青春

企画構想8年の薄味「グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~」レビュー

1.0
グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~ 青春
画像引用元:©キルクスコレクション協会/「グロウアップショウ」製作委員会
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笠希々のプロフィール画像
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★☆☆☆☆(20点) 全12話

【第1弾PV】オリジナルTVアニメ「グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~」2026年7月 放送開始!

あらすじ 舞台は、団長の麻利亜が率いる「ひまわりサーカス」。万年金欠に悪戦苦闘しながら、各地で巡業を行っている「ひまわりサーカス」の元に、とある事情でサーカスの天才・鶴巻瑞佳がやってくる 引用- Wikipedia

企画構想8年の薄味

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は亀井幹太、制作はA-1 Pictures、Psyde Kick Studio。

サーカス

本作品はサーカスをテーマにした作品だ。
私の世代だと「カレイドスター」の印象が強いテーマだが、
メジャーなテーマではない。

この作品は高度経済成長期の日本を舞台にしており、
各地にサーカス団が存在するという世界観だ。
主人公にはサーカス団員だった父がいたものの、
父からの仕送りが途絶え、行き倒れていたところ、
とあるサーカス団に拾われるというところから物語が始まる。

行き場のない子供たちが集うサーカス団という設定自体は悪くないものの、
不自然なほどに女性しかいない(苦笑)
きららアニメではないのに、きららアニメのような世界観であり、
可愛い女の子しかいないサーカス団で、サーカスが嫌いな主人公は
父の借金を返すためにもサーカス団員になる。

作画のクオリティもかなりしっかりとしており、
女性キャラクターへのフェチズムを感じる描写や、
お風呂などのセクシーな描写もかなり多い。

キャラ立て

序盤は才能はあるもののやる気がない主人公を中心に、
そんなサーカス団員たちを掘り下げている。
キャラクターデザインの良さ、作画の良さも相まって
盛り上がりどころは保てている印象ではあるものの、
話自体はかなり淡々としている。

その原因は主人公だ。
サーカス団員だった父親に子供の頃からサーカスの練習をさせられ、
それが原因で彼女はサーカスに対して良く思っていない。
お金のため、借金を返すために嫌々サーカス団にいるだけで、
彼女の「意欲」はなく、ずーっと嫌々な状態だ。

サーカス団員自体の数も多く、その掘り下げに振り回されている。
大手のサーカス団に誘われているが主人公とともに空中ブランコをしたい者や、
そんな大手のサーカス団にいたが肩の怪我が原因で移籍した者や、
双子など、各キャラがいろいろな事情を抱えているのはわかるが、
その事情が解決する前にどんどんとキャラクターが出てくる。

多くのサーカス団がいるという設定上、別のサーカス団も出てきて、
よりキャラクターが増える。

物語の目的、ゴール地点のようなものも見えず、
主人公自体にやる気がない状態が序盤は続き、
3話になっても、4話になっても、5話になっても、
キャラ立てに追われている。キャラは可愛いが、ドラマがない。

序盤のストーリーがあくまでキャラを印象づけるためだけのものになっている。
中盤で虐待されていた象を引き取ったりするが、
だからといって面白くなるわけでもない。

物語の中盤までずーっとキャラ立てをし
続けているというのは致命的だ。

中盤

7話でようやく主人公の過去が明かされる。
彼女は父のサーカスでサーカスをやることを夢に見ていたが、
父が勝手にサーカスを解体してしまい、その夢が叶うことがなくなった。
結果的に彼女は自らの意思で客前に立ったことすらない。

もっと序盤でそういった過去を明かしておけと思うほど、
遠回りすぎるストーリーばかりをやっており、
7話で彼女たちのサーカス団が
ほかのサーカス団に邪魔され、潰れてしまうかもしれないという状況になる。

このあたりのドラマがもう少し早い段階で描かれれば、
作品全体の印象は違ったかもしれないが、
作品全体がキャラに振り回されている印象だ。

彼女たちのサーカス団である「ひまわりサーカス」も、
行き場のない少女たちが集まっているが、
かといってそれがサーカスとしての魅力につながっているわけでもなく、
技術的に凄いものを持つキャラは多少いるものの、
大きなサーカス団に負けてしまうのは当たり前だ。

それなのに象を引き取ったりして余計にお金がなくなり、
半端な少女ばかりかき集めている。
そんな半端者のサーカスより本物のサーカスを見たいというのが
客の性分だろう。

潰れるべくして潰れるサーカス団にこちらとしても思い入れがなく、
サーカス団の協会のようなものもあるらしいのだが、
そこが特に何かするわけでもない。

主人公がようやく自らの意思で客前に立って、
サーカスの楽しさを知る展開になっても、
主人公自身のキャラ立てやドラマが弱いせいで、
見ている側の感情移入が追いつかない。

団長

そんなついていけない状況の中で彼女たちのサーカス団の団長が
急にぶっ倒れる(笑)
実は彼女は幼少期から体がボロボロらしく、激しい運動をすることができない。
主人公の父親とも関わりがあり、サーカス団を立ち上げたが、
無理がたたり、倒れてしまっている。

結果的にサーカス団を大手のサーカス団に譲渡するしかなくなってしまう。
サーカス団をなくしたくないうえに、団長の治療費を稼ぐためにも、
主人公たちは賞金を稼ぐため、サーカス団たちの大会に参加するという
「目的」がようやく発生する。
本来はもっと序盤で発生しなければならない部分だ。

それを終盤に差しかかる9話でやってしまっている。
根本的なストーリー構成ができていない。

この作品のシリーズ構成、脚本を担当された方は、
本業はTRPGなどを手掛けるゲームデザイナーだ。
しかも、初めてのオリジナル作品であり、
アニメ自体、過去に1作しかやっていない。

経験不足というのが脚本、ストーリー構成に如実に出てしまっている。
いざ大会に参加したかと思えば、あっさり1回戦を勝ち抜く。
止め絵でサーカスを見せるシーンがあまりにも多いせいで、
彼女たちのサーカスの凄さや、サーカス自体の魅力も伝わってこない。

終盤

大会に備えて新技開発に勤しんだりするが、
壁にぶち当たり、気分転換をしたりする。
このあたりのドラマの作り方が本当に弱い。致命的だ。

終盤でみんなが団長のために、サーカスのために動くのだが、
そこまで団長にもサーカスにも見ている側に思い入れがないため、
キャラの変化や盛り上がりについていけない印象だ。

主人公たちは技術では大手サーカス団に負けている。
だが、お客さんを楽しませるためにドラマ仕立てのサーカスをやることを決める。
そんなドラマで盛り上げたサーカスは大成功する。
アニメ自体はドラマを作れていないのに(苦笑)

大会は惜しくも準優勝で終わるものの、
サーカス団がなくなることもなく、金銭の問題も団長の妹が解決し、
手術も無事成功し、ハッピーエンドで終わるものの、
最後までハマりきれない作品だった。

総評:作画だけはいっちょ前

全体的に見て非常に微妙な作品だ。
作画のクオリティこそ高く、キャラクターデザインも良い。
だからこそ最後まで見られたという部分は大きいものの、
良くも悪くもそれだけだ。

作画に関してもアニメーションとして見ると、
序盤から中盤まではサーカスシーンも気合が入っていたのだが、
話が進むほど尺の都合もあってか止め絵で
サーカスを見せる部分も多く、終盤の集大成ともいうべき
シーンでも盛り上がりのあるアニメーションが作れていない。

ストーリーに関しては構成が酷い。
サーカスという題材の都合上、キャラ数が多くなるのは仕方ないが、
その全員を掘り下げようと1クールの半分以上を掘り下げに使っており、
その掘り下げのドラマ自体がどこかで見たことのあるような印象でしかなく、
そこに強いドラマや面白みがあるわけでもない。

ストーリーの目的が序盤から中盤まで描かれず、
終盤に差しかかるあたりでようやく生まれるという遅すぎる展開は
致命的であり、これが2クールやそれ以上の尺のアニメならまだしも、
1クールアニメの見せ方ではない。

結局、特に思い入れもないキャラと特に思い入れもないサーカス団の
存続の危機や生命の危機が訪れても、
そこに至るまでの積み重ねができておらず、
キャラ立てに必死になってしまった印象だ。

出てくるキャラクター自体は可愛いが、それだけでしかなく、
可愛いだけでは駄目ということを思い知らされた作品だった。

個人的な感想:8年

この作品の企画自体は8年前に立ち上がり、
そこから試行錯誤して2026年に放送されたようだ。
その中では高度経済成長期の日本ではなく、近未来のインフラが
崩壊した日本を舞台にする案もあったようだが、
そういった試行錯誤の結果、薄味になってしまった印象だ。

高度経済成長期の日本という舞台設定もいまいち活かしきれず、
8年かけた企画会議の中で生まれた多すぎるキャラを、
削除するわけでもなくそのまま盛り込み、
結果として話もキャラも散漫になっている。

監督自体は近未来の日本バージョンの脚本を見て、
いろいろと調整する必要があると考えてこうなったようだ(苦笑)
その時点でこの作品がこうなることはわかりきっていたようなものだろう。

企画会議に時間をかけすぎるとろくなものが出来上がらない、
そんなジンクスを感じる作品だった。

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