∀ガンダム

G-SELECTION ∀ガンダム DVD-BOX 【初回限定生産商品】


評価/★★★★☆(69点)


G-SELECTION ∀ガンダム DVD-BOX 【初回限定生産商品】

制作/サンライズ
監督/富野由悠季
声優/朴?美,高橋理恵子,子安武人ほか


あらすじ
正暦2343年、月の民(ムーンレィス)ロラン・セアックはムーンレィスの地球環境適応のモニターとして地球の北アメリア大陸に降下した。地球の自然が珍しく川で遊んでいたところ溺れてしまい、下流にいたキエルとソシエのハイム家の姉妹に助けられた。



同じ人間同士じゃないか!


本作品はガンダムとしては○作品目の作品。
クセのあるガンダムや世界観で当時話題になった

私はよくエロい要素の多いアニメで「開始○分でパンツが見えた」というような描写を
レビュー中で書くが、まさか「ガンダム」でこの言葉を書くとは思わなかった
この作品の主人公であるロランは開始3分でなんと全裸だ(笑)
更には本作のヒロイン二人まで裸なのだから、
この作品の異質さが開始早々に分かってしまう。
ついでにいえば、1話の段階ではガンダムは愚かMSすら出ない

この作品はガンダム作品では異色な部分が多すぎる。
主人公が初の女性声優、ヒゲの生えたガンダム、クセのあるMSデザイン、
まるでアルプスの少女ハイジのような牧場的雰囲気と、
癖の強すぎる雰囲気とその癖を後押しする「ストーリー」

特に序盤は年月の経過が以上に早く
「え?え?もう2年たったの!?」と驚くほど早い。
その状況の変化と癖は序盤の受け入れ難さ、作品への拒否感が生まれそうなほどの
圧倒的な独特な世界観は見る人を選ぶ。
「ダサい」という言葉が似合うデザインが本当に多くの場所で感じる。
このダササは見ているうちに慣れては来るのだが、慣れるまではきつい。

キャラクターに関しても癖がある。
ヒロインの一人である「ソシエハイム」のわがまま身勝手すぎるお嬢様キャラは
賛否が別れるところだろう、かなり面倒くさいキャラクターだ。

ストーリー的にはガンダムとしては「わかりやすい」部類の話だ。
地球が住めない土地になり昔、月に住むことになった住人が地球に戻ってくることに。
だが、地球の住人は今更付きの住人が戻ってくることに納得できず、
長年交渉を続けていた。
主人公である「ロラン」はそんな月の住人で、月の住人の地球の環境テストのために
地球へ降りてくる所からストーリーは始まる。

この「ターンAガンダム」の世界は、今までのガンダムから少なくとも数千年、
場合によっては数万年たった世界であり、過去の戦いは「黒歴史」として
おとぎ話のように残っているだけだ。
故に、過去のモビルスーツは全て地面の底に埋まっている

主人公である「ロラン」が乗る「ターンAガンダム」もそれは例外ではなく、
埋まった状態で発見され、持っていたビームライフルは打った瞬間に溶けてしまう、
他の場所に埋まっていた武器も見つけた瞬間粉々で、ハンマーしか無かったりと
ガンダムを開発するのではなく、発掘されるというのは面白い発想といえるだろう

そんなガンダムを発掘してしまったため、本来なら圧倒的に戦力差のあった
月と地球の力のバランスが崩れ、月と地球で戦争状態になってしまう。
主人公である「ロラン」は月の住人であるが、地球で2年も住み知り合いも増え、
戦争をしたくないと感じ、「ターンエーガンダム」で月と戦うことになる

彼の主張は正しい。
「地球は戦争するための所じゃない」と叫び、地球で戦う
だが、始まってしまった戦争を止める力は彼にはなく、
月との交渉をしている「グエン」や、月の姫である「ディアナ」に言われるがまま
自らの力と「ターンエーガンダム」を駆る

それでも戦争は終わらない。
月側も一枚岩ではなく、争いは収まらず、月と地球の人間は
ロランが叫ぶ「同じ人間じゃないか」というセリフには耳も傾けず
敵として戦い合ってしまう。

序盤から中盤までは「人間ドラマ」が中心にストーリーが描かれる
戦闘シーンもあり、面白い戦闘シーンもあるのだが、
ロボットアニメと言うよりは人間ドラマという印象の強い内容だ。
それに伴い、ターンAガンダムのユニークな動きやシーンも多い。
ガンダムを使って洗濯することなど、今後無いだろう(笑)

終盤からは過去の歴史である「黒歴史」と、ターンAガンダムの秘密に迫っている。
それぞれのキャラクターの野心や、闘争本能の塊としての「ギム・ギンガナム」、
そしてすべてを滅ぼす「月光蝶」と、序盤から中盤までの「牧場的雰囲気」など
どこへやら。

特にターンAガンダムの象徴とも言える「月光蝶」はインパクトが凄い。
同系統の機体であるターンXとの互いに月光蝶を出したまま戦う姿は美しさすらあり、
その美しさを保ったまま物語を綺麗に閉めた。

全体的にみて、拒絶反応の出やすい外見ではあるものの中身は濃縮されている作品だ
序盤こそ乗り越えてしまえば、精一杯生きているキャラクターたちのドラマと
戦争を終わらせることの難しさ、そして終盤の熱さを味わうことの出来る作品だ。

なにせ、この作品での最後の戦いはガンダムすら捨て刀で戦う。
人間の闘争本能は捨てられないと叫ぶ「ギム・ギンガナム」と
戦いの歴史を繰り返させないと叫ぶ「ロラン・セアック」の
人間としての人間同士の戦いこそ、この作品の魅力だろう

その裏で人間として人間同士だからこその恋も生まれている。
月の住人と地球の住人、同じ人間同士だと主人公が叫ぶように
知らず知らずのうちに恋も生まれている。

全体を通して言えることだが、キャラクターが自分の心理を口にすることはあまりない
恋愛に関しても「いつフラグが立ったんだ」というくらいに唐突で
雰囲気で察しろという演出は多かった。
そういった意味では最近のアニメとは違い見づらく、
キャラクターへの感情移入はしづらい

前述したように「癖」という意味では相当強い。
キャラクターデザイン・ロボットデザインという外見や、
極端な性格のキャラクターたちの行動は、序盤はなかなか感情移入しにくい
「えーなんかださいし」という印象で見ていない人も多いだろうが、
思い切ってみてしまえば最終話まで見て「面白かった」と言える作品だ

極端で個人的な意見になってしまうが、
この作品を見ずに「拒否」してしまってる方は最終話を最初に見ることをおすすめする。
あの戦いと結末を知った上で、そこまでどういった経緯で行くのか?という風に見るのも
この作品の見方の1つとしてはありだと私は思う。

癖の強い作品だからこそ好き嫌いは生まれてしまう。
だが、この癖は好きな人にとってはたまらないと感じさせるだろう
ガンダムといえば富野氏だが、彼の味を知るのはこの作品はうってつけだ
ガンダムファンの拒絶という黒歴史、癖の有り過ぎる演出、人間ドラマ。
富野節の光る作品だったといえるだろう

最後に・・・ユニバァァァァァス!