「バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!」レビュー

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SF
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評価 ☆☆☆☆☆(2点) 全12話

あらすじ 宇宙からの侵略者・ネリリ星人を退けた人類は、太陽系全域にまで居住区を広げ、その繁栄を謳歌していた。その100年後──引用- Wikipedia

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大失敗

本作品は1997年に放送された「バトルアスリーテス大運動会」の続編。
25年ぶりの正式な続編作品となる。
監督は林宏樹、制作はアニメーションスタジオ・セブン。
私は旧作はリアルタイムで視聴済み、リメイクならわからないでもないが
過去作を見た人たちにとってはまさかの続編といえる(苦笑)

見覚えが…

1話冒頭、主人公が走り出す瞬間をえがいている。
彼女が走っている会場のデザインは何処か見覚えのあるものだ。
そう、東京五輪のあの会場である(苦笑)

この時点で明らかに東京五輪を意識した作品であることがわかる。
たしかにこの作品は宇宙規模の大運動会、オリンピックとも言える作品だった。
東京五輪の需要、ある種の便乗商法として、ここ2年くらい の間で
大量のスポーツアニメが作られているが、どれも大滑りしている。

旧作はスポ根アニメでありながらSFな作品であり、
スポーツ勝負による地球侵略を企むネリリ星人がでてきたりしながら、
偉大な母と才能はあるがまだ開花していない主人公が
友と、ライバルと競い合いながら高みを目指すというような感じだった。
設定としてはSFだが、内容は熱血スポ根でしっかりと面白い作品だった。

そんな作品の続編だ。リメイクではなく続編。
懐かしいアナウンサーの変わらない姿と、
やや古臭くも感じるキャラクターデザインには安心感を覚える。

そんな中でも忘れていないのが「お尻」の描写だ。
90年代にはまだ残っていたが、現在は殆どの学校で使われていない
お尻が強調される姿なキャラクターたち。
そんな格好だからこそ、競技中でもお尻が露骨に映るシーンが多く
健康的かつセクシーなお尻の描写は過去作から引き継いだ要素だ。

前作を見ていれば前作のキャラの子孫やつながりのあるキャラが
多く登場しており、主人公自身も名字こそ違えど前作の主人公とそっくりだ。
彼女と前作の主人公との繋がりはあるのか?
そういった前作との繋がりを描きつつ、平成初期のノリもあえて入れることで
2021年のアニメでありながら懐かしさを感じさせてくれる。

彼女がどんなスポ根を魅せてくれるのか、1話では期待感はあった

走る

1話からその違和感はあった。
この作品は運動会を題材にした作品なだけに
「走る」シーンが非常に多い。試合シーン以外でも日常的に
主人公が走って移動していることが多い。
そんな走るシーンが問題だ。

明らかに違和感がある。
走る姿を描く上での作画の枚数の少なさと、
そのフォームの不自然さのせいでどうにもかっこ悪い。
走るシーンが主軸に描かれると言ってもいいのに、その走る姿が
あまりにもかっこ悪い。

シンプルに作画のレベルが低い。
1話こそ前作の作画の雰囲気やキャラデザを引き継いでいるからと
思ったものの、2話からキャラデザや作画の雰囲気に目が慣れることで、
余計に彼女たちの走る姿の違和感が際立ってしまう。

五輪需要の便乗で作られた作品なだけにかけられた予算も少ないのだろう。
もともと制作会社のアニメーションスタジオ・セブンは
作画が悪いことで有名な制作会社だ。

かつてこの制作会社はこの作品と同じように90年代のアニメとして
放送された「無責任艦長タイラー」の
続編とも言えるミニアニメを2017年に手掛けていたが、
本当に目も当てられないほど酷い出来栄えだった。

この制作会社に頼んだ時点でこうなることは目に見えていたのかもしれない。
そう思ってしまうほど作画が悪い。
スポーツアニメという作画で見せ、試合に説得力を生むことが大事なジャンルで
作画が悪いというのは致命的だ。

露骨に試合の描写をカットするようなシーンも多く、
急に話が飛んだような展開になることも多い。
なるべく作画に予算をかけないようにしているのはわかるが、
演出でごまかすようなこともしておらず、
そのせいで試合になっても盛り上がらない。

暗躍

彼女たちが試合に挑んでいる間に裏では大人たちが暗躍している。
それぞれの目的や野望のために彼等は動いており、
彼女たちはそれに振り回されつつも試合に挑んでいる。

そんな中で「エヴァ」というキャラクターは大切な人を
人質に取られながら勝つことを強いられているのだが、
悪役なキャラが彼女にいきなり裸になることを強いる。
それ自体はシリアスな彼女の状況を表現するものとして
悪いとは言えない、だが、その後の台詞が問題だ。

「ハハッ!バナナと同じくらいうまそうだ」

その表現はなんなんだと思わず笑ってしまいそうになる台詞を
ぶちこむことでシリアスな雰囲気が台無しだ。
この令和の時代に昭和のようなセクハラ的シーンを見せられるとは思わなかったが、
もしかしたら「東京五輪組織委員会会長の森喜朗」さんの
女性に対する価値観を暗喩しているのかもしれない。

どうでもいい悪役の暗躍や政治的事情や世界事情を描くシーンが多く、
肝心の大運動会要素がそっちのけだ。
まるで東京五輪のグダグダ感を現すように、
試合よりも大人たちの事情のほうが前に出てきてしまっている。

試合の描写よりも大人の事情のほうが尺をとられている回も多い。
試合もろくに描かず、カットしまくりなシーンでまるで盛り上がらない。
常に試合のシーンはダイジェストで描かれているような感覚だ。
作画の枚数が多くなってしまう試合のシーンをダイジェストにし、
それ以外のゴタゴタを普通に描くことで少ない予算でなんとかしているのだろう。

なんか知らないが主人公がいつの間にか勝っている。
そんな試合があまりにも多い、本末転倒である。

えぇ…

本当に脚本があまりにも酷い。そもそも何をやりたいんだろと思うほど
突拍子もなくイベントがおこり、よくわからないままに解決してしまっている。

例えば2話、主人公とは別チームのルームメイトが試合の後にケンカを始める。
彼女たちは一方は宗教的観念の強い月の住人で内戦が起こり、
そこで闘っていた元兵士と、そんな内戦に武器を提供していた
軍事産業の娘のペアだ。

恐ろしく最悪なペアであり喧嘩をし始め、殺す殺さないのはなしになってくる。
そんな喧嘩に唐突に主人公が割り込みビンタをし、いきなりこんな事を言う

「私が憎い?だったら勝負しようよ。殺し合いじゃなくてスポーツで
スポーツってそのためにあるんじゃないの?」

どうやら我々が知っているスポーツの概念とは別なことがわかる(笑)
スポーツは代理戦争ではない。確かに国によってはオリンピックでは
国の威信をかけて闘っている国もあり、勝敗次第では国に帰った
選手の待遇が天と地ほど離れていることもある。

しかし、「そのため」にスポーツはあるわけではない。
前作では確かに宇宙人と地球人の代理戦争的なストーリーはあったものの、
そもそものスポーツは代理戦争のためのものではない。
こんな事を言う主人公に違和感しか感じず、
なんか知らぬ間にサブキャラ2人の問題もあっさり解決する。

ひたすらに浅い。作画も悪ければ脚本も悪い。
もはや何を見せられているんだろうと思うほど脚本があまりにもひどすぎる。
一言で言えば何もかもグダグダだ

シリアスな状況でもいきなりカンガルーを出してギャグにしたりと、
本当に何がしたいのかわからない。
制作側が真面目にこの作品を作っていない

政治政治政治

中盤からはもう彼女らは何を競い合っているんだろうと思うような展開になる。
政治的な事情、月と地球の問題、誘拐事件、何度も起きるテロretc…
試合よりもそっちがメインで描かれることがあまりにも多く、
それが本当につまらない。

バトルアスリーテス大運動会という作品の肝を制作側が理解していない。

「何はともあれ「大運動会」らしい作品にしなければならないわけですから、その「らしさ」を可能な限りつかんで共有しましたね。」

と脚本家がインタビューで答えているものの、その掴んだ「らしさ」とは
何だったのだろうか?バトルアスリーテスが受けたのは
宇宙人と地球人の代理戦争的な要素と結論づけたのなら
勘違いも甚だしい。

適当に旧作とのつながりのあるキャラや要素を出しながら、
政治的な争いやサスペンス的な刑事ドラマを描きつつ、
遺伝子操作された選手や、内戦が起きている月の問題と
1クールでやるには余計な要素がてんこ盛りだ。

選手同士も試合中に他の選手をいろいろな事情から暗殺を試みたりと、
もう試合なんてそっちのけだ。
大運動会とはなんだったのかと言いたくなるほど、
まるで「ガンダム」などで描かれるような政治的なストーリーばかりが続く

試合中にも本当にどうでもいい回想シーンが挟まることも多く、
テンポも崩れグダグダだ。
政治的事情を描きすぎて序盤から中盤までの主人公の
活躍がほとんどない。

主人公とは一体何なのかと考えさせられるほどの出番の無さだ。
黒幕の悪事について調べている刑事のほうが出番と活躍がある。
なんの見ごたえもない試合を見せられ続け、特に盛り上がりもない。

最終レース

そんな中で課題トライハーシュの最終レースが開かれる。
だが、だれもまともにスタートしない(苦笑)
スポーツアニメなのによーいどんでメインキャラの誰もが走り出さない(笑)
最早意味不明で逆に笑えてくるレベルだ。

モブキャラ達はすでに走り出しているのに、
メインキャラ達はいろいろな事情から走り出さない。
あるものはルームメイトを暗殺するかどうか悩み、
そんな暗殺で悩んでいることを知らないルームメイトを心配し、
主人公は行方不明になっている友達の心配をして、
メインキャラの1人はそもそもレースに着てすらいない。

大運動会とは何なのかと思うほどにまともにレースをしない。
あーだこーだ話し合って走り出すものの、
「うぉぉぉ!」と叫ぶがそのシーンは止め絵だ。
キャラもストーリーも作画もやる気がない。

前作のバトルアスリーテス大運動会は重いストーリーやコメディは
確かにあった。だが、しっかりとしたキャラの掘り下げ、
才能の差に悩むキャラが努力で才能を覆そうとする
熱血スポ根としての面白さがしっかりあった。

だが、この作品にはそんなものは欠片もない。
才能や努力の前に個人個人が抱えている問題に対処するのにやっとだ。
スポーツアニメで
「喋ってないで早く走れよ」と突っ込んでしまうのは前代未聞でしか無い

だれも応援したくならない。マトモに走り出さない選手を
応援する人など居るのだろうか?
ろくに感情移入できないキャラのどうでもいい事情ばかり描かれ、
まともに試合にも望まないスポーツアニメとは一体何なんだろうか

五輪の裏で、世界では貧しい子供が亡くなっていて
戦争をしている地域の子供達の未来も失われているし、
コロナウィルスで世界も大変、五輪なんかやってる場合じゃあないと
言われてるような気分にすらなる。

レースが中断され殺す殺さないの問答や、レース中にテロリストが乱入し、
刑事とドンパチをはじめたかと思えば、テロリストとメインキャラが
バトルを始める(笑)
更にはレース中にキャラが拳銃自殺しようとするようなアニメだ。
あまりにもレースそっちのけすぎて逆に笑えてきてしまう。

仲間を暗殺するかどうか悩み、テロリストと戦うスポーツアニメ。
斬新過ぎて腸が煮えくり返りそうだ。
レースよりもそういったテロリストとの戦いや
政治的な事情の描写が多すぎて主人公の出番が本当に少ない。

そういう出来事が解決しても回想シーンをバカみたいに入れており、
試合が集中して描かれず盛り上がらない。

エヴァ

主人公が幼い頃に出会ったのがエヴァという少女だ。
彼女は遺伝子を操作され大運動会のために作られた少女だ。
黒幕の人形として序盤から中盤まで主人公の前に立ちふさがる。
そんな彼女を操ってる黒幕が明らかに「碇ゲンドウ」を意識している。

確かに前作のバトルアスリーテス大運動会と新世紀エヴァンゲリオンは
同時期に放送されていたが、だからといって2021年の続編で
碇ゲンドウみたいな伽羅を出す必要性はまるで無い。
エヴァという名前も狙っているのか狙っていないのかよくわからないが、
彼女の次世代が終盤に出てきて「新型のエヴァ」なんて紹介されたりもする。
ちなみに新型のエヴァは暴走する(苦笑)

こういう意味不明なパロディなのかギャグなのか
それとも無意識でやっているのかわからないふざけた要素が多く、
制作側の致命的なセンスのズレをひしひしと感じてしまう。

黒幕の正体は「太陽系管理委員会」という大運動会を仕切ってる奴らであり、
簡単に言えばIOCである。もはや五輪の闇を描いているのか?と思うほどだ。
彼等は大運動会の勝者である「コスモビューティー」を意図的に作り出すことで、
それに絡む利権やお金を得ようとしている。
なるほどIOCそのものであると思わずうなずきかけたくもなるが、そんな政治のゴタゴタを
バトルアスリーテス大運動会の続編の作品で見たくはない。

終盤

終盤になるとようやくきちんと試合が描かれる。
今更感が強いものの、黒幕の目的を止めるためにも
神・大運動会で優勝するという流れになる。
唐突に各国代表のキャラクターがでてきたりしながら試合が描かれる。
最初からこうやっておけばいいのにと思うほどまともになる。

しかし、またストーリーがおかしくなる。
それまでメインキャラとしてでていたキャラが
体の不調を理由にあっさりと棄権する。明らかに尺の都合である。
メインキャラの掘り下げもろくに行わず、政治ばかりを描き、
あげくのはてには尺がたりなくなり棄権させる。

脚本の酷さが終盤より極まってくる印象だ。
他のキャラたちもあっさり敗退していき、盛り上がりもクソもない。
主人公もろくに努力した形跡がないのに謎の光(神の力)をまといながら
謎パワーであっさりと勝ち進んでいく。
努力、友情、勝利だった前作とは真逆のような展開だ。

最後のレースも本当に酷い。
100メートル争での勝負という今までの競技の中では
1番分かりやすい競技なのだが、わずか2分で終る(笑)
あっさり勝ち、あっさり黒幕の悪事は世の中にバレてめでたしめでたしだ。

本当にこの作品は何がしたかったのだろうか…

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総評:酷い

全体的に見て本当に最初から最後までひどい作品だ。
作画のレベルは低く、予算がないせいか試合のシーンが短いか
ダイジェストでしか描かれず肝心のシーンはカットされ、
ときにはテロリストに邪魔をされ、終盤にはメインキャラがあっさり負け、
あっさり棄権しながら、主人公があっさり勝って全部解決する。

話の盛り上がりというのをまるで作れていない。
黒幕の浅い野望やテロリストの問題などの政治的なシーンの描写のほうが
試合描写よりも多く「スポーツアニメ」ってなんだっけ?と思うほど
主軸がずれてしまっている。

前作のキャラを出したり、前作のOPを流したりと
中途半端に前作と絡めるのも悪意しか感じられず、
前作ファンの期待にそうような続編とは口が裂けても言えず、
この作品から「バトルアスリーテス大運動会」を知った人は
イメージが最悪だろう。

五輪便乗でスポーツアニメをやりたかったのはわかるが、
それならばオリジナルで五輪の闇を暴くようなアニメを作れば言いい。
「バトルアスリーテス大運動会」というタイトルを利用して
悪質な同人誌を魅せられたような作品だった。

個人的な感想:なんでこうなるう

前作が好きだっただけに25年ぶりの続編で
こんな作品を見せられるとは思わなかった。
バトルアスリーテス大運動会の良さのかけらもない続編であり、
本当に悪質な同人誌でしか無い。

前作の制作であるAICは現在は制作事業から手を引いており、
ライセンス管理のための会社を作って、
その関係でこの作品も生まれたようだが、
自社IPをもっと大事にしてほしいと切に願ってしまう。

「」おもしろい?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. ナチュラルボーン川井さん17XI より:

    AICっていうと、一時期『メガゾーン23』の続編とリブートの企画があって、クラウドファンディングもやってたんだけど、いつの間にかまったく話題を聞かなくなりましたね。ウチもCF参加して、2年以上かかってパイロット版のdvdが送られてきたけど、「…」な出来で「あ~、こりゃアカンやつやな」って思った。旧作のリメイクは難しいですね。できてきても、「夢で見ていた方が幸せでした」な場合が多いし…。

    3.0 rating