セクシー

紳士よ集え、これが紳士アニメだ!「魔都精兵のスレイブ」レビュー

4.0
魔都精兵のスレイブ セクシー
©タカヒロ・竹村洋平/集英社・魔防隊広報部
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評価 ★★★★☆(60点) 全12話

TVアニメ『魔都精兵のスレイブ』第1弾PV

あらすじ 日本各地に、突如として謎の門が出現。その先の異空間『魔都』には女性にのみ食べた者に特異な能力をもたらす桃が存在し、『醜鬼』(しゅうき)と呼ばれる怪物を退治するため、女性兵による戦闘集団『魔防隊』が組織された引用- Wikipedia

紳士よ集え、これが紳士アニメだ!

原作はジャンプ+で連載中の漫画作品。
監督は西村純二、制作はSeven Arcs。

女尊男卑

この世界は「女尊男卑」な世界観だ。
男は生まれたときから人生ハードモード、そうやってぼやいてしまうほど、
この作品は女尊男卑が根付いている。
その原因は「桃」の存在だ。

この世界には数十年前から日本で「門」が開き、
魔都とつながる現象が起こっている。
そんな魔都には鬼のような怪物がはびこっており、
日本はそんな災害に度々見舞われている。

主人公は下校中にそんな魔都に迷い込み、
「ヒロイン」に助け出されるところから物語が始まる。
刀を片手に、鬼を操り、グリグリとしたアクションとカメラワークで
キビキビとした戦闘シーンを序盤から描いている。

世界観を紐解きながら、主人公が戦いに巻き込まれて、
自身もまた戦う運命になってしまう。
ベタではあるものの丁寧な導入で描いており、
1話冒頭から一気にメインキャラを出している。

魔都の出現とともに現れた「桃」。
桃を食べれば「女性」のみが異能力を得ることができ、
鬼に対抗することができる。
そんな状況が数十年続いているからこその女尊男卑な世界だ。

この世界で男は戦えない。鬼に襲われている日本で女尊男卑が
根付いてしまうのも自然な流れなのかもしれない。

ハズレ

ヒロインである「羽前 京香」はハズレの能力を持っている。
敵である鬼を奴隷にし操る能力だが、操られた鬼は
普通の鬼よりも弱くなってしまう。それゆえに使えない。

そんな能力を持つ彼女がピンチの中で主人公を「奴隷」にする
アイデアを思いつく。
今まで鬼ばかりを奴隷にしてきた彼女が、初めて人間を、男を、
異性を奴隷にすることで、主人公は鬼となる。

この鬼の姿のデザインが素晴らしい。
白い肌で赤い文様と緑の目を持つ鬼になった彼は無双の限りを尽くす。
CGも用いながらグリグリと動くアクションに思わず
ニヤニヤしてしまう。

陰影のはっきりとした手書きの作画と、
戦闘シーンでは鬼を「CG」で描く。
手書きの作画とCGをうまく融合させることで、
ハイスピードだがメリハリのきいたアクションが生まれている。

そんな戦闘の後には「ご褒美」が待っている(笑)
彼女は奴隷に対して働きに見合った褒美を与える代償がある。
鬼が奴隷のときは食欲、豚肉を与えるくらいだったものの、
人間である主人公は「性欲」を求めている。

御主人様の甘い甘いご褒美、彼は一生そんなご褒美のために
彼女の奴隷になり続ける。
ボーイ・ミーツ・ガールな導入、セクシーな要素、
キビキビとしたアクションと、王道の要素を組み合わせながらも
女尊男卑な世界で奴隷な主人公という構図は独特だ。

退屈で平凡な日々よりも、彼はヒーローを目指す。
本来は男は戦えない世界で彼は姉の敵をとるためにも
彼女とともに戦うことになる。
立場的には奴隷だが(笑)

ハーレム

主人公は「羽前 京香」の奴隷として、
そして彼女たちが住む寮の管理人として雇われている。
鬼を倒すための「魔防隊」は女性だけしか入れないため、
主人公はあくまで管理人、そして奴隷でしかない。

だからこそ「ハーレム」的な状況が生まれる。
男性に対して拒否感のあるもの、11歳の先輩、
主人公を利用しようとするもの、様々な女性キャラが住んでいる。

女尊男卑な世界だからこそ序盤は安易にハーレム的な展開や
恋愛展開になるわけではない、基本的には主人公は嫌われ、
道具扱いされ、利用されている。

「男性」というものに免疫や理解がないキャラが多い。
どこか舐めてさえいる。
だからこそ、その油断が「セクシー」なシーンにも繋がり、
しっかりとフェチズムあふれる描写がふんだんに描かれている。

特にヒロインの一人は「巨大化」する能力があり、
裸にひん剥かれて巨大化したヒロインにまたがられながら
股間を笑われるという特定の性癖をお持ちの方には
「ご褒美」といえるようなシーンもある始末だ(笑)

最近では減ってしまった紳士アニメ枠としても楽しめる作品だ。
15年くらい前にはこの手のセクシーな要素満開の
バトルアニメは多かったが、この作品はあのころの
セクシーバトルアニメを彷彿とさせるニュアンスがたっぷり詰まっている。

セクシーさだけでなく、バトルシーンもきちんと描かれている。
本来なら単独では戦えない、「羽前 京香」に口づけされないと
変身できない奴隷な主人公ではあるものの、
彼女が居なくても、彼女の「ブーツ」に口づけすることで
部分的に変身することができる(笑)

男として、人間としての尊厳は彼にもある。
だが、そんな尊厳よりも、仲間を守るためには尊厳も恥すら捨てる。
奴隷であり道具ではあるが、きちんと「主人公」が
物語の主人公として自発的に行動し、魅力を感じる主人公だ。

だからこそヒロインたちが彼に惹かれる気持ちもわかる。
ハーレム要素も徐々に出てくる作品ではあるものの、
きちんと主人公に魅力があるからこそ、
そんなハーレム的状況にも納得できる作品だ。

展開も非常に早い、3話になるとヒロインにとっての因縁の鬼がでてくる。
彼女の故郷を滅ぼした存在であり、彼女が戦う理由だ。
そんな鬼の上には「喋る」鬼が存在している。
喋る鬼は女性型であり「弟」を探している。
ちなみに主人公の姉は魔都災害で亡くなっている。

見ている側とすれば推測しやすい要素ではあるものの、
わかりやすい展開だからこそ、シンプルに楽しめる。
なぜ主人公の姉は死んだ後に鬼側についているのか、
魔都とはなんなのか。先が素直に気になる展開だ。

主人公も敵の鬼に「姉の面影」を重ねている。
断定はできないが、もしかしたら姉は生きているかもしれないという疑念、
そんな疑念はありつつもヒロインに踏まれて喜んでいるのが主人公だ(笑)

シリアスなはずなのにセクシーさがギャグとして緩和剤になっており、
サクサクと進むストーリーと相まってテンポよくこの作品を楽しめる。
人型の鬼という予想外の存在が現れたことで、魔防隊も
他の隊と協力して任務に挑むことになる。

キャラクター

癖のある他の隊のキャラクターもデザインが優秀であり魅力的だ。
メインヒロインの一人「東 日万凛」と姉が生意気につっかかってきたり、
そんな同族の煽りに乗せられて「東 日万凛」は
主人公との関係性を深めていく。

「東 日万凛」の能力は他人の能力を使える能力だ。
つまり、主人公を奴隷にして戦う力も彼女は使える。
男嫌いな彼女が男を奴隷にして戦う、己のプライドのために、
己の尊厳のために、主人公との関係性を深めていく。

もちろん、そこには「代償」が伴う。
奴隷が求めている褒美を、奴隷をつかかった代償に与えなければならない。
男が嫌いなのに彼の顔にまたがる様子は笑ってしまうほどだ(笑)
マニアックだが、そんなマニアックさがセクシーシーンを
ギャグにしているといってもいい。

このあたりのセクシーシーンは配信では通常verと
ご褒美verで分かれており、地上波ではAt-X以外では規制されている。
「紳士アニメ」の名を冠するのにふさわしいやり方だ(笑)
しかも、配信のご褒美verなら乳首券まで発行されている。

この厳しい令和の時代にここまで大胆な作品は久しぶりだ。

時間操作

他の隊と実力を図るための交流戦が中盤では描かれる。
敵は「東 日万凛」の姉であり「時間操作」の能力持ちだ。
5秒間時を止める、5秒間時を戻すなど反則に近い能力に、
主人公と「東 日万凛」が挑む姿はジャンプ漫画のラストバトルを
彷彿とさせるような熱い展開だ。

姉は「東 日万凛」にとってはずっと越えられない壁だ。
勝負時に限って力を出しきれず結果を出しきれないのが彼女だ。
彼女にとって、今回の勝負は乗り越えるべき壁であり、トラウマだ。

時を操るが連続では能力を使えない相手にどう挑むのか。
相手の能力を知っているからこそ対策もできる、
だが、相手は対策されることも想定済みだ。
5秒と思わせといて「10秒」時を止めて
主人公たちを圧倒する。

そんな姉を目の前に挫けそうになる彼女だが、主人公がそんな彼女の背中を押す。
姉の能力は決してノーリスクで使える万能なチートではない。
主人公の決死の覚悟と二人の絆が姉というトラウマを、壁を乗り越える。

王道なストーリー展開をきちんと盛り上げる戦闘シーンを描きつつ、
主人公とメインヒロインの関係性を掘り下げ、
最後には「ご褒美」という名のセクシーシーンを描く。
この作品らしい面白さがきちんと中盤でも感じられる。

そんな感じで丁寧に一人ずつメインキャラとの関係性を築きながら、
ストーリーを進めていく。交流戦で他の部隊のキャラも描いたからこそ、
交流戦で現れた敵との戦いも盛り上がる。

二人の主

主人公は「羽前 京香」の奴隷ではあるものの、
そんな「羽前 京香」の力を借りた「東 日万凛」の奴隷でもある。
同時に二人の主を持ち、変身した彼の姿は圧倒的だ。

パワーアップの流れ、新しい形態、
こういうバトル漫画的な展開をサクサクと見せていくテンポの良さが
この作品は圧倒的だ。

そんな主人公に魅力があるからこそ、奴隷や戦闘のためだけではなく、
男として彼に轢かれて誘惑してくるものも居る。
「お姉さん」キャラが積極的に迫ってくる様子は、
主人公、及びに紳士諸君にとってもご褒美だ。

主人公の奴隷としての姿も奴隷を貸し出し乗る人によって
変わることが明らかになる。
それぞれの乗り手の特徴を強化するものだが、
色々な能力を扱えるというのはシンプルに面白い。

同時に、いろいろな女性が主人公に好意をもち、
奴隷として貸し出される状況だからこそ、
本当の主である「羽前 京香」にも嫉妬と独占欲が生まれる。
ハーレムとして設定が機能しており、
ラブコメとしてニヤニヤ楽しめる作品だ。

そんな魅力あふれる主人公だからこそ敵も狙ってくる。
終盤で彼は敵である人型の鬼に捕まり、
全身を舐められてしまう(笑)

元人間

主人公が敵に誘拐されたことで敵の実情も分かってくる。
彼女たちは元人間であり「事故」で体が鬼のようになってしまった存在だ。
主人公の姉もまた魔都に迷い込んだ際に魔都の「桃」を食べて
半分鬼の体になってしまっており、魔防隊と敵対している。

魔防隊のトップは彼女たちを「調査」という名の研究をし、
実験動物にした過去がある。だからこその敵対だ。
彼女たちは同じ立場の仲間を助けるためにも戦っている。

人間の姿に戻れる方法はまだ見つかっていない。
いつ鬼としての本能に目覚め、心が支配されてしまうかもしれない。
鬼と戦うための「桃」もメインキャラたちは食べている、
そんな「桃」のちからが暴走したのが姉達だ。

敵の事情を知ったからこそ主人公は迷う。
対話をしても、もう止められない。
それぞれの事情、それぞれの正義がぶつかり合う。

ラストバトル

最後の戦いは1クールでの成長を感じるものだ。
特に「東 日万凛」は姉へのコンプレックスがあり、
勝負時に力を出せないという欠点があった。
しかし、そんな彼女が交流戦を経て姉と少し和解をしたことで、
終盤は姉とともに背中合わせに戦っている。

姉に助けられてばかりだった彼女が姉とともに力を合わせて
一人では敵わない敵に挑む。
1クールでの成長をしっかりと感じる展開だ。

そんなバトルの中に「八雷神」を神を自称する存在が乱入してくる。

守るために

主人公には負けられない理由がある。
鬼になった姉を守るためにも、ヒロインの敵を倒すためにも、
もう誰も奪わせないために負けられない。

ヒロインの奴隷という立場は変わらない、だが、
ただ言われるがままではなく、自らの意思で戦い、
自らの意思で彼女に並び立つ存在になろうとしている。
女尊男卑な世界で彼は「男」を見せてくれる。

ストーリー的には「八雷神」という第三勢力が現れたことで混沌をしている。
鬼を倒す主人公たち、鬼と人間の間にいる主人公の姉たち、
鬼側についている八雷神。

更に魔防隊の組長も未登場ではあるものの、
何やら色々と問題があるらしく、
そのあたりが明かされるのは2期以降だ。

1期の時点では序章で終わっているものの、
この作品らしい魅力をたっぷりと感じられる作品だった。

総評:男の欲望を解放せよ!

全体的に見て素晴らしい紳士アニメだった。
鬼と戦える女性が存在する世界で、女尊男卑が根づき、
男の価値が下がっている中、主人公はヒロインの奴隷となり
戦える力を身に着けて戦っていく。

シンプルではあるものの、わかりやすい能力バトルは
王道の面白さを感じさせてくれると同時に、
CGと手書きの作画をうまく組み合わせた戦闘シーンは
キビキビと動き、迫力のある戦闘シーンを描いている。

ストーリー的には序章であり、鬼の謎や八雷神の謎など
色々と謎はあるものの、物語の序章として先の展開を期待させるものになっていて、
1クールで一区切りついており、2期への期待感も強めてくれている。

そんな王道な能力バトルファンタジーを描きながら、
紳士アニメとしてのセクシーシーンもたっぷりと描かれている。
主人公が本能的望んでいる「ご褒美」の数々は
どこかマニアックではあるものの、それが笑いにもなっており、
規制がないバージョンでは思い切った描写がかなり多い作品だ。

色々と規制が厳しくなった令和の時代に、
あえて15年くらい前の紳士アニメのノリ全開で描きつつも、
ジャンプ+とはいえジャンプらしい王道のバトルファンタジーを
描いている作品だ。

王道のバトルファンタジー、そして紳士アニメ要素が
非常にうまく絡み合っており、キャラクターの魅力もたっぷり感じられる。
丁寧に作られた作品であり、2期も決定しているだけに、
2期もこのまま突っ走ってくれることを期待したいところだ。

乳首券

規制なしverとはいえ、乳首券が発行されていることには驚きだ。
思わず「おぉ!?」と出た瞬間に唸ってしまったほどだ。
セクシーなアニメも最近はちょこちょことあるものの、
乳首券まで発行されることはなかなかない。

あの頃の紳士アニメでも乳首券が発行される作品は
数作品ほどしかなかっただけに、
この大胆な規制の解除に称賛したいところだ。

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