「学園ベビーシッターズ」レビュー

評価 ★★☆☆☆(38点) 全12話

あらすじ 鹿島竜一、虎太郎兄弟は両親を飛行機事故で亡くした。2人を引き取ったのは同じ事故で息子夫婦を亡くした森ノ宮学園・理事長引用- Wikipedia

無資格ですが何か問題でも?いや大問題だ・・・

原作は漫画な本作品。
監督は森下柊聖、制作はブレインズ・ベース。

見出して感じるのは「あ、少女漫画原作だな」と分かるキャラデザだ。
男性キャラクターの目の大きさやまつげの長さ、頭身の高さ、
女性ウケが良さそうな眼鏡キャラなど女性向けということが分かる
デザインと雰囲気を序盤から醸し出している。

ストーリー的にはやや強引だ。
両親が事故で死んでしまい幼い弟とどうするか迷っていた所、
同じ事故で息子夫婦をなくした理事長が引き取ってくれることに。
しかし、面倒を見る代わりに学園のベビーシッターとして働く事になるという、
シンプルかつ分かりやすいストーリーではあるものの強引な設定だ。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

特にベビーシッター部という設定はやや無理がある。
教職員のための保育ルームだが職員が足りず、
生徒にベビーシッター部というのに入らせてやらせようとしている。
当然、主人公や他の生徒は「無資格」だ。

いくら部活という建前はあっても他人の子供を
預かり面倒を見る仕事をしているのには変わらず、
いくら先生たちの子供だからといっても
小さな子供を生徒に面倒を見させるというのは何らかの問題が発生したときに
責任はどうするんだ?といった細かいことが見ていて気になって仕方がない。

これできちんと保育士の資格を持ったキャラが
主人公の他にも1~2名居て主人公はあくまでも補佐という状況なら、
無資格の学生でもまだ飲み込めたかもしれない。
しかし、平気で主人公一人と子供が複数と言う状況になってしまう。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

それに対して預けている母親たちは何も言わない。
この作品の世界にはいい人しかおらず、無資格の学生が自分の小さい子供の
面倒を一人で見ていても誰一人文句を言わない。
見ている側が違和感を感じ、無理があるという状況や設定に、
作品のキャラクターが誰も突っ込まず、誰も触れない。

あくまで男子学生にベビーシッターをやらせて
小さな子供たちとのハートフルなほのぼの日常を描きたいのわかるが、
その描きたい部分が先行しすぎてしまっており、
描きたい部分に対する説得力を生むための設定作りがまるでできていない。
思いつきのアイデアをそのまま描いてしまっているような感じだ。

これで高校生ならまだ飲み込めたかもしれない。だが主人公は中3だ。
無資格保育だけでなく、労基法的にもギリギリアウトな状況であり、
もはやツッコミ所というレベルを超えた設定だ。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

フィクションだから現実の法律や
現実の世界での常識を持ち出してはいけないのかもしれない。
しかし、そういった部分が気になってしまうとこの作品を素直に楽しめず、
「無理のある状況」が描かれてしまうのが気になって仕方なくなる。

例えば唯一の保育士が寝てばかり居て子供たちは放置、
子供が好きすぎて鼻血を出すほど興奮する変態と呼ばれるキャラがいたり、
子供を一人外に置いたまま目を話し階段から飛び降りるのを見逃したりと、
フィクションだからと片付けてしまうのには看過できないシーンが多い。

ストーリー自体は悪くない。
無理のある設定や極端なキャラを除けば「可愛らしい幼児」たちと、
そんな彼らに振り回される主人公やヒロインたちの日常はほのぼのと楽しめる。
特にヒロインは非常に可愛らしい。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

主人公に密かに思いを寄せるヒロインと、優等生かつ真面目すぎるヒロイン、
この二人のヒロインの恋愛模様は原作が少女漫画とは思えないほど、
あっさりとした恋愛描写であり、2人が仲良くなっていく過程や、
主人公への思いを募らせる場面は思わずニヤニヤしてしまうラブコメ模様だ。

幼児たちも幼児らしい行動や言動が多いのだが、
子供キャラ特有の「イラっとする」行動や言動はない。
いい子が多く、子供だからこその言動や行動は癒しになっており、
1話1話のストーリーもしっかりしている。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

両親をなくした主人公の感情や弟への思い、兄弟愛も描かれており、
思わず涙腺を少し刺激されるようなストーリーもあり、
話が進むと徐々に変化していき、成長していく彼らの話は面白い。

ほどよいラブコメとほんわか幼児との日常、
この両者のバランスが程よく、シリアスな展開やシーンなどもほとんどない。
設定のツッコミ所や無理のある部分なども気にしない&慣れてしまえば、
最後まで楽しめる作品だ。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

総評

全体的に見て内容がいいだけに根本の設定の強引さが残念でならない。
学生な主人公と幼い弟、その両者の日常を同時に描きつつ、
「ベビーシッター」としてのドタバタ日常と「高校生」としての
主人公のラブコメ要素は肩の力を抜いてニヤニヤと楽しめてしまう。

それだけに資格のある保育士が一人しか居ない状況で、
多くの幼児を預かっている状況と、無資格な主人公にまかせてしまう
保育士の無責任さなど現実的な目線で見てしまうと気になるところも多く、
そんな気になる所を更に気にならせるような
幼児キャラの危うい行動も描かれてしまう。

せめてもうひとり、きちんとした資格を持った保育士キャラクターが入れば
ずいぶんと印象は違っただろう。
肝心の資格を持ってるキャラクターが居眠りばかりしていたり、
目を話してしまうことが多すぎて気になってしまうと、
作品の内容を素直に楽しみきれなくなってしまう。

1話1話のストーリーは悪くない。むしろ面白いと感じられる内容だ。
しかし、そんな内容を支える骨組みとも言える設定の練り込みが甘く、
ツメが甘いせいで素直にその面白さを受け止めきれない作品だった。


引用元:(C)時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会

個人的な感想

個人的には序盤こそ気になる部分が多すぎて楽しめなかったのだが、
ヒロインたちの可愛さが突き刺さったことで、気になる部分が薄れ、
終盤には割と楽しんでみることが出来た作品だった。

おそらく人によっては無資格な中学生に保育士をさせるということが
気にならない人もいるはずだ。
その部分さえ気にならなければ素直に楽しめる、
だが気にしてしまったら最後、素直に楽しめない。
何とも評価に困る作品だった。

売り上げ的には2000枚前後、爆死レベルではないが微妙な売り上げだ。
原作は2009年からもうすぐ10年になる長期連載の作品だ。
2期の期待は薄いかもしれないが、原作は今度読んでみたいと思う。