評価 ★☆☆☆☆(17点) 全108分
あらすじ 幽霊が見えてしまう高校生・黒崎一護は、ある日突然、人の魂を喰らう巨大な悪霊「虚(ホロウ)」に遭遇する。 引用- Wikipedia
再現率1%の実写映画
本作品はBLEACHの実写映画作品。
監督は佐藤信介、制作はシネバザール。
キャスト
この作品のキャストはかなり豪華だ。
福士蒼汰、杉咲花、吉沢亮、真野恵里菜、
江口洋介、長澤まさみと8年前の映画だが、
当時でも豪華と感じるキャストだ。
ただ、問題は福士蒼汰氏の演技である。
高校生を演じるという点でやや無理があるのだが、
棒演技とまではいわないが、変に気取った演技は、
「黒崎一護」というキャラクターではなく、
どこかのヤンキーのような印象を受けるほどオラオラしている。
一護の双子の妹も、ただの双子というキャラ付けになっており、
漫画やアニメのような外見的なキャラ付けがなく、
映画ではほぼ空気だ。
織姫も、全く違う。
真野恵里菜という名前で検索してもらえればわかりやすいが、何もかもが違う。
やたらキャピキャピとした媚びた感じは織姫とはいえない。
なによりも胸のサイズが原作比でいえば-99%になっている。
ありえないなんてレベルではない。
ルキアも髪型がショートカットですらない。
阿散井恋次などは再現率が高かったとは思うが、
特定のキャラ以外の再現度が低すぎる。
死神
幽霊が見える主人公、黒崎一護の前に唐突に
「死神」である朽木ルキアが現れるというところから物語が始まる。
このあたりの流れ自体は原作通りではあるものの、細かいセリフの省略も多く、
特にBLEACH特有の「ギャグ」はことごとく省かれている。
そんな黒崎一護の前にホロウが現れるのだが、
このホロウもホロウというよりはクリーチャーだ(笑)
やたらおどろおどろしい感じになっており、
CGっぽさも強い。
死神である朽木ルキアがホロウと戦うというのは
原作通りの流れだが、原作では
一護をかばって朽木ルキアが噛みつかれて重傷を負い、
一護が死神になるという展開だ。
だが、映画では普通に戦っている中で利き腕をやられただけで
朽木ルキアが戦えなくなる(苦笑)
よくわからない改変をところどころ行っており、
「家族を助ける」ために死神になる黒崎一護という主人公像が弱い。
いざ死神の姿になっても斬魄刀が異様に安っぽく、
アクションシーンの締まりもない。
死神の力も、本来、ルキアが一護に死神の力を渡してしまったせいで、
力の回復を待つ間、一護に死神代行を頼むというのが
原作の流れだが、なぜか映画では「一護の霊圧が低い」ので、
「一護の霊圧」が高くならないと死神の力をルキアに返せないという
謎の改変が行われている。
そのせいかピッチングマシンを使っての謎の修行が行われたりする。
意味不明でしかない。
何の面白みもない修行シーンを入れる意味もなく、
原作のコショウボールのシーンを入れようとしたのはわかるが、
映画ではコショウボールですらない。
ちなみに織姫と織姫の兄のエピソードはカットである。
一護が死神代行をやる決意を固めるエピソードもカットしており、
結果的に織姫が力に覚醒することもなく、チャドはなんか無口なやつで終わっている。
朽木白哉
そんな決意も固まらぬうちに阿散井恋次が出てくる。
石田もそこに絡んできて、細かいエピソードを省いて、
改変しながらどんどんと話を進め、キャラを出してくる。
さらに朽木白哉も出てくる。
朽木白哉の改変もひどく、彼の演技力もかなり問題なのだが、
「朽木白哉」が言わないであろうセリフをバンバン吐き散らかす(苦笑)
石田関連のエピソードもほぼ省かれており、
なぜクインシーを死神が滅ぼしたかなども、
映画だけではよくわからない感じになっている。
結局、尸魂界篇をやらずに映画で2時間に収めるために、
グランドフィッシャーを倒せば全部解決!という
謎の改変を行っている。
そのためにグランドフィッシャーを倒せばOKだよ!
と朽木白哉のお墨付きまである(笑)
そしてまた修行パートだ。
全然出番のないチャドの掘り下げもなく、織姫もいる意味がない。
何のために出したかわからないキャラクターに成り果ててしまっている。
グランドフィッシャー
出る意味のないチャドや織姫をチラ見せするために、
わざわざグランドフィッシャーを街中で大暴れさせ、
そこからもうホロウ戦というよりは怪獣みたいになっている
グランドフィッシャーとの戦いが描かれる。
CGで再現されたホロウ自体のクオリティはそこそこ高いが、
そのCGに合わせての戦闘がめちゃくちゃで、
場面によってはただ斬魄刀を虚空に向かって振り回しているような
シュールな絵面になっている。
グランドフィッシャー戦は散々引っ張って、
大暴れしたくせに結末はシンプルで
特に面白みもなく、グランドフィッシャーをあっさり倒したかと思えば、
阿散井恋次戦になる。慌ただしいなんてもんじゃない。
阿散井恋次戦にしても原作の解釈が甘く、
「始解」にするための解号を叫ぶ前に斬魄刀が変化していたり、
蛇尾丸がゴムみたいに見えたりと、原作やアニメを見ていると
萎える描写があまりにも多い。
朽木白哉
さらに朽木白哉戦もある。この時点では黒崎一護が
絶対に敵うはずもない強者であり、
一撃でやられて朽木白哉は刀を鞘に納める。
それを3度も繰り返す(笑)
何度も致命傷を与え、何度もかっこつけて刀を鞘に納めるのに、
一護を倒せていない。ギャグみたいなシーンだ。
原作のように「刺せ」ばいいのに、斬りつけることしかせず、
刀に血が一滴もついていないのに血振りをしてから
鞘に納めるのも描写が浅い。
原作通り、朽木白哉に敵わず、朽木ルキアはソウルソサエティに行くことになる。
原作ではここから朽木ルキアを奪還する物語が始まるのだが、
映画ではそうではない。
は?
序盤から中盤までは、2時間という尺に収めるための改変も
まだ飲み込めた部分があった。
原作通りにやろうとすれば2時間では区切りの良いところまで
物語を進めることは確かに難しい。だからこその改変だ。
だが、最後の最後で本当に意味不明な改変をする。
一護が死神の力を失うとなぜか記憶も消えるらしく、
ルキアに死神の力を返した一護は記憶を失い、
「夢オチ」のようなラストで終わる。
一応、微妙に記憶が戻った可能性のあるシーンを挟んでいるが、
このままでは掟を破ったルキアは罪人となり、一護は記憶を失う。
ルキアはグランドフィッシャーを倒したこともあって、
処刑されるほどの罪ではないものの、罪人であるがゆえに
何十年も投獄されることは確定だ。
原作のBLEACHを知っている人ならば、
この結末がどれほど恐ろしいものかわかるはずだ。
原作では、ルキアが尸魂界に連れ戻されたことで、
一護たちは彼女を救出するために動き始める。
そして、その過程で尸魂界の内部に隠されていた陰謀が明らかになり、
藍染惣右介の存在が物語の中心へと浮かび上がってくる。
だが、この映画ではどうだろうか。
一護は死神の力を返し、ルキアは尸魂界に戻る。
原作であれば、ここから始まるはずの物語が始まらない。
仮に、この映画の世界でも原作と同じように藍染が暗躍していたら?
ルキアを救出するために一護たちが尸魂界に乗り込まなければ、
あの陰謀は一体どうなってしまうのだろうか。
さらに、その先にはユーハバッハの存在まで控えている。
原作を最後まで知っている人間からすると、
この結末は決して手放しで喜べるハッピーエンドではない。
一護は日常に戻り、ルキアは罪を背負って去っていく。
一見すると綺麗にまとまっているように見えるが、
原作の壮大な物語を知っていると、
これはとんでもないところで物語を止めてしまった結末だ。
BLEACHという作品が本来持っていた未来を、
実写映画の都合で閉ざしてしまったようにすら見える。
これが原作完結後に作られた実写映画というのだから、
なおさら理解に苦しむ作品だった。
総評:原作をバッドエンドにした実写映画
全体的に見てひどい作品だ。
108分という尺で死神代行篇を描くのは難しく、
そのために色々と改変しているのはわかるが、
その結果、チャドと井上は空気で、いる意味がないキャラになっている。
百歩譲ってそれは飲み込めたとして、
続編がないことを想定したストーリー展開は
原作改変どころか、原作をバッドエンドルートに確定させるような
改変になってしまっている。
これが原作の連載中で、まだ序盤くらいの段階で実写化された作品ならわかるが、
原作完結後の実写化で、この先どうなるかというのを
読者も制作サイドもわかったうえで、こんなエンディングに
仕上げるのは意味不明でしかない。
キャラ解釈も甘く、朽木白哉は見た目だけ似ている別人、
井上は原作比-99%の見た目と、
実写化するうえでのキャスト選びの段階で失敗している。
これで原作ファンが納得するとは到底思えず、
何のための実写化だったんだろうかと嘆いてしまう作品だった。
個人的な感想:久しぶりに
続編のアニメでテンションが上がりすぎてしまったので、
その箸休め的に実写映画も改めて見てみたが、
改めて見てもひどい作品だった。
製作側の原作の解釈が甘く、さらにキャストも
きちんと合う演者を選ぶのではなく、
大人の事情でこうなったんだろうなという感じが強く、
それゆえにキャラと役者が合っていない。
原作は長い作品だからこそ、実写映画には向かない作品ではあるが、
それにしても……という作品だった。



