青春

妄想青春詰め合わせセット「灰原くんの強くて青春ニューゲーム」レビュー

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灰原くんの強くて青春ニューゲーム 青春
画像引用元:©雨宮和希・ホビージャパン/「灰原くんの強くて青春ニューゲーム」製作委員会
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この記事を書いた人

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★☆☆☆(28点) 全12話

TVアニメ「灰原くんの強くて青春ニューゲーム」第2弾PV |2026年4月2日から放送開始

あらすじ 高校デビューに失敗したことで暗い高校生活を送った灰原夏希は大学4年生のある日、7年前にタイムスリップした。 引用- Wikipedia

妄想青春詰め合わせセット

原作はライトノベルの本作品。
監督は星野美鈴、制作はスタジオコメット。

タイムリープ

主人公は堕落した生活を送っている。
やたらポエミーなモノローグで自分語りが始まるのだが、
この誰に向けているのかわからない自分語りは、
ライトノベルらしさをビンビンに感じさせる。

思い返す「灰色」の高校生活。
そんな灰色の高校生活を卒業し、大学は無難に過ごし、就職も決まっている。
しかし、「青春時代」のコンプレックスを抱える主人公は、
後悔の念を取り払うことができない。

そんな思いを秘めて神に祈った主人公は、目を覚ますと
「高校時代」にタイムリープしていたところから物語が始まる。
どこかで見たことがあるような、見たことがないような、
直接的に「この作品だ!」と明言することはできないが、
いろいろな作品を彷彿とさせる要素が入っている。

無駄にかわいすぎる妹などラノベ的なベタさもありつつ、
タイムリープした主人公は灰色の青春時代を虹色に変えようとする。
新鮮さというものは一切ないものの、わかりやすい導入だ。

高校デビュー前に必死にダイエットをし、
彼はきらびやかな高校デビューを飾ることになる。

虹色の青春

1話からメインキャラと出会う。
幼馴染や前回の時間軸では絶縁した友達など、
その中に主人公がかつて恋をし、一目惚れをしたヒロインとも
交流を持つことができる。

この時間軸での彼の目的は、今度こそ「星宮」という少女と付き合うことだ。
前回の時間軸では太っていたり、高校デビュー時の自己紹介で滑ったこともあいまって
付き合うことはできなかったのだが、
タイムリープ後は出会って数分で「星宮」を褒め、顔を赤らめさせている。

1話から一目惚れ相手と順調すぎて、
続きが見たいという気持ちが1話から全く生まれない。
なぜタイムリープしたのかという謎は気になるところだが、
何度もタイムリープするわけでもなく、1度きりであるがゆえに、
そのあたりはおそらく濁されそうな作品だ。

そうなると引きというものは生まれない。
なんやかんやあって一目惚れヒロインをゲットするんだろうなという
「オチ」が1話目から見えてしまっており、
1話があまりにも順調すぎるがゆえに、その予定調和なオチも見えてしまう。
これはかなり致命的だ。

2周目

主人公は7年前にタイムリープしたおかげで高校デビューを飾っている。
それだけでなく、7年の経験ゆえにバイトや料理の経験、
「バスケ部」だった経験が他の1年生よりもある。

そんな経験からバイトの上達スピードを褒められたり、
高校時代には勝つこともできなかった、
タイムリープ前にはバスケ部の主将だったキャラに勝つこともできる。
浅いタイムリープマウントをかましてくるのだが、
それが特に主人公の魅力や作品の面白さにつながるわけでもない。

主人公すげぇ!何でもできる!と周りが絶賛するものの、
見ている側としては、その凄さは7年分のアドバンテージゆえであり、
そんなアドバンテージで悠々自適な高校生活を見せられても、
面白みになっているわけでもない。

何もかもが順調すぎて、まさにタイトル通りの
「強くて青春ニューゲーム」ではあるものの、
強くてニューゲームという行為自体が、1周目のような面白さや
成長、インパクトにつながるわけではない。

精神

ただ、3話くらいから若干風向きが変わってくる。
7年前にタイムリープし、その7年のアドバンテージを活かし、
勉学、体育、遊び、カラオケに至るまでチートの限りを尽くしている。
しかし、彼は7年間の中で精神的な成長をあまりしていない。
精神的な未熟さが、7年のアドバンテージによる周囲への影響につながる。

完璧すぎる主人公ゆえに彼に惚れる女性も現れる。
本来は惚れるはずではなかった女性が主人公に好意を抱いたことで、
そんな女性に好意を抱いていたキャラが嫉妬を抱く。

これで主人公が7年間引きこもりだったとかなら、
精神的な未熟さも理解できるのだが、
普通に大学生をして就職間近までこぎつけたわりには、
精神が未熟すぎる部分がある。

どうでもいい恋愛のいざこざが描かれる中で、
「詩」という少女が主人公も自覚できるほど好意を向けてくる。
主人公の今回の時間軸での目的は「星宮」という少女と付き合うことだ。
だが、完璧超人となった主人公に惚れた女性キャラが出てくることで、
かなりややこしいことになる。

そういった恋愛事情自体は悪くないのだが、
どうでもいい幼馴染のどうでもいいバスケ部問題などが描かれる中で、
「詩」がグイグイと主人公に迫ってくる。
話が進んでいるのか進んでいないのかよく分からない感じが、
常に続く印象だ。

星宮

「星宮」と「詩」、この二人どちらにも好意を抱いてしまい、主人公は悩む。
1話から多くのキャラを出したせいで、その一人ひとりを
掘り下げるのに夢中になっているような感じだ。
そのキャラの多さを使いこなせているともいえず、一部のキャラは掘り下げ不足で、
あまり必要性を感じない。

中盤から露骨にメインヒロインである星宮の描写に偏っており、
ヒロインの家庭の問題が描かれたりするのだが、
露骨に偏りすぎた二人のヒロインのバランスを取ろうとしている感じがあり、
多くのキャラクターをバランスよく描けていない印象だ。

キャラクターを持て余している感じが非常に強い。
それなのに中盤を過ぎると知らない女が急に、
彼らのグループに入ってきて旅行に参加する。

何の脈絡もなく「軽音部」の女が出てくるのは意味不明でしかなく、
その軽音部の女に話自体を奪われてしまう。

バンド

主人公は唐突に9話から出てきたキャラにバンドへ誘われる。
主人公のバイト仲間と、軽音部の女とともにバンドを組む。
恐ろしいほどに何の脈絡もない展開だ。

灰色だった青春を取り戻すことも目的であり、
バンド活動もかつてやりたかったことの1つであることは分かるのだが、
バンドを組むメンバーがあまりにもぽっと出すぎる。

メインキャラは多くいて、キービジュアルには
主人公も含めて7人もいるのに、
そのキービジュアルには写っていないキャラクター3人が
いきなり出てきて主人公とバンドを組む。

完全にサイドストーリーだ。
星宮や詩との恋愛はそっちのけでギターに夢中になっていく。
どうでもいいバンド活動と、どうでもいい歌詞作りを
ひたすらやっており、どうでもいい感が極まる。

これが1〜2話程度ならまだ良いが、
終盤の10話から12話まで3話もかけているからこそ厄介だ。

告白

そんなバンド活動で脇道にそれまくって、
ようやく最終話で「詩」が告白してくる。だが、主人公はブレることなく、
あっさりと断ってしまう。
なら詩と星宮で少し迷っていたのは何だったんだと思うほど、
序盤のストーリーの無駄感も極まってしまう。

学園祭ライブも特にトラブルもなくうまくいき、
最終話では「星宮」と付き合って終わる。
それでハッピーエンドなはずなのだが、幼馴染が急にメンヘラになって終わる。

あまりにも歯切れの悪いラストに、最後の最後まで
「キャラクター」の使い方が下手という印象が強烈に残ってしまう作品だった。

総評:妄想青春詰め合わせセット

全体的に微妙な作品だ。
露骨に作画はあまり良くなく、1枚絵をカメラワークでごまかしたり、
一部のシーンではやや作画も不安定だったりする。
基本的に会話劇の青春ラブコメであるが、
作画やアニメーション的な工夫はあまり感じられず、
演出面でもかなり力不足だ。

あえてキャラクターの「頭上」を映すカメラアングルなど、
目まぐるしい作画省略の努力を感じるが、
唐突にそんな謎カメラワークを見せられると戸惑いのほうが勝ってしまう。

ストーリー的にもタイムリープした主人公が理想の
青春時代を送るために色々とするのだが、色々なイベントが
淡々と積み重なっている感じが強く、キャラクターも多い割には使いこなせていない。

1クールで負けヒロインが負けるという予想通りの展開にするために
回り道をし、途中で完全なサイドストーリーであるバンド活動で
尺を稼ぎ、ようやく本命と結ばれる。
これでハッピーエンドで終わりなら良かったのだが、
最後の最後で幼馴染がメンヘラになってしまい、歯切れの悪いラストになってしまっている。

色々な女の子に好かれて、成績優秀でモテモテで、学園祭でライブもやっちゃう。
まるで妄想青春詰め合わせセットのような内容を
淡々と見せられた感じが強く、この続きが見たいとは思わない作品だった。

個人的な感想:詰め込み

どうやら1クールで終盤の山場を持ってくるために、
原作で言えば4巻分も詰め込んでいるようで、
そのせいで細かい部分が抜け落ちているのだろう。
どこか淡々としてしまっているのは、詰め込んでしまった結果なのかもしれない。

可愛すぎる妹もそうだが、元気っ娘な貧乳キャラや、
黒髪ポニーテールなど「既視感」がそこら中に転がっている。
そういうテンプレート感を超えるような魅力もヒロインたちに感じず、
結局、七瀬唯乃などいてもいなくてもどうでもいいようなキャラになっていたりと、
多すぎるキャラを使いこなせていないのが目立つ作品だった。

2期があるかどうかは分からないが、
原作ファンによればここから面白くなるらしい……。
ちんたらバンド活動していないで、そこを見せてほしかったところだ。

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