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【竜とそばかすの姫】ネットは絶望的だった?超かぐや姫が描いた未来と世界【サマーウォーズ】

アニメコラム
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どうもみなさん、ここ最近、私のTwitterのタイムラインでは
「超かぐや姫」の話題で大変盛り上がっています。

アニメとネット

イノセンス
評価/★★★★☆(75点)制作/Production I.G監督/押井守声優/大塚明夫,山寺宏一,田中敦子ほか全話/各話キャプ画付き感想はこちらあらすじ前作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のラストで少佐こと草薙素子が...

この超かぐや姫、詳しくはレビューのほうを見てほしいのですが、
私個人としては「細田守監督」の名前がどうしても頭から離れませんでした。
なぜなら本作は、細田守監督がこれまで描いてきた
「インターネットの世界」の延長線上にありながら、
同時に、彼自身が描ききれなかった領域に踏み込んでいるように見えたからです。

アニメとインターネットの世界は密接なもので、
最近ではサブクス配信によってアニメは更に多くの人に知られるものになりました。
そんなアニメの中でもインターネットの世界が描かれることも多く、
名作と呼ばれる作品も多くあります。

今回はそんなインターネットを描いた作品を振り返りつつ、
アニメで描かれて来たインターネットの変化を振り返っていこうと思います。

90年代のインターネットは未来だった

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」レビュー
評価 ★★★★☆(78点) 全85分あらすじ テロなどの犯罪を未然に防ぐ、内務省直属の組織「公安9課」に所属する草薙素子(通称「少佐」)は、認定プログラマーの他国への亡命に関わった外交官暗殺の任務を遂行し、亡命を未然に阻止する。引用- Wi...

アニメにおいてインターネットの世界を描いた代表的な作品といえば
「攻殻機動隊」がその1つでしょう。
史郎正宗氏が手掛けた漫画が原作の本作品では
人間の脳を機械化し、脳とインターネットを直接つなぐ、
この斬新な設定は多くの人を虜にし、インターネットというものに対する
未来が描かれていました。

といっても攻殻機動隊が描かれていた当時はまだまだ
インターネットというものは一般的なものではなく、
ごく一部の人が使うものでした。
私自身がパソコンを使いインターネットを始めたのが1998年くらいなので、
いわゆるダイアルアップ接続が主流の時代でした。

そんな時代にインターネットの未来を描いた
「攻殻機動隊」の世界の先見の明は素晴らしく、肉体というものを
失っても人を人たらしめんとするものはなんなのか、
ゴースト、魂の場所はどこにあるのかというテーマ性は素晴らしいものがありました。

このころのネット関連のアニメといえば攻殻機動隊やlainなど
どこか哲学的なものが多く、インターネットという新しい技術、
新しい時代において人の思考や生き方に与える影響は
なんなのかと考えるような作品が多かったように感じます。

「インターネットでなにをするの?」なんて言われていた時代ですからね。
だからこそインターネットというものが人に、そして社会にどう
影響を与えるのかというのをアニメでは描かれていました

2000年代のインターネットは別世界

「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」レビュー
評価 ★★★★☆(70点) 全40分あらすじ デジタルワールドから子供達が帰ってきて数か月経った2000年の春休み。引用- Wikipedia

2000年代に入るとインターネットが多くの人に浸透していきました。
ミレニアム問題におびえていた人たちは今お元気でしょうか(笑)
そんな2000年代に入ると、インターネットは未来のものではなく、
より身近なものになり、ある種のもう1つの現実になります。

特にわかりやすいのがインターネットを使ったゲーム、
オンラインゲーム、MMOなんて言われるものが流行り始めたことが
大きなきっかけだったかのように思います。
ウルティマオンラインや、ラグナロクオンライン、
ゲームを通してインターネットの世界、もう1つの世界に触れていました。

アニメでもその傾向が強くなり
「デジモンアドベンチャー」にはデジタルな世界に直接いったり、
少し年が積み重なると、「.hack」や「ソードアート・オンライン」では
インターネットのゲームの世界に閉じ込められるという状況が描かれます。

現実とは違うもう1つの場所、そこに自己表現や自己逃避を
求める人も多くなり、社会的な問題に発展することも多く、
アニメではそれがデジタル世界から帰れない、
ログアウトできない、ゲームの中での死は
現実での死という設定で描かれる作品が生まれ始めました。

2010年のインターネットはインフラへ

正確には2009年ですが、サマーウォーズで描かれていた
「OZ」というインターネットの世界では、インターネットというものが
もはや「インフラ」になっていました。
娯楽やショッピング、行政手続までネットでできる。
その結果としてそれが乗っ取られる危険性までを描いています。

ダイアルアップ回線から、ADSL、そして光回線になり、
多くの人がインターネットを使い、ガラケーを誰しも持ち、
インターネットの世界を楽しむようになっています。
そして2008年にiPhone3Gが日本に上陸し、
スマートフォンというものが流行したことでより、ネットは身近に、
そして「社会」に根付いていきました。

サマーウォーズで描かれたインターネットの世界は
少し未来のインターネットの世界ではあるものの、
娯楽もショッピングも行政手続もできるようになった今のネットの
世界を近い形で描いています。

もはや人類が生きていくうえで、文化的な生活をするうえで、
インターネットが欠かせないものになったことを表しており、
身近になったからこそ逆に「インターネットの世界」そのものを
描く作品は減っていった印象があります。

2020年代のインターネットは自己表現に

「竜とそばかすの姫」レビュー
評価 ★☆☆☆☆(18点) 全121分あらすじ 高知県の田舎町に住んでいる、そばかすが目立つ地味な女子高生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くして以来、大好きだった歌を歌えなくなり、父との関係にも溝が生まれていた。引用- Wikipedia

インターネットの世界、仮想世界、電子的な世界を描く作品が
減った中で、インターネットというものは身近になり、インフラになり、
そして「自己表現」の手段として使われるようになっていきます。
YouTuberやVTuberといった存在が台頭し、
それに影響され「SNS」というものでの自己表現を描く作品も増えました。

「竜とそばかすの姫 」はまさにそんな作品であり、
現実世界では閉塞感を感じ、孤独だった少女が、
「U」というネットの世界でアバターを被り、
現実世界では歌えない少女が仮想世界では歌姫になり、
自己を表現する。

他の作品でも似たようにSNSにおける自己表現や
承認欲求というものを描いており、
インターネットはあくまでも手段になりました。

その結果、ふわっとした作品が増えており、
竜とそばかすの姫も「U」という世界に50億人も集まっている理由が
よくわからず、デバイス自体も謎のワイヤレスイヤホンのような機械で
未来を描いているのに、その未来の描写が明確ではないものになっています。

未来、もう1つの世界、インフラと形を変え
発展してきたインターネットの描き方が「自己表現」にたどりつくことで、
2020年以前の作品にはあった仮想世界の面白さが薄まり、
陰鬱な作品なども増えていった印象があります。

これからのインターネットは「可能性」に

これが新時代!超百合で超SFな大傑作「超かぐや姫」レビュー
評価 ★★★★★(82点) 全142分あらすじ バイトと学業の両立で多忙な日々を送る17歳の女子高生・酒寄彩葉にとって、インターネット上の仮想空間「ツクヨミ」の管理人であり大人気ライバー(配信者)でもある月見ヤチヨの配信を見ることは、日々の...

細田守監督作品はぼくらのウォーゲームから
インターネットを扱う作品もあり、時代の変化を感じさせます。
しかし、そんな細田守監督自身が「竜とそばかすの姫」では
インターネットに対する否定的な考えや、承認欲求や自己表現というものに囚われ、
同時に「インターネット」というものに対する解釈も薄まった印象があります。

インターネットの世界は常に変化していきます。
特にここ数年はそれが顕著で、いわゆるブームになったものですら
三ヶ月もすれば「そんなものあったね」で終わるほどサイクルが短くなっています。
猫ミームなどがいい例ですね。

その波の中でのブームは多くの文化、コンテンツが生まれる時代です。
その流れについていけない人はネットへの理解度がどんどんと落ちていく。
「細田守監督」が竜とそばかすの姫でのネットの描写や未来の描写が
曖昧なものになってしまった原因はここにあると私は見ています。

これは作品の欠点というより、変化が早すぎる現代のインターネットを、
物語として固定すること自体が困難になっていることの表れ
だったのかもしれません。

その流れについていき、その中で多くの人が自らを表現し、
自らの考えを発信する、それができるのは今の人たちであり、
そこにあるのは「可能性」だと私は感じています。

「好きなことで、生きていく」
というのがYouTubeのキャッチコピーですが、まさに、それです。
20年や30年前に「ゲーム実況」というものが1つの仕事になることなど
誰が想像していたでしょうか。

色々なダンスをうまく踊る、それだけで人気になる人もいる。
歌がうまいというだけで人気になる人もいる。
様々な可能性がインターネットの世界には広がっています。
それだけ選択の余地があり、そこに悩む人も多いことでしょう。

そんな時代に「超かぐや姫」という作品は可能性を描いていました。
インターネットの、そしてVRの世界の少し未来。
そんな中で生まれる「娯楽」の数々、「面白さ」の数々、
「自己表現」の数々をあくまで前向きに描き、
バッドエンドだった物語ですらハッピーエンドに変えてしまう。

インターネットにある「可能性」というものを
「超かぐや姫」では指し示してくれた印象があります。

これからのインターネットとアニメ

2026年アニメ映画ワースト1位「迷宮のしおり」レビュー
評価 ☆☆☆☆☆(10点) 全115分あらすじ どこにでもいる普通の女子高生・前澤栞は、ある日突然スマホの画面が割れてしまい、気がつくと異世界の横浜にいた。 引用- Wikipedia

時代を追うごとに変化し、進歩していくインターネットにあわせ
アニメでも多くの作品が生まれました。
しかし、2020年代に入ってからは閉塞感や孤独、恐怖というものを
内在した作品が多く、作り手側も理解しかねている部分があったのかもしれません。

しかし、若い人たちはまだまだ、そこに可能性を見出しているのでしょう。
VR、VTuber、歌、ダンス、雑談、ゲーム、人とのつながり、
様々な分野の中、あふれかえるようなコンテンツの中で
「自己を表現」し「自分の未来」につながるもう1つの「可能性」のある世界が
インターネットにはあるのかもしれない。

そう感じさせてくれたのが「超かぐや姫」であり、
思わずここまでの長文を語るアニメコラムまで出来上がりました(笑)
約10年ごとにインターネットというのはその時代の文化が生まれており、
ここからの10年、2030年ごろにはいったいどういう世界になり、
どういうアニメが生まれるのか楽しみにしたいところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著:桐山 なると, イラスト:うらたあさお, その他:スタジオクロマト・スタジオコロリド