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令和のドーパミンアニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」レビュー

5.0
銀河特急 ミルキー☆サブウェイ SFアニメ一覧
©亀山陽平/タイタン工業
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評価 ★★★★★(80点) 全12話

自主制作アニメーション『ミルキー☆ハイウェイ』本編

あらすじ 銀河道路交通法違反で逮捕されてしまった強化人間のチハルとサイボーグのマキナ。二人に課せられたのは惑星間走行列車・通称ミルキー☆サブウェイの清掃作業引用- Wikipedia

令和のドーパミンアニメ

本作品は「亀山陽平 」監督によるオリジナル作品。
原作、監督、脚本、キャラデザ、音響監督、制作は全て亀山陽平が
手掛けており、1話3分半ほどの短編アニメだ。

怒涛の会話劇

この作品はフルCGで制作されており、
しかも、舞台は宇宙で「強化人間」や「サイボーグ」がいる。
見た目が明らかに人間離れしており、
その異質さがCGと非常にマッチしており
サイボーグなキャラは声もサイボーグっぽい
機械音声になっている工夫がなされている。

そんなキャラクターたちが「喋りたい放題」している(笑)
メインキャラクターたちは「銀河道路交通法違反」で逮捕され、
1週間ほどの奉仕活動でミルキーサブウェイという惑星間走行列車 を
清掃することになる。

そんな説明を受けるというのが1話なのだが、
それだけのシーンで相当に個性が強い。
ただの会話劇なシーンだ、本来アニメにおける会話劇は
「他人のセリフ」を遮ることはない。だが、この作品違う。

余裕で遮る(笑)
左から右から、ありとあらゆるところからキャラの「セリフ」が飛び交い、
思わず画面にも耳にも集中してしまう。
ごちゃごちゃしているのだが、そのゴチャゴチャ感が癖になり、
ハイスピードな会話劇は「間」というものを感じさせない。

通常再生な速度で見ているはずなのに2倍速で見ているような感覚になるほど、
詰めに詰め込まれた脚本はものすごい濃度だ。
1話3分半しかないからこその詰め込んだ脚本なのかもしれないが、
それがこの作品らしい魅力になっている。

1話見てみると思わず2話、3話と見続けてしまう。
清掃活動中に勝手に走り出すミルキーサブウェイ、
効果音と音楽が非常に心地よく、動きに合わせた効果音と
「キャンディーズ」の曲が強烈な印象を残してくれる。

思わず何だこの作品はと叫びたくなる「濃厚さ」を
序盤でしっかり味あわせてくれる。
会話を遮るような会話、その会話を遮る音楽やSE、
この「音」の使い方は芸術的ですらある。

どのシーンでもBGMやSEが記憶に残り、
画面を見ずに耳だけで聞いていても独特の心地よさがある。
そんな耳だけでキャラの印象が残る怒涛の会話劇、
それに合わせて目で独特なキャラデザのキャラに印象で釘付けになる。

たった1話3分半しかない。
だが、その3分半を何度も何度も味わいたくなるスルメ的魅力がある。
私は普段そんなことはしないのだが、あえて倍速にしてみたり、
あえて少し遅くしてみたりして会話を何度も味わいたくなる。

そうしてるうちに毎話始まる前に
「あいつなんかあいつなんか」と口ずさんでしまう。
もはや中毒だ。

ミルキーサブウェイ

勝手に動き出したミルキーサブウェイは密室だ。
そこに取り残された6人はときに喧嘩をし、ときに言い争いつつも、
ちょっとしたきっかけで仲良くなり、会話劇が繰り返される。
永遠に聞いていたくなるほどの会話劇は異様なまでに心地よさがある。
これはもう、ある種の麻薬だ。

序盤で主人公とも言える「チハル」と「マキナ」を
きちんと掘り下げ、そこから「アカネ」と「カナタ」を描き、
更に「カート」と「マックス」を描く。
6人のメインキャラがそれぞれの立ち位置で、それぞれの魅力で、
きちんと作品の中の役割があり、それがキャラの相互作用を生んでいる。

序盤で描かれるチハルとマックスの関係性は尊い友情関係があり、
アカネとカナタはまるで姉と弟のように、
カートとマックスはずっとゲームをしている(笑)
便利屋でダウナーなカートと明るいマックスの会話もたまらない。

サイボーグたちの「食事」シーンも独特であり、
「吸引式の食べ物」を首に差し込んで味わう方式だ。
そういった細かい部分で世界観を築き上げている。
ちなみに吸引式のキャラメルはサイボーグを自白させる機械だ(笑)

自白させるという流れで二人のキャラを3分半という短い時間で描く
脚本も見事であり、見れば見るほどこの作品の世界観に取り込まれていく。
カネさえ払えばなんでもやってくれる便利屋の二人、
そんな二人にカネを払い、「警備システム」を攻略する。
この攻略シーンの音ハメは快楽すら感じる

この3組は友達でも知り合いでもない。同じ奉仕活動をしているだけの存在だ。
だが密室という状況の中で不思議な関係性が築かれていく。

1クール

この作品は1話3分半全12話しかない。
普通のアニメで言えば2話分にも満たない量しかない。
ストーリー的にはミルキーサブウェイに軽犯罪を犯したものが閉じ込められ
脱出を試みつつ、最後には黒幕が現れる。

「チハル」と「マキナ」 は友達だ、だがそれ以外は
今回初めて知り合った奴らでしか無い。それでも彼女は「助けよう」とする。
すぐに手が出るマキナだが、自分のためではなく
人のために手が出るタイプの人間だ。

そんな彼女の決断が5人を動かす。
いつも失敗ばかりだったカナタが、金をもらわなければ何もしなかった
便利屋が、損得勘定を抜きにして動き出す。
そして、最後はロボットアニメになる(笑)

もはや何でもありな作品だが、最初から最後まで
ドーパンドバドバで楽しまさせてくれる作品だった。

総評:見てみな飛ぶぞ…

全体的に見て素晴らしい作品だ。
令和の時代、タイパだのなんだのと叫ばれることが多いが、
そんな時代だからこその短編アニメであり、詰めに詰め込まれた脚本と
演出、画面構成、考え込まれた音のハメ方まで、
強烈なまでに「ドーパミン」を放出させてくれるアニメだ。

ショート動画が流行したこともあり、
こういった短く楽しめる作品が好まれる傾向がある。
そんな「時代」が生んだ名作だ。

1度では聞ききれないほどのセリフの応酬、
1話1話に詰め込まれた情報量の多さは凄まじく、
見ているだけで楽しいアニメーションと、聞いているだけで心地良いセリフ、
快楽すら感じさせてくれるSEやBGMが脳内物質を
ドバドバ出してくれることを実感してしまうほどの作品だ。

もはや見る快楽だ。
これが1話30分だったりしたら疲れてしまう。
1話3分半だからこそ、この刺激を受け止めることができ、
1クール味わい尽くすことができる。

内容的に2期もやろうと思えばやれるかもしれない。
魅力的なキャラクター、魅力的な世界観なだけに、
またこの6人がなにかの事件に巻き込まれてくれないかと
期待するばかりである。

個人的な感想:隠れた名作

放送前は話題にすらなっていなかった記憶があったが、
毎週配信されるYouTubeの動画はとんでもない再生回数になっており、
最終話は200万再生、1話は485万再生されている。
化け物コンテンツだ(笑)

しかも、原作、監督、脚本、キャラデザ、
音響監督、制作は全て亀山陽平氏が手掛けており、
この作品を総集編という形で新規映像を足して映画化までするそうだ。

今後見逃せないクリエイターの一人かもしれない。

「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」に似てるアニメレビュー

監督:亀山陽平, クリエイター:亀山陽平, Writer:亀山陽平, 出演:寺澤百花, 出演:永瀬アンナ