王道」なため先が読みやすく、
だからこそサクサクと進む感じが欲しいのに1シーン1シーンが非常に冗長だ
丁寧なキャラクター描写をするが故、テンポの悪さが際立ってしまう

簡単にいえば1シーン1シーン、1話1話が「濃い」のだ。
最初はその濃さを美味しく感じるのに、常に濃ゆい味で同じ味が続いてしまうため
その濃ゆさに胸焼けしてしまい、その味に飽きてくる
全シーンに気合を入れているせいで「くどさ」が出てしまっている

徐々にストーリーを盛り上げていき、
ここぞという時にここぞという表現をするのではなく、
常にストーリーを盛り上げよう、常に気合の入れた表現をしようとしてしまっている
それが決して悪いことじゃない、素晴らしいことだ。
これが「2時間」で終わる映画や、全6話ほどのOVAならば気にならなかっただろう
だが、この作品は2クール、全22話だ。

流石にその制作側の「気合」や作品の濃ゆい味に話が進めば進むほど疲れてしまう
まっすぐに、ストレートに、ど正面でこの作品はぶつかってくる
眩しいくらいに若い登場人物たちの青春模様は
視聴者の年齢層によって「受け止め方」が違うだろう
中学生という登場人物たちを丁寧に描くからこそ、
「くどさ」や「濃ゆさ」、「テンポの悪さ」が際立つ。

それはこの作品の評価すべき点であり、同時に最大の欠点だ。
中学生という登場人物を実写的にドラマチックに描くために
中学生特有の「グダグダ」感や中学生特有の「歯がゆさ」が最大限に出ている
その部分をどう受け止めるか、見る人によって違う。

更にヒロインの病気の描写。
あからさまにヒロインは序盤から「病気」の描写があり、
中盤以降も頻繁に「死にそう」フラグが立っている
分かりやすく「終盤死ぬんだろうな」という伏線が引かれている。

ストーリーの結末につながる重用な描写ではあるものの
これがちょっと分かりやすぎるため「意外性」がなく、
2時間の映画などであれば、これぐらい分かりやすい描写で正解だが
全22話の尺のストーリー構成では、その分かりやすい描写のせいで
結末が引き伸ばされている感じが強く出てしまっていたのは残念だ
もう少し、この伏線の描写は抑え気味だったほうが
ストーリーの結末にもっと感動できたはずだ

ただ、最終話の演奏シーン。
これまであえて実写的かつドラマ的な表現だったところを
最終話で極端なまでにアニメ的な表現にすることで、
この作品の「アニメ」としての面白さを最大限に実感することができ、
二人の最後の演奏という感動的なシーンに仕上がっていた

全体的に見て素晴らしい作品だ
高い完成度で美麗に描かれた作画に甘えず、
「演奏」シーンでの演出を最大限にこだわって1シーン1シーンを作り上げており、
それが連なることで強いインパクトと強烈な印象を残すシーンに仕上げている
そして、その強烈なシーンにふさわしいキャラクターたちを
「中学生」という難しい年代だからこその繊細な描写で、
王道かつ実写ドラマ的ストーリーを最初から最後までアニメーションという表現で
きっちりと盛り上げ、面白い作品に仕上げている

だが、その反面で全22話というストーリー構成であるがゆえに
この「濃ゆい」シーンの連続は強い疲労感を生み、
中学生特有の「歯がゆさ」やヒロインの「病気」など
引き伸ばしすぎていて好みが分かれる部分が出てしまっており、
そこをどう受け止めるかでこの作品に対する印象が変わってしまう。
素晴らしい作品であるがゆえに、濃ゆい作品であるがゆえに
がっつりと「好み」がわかれる作品だろう。

そして声優さんの演技。
特にメインヒロインを演じた種田梨沙さんの演技は素晴らしい。
ヒロインの「何気ない台詞の語尾」の演技の仕方から、
泣き、笑い、ツッコミと感情の振り幅が広く、
極端に演技してしまえば「実写ドラマ的」なこの作品では
アニメ的要素が強く出てしまい浮いてしまうだろう。
だが、絶妙な力の入れ方で「実写ドラマ的」でありながら「アニメ的」な
素晴らしい演技をしていた。

更に佐倉綾音さん。
最近、いろいろな作品にでているせいか
どうにも以前に比べて「声に合わない役」や「実力不足」を感じる時が合った
だが、この作品における彼女の演技は本当に素晴らしい。
幼なじみに対する淡い恋心とその感情で揺れ動くキャラクターを
絶妙な演技で彼女の「言葉に出来ない感情」を少ないセリフで表現している

「あれ・・・」「どうしてだろう」など端的な言葉で、
きっちりとキャラクターの心理が伝わる。
台詞が少ないからこそ演技力がモノを言うだけに、
彼女の演技は本当に素晴らしい演技だと実感できる
私は正直、メインヒロインよりも彼女の演じる幼なじみのほうが
素直に「可愛い」と思えてしまった。
特に20話での「告白」にも似たセリフは冗談抜きに悶絶した(笑)

これは私個人の感覚だが、この作品は「序章」に感じた。
トラウマからピアノを離れた主人公の再生の物語という名の序章が終わり、
本当の物語はここから始まる。
主人公のピアニストとしての道、幼なじみとの関係、サブキャラたちの話etc…
物語は完結しており、彼のこれからのストーリーを想像して終わる余韻はある。
だが、この先の物語を見たいと感じてしまう。

だからこそ、この作品はもっと短く収めるか
逆にもっとがっつり「4クール」くらいでみたいと感じてしまう
物語の結末も一種の「バッドエンド」であり「ハッピーエンド」であり
「俺達のピアノ道はこれからだ!」的な感じになってしまっており、
色々な結末が描かれていない要素の続きを見たいと思ってしまう。

原作通りの内容で原作も終っているようなので、
原作の続編が出ない限りアニメでの続編の可能性も低いだろう。
だが、私はもっとこのキャラクターたちのストーリーが見たい
この作品のキャラクターたちにはもっとストーリーがあるはずだ
綺麗に終わっている作品だ、だが、もっと見たい。
見終わった後にこう思うのはこの作品が本当に面白い作品だったからだろう。

色々な意味でノイタミナらしい作品だった
ノイタミナ自体、2枠から1枠へと縮小してしまう中で
この作品はある種、「ノイタミナ」という放送枠の原点回帰のような作品だった
1話見て気に入れば、間違いなく最終話まで楽しめるアニメだ
若干疲労感は伴うが、個人的にはぜひ「全話一気」に見て欲しいアニメの1つだ

超個人的には早見沙織さん演じるキャラクターの
ストーリーがもっと見たい(笑)
8話とか超ツボでした・・・w

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