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攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

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評価/★★★★★(81点)

僕らはみんな生きている

本作品は攻殻機動隊の2期。
1期から約1年後に放映された
本作品から「押井守」氏がストーリーコンセプトに参加している

基本的なストーリーは1期の続き。
笑い男事件の後、解散、再結成した公安9課。
そんな中、「個別の11人」を名乗るテロリストの事件が起こった
その後も「個別の11人」のマークを利用したテロリストたちが多発する。
彼らは笑い男事件同様のスタンドアローンコンプレックスなのか
それとも・・・という所からストーリーは始まる。
1期からの続きにはなっているものの、2期から見だしてもそこまで問題はないだろう

見だして感じるのは、作画の向上だろう。
1期から1年しか経っていないが作画のレベルは格段に上がっており
より「近未来」の世界観づくりを後押ししており、
更にキャラクターデザインが若干スマートになったことで、
1期であったキャラクターの作画の乱れが殆ど無い。
(1期ではたまにきになった少佐のガタイの良さは2期では殆ど感じない)

サブキャラクターを掘り下げるストーリー展開も多い。
1期では掘り下げ不足だったサイトーや、パズなどのキャラクターに
スポットを当てられた話も多く、彼らの意外な一面を知ることのできるストーリーは
1期から見続けてる人も2期から見る人も楽しめる内容になっている。

しかしながら、「押井守」氏が本作品に関わったことで
いい意味でも悪い意味でも物語が「難しく」なってしまった感じは否めない。
1期では難しい用語や設定などあるがテンポの良さやストーリーのメリハリがきいており
見やすく、難しいと感じる部分は多くはなく、難しい部分がわからなくても
ストーリーが楽しめる内容になっていた。
いい意味でも悪い意味でも「だれでも楽しみやすい」作品になっている。

しかし2期では政治的な要素や哲学的な要素が増え、
それだけではなく1話から最終話まで「個別の11人」という事件が
1話完結のストーリーでも微妙に絡んできており、メリハリが付いているとはいえない。
ずっと未解決の事件を引っ張ってしまっており、
その事件の真相や解決のために「政治的要素」と「哲学的要素」が多く織り込まれ
言葉も難解で1期にあった「見やすさ」というのが2期にはない。

ただ、その分、事件に絡む一人ひとりの人物像をじっくり描いており、
ビジュアル的な印象が強く残る「合田一人」や、
少佐と過去に淡い物語のあった「クゼ」など、
前作が攻殻機動隊と笑い男という主軸だった話が2期では世界観が大きく広がり、
より蜜に「近未来SF」の世界観の「政治」と「事件」が濃く描かれている。

難民問題、女性首相、人自身をネットへアップロードするなど
近い将来日本が本当に直面しそうな案件をリアルに描いており
それが生々しいまでの現実感を産んでおり、
確かに取っつきにくさはあるものの、見だしてしまえば
「攻殻機動隊」の濃厚な世界観とストーリーに浸ることができる。

そしてタチコマの存在。
彼らは1期で個性を取得し自己犠牲のすえ「バトー」を救った。
2期では彼らは復活し、公安九課のメンバーとして以前以上に活躍し
彼らの「AI」は更に進化を遂げる。
そして最終話で彼らは初めての命令無視をし自らのすべてを失う覚悟で公安九課を救う。
彼らの行動に対し、公安九課の課長である荒巻が「部下の犠牲」と
彼らをただのAIではなく、ゴーストの宿る部下として讃える。
1期に引き続き、彼らの存在は涙腺をもろくさせる

全体的に見て1期よりも一般向けの作品ではない。
1期にあった見やすさはほとんどなく、難解なストーリー展開はかなり人を選ぶが
しかしながら難解ではあるものの練りこまれた近未来の日本という舞台での
「現実に起こるかもしれない」事件の数々は緊迫感があり、
この作品がいかにぶっ飛んでいる作品かを感じることができる。
どれだけ綿密に細かい部分を作り上げているのかと驚くばかりだ。

ただ、今回の敵である「合田一人」や「クゼ」は確かに魅力のある人物ではあるのだが
1期の「笑い男」に比べるとどうしても魅力にかけてしまっている。
これは作品中でもキャラクターが実際に言っていることだ
あくまでも彼らは「笑い男」事件の根幹を模倣しただけに過ぎず、
模倣が世界的に大きな事件に成長し核ミサイルまで出てくる展開になっても、
日本という狭い世界観だけで構築されていた前作に比べて見劣りしてしまう点も多かった
作品として話があまりにも大きくなりすぎた感はあった。

しかし、1期以上にクォリティの上がった作画と戦闘シーンは見ものだ。
1期があまりにも完成度が高く衝撃的だったため2期でやや見劣りするのは仕方なく、
何回も繰り返しみると「1期以上」に作りこまれた部分や面白い部分があることに気づく
だが、何回も繰り返し見るには2クールという長さや作品の重さが邪魔をし、
結果として前作以上に好みの問題も大きく人を選ぶ作品に仕上がっていた。

1期が気に入ったら是非、2期を見て欲しい。
1期に比べれば若干勢いはなくなるが、それでも「攻殻機動隊」という作品が
見る人に与える衝撃や影響は計り知れない。
1期、2期と何度も見て「あぁ、攻殻機動隊ってやっぱり面白い」と
そう何度も感じれる作品だ。何回も見て面白いと感じられる作品は多くない。

SFは嫌いでなければ、1期と合わせて是非御覧ください。

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