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「劇場版 ワンピース」レビュー

3.0
映画
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評価 ★★★☆☆(55点) 全51分
https://www.youtube.com/watch?v=81hk0BV_h6w

あらすじ 航海を続けるルフィ達は海賊エルドラゴに捕らえられていたトビオという少年を助け出す。引用- Wikipedia

初期ノリ全開

本作品はワンピースのアニメ映画作品。
ワンピースとしては初の劇場アニメ作品ではあるものの、
いわゆる副題のようなものはない。
監督は志水淳児、制作は東映。
『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』と同時上映された。

セル画

ワンピースのアニメ自体は1999年から制作されており、
この作品は2000年公開ということもあって、やや時代を感じる作画だ。
2022年現在まで15作品の劇場アニメが制作されているものの、
本作品のみいわゆる「セル画」で描かれている。

まだサンジすら仲間になっておらず、本当に初期の初期だ。
なにせOPは「ウィーアー」である(笑)
あの頃TVにかじりついてみていた記憶を呼び覚ましてくれるほど、
作品全体から強烈な懐かしさを感じさせてくれる。

そんなルフィたちは「ウーナン」という黄金の大海賊と呼ばれた
伝説の大海賊のお宝を探している。
このあらすじだけで、最近はお宝探しなどろくにしないワンピースの
方向性との違いを感じさせてくれる。

いい意味での初期のノリの良さだ。
船のお宝を撮られても、おにぎりを渡されれば、
お宝よりもおにぎりに夢中なルフィ達、
「泥棒」という概念すらよくわからないルフィのバカっぽさや、
「ゴム人間」だから銃で撃たれても大丈夫という今や
日本国民の8割は知ってるような周知の事実を丁寧に見せてくれる。

「なんだこいつ!まるで体がゴムで出来てるみたいだ!」

基本的にコメディタッチで序盤は描かれており、
クスクスと1シー1シーン笑わせてくれるワンピースらしい
ギャグ的な表情の描写やコミカルなアクションが、
この頃のワンピースの初期のノリの良さをひしひしと感じさせてくれる。

海賊王になるというルフィの目的、そんな彼の仲間たち。
仲間を探し求めるルフィが「トビオ」という少年と出会うことで
物語が動き出す。

トビオ

彼はウーナンという大海賊に憧れる少年だ。
たびたび祖父のもとをぬけだし、海賊に捕まったりもしている。
祖父のような「おでん屋」にはなりたくない。
彼にとって祖父は「かっこ悪い人間」だ。

彼は自分が「弱い」ことを知ってる。ただの子供だ。
あこがれと夢をいだきながらも現実を知っている少年は、
「ウーナン」という海賊にあこがれを抱きつつも、
現実の自分の強さをわかっている。

今作において「トビオ」という少年の物語と魅力は
物語の核となっており、
この作品を見ていたであろう「少年少女」たちの共感を強く
生みやすいキャラクターに仕上がっている。

そんな彼の夢と思いを信じてくれる人がいる。
それが「ルフィ」だ。
海賊王になるという無謀ともいえる夢、彼はそんな夢を叶えることを
信じて疑わない。そんなルフィだからこそ少年の夢をバカにしたりしない。
彼の祖父は彼の夢を否定している中で、彼が出会った初めての理解者でもある。

トビオはウーナンに憧れ、そんなあこがれをルフィに認めてもらい、
そして「祖父」の過去を知る。
この作品はトビオの成長物語でもある。

エルドラゴ

今回の敵は同じウーナンのお宝を狙うエルドラゴだ。
彼は「ゴエゴエの実」の能力者であり、
大声をレーザー砲のように撃つことができる。

ただ、このキャラに関しては正直微妙だ。
ただの黄金好きの海賊という感じでそれ以上でもそれ以下でもなく、
悪魔の実の能力に関しても、そんな黄金好きの設定と噛み合っておらず、
あまり歯ごたえのある敵とはいえない。

60分程度の尺でTVSPほどの内容と考えれば
このくらいの敵がちょうどいいといえばいいのだが、
戦闘シーンもあまり多くなく、やや物足りなさはある。
「ウーナン」の真実、物語のラストはスッキリとした感覚はあるものの、
もう一歩歯ごたえがほしいと感じてほしい作品だった。

総評:古き良きワンピース

全体的にみてワンピース初映画作品なだけに、
初期のワンピースのコメディチックなノリを全開にしつつ、
60分程度の尺の中で「トビオ」という少年の物語と成長を描き、
スッキリと終わっている作品だ。

ただ、敵の歯ごたえに関してはかなりもの足りず、
あまり印象に残る敵ではない。
同時上映が「ぼくらのウォーゲーム」という名作ゆえに、
さらに言えばサブタイトルすら無いせいでこの作品があまり
語られないのも納得できるカンジダ。

今見るとややふるさを感じる部分はあるものの、
セル画だからこその雰囲気も強く出ており、
他の14作品では味わえない、この作品だからこその
「ワンピース」の面白さを感じさせてくれる。

あの頃のワンピースを味わいたい方にはたまらない作品かもしれない。

個人的な感想:ウソップとナミ

今作ではウソップもナミも戦っておらず、
「口」だけで敵と渡り合っている。
そのあたりも初期のノリを感じさせる要因なのかもしれない。

そもそも軽く調べたところ、
ウソップとゴーイングメリー号は原作の漫画では登場していたが、
アニメではまだ登場していない時期の上映だったようで、
当時のアニメしか見てないキッズはどういう気持で
ウソップのことをみていたのだろうかとやや謎だ。

特にウソップのことに対する説明もなく、
エンドロールやOPではサンジもちら見せされているが、
原作を読んでいれば問題ないが、アニメだけだとウソップと
サンジの要素だけは当時は謎に感じるキッズも多かったかもしれない。

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