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2時間の拷問茶番劇「新解釈・幕末伝」レビュー

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新解釈・幕末伝 実写映画
画像引用元:(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★☆☆☆☆(7点) 全119分

映画『新解釈・幕末伝』予告第二弾【12月19日(金)公開】

あらすじ 江戸末期の日本の動乱。ペリー来航に伴い渡米を試みる勤王の志士達が繰り広げるドタバタ劇 引用- Wikipedia

2時間の拷問茶番劇

本作品はオリジナル映画作品。
監督は福田雄一。

歴史学者

映画は歴史学者による語りから始まる。
幕末といえば「坂本龍馬」。
しかし、坂本龍馬が一体何をした人物なのか、
それをはっきりと語れる人は意外と少ない。

ありとあらゆる媒体で語られてきた坂本龍馬の伝説。
そんな伝説は本当にそのとおりだったのか。
本作は歴史学者による解説を挟みながら、
福田監督なりの幕末像、坂本龍馬像を描いていく。

タイトルにある「新解釈」のとおり、
歴史上の人物や出来事に独自の解釈を加えた作品だ。

ペリー来航

物語はペリー来航から始まる。
ムロツヨシ演じる坂本龍馬はペリーを見にやってきたところ、
山田孝之演じる桂小五郎に出会う。

桂小五郎はペリーの船に忍び込もうとしており、
坂本龍馬も彼についていこうとする。

ムロツヨシと山田孝之。
いつもの福田組だ。

船に乗る、乗らない。
一緒に行く、行かない。

そんな会話をグダグダグダグダと繰り広げる。
長々とした会話の中で吉田松陰も現れて小ボケを挟み、
さらに西郷隆盛まで現れる。

小ボケに次ぐ小ボケだ。

結局やっていることは、いつもの「福田ノリ」でしかない。
シチュエーションが幕末になっただけで、
笑いの作り方そのものには何のひねりもない。

「吉田松陰だけでなく、ほかの3人も一緒に
ペリーの船へ密航しようとしたのではないか」

この部分が「新解釈」なのだろう。
しかし、だから何だという話でもある。

そもそも時代劇というものには、多かれ少なかれ新解釈が入る。
史実をそのまま再現するだけではなく、
作り手ごとの人物像や解釈を加えるのが時代劇だ。

わざわざタイトルで「新解釈」を掲げている割に、
その解釈自体が驚きや面白さにつながっていない。

勝海舟

ペリー来航の話が終わると、
歴史学者による解説が入り、また別の場面へと移る。

しかし、シチュエーションが変わっても、
結局やっていることは同じだ。

本作は映画というよりも、
福田組の役者たちによる長尺のコント集に近い。

バラエティ番組の1コーナーとして5分ほど見るならともかく、
それを映画として延々と見せられるのが福田映画の厳しさだ。
本作では、その厳しさを特に顕著に感じてしまう。

坂本龍馬は勝海舟とともに、
コンセプトカフェのような場所へ向かう。

素直に店へ行くならまだいいのだが、
途中で絡まれた一行は、そこでまた長々とコントを繰り広げる。

面白くないことでも、
しつこく繰り返せば笑いになる。
そんな福田監督の笑いの美学が、
これでもかと詰め込まれている。

一切笑えないのが問題だが。

一行がたどり着くのは、くノ一コンセプト茶屋だ。
女好きな勝海舟は喜び、岡田以蔵がツッコミ、
坂本龍馬が茶化す。

岡田以蔵に対する「童貞いじり」もあり、
笑えそうで笑えない微妙なラインを絶妙に突いてくる。

さらに、そんなコンセプト茶屋では西郷隆盛まで働いている。
彼は顔を隠しているのだが、
坂本龍馬はその顔を延々と茶化す。

結局は外見いじりという、
時代遅れの笑いでしかない。

福田組の役者たちが続々と集まり、
キャストだけは豪華だ。

逆にいえば、それしかない。

5分で済むようなシーンを、
豪華キャストの掛け合いだけで15分ほどに引き伸ばす。

一つ一つのシチュエーションが、
本当にくどいうえに長い。

薩長同盟

中盤になると、薩長同盟の話になる。
このパートが本作最大の地獄だ。
くノ一コンセプト茶屋がマシに思えるほど、
ひたすらグダグダの会話劇を繰り広げる。

どうでもいい会話の応酬。
会話ともいえないような奇声。
同じリアクションの繰り返し。

それを延々と続ける。

仲の悪い薩摩と長州を、
坂本龍馬がどのようにまとめたのか。
本来ならば、作品の中核ともいえる重要なシーンだ。

西郷隆盛がいろいろと話している最中、
坂本龍馬は「ウンウンウンウンウンウン」と高速で相槌を挟む。

土下座した桂小五郎には、
土下座したまま歩かせる。

何が面白いのだろうか。

山田孝之にそんな奇行をさせること自体が、
笑いになっているつもりなのかもしれない。

しかし、山田孝之は『勇者ヨシヒコ』の頃から、
散々福田監督にいじられてきた俳優だ。
今さら同じようなことをさせても、もはやインパクトはない。

しかも、両者の仲を取り持とうとしている坂本龍馬は、
女の子のいる店が気になって途中退席する。

異様に長い茶番劇で、
見ている側はため息しか出ない。
早くこのシーンが終わってほしい。
そんなことを本気で思う映画は、なかなかない。

それまでのパートは15分ほどなのだが、
この薩長同盟のシーンに限っては30分以上続く。
ちょっとした拷問だ。

シチュエーションも変わらず、
役者もほとんど変わらない。
面白くないやり取りを、
同じ場所で30分以上見せられるのは苦痛でしかない。

寺田屋事件

終盤では寺田屋事件が描かれる。
坂本龍馬が襲撃される有名な事件だ。

ここで何をするのかと思えば、
坂本龍馬の妻である「おりょう」が知らせにやってくる。
この「おりょう」が問題だ。
演じているのは広瀬アリスさんである。

そんなおりょうが、
急いだあまり「真っ裸」で知らせにやってくる。
全身にモザイクはかかっているが、
広瀬アリスさんのヌード風描写だ。

本作では「童貞いじり」もそうだが、
ちょこちょこと下ネタが挟まれる。
それが心底笑えない。

福田監督としては、
広瀬アリスさんをモザイク姿で登場させることに
最大の「してやった感」があるのかもしれない。

しかし、一切笑えない。

薩長同盟には30分以上かけていたのに、
寺田屋事件は10分ほどしかない。

寺田屋事件で思いついたアイデアが、
おりょうを裸にすることくらいしかなかったのだろうか。

作品そのもののネタ切れが、
画面から透けて見えてしまう。

終盤

坂本龍馬といえば新婚旅行も有名だが、
本作でもそのエピソードが描かれる。

脱がされた広瀬アリスさんのブチギレ演技も滑っており、
そんな新婚旅行に西郷隆盛までついてくる。

もう説明するのも嫌になるほど、
グダグダで滑りっぱなしだ。

寺田屋事件の時点で完全にネタ切れしていることが分かるほど、
終盤は特に厳しい。

ところが、最後の大政奉還だけは無駄に真面目に描かれる。

それまで延々と茶番劇を続けていたのに、
最後だけ急に真面目な雰囲気を出されても、
作品としての格が上がるわけでも、面白くなるわけでもない。

シチュエーションが変わっても、
やっていることは変わらない。

2時間もある映画だが、
内容だけなら1時間、下手をすれば30分で済む。

残りの尺を福田監督のあのノリで埋め尽くした。
それだけにすぎない作品だ。

総評:映画界の終末ぜよ…

全体的に見て、ひどすぎる作品だ。
新解釈で坂本龍馬を語るという試み自体に新鮮味はなく、
坂本龍馬や幕末をひたすらいじり、
グダグダな会話劇という名の茶番劇で尺を稼いでいる。

キャスト自体は豪華だ。
しかし、本当にそれしかない。

豪華な役者に変なことをさせる。
ムロツヨシに長々としゃべらせる。
山田孝之に奇行をさせる。
佐藤二朗にアドリブ風の演技をさせる。

福田作品で何度も見てきた光景を、
幕末という舞台で繰り返しているだけだ。

それなのに、この映画は興行収入10億円を突破している。
前作となる『新解釈・三國志』が40億円だったことを考えれば、
きれいな右肩下がりではある。

それでも、福田雄一という名前と豪華キャストだけで、
これほどの興行が成立してしまう。

その状況まで含めて、
日本の実写映画界が少し心配になってしまう。

福田監督は、いつまでこのノリを続けるのだろうか。

そして実写映画界は、
いつまでこの監督を盛り立て続けるのだろうか。

作品そのものだけではなく、
映画界全体のことまで思わず考えてしまう作品だった。

個人的な感想:コンプリート

少し前から福田監督作品にいろいろと触れ始めたため、
いっそコンプリートしてみようという心意気で、
ここ最近で一番評判の悪い本作にも手を出した。

しかし、想像以上の出来栄えに、
ちょっとドン引きしてしまった。

福田監督は基本的に、
漫画や小説などの実写化作品を数多く手掛けている。
つまり「原作」がある前提で、
作品づくりをしてきた監督でもある。

その原作がなかったら、
こんなことになってしまうのか……。

そんな冷や汗のようなものが出てしまう作品だった。

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