機動戦士ガンダムSEED


機動戦士ガンダムSEED感想

☆☆☆☆☆(8点)


機動戦士ガンダムSEED感想

制作/サンライズ
監督/福田己津央
声優/保志総一朗.進藤尚美,石田彰,田中理恵ほか
全50話


あらすじ

コズミック・イラ(C.E)15年、万能の天才として世界中から注目された
ジョージ・グレンが自分が遺伝子操作された人間であることを告白。
同時に製造方法を公開したことで、世界中で遺伝子操作された
新人類『コーディネイター』が誕生した。




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何も考えずに観よう、楽しむには馬鹿になれ

21世紀の1stガンダム、そう銘打った本作品。
2000年代に入ってから初のTVアニメシリーズのガンダムということで
否が応にも期待感が高まった作品だ。
基本的なストーリーは1stガンダムをなぞっている感じが強い。
遺伝子操作された人間コーディネーター立のZAFT軍と地球連合が戦争状態にあり、
主人公は中立国であるオーブのコロニーで平和に過ごしていた。
だが、突如コロニーをZAFT軍が襲う。
主人公は非難する中、ストライクガンダムに乗ることになってしまう・・・という感じだ
本作品は一応、21世紀の1stガンダムと銘打っており、
序盤の流れは典型的なロボットアニメの展開だ。
戦闘に巻き込まれてロボットに乗るは目になったコーディネーターである主人公は
本来ならコーディネターだけで編成されているZAFT軍に入るべきなのだが、
巻き込まれた手前、遺伝子操作れていないナチュラルな人間で構成された地球連合として
戦闘に参加してしまう。
ストーリーの基盤にあるのは「遺伝子操作」だ。
コーディネーターとは遺伝子操作された人間であり、
遺伝操作されていないナチュラルな人間との格差を産んでしまっている。
その事が戦争の原因になっており、互いの交渉の席で爆破テロが行われ
コロニーに核がうちこまれ戦争が深いものになっているという設定がある。
この基本的な世界観の設定は割とよく出来ていた、
もしかしたら数十年後に現実の世界でも遺伝子操作が当たり前になる可能性があり
そういったものを示唆したストーリーの根幹は興味深いものがあった。
ただ序盤のストーリーは繰り返ししが多い。
第一話の時点でZAFTに奪われそうになった5体のガンダムのうち
4体はZAFTの手にわたっており、残りの一体を主人公であるキラ・ヤマトがのっている。
主人公一行は地球軍の本拠地である月に向かうのだが、
しつこいZAFT軍勢が襲ってきて、それを撃退を13話まで繰り返す。
他の5体のガンダム以外はほとんど出てこない戦闘シーンは徐々に飽きてくる。
変化をつけるため、キラ・ヤマトの親友であるコーディーネーターのアスラン・ザラや
その婚約者であるラクス・クラインなどが絡んでくる。
ただ戦闘シーンは似たような感じであり、もう少し工夫が欲しかった所だ、
状況はたしかに違うが同じMS同士による戦闘を1クール見るのは流石に辛いものがある
だが、序盤では非常に印象に残るキャラクターがストーリーをかき回す。
フレイ・アルスターという少女は、父親を目の前で戦艦ごと殺され狂喜する。
その結果、それまで毛嫌いしていたコーディネーターであるキラを利用するようになる
更にはそれまで恋人的な存在だったキラの友人もないがしろにし、
キラと一夜を共にするフレイ、物凄い昼ドラ的恋愛劇は陳腐とも言える。
中盤からは地球へと舞台を移す、だが、本当にストーリー展開が遅い。
原因は多すぎる回想シーンによる尺稼ぎと総集編。
前半の1クールまでは総集編や回想シーンはあまり見られなかったが、
14話あたりから本当に増え、話がなかなか進まないいらだちを覚える。
このせいで本来なら20話くらいで描ける話を30話まで引っ張り
前半の山場とも言えるキラとアスランの決着を迎える。
私なら2クールという節目である24話か25話あたりで
キラとアスランの対決を持ってくるだろう
山場の作り方が根本的に間違っている。
このキラとアスランの親友同士のボロボロになる戦闘は止め絵が多いのが残念だが
互いのガンダムがボロボロになっていく様は確かに熱くなる展開だった。
コックピットをむき出しになってまでの死闘は強く印象に残る
だが、その後のストーリーがぐちゃぐちゃだ。
キラはアスランが乗るイーズスガンダムに取り憑かれ、イージスはそのまま自爆。
絶対キラ死んだ。そう思わせるには十分なほどのシーンだった。
その前にアスランは脱出しているのでアスランが無事なのは納得できた
だが、主人公であるキラが無事である理由は不明(苦笑)
イージスが自爆して、主人公がのっているストライクも大破してるのに無事という(苦笑
のちにセーフティーシャッターという安全装置があることを
本作の外伝漫画でその設定が説明されたが、TVアニメ作品中では一切説明なし。
コックピットの座席部分が溶けているような描写まであるのに
主人公が生きているのはすごすぎる、セーフティーシャッターというものが
どういう技術でどう動作するのか、色々と監督さんに聞きたいですね。
答えてくれないでしょうが。
まあここまでは「主人公補正」で無事ということで説明がなくとも納得できなくはない。
だが、無事だったキラ・ヤマトが何故か「宇宙のコロニー」にいるのは意味不明だ。
爆風で地球から宇宙へとワープでもしたのだろうか?と
見ている人に状況を理解させる説明を一切無い、
脚本家の頭の中でしかストーリーが展開されていない状況だ。
(外伝的漫画でこの状況の説明がなされてる模様、
TVアニメではいきなり出てきたマルキオ導師の家の前で倒れてたらしい、
なぜ重症をおった人物を宇宙まで運んだのだろうか・・・)
そして終盤からは主人公と主人公が乗るアーク・エンジェルの面々は
地球軍のやり方に疑問を感じ地球軍を抜ける。
彼らが地球軍のやり方に疑問を持ったシーンはかなり残虐かつ演出過剰なシーンだ
放送時間帯を考えるとヤリ過ぎと言わざると負えない
またこの話を堺に両軍の上層部が狂い出す。
地球軍は味方を犠牲にしてザフトを大量にやっつけようとし
更にはコーディネーターに勝てないから「薬」を使って強化したパイロット投入したり
ザフトのトップであるアスランの父も狂って大量破壊兵器を持ち出す
結果、両軍のトップが狂い戦争が大量破壊兵器を使った虐殺行為に近くなり、
それを止める主人公達という布陣になるのだが、あまりにも無理やり過ぎだ(苦笑)
それまではコーディネーターとナチュラルの確執による戦争だったのに
両軍のトップを悪にすることによりわかりやすい主人公達の正義という図式になってしまい
話が本当にチンケになってしまう。
そして、その結末たるや本当にこれまでのストーリーがなんだったのかが意味不明だ。
トチ狂ったZAFT軍を穏健派のコーディネーター議員が武力制圧、
そして唐突に「停戦協議」をZAFT内でしているので戦闘行為の停止を、
地球軍に申し入れますと激しい戦闘のさなかアナウンス・・・。
「え?キラたちは・・・?」
たしかに主人公達は核ミサイルなどを撃ち落としたりしていたのだが、
主人公達の行動とはあまり関係の無いところで戦争終結という結末を進めてしまい、
主人公達は強い敵や大量破壊兵器を壊していたという行動しか残らなかった
最終話の「空虚感」はハンパありません。
全50話も使って出した結末が主人公陣と関係ないところでの話し合いによる戦争終結。
もう少し何とかならなかったのだろうか?
確かに終盤に向けて大量破壊兵器や核、そして主人公達の強すぎるガンダムと
絵的には派手になったのが、その軸にある戦争終結へのストーリーが
主人公達をないがしろにしすぎてしまっていた。
キャラクターの使い捨て感も半端ない。
40話では戦争したくない国であるオーブが自爆する。
だが、そんな大掛かりな自爆がタイマー式ではなく手動・・・。うん(苦笑)
そして序盤からキラ・ヤマトを誘惑していたフレイ・アルスターの犬死。
序盤でキラ・ヤマトは親しかった少女が乗った船が目の前で撃ちぬかれたことを
救えなかったと悔やんでいた。
そして、それとフレイが全く同じ状況になる、一撃目の攻撃を見事防ぎ安心したら
2激目の攻撃でフレイ死亡。
ここは過去の過ちを繰り返さない、主人公の成長を描くために救うべきだったのでは?
彼女を殺しわざわざキラの目の前に幻覚で現れさせてまで謝らせるより
すべてが終わった後にキラに謝るフレイという最後のシーンでも良かったはずだ。
いくら声優が桑島法子さんだからって彼女が演じるキャラは全て死亡フラグという
ジンクスを活かすことはなかったはずだ。
恋愛描写に関しては本作品は非常に雑だ。
序盤のキラとフレイの恋愛描写が描かれるが、最終的にはキラは
親友の婚約者であるラクス・クラインとくっつく(苦笑)
キラは寝取りが大好きな人間なのだろうか?
他にも恋愛描写では、アスランの同僚のディアッカとキラと共に
アーク・エンジェルに載っていたミリアリアというカップルが居る。
だが、このミリアリアはコーディネーターに友人(恋人?)を殺されており、
出会った当初ははディアッカを殺そうとまでしていたぐらいなのに
終盤ではくっつくような描写になる。
恋愛描写に関しては徹底的に説得力に欠け、もう少しまともに話を構成できなかったのか。
キャラクターの行動原理や言動に関して言えば、理解しかねる部分が非常に多い。
根幹にあるストーリーや世界観の設定はいいのに、それを紡ぐはずの
キャラクターたちに同感しかねる部分が多い。
特にラクス・クラインのキャラクターについては非常に謎だ。
彼女は序盤は物凄い天然なキャラクターで時折真面目に語るという感じのキャラだったが
終盤では、和平を望み電波ジャックによる演説などを行い
最終的には自ら戦場へと戦艦で赴く、序盤のキャラクターと違いすぎるのだ(苦笑)
もし私が脚本を書くならば早めに彼の父親を殺し、
彼女がそれをきっかけに和平を望むようになるという展開にしたほうが自然だ。
そして彼女が和平を望み活躍しだすのが遅すぎる。
主人公に最強ガンダムを渡したのは中盤だが、和平活動をする描写が出てくるのは41話。
ストーリーの構成上、遅すぎた。
彼女を活躍させたいのなら、もっと中盤から和平活動をするシーンを描き
それに感化かされ徐々に戦争を止めだし、ほとんどの軍人が戦争をやめる中、
一部の「コーディネーター死ね!」「ナチュラル下等!」ととちくるった軍勢だけを敵とし
それをやっつける主人公達という図式のほうがよっぽどストーリーは自然になり
ラクス・クラインの活躍ももっと描けたはずだ。
本作品には他にも様々な欠点がある。
第一に総集編の多さ、全50話の作品で3回も総集編が流れ
しかもその総集編に面白みのようなものは一切無い。
ただ厄介なことに総集編に伏線を入れていたりするので飛ばしてみると
伏線を理解できなかったりする場合があり本当に厄介だ。
第二に回想シーンの多さ。
特にニコルの死は何度も何度も繰り返され(苦笑)、
後半になるに連れて増え続ける回想シーンは手抜きと尺稼ぎのために
無駄にいれまくるのは低評価につながった
戦闘シーンでもシーンの使い回しが多く、手抜きがところどころ感じられる
第三に無駄なグロさやセクシー描写。
土曜日の18時という子供も普通に観るアニメで、かなり過激な描写が多い。
序盤のキラとフレイの一夜を共にした描写や
後半のサイクロプスという兵器で兵士が膨張して破裂して死ぬ・・・という
結構過激かつ無駄にグロさを秘めたシーンも多い。
血を出すな、エロ描写をするなとは言わないが、
放送時間帯を考えるともう少しオブラートに包んで描写するべきだった。
セクシー描写に関しては、これくらいの描写はギリギリいけるかもしれないが
残虐描写に関しては大の大人が見ても「うわ・・・」と少し引いてしまうものがあり、
過激にすれば視聴者に強い印象を残すという制作側の考えには納得できない。
第4に設定の甘さ。これが極めつけかもしれない。
作品序盤から出てくる主人公の「種」が割れる描写、
戦闘中にピンチになったり感情が高まると一部の登場人物の頭上で
種が割れるようなエフェクトが現れ戦闘能力が格段に向上する。
だが、これについての説明が一切無い。
種が割れて戦闘能力が向上するので「あ、種が割れると強くなるんだ」と意味はわかるが
それが何か?という説明が作品中に一切されない。
おそらくはガンダム1stでいうニュータイプやガンダム00でいうイノベーダー、
ガンダムGでいうならハイパーモードという設定なのだろうが、
説明が一切されないのは本当に意味不明だ。
一応劇中で僅かに「SEED」という言葉についてセリフがあるが、
まったくもって説明になっていない。
回想シーンをいっぱい入れるぐらいならSEEDに関する説明をなぜしないのだろうか?
面倒くさかったのか?
ただ主人公達のピンチな状況を打開するために都合のいい種割れシステムを生み出し、
それに関する説明を考えていなかったという印象しか受けない。
もう設定に関しては突っ込めばキリがない。
序盤から出てきていた「宇宙クジラ」という存在も何の伏線も意味もなかった
本当になんなんだよ宇宙クジラ、クジラと来るべき対話でもするのだろうか?(苦笑)
更にはコーディネーターの強さが分かりづらいということだ。
主人公であるキラ・ヤマトが最強なのは分かるのだが、
本来はDNAをいじって様々な部分が強化されている人間に対し
ナチュラルな自然な人間がもっと苦戦を強いられる場面がなければならないはずだ。
そういったシーンがもっとあれば
「やっぱり遺伝子操作って人の摂理から外れてる、ナチュラルな人かわいそう」
という差別的心理を視聴者側にももっと根強く植えつけることができたはずだ。
全体的に穴がありすぎる作品だ、ノリで見ているときはいいのだが、
気にしだすと様々なことが気になりもうまともに見れなくなってしまう。
突っ込みだしたらキリがない、本レビューの8割はマイナス評価点、
こんな状況でどう高評価できようか?
個人的には終盤地球軍のトップとしていきなり出てきた「アズラエル」、
彼はコーデイネーター恨みまくりなのだが、その理由もなく
ただ相手に核を撃ちこみ、彼のせいで多くの既存キャラが死ぬきっかけになっている。
彼自体のキャラの深みは一切無く、彼があそこまでコーデイネーターを憎んでいる理由や
あそこまで狂ってしまう動機が本当に謎だ。
逆にザフト軍勢のトップであるザラ議長は最終的に狂ってしまったが
彼があそこまで追い詰められた理由はまだ納得できた。
だが、いくら語っても主人公達は本筋の戦争終結には一切関係ないので虚しい所だ(苦笑)
何も考えずに観れば良作、だが一度考えてしまえば駄作に鳴ってしまう本作品
頭を空っぽにして口を開けてみろというのが制作側の意思でしょう、視聴者を舐めすぎだ
対象年齢はいくつに設定しているのだろうか?
内容が浅く低い割にはひどい虐殺描写やセックス描写もあるのは非常に謎だ
ただこの作品の唯一の救いは声優の豪華さだろう。
メインを張る声優陣は物凄い豪華なメンバーであり、演技に関しては素晴らしい。
だからこそ本来薄いはずのストーリーや謎のキャラクター言動&行動が
まともなもモノに見えてしまう。
声優さんを賞賛したいと同時に、この作品に出たことを恨みたくもなる(苦笑)
声優さんのおかげで作品の雰囲気に流されてしまったら、
この「ガンダムSEED」という作品に騙されてしまうことだろう
個人的に本作品は見返してみてびっくりだ。
私は9年前はまだ学生でアホだったからでしょう、当時はそれなりに楽しんで
TVシリーズを見終わって続編が決定した時もそれなりに嬉しかった。
だが、9年経って社会に揉まれ現実を知ってこの作品を見ると
物凄い駄作に成り下がっていた、まさか、こんな駄作だったとは(苦笑)
なんだか家にDVDがあったのが少し恥ずかしくなってしまった・・・。
なぜ当時そんな多くない持金で勝ってしまったんだろう・・・
どうして・・・orz
続編であるDESTINYもDVDあるんですよね・・・うん・・・
今から見るけどね・・・(苦笑)