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【コナン】国民的アニメ映画が陥った「暗黒期」とは何だったのか ?コナン・ドラえもん・クレしんの暗黒期を振り返る【ハイウェイの堕天使】

暗黒期 アニメコラム
暗黒期
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日本における国民的アニメ映画といえば
名探偵コナン、クレヨンしんちゃん、ドラえもんの3作品。
この3作品は30年近く、コロナ禍を除いてほぼ毎年
劇場アニメが公開されており、日本人ならば多くの人が
どれか1つは見たことがあるはずだ。

それほどこの3作品は「国民的アニメ」として
お茶の間の皆さんが楽しんだTVアニメであり、同時に
家族で、友達で、時には恋人や、気になってる人、
もしくは一人で観に行ったことがある作品だ。

それだけ長期に作られ続けている3作品ではあるものの、
この3作品、どの作品も「暗黒期」と呼ばれる時期がある。

暗黒期

先日、コナン映画最新作である「ハイウェイの堕天使」にて、
私はレビューの中で久しぶりに「暗黒期」という言葉を使った。
この「暗黒期」という言葉、もちろん公式側が定めたものではなく、
あくまで視聴者側が使っているものでしか無い。

その定義自体が若干曖昧ではあるものの、
個人的に使用する際の意味合いとしては
ある程度長期に続いた作品の低迷期として使用している。

この暗黒期に国民的アニメ映画はそれぞれ陥ってしまったことがある。
今回はあえて、それをきちんと振り返っていきたい。

クレヨンしんちゃんの暗黒期

この3作品の中でもっともわかりやすい「暗黒期」を
迎えたのがクレヨンしんちゃんだ。
野原しんのすけという5歳児を主人公にしたギャグアニメであり、
1作目の「クレヨンしんちゃん アクション仮面vsハイグレ魔王」は
1993年に公開された作品だ。

クレヨンしんちゃんに限らず初期の国民的アニメ映画というのは
「神格化」されやすいのだが、個人的にも初期の作品は
名作が多いと感じるシリーズだ。

その初期を支えた本郷みつる監督から原恵一に監督がかわり、
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 、嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦が
制作された。

この2作品があまりにも名作として受容されすぎたことで
以後のクレヨンしんちゃん映画が「泣けること」「感動できること」を
過剰に求められ、シリーズが迷走していく土壌を作ってしまった。

この2作品は感動的な名作として今もなお語り継がれている。
笑いがあり、クレヨンしんちゃんらしさを保ちつつも、
大人でも泣いてしまうような作品だ。
この名作が生まれてしまったからこそ、クレヨンしんちゃんは迷走する。

2005年の伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃から
この暗黒期は始まっており、内容的に感動させようと狙った作品も多い。
興行収入的にも低迷し、見た人の感想は賛否両論、
名作が2作品生まれたことで、感動要素を過剰に求めるようになり
クレヨンしんちゃんらしさが失われてしまったのが最大の原因だ。

クレヨンしんちゃん暗黒期脱出

だが2013年の「バカうまっ!B級グルメサバイバル! 」は
完全にギャグに割り切った作品になっており、
2014年の「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 」は感動とギャグが
入り混じった名作だった。

その後の作品は賛否両論ある作品はあるものの、
暗黒期と呼ばれる時期のように微妙な作品が
2,3年続くということはなくなっている。

個人的な感想で言えばここ数年は
名作と迷作が入り乱れながら交互に制作されている印象だ。
毎年名作!という感じではないものの、
そのブレ幅も含みつつ楽しめるシリーズになった印象だ。

ドラえもんの暗黒期

ドラえもんに関しては「暗黒期」はないという印象がある人も多いだろう。
しかし、昔からドラえもん映画を見てる人にとっては
「声優変更」による移行期は暗黒期だと感じた人も多いはずだ。

1980年に始まったドラえもん映画は
2004年のワンニャン時空伝を最後に声優陣が一新された。
旧声優陣という巨大な存在から新体制へ移る過程そのものが、
一部の視聴者にとっては暗黒期のように感じられたのだと思う。

特に声優陣一新後の1番最初の作品である
「のび太の恐竜2006」はリメイク作品であり、
そんなリメイク作品にも関わらず作画のクセが凄まじく
旧作と比較されやすい環境を生んでしまった。

その後も一部の作品を除いて賛否両論になってしまっており、
リメイクのときは過去作と比較され、
新作のときは新作のときで内容の微妙さで議論を生んでしまい、
いわゆる「暗黒期」のように受け取られた時期が続いた。

それでも興行収入は安定しており、
ドラえもんというブランドのすさまじさを感じるものがある。

ドラえもんの暗黒期脱出

暗黒期を抜け出せたのは
2013年の「のび太のひみつ道具博物館ミュージアム」あたりからだ。
このあたりからドラえもん映画はリメイクより、新作のほうが
評価高いことが増えてきており、当たり外れはありつつも、
クオリティも一気に上がっている。

新・のび太の日本誕生では40億円の壁もぶち破り、
のび太の宝島では50億円を突破、
その後、コロナが流行したことにより低迷したものの、
今に至るまで40億円の興行収入を突破し続けている。

2023年から2025年までの3年間はリメイクに頼らず、
新作を作り続けており、ドラえもん映画という
長期シリーズにも関わらず、新作でここまで
ヒットし続けるというのは本当に凄まじいものがある。

リメイクという安牌ではなく、オリジナルに
挑戦し続けるドラえもん映画シリーズには感服だ。

名探偵コナンの暗黒期

名探偵コナンは「時計じかけの摩天楼 」が1997年に公開され、
今もなお、とんでもない興行収入を叩き出している人気シリーズだ。
そんなコナン映画にも暗黒期は存在する。

クレヨンしんちゃんと同様に初期の作品は神格化されており、
7作目の迷宮の十字路までの「こだま兼嗣」監督作品は
根強いファンも多く、面白さもしっかりとある作品だ。
今のコナン映画をコナン映画たらしめる要素を
この7作品でしっかりと築き上げている

そんなこだま兼嗣監督から山本泰一郎監督に変更になり、
2007年に公開された紺碧の棺はコナン映画ランキングなどでは
最下位になることもあるほどの作品だ。

TVSP感の強いエピソードがこの頃には多く、
映画館で見るには物足りなさが残ってしまったり、
ツッコミどころが多かったりするのが暗黒期映画の特徴でもある。

個人個人の主観、当たりハズレはありつつも、
この2007年の紺碧の棺から、2015年の業火の向日葵に至るまでを
暗黒期と呼称する人は多い。
業火の向日葵もコナン映画ランキングでは最下位になることが多い常連だ(苦笑)

名探偵コナンの暗黒期脱出

一般に「紺碧の棺」から「業火の向日葵」あたりまでを
暗黒期としてまとめて語る人は多い。
ただ、個人的にはその流れの中でも
「絶海の探偵」あたりから少しずつ風向きは変わっていたように思う。

脚本に相棒でおなじみの「櫻井武晴 」氏を迎えることで、
コナン映画におけるミステリー部分が強化され、
大人も楽しめるストーリーの作品が増え、更に赤井さんや
安室さんといったキャラの人気も爆発的なものになっていった。

クレヨンしんちゃんやドラえもんと違うのは、
基本的にこの2作品は子供向け、ファミリー向けの映画に対し、
コナン映画は2013年あたりから大人だけで見る人が増え始めている。
明らかに客層が変わった。

コナンというシリーズが長期化し、子供だった視聴者が大人になり、
大人になってもコナン映画に足を運んでいる結果だろう。
その結果、キャラクター映画としての要素も強まり、
ストーリーもかなり複雑化、本格的な作品が増えてきた。

純黒の悪夢では60億、ゼロの執行人 では90億、
黒鉄の魚影 では100億の壁を突破しており、
今もなお100億を超える映画を生み出しているのはコナンだけだ。

国民的アニメ映画の力強さ

3作品とも振り返ってみると凄まじさを感じるものがある。
クレヨンしんちゃんは子供向けのギャグアニメ映画だったが、
途中で感動路線に舵を切り暗黒期に入ったものの、
そんな暗黒期を抜け出しながらも感動要素はしっかりと取り込んでいる。

ドラえもん映画は旧作、旧声優陣という偉大な存在の高い壁を
乗り越えるのではなく、時に振り返りながらも
新しいものを生み出し続けることで暗黒期を抜け出している。

そしてコナン映画は子供向けのアニメ映画だった路線から、
老若男女が楽しめる国民的アニメ映画に進化しており、
TVSP感の強かった暗黒期から一転、
映画だからこその壮大なストーリーとアクションが描かれることで
暗黒期を脱出し爆発的なヒットシリーズになっている。

奇しくも3作品とも個人的な考えではあるが、
暗黒期を脱出したと感じたのが2013年作品なのは
とんでもない偶然で、この記事を書いていた私自身が
驚いてしまったほどだ(笑)

途中で暗黒期から脱出できずに終わるのではなく、
暗黒期を脱出することで暗黒期以前よりも
ヒット作を生み出しているのが、この国民的アニメ映画のすごさでもある。

今後ももしかしたら、再び暗黒期に入ることはあるかもしれないが、
それでもまた抜け出して、大ヒット作品が生まれるに違いない。
国民的アニメ映画というのは、
最初から完成されたシリーズのことではないのかもしれない。

最初に多くの人に受け入れられる名作がうまれ、
その後、迷走し、失敗し、それでもファンに
見捨てられず、そのファンの声に答えるように立て直してきた。
だからこそ国民的アニメ映画は国民的アニメ映画たらしめるのかもしれない。

ポケモン映画

余談だが、本来はここに「ポケットモンスター」の映画も入る可能性はあった。
ポケモンの映画は1998年からスタートし、そこから
2020年まで毎年上映されていた。

ポケモンの映画にも暗黒期がある。
ポケモンの映画は基本的に伝説のポケモンがらみのものであり、
2007年の「ディアルガVSパルキアVSダークライ」あたりから
怪獣映画のようになっていった。

この2007年に50億円の興行収入を突破して以降、
ポケモンの映画は右肩下がりになってしまう。
ポケモンの映画は暗黒期が長すぎた。

2018年の「キミに決めた!」は伝説のポケモンに頼らない
ポケモンの映画になっており、みんなの物語やココなどの
名作も産まれており、ミュウツーの逆襲の
リメイクなどにも手を伸ばしている。

しかし、時すでに遅くなのか、
ポケットモンスターのTVアニメ自体がリニューアルされ、
「サトシ」が主人公ではなくなった。
新シリーズになってからは映画も制作されなくなってしまった。

唯一、暗黒期を抜け出せなかった国民的アニメ映画だったかもしれない。
もし、もう少し早い段階で暗黒期を抜け出していれば
4大国民的アニメ映画になっていたかもしれないだけに残念だ。

今後、10年、20年先の未来にコナン、ドラえもん、
クレヨンしんちゃんに加わる国民的アニメ映画は
果たして生まれるのか…気になるところだ。