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果てしなき暴力のスカーレット「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」レビュー

3.0
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:©鳳ナナ・アルファポリス/最ひと製作委員会
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評価 ★★★☆☆(50点) 全13話

TVアニメ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』第2弾PV|2025年10月3日(金)より放送

あらすじ 舞踏会での婚約破棄。それはよくある“悪役令嬢”への断罪シーンとなるはずでした 引用- Wikipedia

果てしなき暴力のスカーレット

原作はアルファポリスで連載中の小説作品。
原作は坂本一也、制作はライデンフィルム。

悪役令嬢

最近のいわゆる「なろう系」のアニメ作品の流行が「悪役令嬢」だ。
いつのころからか男性主人公のなろう系主人公よりも、
女性主人公でしかも悪役令嬢モノがかなり増えており、
ジャンルの中でのブームになっている。

既存のなろう系アニメのテンプレが飽き始められ、
なろう系アニメも方向転換しているのかもしれない。

悪役令嬢ものといえば
「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった」が
もっとも有名なところだが、少女漫画、乙女ゲーム的なニュアンスが強く、
バッドエンドを回避するのが主なストーリーになっている。
こちらもこちらでテンプレ的なものが多い。

ただ、この作品は悪役令嬢モノではあるが、
主人公は別に「転生」や「転移」しているわけでもない、
本当に純粋にこの世界でいきるものであり、そこは斬新だ。
さらに斬新なのは「暴力」である(笑)

ぶちかませ!

1話冒頭、主人公はいきなり王子様から婚約破棄を言い渡される。
そのそばには新たな婚約者がおり、そんな新たな婚約者が
王子にあることないことを言った結果の婚約破棄だ。

本来ならそこから成り上がったりするのがベタな展開だが、
この作品の主人公である「スカーレット」は
わかりやすい「暴力主義者」である(笑)

彼女は子供のころから暴力により物事を解決する。
「人を殴るのが大好き」な彼女は、
暴力をする理由、状況であれば喜んでこぶしをふるい、
返り血をあぶて満面の笑みを浮かべる。
シンプルにやべぇやつだ。

自分が気に入らない、自分が正しい、正義と思う状況で
暴力をふるえるなら彼女は迷うことなく拳を叩き込む。
だが、我慢はできる。

気に入らない王子に我慢し続け、奴隷といわれようが
傲慢な態度をとられようが耐え続け、耐え続け、
王子の兄にもいじられ続けても耐え続けている。
それは「拳」をふるうための下準備でもある。
じっくりと煮込み、煮込み続ける。

そして拳はふるわれる、思いっきり叩き込んだ右ストレートを
食らう婚約者、そして王子派の全員をぶっ飛ばす(笑)
とんでもない作品だ。

容赦がない、容赦のない暴力は独特な爽快感がある。
この容赦のない暴力ゆえに1話から好みはわかれる、
だが、スカーレットにも暴力をふるう「道理」がきちんとあり、
暴力を振るわれる側にも振るわれるだけの理由がある。
(王子派というだけで貴族が殴られるのはどうかと思うが笑)

悪くてムカつくから殴る

主人公が殴る理由はシンプルだ、むかつくから、殴りたいからだ。
殴るための理由を求め、殴るための状況に自ら飛び込む。
かといって無差別に国民を殴るというわけではない。
主人公の中での道理があり、主人公なりの正義を拳に乗せてこそだ。
彼女の中のある種の哲学が1話の時点から確立している。

彼女の暴力的な行動に批判的なもの、心配する兄、
「面白がる」第一王子もおり、
特に「兄」はツッコミ役としても機能している。
第一王子は主人公のことを面白がりながらも、
時に彼女に口づけするなど「恋」の相手としても機能している。

バランスのいいキャラ配置とわかりやすいストーリーは、
暴力的ではあるもののすっきりとしたものがあり、
水戸黄門や暴れん坊将軍など、あの手の大衆時代劇的な
わかりやすい面白さがある。

やや1エピソードあたりにかける時間は長いものの。
「悪いこと」をしている貴族を、殴るための状況を作り、
主人公であるスカーレットが思う存分に暴力をふるうことで
物事が解決するという、この作品のテンプレが序盤で生まれている。

魔法

この世界には「加護」という名の魔法があり、
それぞれが加護を持っている、主人公が持つのは時を操る加護だ。
自分の時を加速させたり、他者の時を戻したり。
かなり便利な加護だが、その加護は主に暴力に使われる(笑)

時の加護を使いながら「これは〇〇の分っ!」といいながら殴る様は
北斗の拳やドラゴンボールを彷彿とさせてくれる。
さりげないパロディにはくすくすとさせられる。

加護という名の魔法があると同時に「転生者」も居たりする。
「ハッピーエンド」を求める転生者は自らを主人公と認識し、
主人公を「悪役令嬢」だと思い、策略している。
「宗教」的な問題を抱える国の中であくどいことを考える貴族どもを
ぶん殴る、中盤になってもわかりやすいストーリーだ。

転生者がなぜ転生したのかなど、変に伏線や謎を引っ張らず、
話も引き延ばしていないためテンポもいい作品だ。

判断

あくまで殴るかどうかは主人公の判断だ。
中盤では「聖女」が除法漏洩というかなりの裏切りをしているのだが、
この聖女は主人公とは旧知の間柄であり、
能力を奪われたというかわいそうな状況ではあるものの、
結構な大罪を犯していることは間違いない。

だが、主人公はこの聖女は殴らない。
女であろうと男であろうと魔物であろうと殴るのが主人公ではあるものの、
その判断基準は「主人公」であり、その主人公の判断がすべてだ。
このあたりでややもやつく部分はあるかもしれない。
そうかと思えば第一王子すら殴るのがこの作品の主人公ではあるが(苦笑)

終盤になると転生者の暗躍になり、魔物を含めた戦争状態になり、
魔物や多くの人間と戦うことになるのだが、若干「飽き」も生まれる。
序盤より大騒動になり状況も派手になるが、
「戦争」であるがゆえに壮大な話が展開しており、
序盤のようなサクサク感がなくなってしまうのは残念だ。

そういった細かく気になる部分はあれど、
1クールで転生者を殴って始まり、転生者を殴って終わる、
だけでなく自らの意思での「キス」でハッピーエンドを迎える展開は
良い意味で裏切られニヤニヤしてしまった。
そんな1クールの区切りが生まれており、一本筋の通ったものになっていた。

総評:やはり暴力!暴力は全てを解決する!

全体的に見てアルファポリス原作のアニメということで
一切期待していなかったが、そんな期待の低さをひょいっと超えてくる
独創性のある作品だ。
いわゆる悪役令嬢モノとは少し違う、暴力で物事を解決する主人公には
一本筋の通った清々しさがあり、ギャグとして楽しめる。

中盤くらいから恋愛要素も少しずつ顔を出していき、
そんな恋愛要素が最終話で大爆発する。
暴力、そして愛さえあれば物事は解決する。
キスしながら右ストレートでぶん殴ってくるような力強さがある作品であり、
好みは分かれるタイプの作品だが、1話を見て笑えれば最終話まで楽しめる作品だ。

1クールで話に区切りをがついているのも好感を持てる部分で、
やや中盤以降テンポ感は落ちるものの、1つの作品として、
1期だけで完成された作品に仕上がっている。
アニメーションのクオリティもしっかりしており、
瀬戸麻沙美さんをはじめとする中堅声優陣がキャラの印象もきちんと掘り下げてくれている。

何回見ても楽しめる作品ではないものの、
2期があれば見たいと思える作品だった。

個人的な感想:まさかアルファポリスを評価する人が来るとは…

以前もアニメコラムで特集した通り、
アルファポリス原作のアニメは作画崩壊か薄味かの2択だ。
しかし、この作品はちょっと違う、作画もしっかりしており、
決して薄味ではないうえに、本作品らしい面白さがきちんとある。

暴力描写やキャラ描写などの部分は好みがわかれるところだが、
個人的には割と楽しめた作品だった。
アルファポリス原作のアニメの9割は厳しい作品だったが、
今後は期待できる…かもしれない。

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