キャラが可愛いだけのミステリー青春アニメ「ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜」レビュー

2016年9月1日

評価★☆☆☆☆(12点)全12話
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あらすじ あまりに少人数なため、コンクールへの出場すら危ういチカたちの吹奏楽部。部員を確保しようと、普門館に出場経験のあるオーボエ奏者の成島美代子は、吹奏楽部にどうしても欲しい人材だった。ハルタと共に、成島の元へと向かったチカだったが、当の本人は「もう吹奏楽をやるつもりはない」とそっけない態度。説得を試みた結果、成島から渡されたのはとあるルービックキューブだった。
引用 – Wikipedia


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キャラが可愛いだけのミステリー青春アニメ

原作は小説な本作品。
監督は橋本昌和、制作はP.A.WORKS。

見だして感じるのは癖の強いキャラクターデザインだろう。
まつげや目の周りが非常に濃ゆく、唇がテカッとしている。
万人受けするとは言いがたく、人によっては違和感が先行して
素直にキャラクターを受け入れ難いだろう。
可愛らしくも見えるのだが、濃ゆいキャラでざるために

キャラクターの設定年齢よりも必然的に上に見えてしまう。
このクセのあるキャラデザのせいか動きがどうにもぎこちない。
PA.WORKSという製作会社を感じないほど「ペラっ」っとした質感の作画、
ワックスで塗り固められたかのごとく揺れない髪、
1話から非常に作画不安定だ。

これでPA.WORKS制作じゃなければ気にならないかもしれないが、
いつもの作画における丁寧さを感じない。
はっきりいってしまえば別製作会社の作品に見えてしまうほど、
PA.WORKSらしさを感じない。

更にストーリー。
「何がしたいんだろう?」というのが
この作品を表現する言葉として1番伝わりやすいものだろう。

1話冒頭では吹奏楽部によるコンクールの様子が描かれている、
そこから物語が始まり、冒頭で描かれた様子に繋がるように
ストーリーが展開していくんだろうなというのは読める。

しかし、肝心のストーリーが始まると「ミステリー」になる。
「響け!ユーフォニアム」みたいな作品が始まるかと思ったら、
「氷菓」みたいな作品が始まる感じだ。

音楽室に暗号が残されていてその暗号を説いたり、
ルービックキューブを解いたり、
幽霊騒動を解決したりetc…

そのミステリー部分が面白ければいいが、
はっきりいってしまえばレベルが低い。
トリック有りきでストーリーが作られている感じも強く、
そのトリックを解く探偵の行動や言動に面白みがない。

探偵役である「ハルタ」が優秀すぎて探偵役としての魅力がなく、
作者が考えた謎をキャラクターが解くのではなく作者がひけらかしている、
「手のひらで踊らされている感」が非常に強く、
謎が解けてもすっきりとせず、しっくりもこない。

探偵役であるハルタにもう少し魅力があれば
ミステリー部分がもう少し盛り上がったかもしれないが、
このハルタは「同性愛者」だ。
それをヒロインに対して一切隠さず、顔を赤らめまくる描写が頻繁にある。
正直言って独特の「気持ち悪さ」がある。

同性愛者だからという点だけではなく、
別に犯罪を犯したわけでもない人物の心のズケズケと入り込んで、
基本的に上から目線で知識を披露しつつ、問題を抱えている人物を諭す。

「ハルタ」というキャラクターの態度やセリフ、
作者が調べあげたであろうトリックに使われる知識に対する
異常なまでの知識をひけらかす感じや行動の数々が、
アニメにおいては演出や描写不足のせいで不快に感じる要素となっている。

これが原作の絵ならばあまり感じなかったかもしれないが、
アニメのキャラデザが原作絵の雰囲気とと掛け違っており、
キャラクターの「癖」や欠点が強くなってしまっている。
根本的に描かれている内容や雰囲気とキャラデザの雰囲気があっていない。
そのせいで作品全体に強い「違和感」が生まれている。

ストーリーも盛り上がりが少ない。
部員の少ない吹奏楽部をどうにかしようと、
探偵役である「ハルタ」が問題のある人物が抱えている問題や謎を解き、
徐々に部員が増えていく。

根本的にあるミステリー部分が面白ければ盛り上がるだろうが、
面白く無い上に探偵役は不快に感じるキャラ、
キャラクターの心理描写が非常に甘いうえに雑で、
そのくせ重い話が多いためキャラクターに感情移入できず、
ストーリーにも入り込めない。

例えば2話。
弟がコンクールの日に亡くなり1年が経つキャラが居る。
自分が看病していれば亡くならなかったことを引け目に感じ、音楽をやめている。
吹奏楽部の説得に対し、
「弟が死んでまだ1年なのよ」と彼女は言う。
そんな彼女に対しハルタは「もう1年だよ」と言い放つ。

知り合って間もない彼女に対し上から目線で
「僕達が一緒に悩んであげるよ」ともついでに言い放つ始末だ。
これが弟が死んで3年くらいたってて、
以前にも彼女と音楽をやっていて面識のあるキャラならばわかるが・・・

吹奏楽部のための部員集めというストーリーと、
謎解きのミステリー要素、重いキャラクター設定、奇妙な三角関係の恋愛要素と、
この作品を構成している要素が全て別の方向に向かっている感じが強く、
ストーリーがまとまっていない。

序盤こそまだ見れるストーリーなのだが、
中盤以降は似たような展開の繰り返しになり作画の不安定さも増し、
キャラクターが増えるに連れてキャラクターを持て余している。
前半のストーリーに対して後半のストーリーのクォリティが低く、
せっかく増えていくキャラをストーリーの中で生かし切れていない。

全体的に見て一言で言えばアニメ化失敗だ。
本来は2話掛けてやらないといけないような話も
無理に1話完結に押し込めている感じが強く、
そのせいで描写不足になってしまっており、
結果的に原作にはあるであろう面白さを感じにくくしてしまっている。

青春モノがしたいのか、ラブコメがしたいのか、ミステリーがしたいのか。
1つ1つの要素が中途半端になってしまっており、
その1つ1つの要素にキャラクターデザインもあっていない。

ストーリーに関しても、
恋愛要素が進展するわけでもない、
殺人事件なような大きな事件が起こるわけでもない、
吹奏楽部の描写は肝心の演奏シーンは殆ど無く、
トントン拍子に大会を勝ち進みダイジェストチックなおまけ程度。
終始盛り上がりに欠けるまま終わってしまう。

女性キャラクターは可愛いのにもったいない。
デザイン面での好みはあるだろうが、チカちゃんのバカかわいい感じや、
ツンデレな眼鏡ヒロインなど、
ある意味、女性キャラクターが可愛いからこそ最終話まで見れた感じも強い。

おそらく、一ヶ月後には私はチカちゃんが可愛かったねくらいしか、
この作品のことを覚えていないだろう。
売上は500枚以下と爆死、もう少しPA.WORKSらしく
安定した作画の良さがあれば違ったかもしれないが、
終始「PA.WORKS」という製作会社の「らしさ」を感じない作品だった。

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