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目指した先は二番煎じという名の焼け野原「少女たちは荒野を目指す」レビュー

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      2016/06/27

評価☆☆☆☆☆(10点)全12話

あらすじ
神奈川県に暮らす学園生の北条文太郎は特に将来の目標を抱くこともなく、日々を過ごしていた。彼はある日、クラスメイトの黒田砂雪からこの世は荒野よという刺激的な言葉とともに美少女ゲームの制作を手伝ってほしいと頼まれる。

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目指した先は二番煎じという名の焼け野原

原作はみなとそふとによるゲーム作品。
みなとそふとではあるが全年齢対象のゲームだ。
監督は佐藤卓哉、制作はproject No.9。

見だして感じるのはキャラクターデザインだろう。
どちらかというと「実写向け」のようなデザインであり、
漫画やライトノベル原作ではなく、ゲームが原作というのが
絵でわかるようなデザインだ。

デザインについては好みがあるだろうが、
正直言って「印象に残りにくい」ありがちなギャルゲー的キャラデザであり、
印象に残らない分、余計にキャラクターの「記号的印象」が
非常に強く出てしまっており、
キャラクターが出た瞬間にどういうキャラか分かってしまう

いわゆるテンプレート的なキャラの印象だ。
無個性的主人公、元気な幼馴染、ミステリアスなヒロインなど
わかりやすいキャラ付け以上の特長が薄い。
特に主人公はゲームでは「=プレイヤー」だからこそ、
無個性的であり、印象も薄い。

作画は非常に安定している、この手のキャラデザの深夜アニメは
10年位前の作品ならばギリギリの作画な作品も多い崩れやすいデザインだが、
安定しているのは好印象な反面で、
作画を崩さないように硬い動きしかなく、
アニメとしての動きの面白さや可愛さがない。

更にストーリー展開もかなり唐突だ。
無個性な主人公の日常を壊すミステリアスなヒロイン、
そのヒロインの目的は「美少女ゲーム」を作る事。
唐突にヒロインに誘われ、唐突に美少女ゲームを作ることになり、
唐突にストーリーが進んでいく。

物語における積み重ねではなく、いわゆるゲームで言えば
「イベント」と「イベント」をつなげているのが非常に分かりやすく、
その「間」がない。
イベントとイベントをつなぐような形でも盛り上がる作品はあるが、
この作品の場合、イベント同士を繋げてるはずなのにどこか淡々としている

本来、アニメにおける1話はある程度「引き」がないと
2話への視聴継続にはつながらない場合が多い。
この作品の場合も同じであり、1話でのインパクトや引きが弱く、
キャラクターデザインもストレートに可愛いと思えるようなデザインでもない。

本来はミステリアスなヒロインが「美少女ゲームを作る」事を
主人公に持ちかける事が1話の最大のインパクトであり引きなのはわかるが、
淡々と言い放つヒロインと、淡々とそれを受け入れてしまう主人公のせいで、
そのせっかくのインパクトがあまりにも薄くなってしまっている。

はっきりいってしまえば、1話を見た後にすぐ2話を見たくならない。
美少女ゲーム制作に拒否反応があったり、
それを周囲に内緒にしているならばキャラ的にもストーリー的にも
広がりが見えたかも知れないが、
あっさりと美少女ゲーム制作を受け入れ、周囲にも知れ渡っている。

極端な言い方ではあるが
「わざと盛り上がりに欠ける展開にしてるのでは?」と感じる部分が多い。
この作品が目指すのは「美少女ゲーム版SHIROBAKO」なのは分かる、
実際、開発者たちのインタビューでもそのように答えてるようだ

しかし、それが最大の失敗だったようにも感じる。
SHIROBAKOを意識しすぎたあまり
「リアル系ストーリー」にしようとして淡々としたストーリーになっており、、
「振り回される主人公」を描こうとして無個性な主人公になってしまっており、
「群像劇」を描こうとしてキャラの掘り下げが甘くなってしまっている。

更に言えばSHIROBAKOは2クールの作品だ。
その中でようやく出来上がる1アニメとキャラクターの苦悩が見えてくるのだが、
この作品は1クールであり、あまりにもストーリーのテンポが早い。
余計なイベントから見えてくる一人一人のキャラの掘り下げもなく、
イベントとイベント繋いだだけの盛り上がりに欠けるストーリーに感じてしまう。

盛り上がりに欠ける原因はあまりにも止め絵が多いことにもあるだろう。
前述したように作画は安定している、だが、その安定さを求めた余り
キャラが動かない。

基本的に会話劇なので動かないのは仕方ないが、
過剰なほどの「キャラクターのアップ」&「同じ表情のままの時間」が長い。
作画の「枚数」の少なさを感じる部分が非常に多く、
ぼさーっとアホみたいに突っ立ってる主人公は長身なキャラデザのせいで
余計にアホみたいだ。

ストーリーも話が進めば進むほどフラストレーションが溜まっていく。
基本的に毎話、ゲーム制作に関するキャラクター同士のいざこざであり、
その原因がメインヒロインの「目的」が原因だ。

ヒロインの目的は学生の遊びではなく、ガチである。
楽しんでやるものではなくゲームで儲ける=勝つことにこだわっている。
ちなみに登場人物はみんな「高校生」だ。しかもほとんどが「二年生」だ。
これで3年生で進学も就職も決まってないから
焦っているキャラたちならわかるが・・・

ガチであるがゆえに楽しんで作っている感じは全く無い。
学生たちの部活動の延長であるはずなのに
ガチ過ぎる美少女ゲーム制作という矛盾と、その矛盾から感じる
キャラクターたちへの感情移入のしづらさ、
わざといざこざを起こしてるのか?というキャラの行動のせいで
どんどんとストレスが溜まる。

いざこざでギスギスしたあとの解決方法も酷い。
空気感を悪くし、シリアスな雰囲気にし、
キャラクター同士のいざこざや悩みをどう解決するかが、
ある種、この作品の肝のはずなのだが、
その肝の部分が終始、あっさりとしていたり雑なせいで面白みが生まれない。

フラストレーションと、そこからのストーリーで生まれる爽快感というのがなく、
見る側のストレスだけ溜めて中途半端にしかそれを解消しないため、
見れば見るほどストーリーにも、キャラクターにも感情が離れていく。

最終話に至るまで淡々として退屈に感じやすい作品もあるが
そういった作品でも最終話ですっきりと見てよかった、
終わりよければすべてよしという作品も少なくはない。
しかし、この作品の場合は違う。

最後まで見続けても良い事はない。
なにせ主人公たちが頑張って制作して売れたゲームの売り上げは
全てヒロインの兄の借金返済に充てられる、タダ働きだ。

さんざん勝負だ荒野だと叫んでいたヒロインの行動や言動が
全て薄っぺらく感じてしまうほどのストーリー展開であり、
それまでのキャラたちの葛藤やヒロインに叱咤されて楽しまずに作った
ゲームの売り上げを何やかんやですべて奪われる。

結局はヒロインに言い様に騙され高校生の部活の延長上という雰囲気を出すことで、
タダ働きさせ、何やかんやいい話に持っていき売り上げをとられることを
誤魔化されたストーリーでしか無い。
見終わった後に何もすっきりせず、釈然としない気持ちしか残らない

全体的に見て分かり易いまでの駄作だ。
原作がゲームであり1クールという尺しか無いから仕方ないかもしれないが、
基本的にストーリーはトントン拍子にご都合主義的に進んでいき、
イベントとイベント繋いだようなストーリー構成のせいで積み重ねが薄く、
キャラ描写も甘く苛立ちを感じやすい行動しかしないため感情移入もできない。

SHIROBAKOを目指した割にはいかにも美少女ゲーム的ご都合主義的な
ストーリー展開で終わってしまい、
業界モノを目指した割には業界ネタも少なすぎる。
突っ込んだ話や裏話的なものも無く、肩すかしだ。

原作ではこの後に社会人編があるようだが、
ゲームの方は面白いのかもしれないが少なくともアニメは
二番煎じ以下の駄作で終わってしまった。

個人的には今の美少女ゲーム業界の
「勘違い」や「衰退している原因」が詰まっているような作品にも感じた。
敢えて深くは言及しないが・・・(苦笑)

原作ゲーム発売前に放送という事を考えれば、
あくまでも原作の宣伝アニメだったのかもしれないが、
果たしてこのアニメを見た後に原作を買おう!と思う人が
何人いるのだろうか・・・

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