評価 ★★☆☆☆(35点) 全11話
あらすじ 愛する家族との平和な日常を守る為、元・伝説の殺し屋が、次々と迫りくる刺客に挑む。 引用- Wikipedia
3ヶ月じゃ体重もアニメも変わらない
原作は週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品。
監督は渡辺正樹、制作はトムス・エンタテインメント 。
本レビューは1期の2クール目のレビューとなる
1期
1期の評価は散々だった、原作の画力の高い漫画に対し、
アニメではそれが追いついておらず、同じような構図で同じような
シーンをアニメでもやっているのに、その構図の意図、
シーンの意図を汲み取りきれておらず、明らかにアニメでは
見劣りするものになってしまっていた。
無駄にスローを多用する戦闘シーンや、
スライドショーになっている戦闘シーンまであった。
これが10年や20年前のジャンプアニメなら許されていただろう。
通年アニメとして毎週毎週1年間放送されるアニメならば、
このクォリティで十分満足できる作品だったかもしれない。
しかし、今は時代が違う。
鬼滅の刃や呪術廻戦、スパイファミリー、多くのアニメが
ハイクォリティな作画で見せてくれている。
そんな時代だからこそ物足りなさを感じるものになっていたのが1クール目だった。
2クール目ではそこがどうなるのかが気になるところだ。
殺し屋
OPの段階で1クール目と比べて色鮮やかな色彩でおしゃれな感じになっており、
1期のOPと比べると最近のアニメっぽさが強くなっているため、
やや期待感が生まれている部分がある。
2クール目でも同様に元殺し屋の坂本を狙って殺し屋がやってくる。
スラーという謎の人物に狙われている坂本達、
死刑囚たちがでてきて、彼を狙っている。
このあたりのストーリーは1期とあまり変わらない。
色々な殺し屋が出て、それを倒して、また殺し屋が出て。
基本的にこの繰り返しだ。
12話から死刑囚と呼ばれる殺し屋たち、そして「ORDER」を見せ、
軽く1クール目の振り返りも描かれる。
「ORDER」の「篁 」の抜刀シーンが描かれるのだが、
ここでも無駄にスローシーンが使われている。
OPは期待できるのだが、2クール目の1話で早速不安を感じる。
12話から 死刑囚の一人がシンとルーの目の前に現れる。
この戦闘シーンでも無駄にスローが使われるのは相変わらずだ。
1クール目と同様に意味のないスローと
止め絵を無駄に多用しているだけに過ぎない。
原作のコマ、原作の動きを再現するためのスローや止め絵なのはわかるが、
再現することに精一杯になっており、アニメとしての面白みが生まれていない。
これは1クール目から変わっていない、
そもそも分割2クールであり、1クール目で批判された部分や欠点を
改善するだけの制作時間があるわけもない。
かるすぎる戦闘シーン
だからこそ命のやり取りをしているはずなのに常に軽い。
2クール目1話でのシンの成長自体は悪くないのだが、
軽い戦闘シーンで命のやり取り感の薄いお遊びな戦闘シーンの中で
戦闘されてもキャラの魅力にも繋がらない。
12話であっさり死刑囚の一人を倒したかと思えば、
13話でもまた別の死刑囚がでてきて、ORDERの一人と戦いやっつける。
あまりにも戦闘が軽い、歯ごたえというものがない。
「そこをスローにするの?」「なんでそこで止め絵?」と
戦闘シーンのたびに演出に疑問を感じ、歯ごたえがないまま終わる。
ぽっと出の死刑囚の過去も描かれたりするが、心底どうでもよく、
戦闘シーンが終わってもすっきりとせず、
無駄に多い死刑囚とそれぞれのキャラが戦う序盤は、
12話でシンが新しい能力に目覚めたというところ以降は
別に飛ばしてもストーリー的には問題ない。
そんなどうでもいい死刑囚とのバトルがおわり、
16話からようやく話が動き出す。
日本殺し屋連盟
この世界には日本殺し屋連盟 というものが存在し、
まるで会社が普通に仕事を請け負うように殺しを請け負っている。
そこには多くの従業員、多くの殺し屋が所属しており、
坂本自身もそこに所属している。
そんな日本殺し屋連盟を謎の人物スラーが襲う。
このスラーと坂本の戦闘シーンは余計なスローも使わず、
圧倒的なスラーを演出しており、
中盤くらいからようやく「戦闘シーン」に磨きがかかかってくる。
1クール目も終盤の戦闘シーンは良かっただけに、
一部の戦闘シーンしか気合を入れていないイメージだ。
スラーとのバトルが終わると、唐突に殺し屋学校にあるかもしれない
スラーの情報を求めて殺し屋学校の編入試験を受けることになる。
ジャンプものとしてはベタな試験展開だ。
試験に参加するアマチュアの殺し屋という名の新キャラも大量に出てくる。
この試験編になると、またスローと止め絵が頻出する。
試験編
試験編では様々な人物が殺し屋になるために試験に参加しており、
新キャラもかなり増える、特に女性キャラが多いのは特徴的であり、
かなりテンポよく描かれている感じがある。
ただ、冷静になるとあくまでスラーの情報を求めるための学校への編入であり、
いわゆる「回り道」でしかない。
殺し屋同士が戦っても、結局坂本やシンなどが「不殺」であるがゆえに
敵を殺すという展開もなく、当然、メインキャラが殺される展開もない。
殺し屋になろうとしているのに「人を殺したくない!」と
意味不明なことを言うキャラもおり、ちょっと意味不明だ。
そもそも殺し屋という職業自体が「悪」のはずなのに、
その「悪」を否定しようとするバックボーンがキャラに多すぎて
キャラクターにもいまいち感情が乗らないのは1クール目から同じだ。
ORDERなどのプロの殺し屋は躊躇なく人の命を奪う、
だからこそキャラの魅力があるのだが、
試験編になって出てくるキャラは「殺す」ことに迷ったり、
そこまでしなくても!と焦るキャラが多すぎる。
そういう考えや迷いがあるのに殺し屋になるための
学校にはいるのは矛盾でしか無い。
死闘
そんな試験にスラーたちがリモートで介入してくる。
これもありがちな展開だ。
終盤のシンの死闘は悪くないものの、
ストーリー的にはかなり中途半端なところで終わる。
スラーの目的もよくわから無いまま終わってしまう。
分割2クールで作られたものの、
その3ヶ月のブランクでは1クール目からの大きな変化も少なく、
バトルシーンが増えて日常シーンが減ったというくらいでしかない。
スラー側の殺し屋が最終話で続々と登場し、
今後の戦いを匂わせるが、同じように次々と殺し屋がでてくるだけなのかと
あまり先の展開への期待感もわかない作品だった。
総評:実写映画化にも不安しか無い
全体的に見て2クール目のOPはかなりおしゃれになっているものの、
それ以外の変化は乏しく、戦闘シーンにおけるスローや止め絵も
相変わらず目立ちまくり、盛り上がりに欠けてしまう戦闘シーンは
原作の絵を再現しようと必死だ。
一部の戦闘シーン自体は悪くないものの、あくまで悪くない止まりになっている。
ストーリー的な盛り上がりの無さも致命的だ。
1クール目とやってることがほぼ変わらず、
ひたすら殺し屋と戦っているだけに過ぎない。
スラーという存在が出てきたことで多少は話が進んだものの、
ガッツリ進んだわけでもなく、敵の目的もよくわからない。
序盤の死刑囚など別に出なくてもいいような存在でしか無く、
2クール目の序盤以降はメインキャラであるはずの「ルー」も
ほぼ出てこないで終わる。
2クールやってもストーリーの方向性が見えずじまいであり、
2期があればスラーが本格的に動いてその目的が明らかになり、
色々と動き出すのかもしれないが、
2クールやっておいてストーリーの進行がここまで遅いのは致命的だ
実写映画化も決まり、2期の可能性も高い作品ではあるものの、
この調子だと実写映画化も不安でしか無い作品だ。
個人的な感想:世界観
作品の世界観やキャラの倫理観などが定まりきれておらず、
そのブレが序盤ではより強かったのだろう。
ブレが残るまま、2クールやってしまった感じもあり、
アニメでそこをうまく料理しきれている感じもない。
2期があった場合どうなるかは気になるところだが、
2期っぽい映像だけで正式な2期決定のお知らせがないのは、
アニメの人気を指し示しているのかもしれない。