ドラゴンボールZ 神と神

評価/★★★★☆(79点)


劇場版 DRAGON BALL Z (ドラゴンボールゼット) 神と神 2013年 4/30号 [雑誌]

制作/東映アニメーション
監督/細田雅弘
声優/野沢雅子,堀川りょう,山寺宏一ほか


あらすじ
全宇宙の運命を賭けた魔人ブウとの壮絶な戦いから4年後。39年の眠りから目覚めた破壊神ビルスは、付き人であるウイスからフリーザを倒したというサイヤ人の話を聞き、界王星で修行していた孫悟空の前に現われる。界王の忠告を聞かずに久々の強敵に挑んだ悟空だったが、ビルスの圧倒的なパワーを前に手も足も出ずに敗北を喫する。さらなる破壊と伝説の戦士「超サイヤ人ゴッド」を求め地球へと向かったビルス、悟空と仲間たちは地球を破壊神の手から守るために立ち上がる。




これぞ鳥山明の世界


本作品はドラゴンボールの劇場アニメ版。
なんと前作から「17年」ぶりの映画となっている。
更に実写版があまりにもかけ離れていたおかげで(笑)
原作者の鳥山明先生が関わっており、期待の大きい作品だ

基本的なストーリーはブウ編から4年後の世界。
悟空は相変わらず界王様の所で修行をしており、
地球では「ブルマの38歳」の誕生日パーティーが行われていたという
そんな中、界王様のもとに「破壊神ビルス」が目覚めたという連絡が入った
悟空はそんな「この世で1番強い」と言われている破壊神ビルスに興味を持って・・・
という所からストーリーは始まる。

見だして感じるのは作品全体の明るさだろう。
ドラゴンボールの映画といえば凶悪な強い敵が現れて
悟空たちが苦戦しながら倒すという「王道」の展開が多く
適役のキャラクターは凶暴なのも多かった

しかし、今回の敵はあくまで「神」だ。
破壊を司る神であるため彼の行動を責められるものは居ない
更に破壊神ビルスのキャラクターも面白い。

この「ビルス」というキャラは見ていただければわかるが外見は弱そうだ
猫の顔をした細身の人と言えばわかりやすいかもしれないが、
とてもじゃないが強そうには見えない。
これまでの「フリーザ」「セル」のような見た目で強さを感じる敵ではなく
どちらかといえば「ブウ」のように愛着すら枠行動や言動をする

そんな彼が初っ端から「超サイヤ人3」状態の悟空をいとも簡単に倒す。
倒すといっても手刀で首をトンとしただけであり、
戦った理由も「破壊神ビルス」の強さを知りたかった悟空が
自ら彼に挑んだという悟空らしい発想に付き合っただけだ。

彼の行動と言動は猫のように気まぐれかつ面白い。
外見とは裏腹に異常な強さを持っている彼はブルマの誕生日パーティーに参加すると
次々とそこに並べられた料理を美味しそうに食べる(笑)
とてもじゃないが破壊神とはいえない行動と言動は愛着すら感じる。

そんな明るい雰囲気は最期まで続く。
彼の目的は「夢で超サイヤ人ゴッドというのと戦った」から
その超サイヤ人ゴッドと戦うためであり、地球に破壊しようとするのは
あくまで気まぐれの結果、ネタバレしてしまえばプリンをブウがくれなかったからだ(笑)
しかし、彼は最後まで誰も殺さなかった。

明るい雰囲気は昔の「鳥山明」の世界観に似ている。
悟空がまだ小さかった初期の頃の世界観やストーリーに近く、
そんな雰囲気を決定づける懐かしい「ピラフ一味」が出るなど
ファンサービス的な内容も多い。
私個人としてはピラフ一味が出た瞬間、嬉しくて仕方なかった

更にベジータの不運。
これはもうネタバレしてしまっては今から見る人に申し訳ないので記述しないが、
彼のキャラクター崩壊とも言える行動の数々はもはや爆笑であり、
更に彼らしい・・いや、彼の成長を伺える「一言」は名台詞の1つになるだろう。
彼が自分の妻であるブルマをきちんと愛しているんだなとひしひしと感じられる

だが、その反面戦闘シーンがややインパクトに掛けた。
wikipediaに詳細はのっていたが街並みや背景が3DCGで描かれており違和感が半端無く
まるで「ゲーム画面」を見ているかのような戦闘シーンはアニメ的な面白みにかける
それこそセル画で描かれていた昔のドラゴンボールの映画の戦闘シーンと比べると
「味」というのがかけているような印象を受けてしまう
迫力はあったのだが、いまいち戦闘シーンの面白みを感じにくかったのは残念だ

さらに言えばこの作品は「子ども向け」と言い難い。
はっきりいってこの作品はドラゴンボールファンに向けた「お祭り」的な内容だ
ドラゴンボールに出てきた数々のキャラ、懐かしい面々、
鳥山明先生らしい世界観やキャラクターの行動や言動など
ドラゴンボールファンだからこそ120%楽しめる内容になっており、
原作もアニメも見たファンに向けた内容になっている。

それは「戦いの結果」でも感じることだろう。
今までのドラゴンボールのアニメ映画は子ども向けに作られている部分が大きい
勧善懲悪、強い敵が現れて悟空がそれを何とか倒す。
わかりやすいがすっきりしているストーリーだ

だが、そんな王道をこの作品自身が崩す。
パワーインフレという本作品の象徴とも言える言葉があるが、
この作品内では「力の上下関係」がきっちりと決まっており、それが最後まで覆らない
私は見てない人のために敢えて見たくなるようにネタバレするが
この作品で悟空は破壊神ビルスに勝たない、完璧に負ける。

それまでのドラゴンボールのアニメ映画の王道展開を敢えて崩し、
パワーインフレという言葉を裏手にとった内容は
ドラゴンボールファンに向けた作品に仕上がっている。

全体的に見てドラゴンボールファンならば必見の作品だ。
まるでマンガやアニメの内容を思い返すように
超サイヤ人3になる悟空、プライドを捨ててまで守ろとするベジータ、
グレートサイヤマンになる御飯、フュージョンする悟天とトランクス、
クリリン、天津飯、サタン、ピッコロ、亀仙人、ウーロン、チチにブルマ、
デンデに魔人ブウetc…と本当にオールスター大集合と言わんばかりの
登場キャラの多さとファンサービスの多さはドラゴンボールが好きなら
本当に純粋に楽しめる作品になっている

鳥山明先生が作り上げた「ドラゴンボールの世界」をもう1度、
鳥山明先生が楽しんでもらおうと作ったと感じてしまうほど素晴らしい出来栄えだった。
映画オリジナルキャラである「ピルス」と「ウィス」のキャラクターは
鳥山明先生だからこそのキャラクターだなと感じる。

更にエンドロール。
コレは本当に座席を立つのも忘れるほど画面に集中して見てしまった
歌っている人はほんとうに残念ながら違うが「CHA-LA HEAD-CHA-LA」が流れる中、
流れるあのエンドロールは若干、感動すら覚えてしまう。
あぁ、ドラゴンボールってやっぱ面白いや。この作品を好きでよかったな~と感じる
素晴らしいエンドロールだった。

まだ見ていない人は是非、見てほしい。
この作品は「ドラゴンボール」という作品が好きな人のための作品だ
ファン向けの作品ということや戦闘シーンの問題から
アニメの評価及びレビューの本サイトでは★5つはつけがたいが、
ドラゴンボールファンならば間違い無く満足できる内容になっている。

最後に余談だが、野沢雅子さんの声が劣化しておらず
相変わらず「親子三代」きちんと演じ分けられているのは本当に凄いと感じた
もう70歳を超えてらっしゃるのに声のハリもあり、「かめはめ波」も全力で叫んでいた。

次回作・・・というのはあるのだろうか?
興行成績は良い感じの伸びているようなので今回は「お祭り」の内容だっただけに
次回作があるならば、それこそガチガチのパワーインフレ王道ドラゴンボールを
今の技術の作画レベルで見たいな・・・と感じてしまうのは欲張りだろうか(笑)