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「球詠」レビュー

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評価 ★★☆☆☆(37点) 全12話

あらすじ 舞台は埼玉県越谷市。鋭い変化球を得意とする武田詠深は、中学時代は変化球に対応できる捕手に恵まれなかったために積み重ねた特訓の成果を発揮することができず、中学を卒業する際には女子野球の道をいったん諦める引用- Wikipedia

作画がっ!!!

原作はまんがタイムきららフォワードで連載中の漫画作品。
監督は福島利規、製作はstudio A-CAT

作画


画像引用元:球詠 1話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

1話冒頭、主人公がピッチャーとして試合で投球するところから始まる。
この作品はタイトルからも分かる通り「野球アニメ」であり、
女子野球を題材にした作品だ。
しかし、そんな主人公が登場した瞬間に思わず「おう…」と声を上げてしまう。

キャラクターデザインが2000年代前半の深夜アニメか、
懐かしのギャルゲーを彷彿とさせるような古臭さを感じるデザインだ。
本当に原作は「きらら」で連載しているのか?と原作の絵柄を
ぐぐってしまうほど古臭く、なおかつ作画の質はかなり悪い。

いわゆる「溶ける寸前」の顔だ。
原作はきらららしい可愛さを感じさせるが、アニメは古臭さが際立っており、
ガシッとした体格のキャラクターの等身もあいまって、
ごてごてした印象を受ける。

制服のデザインがそれっぽいこともあるが、これが2001年くらいのアニメなら
「ギャルゲー原作のアニメかな?」と思ってしまうような雰囲気すらある。
1話早々に双子キャラがでるのだが、双子とわからないほど
キャラの顔が違う。

ベタ


画像引用元:球詠 1話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

1話からベッタベタだ。主人公は過去に野球をやっていたがとある事情で
野球をやめており、なおかつ入った高校の野球部は活動休止中、
そんな中で幼馴染と再会する。

スポーツ系部活アニメで何度も見たような展開だ。
そこに目新しさはなく、王道といえば聞こえは良いものの
どちらかといえば「ベタ」といったほうがいい感じのありきたりさだ。

話も淡々としている。主人公は「魔球」を得意としていたものの、
その「魔球」をキャッチできるキャッチャーがおらず実力を出しきれなかった。
主人公が魔球を投げるまでに至る理由、中学時代のチームメイトに対する思い、
丁寧に「主人公」がどんな子でどんな過去が合ったのかというのを
描いているが、ものすごく淡々としている。

過去回想で1話からキャラの過去が語られるのは
やや盛り上がりに欠ける部分がある。
しかし、その淡々とした中でこの作品でやりたいことが見えてくる。

この作品の原作はきららだ。
「きらら系」と言われる作品は基本的には可愛い女の子の
キャラクターを楽しむような作品も多く、
キャラクターの可愛さがあってこその作品も多い。

そんな中でこの作品はある意味真逆と言っても良い。
アニメにおいても彼女たちの顔の作画よりも優先されているのは「動き」だ。
主人公の投球フォームは1話から非常になめらかだ。
この時点で、この作品なキャラの可愛さより「野球」を描きたいんだということが
伝わってくる。きらら系の中でもかなり異色だ。

真面目


画像引用元:球詠 2話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

この作品はいい意味でも悪い意味でも「遊び」がない。非常に真面目だ。
1度は野球をやることを諦めてしまっていた主人公や、
不祥事を起こした部の先輩たち。そんな彼女たちが「野球」を通じて交流し、
「野球」を通じて話が進む。

部に所属してはいるものの、
部活に参加してくれない先輩に対し主人公は勝負を挑む。「賭け」だ。
主人公が勝ったら
ピッチャーである主人公とバッターである先輩。
投球とバッティングによる勝負によってストーリーが進んでいく。

変な萌えや、現実的ではない部分というのがない。
主人公が「魔球」を投げられるという部分はある種のファンタジーかもしれないが
ようは「すごくよく曲がるカーブ」だ。
別にボールが分裂したり消えたりするわけではない(笑)

この作品は本当に真っ直ぐに「野球」というものを描いている。
だからこそ展開は地味だ。淡々としたストーリーの中で野球を通じて
キャラクター同士の信頼関係が生まれ、
部としてチームとして形になり成長していく。

美少女系アニメや、きらら系アニメというよりは
「MAJOR」や「おおきく振りかぶって」などの王道の野球アニメを見ているような
そんな気分になるような作品だ。

試合


画像引用元:球詠 4話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

4話になると他校との試合が描かれる。しかし、あからさまにCG使われる。
試合中にCGで描かれてるキャラとそうでないキャラがいたり、
妙にヌルヌルと動くCGではあるものの、よく動くというよりは違和感がものすごく
試合の内容も頭に入ってこない。

肝心の試合も問題だ。せっかくの他校との初試合だ。
4話という序盤の盛り上がりどころと言うべき部分でも淡々とサクサクと
試合が描かれてしまう。どちらかというとダイジェストチックとも言える展開だ。
部員が集まり、色々と問題も合った部活が動き出し、全国を目指す彼女たちの
初めての試合が「総集編かな?」と思うほどにサクサクと描かれてしまう。

この作品は真面目な野球アニメだ。
キャラの可愛さよりも投球やバッティングモーションの方を
優先している作品なのに、肝心の試合になるとダイジェストになっているのは
残念でしか無くまったくもって盛り上がらない。
本来はあるはずの敵チーム側のキャラの掘り下げや心理描写もほぼ無い。

主人公が試合中に過去のトラウマを思い出し、それを克服し、
今の彼女たちの実力がわかる。そんな4話の試合のはずなのだが、
サクサクしすぎてしまってキャラクターの感情に見る側の感情が追いつかず、
どうにも燃えきらない。

初めての試合なのに盛り上がらないというのは残念でしか無く、
作画だけでなく、細かい部分での演出の弱さも感じてしまう。

練習


画像引用元:球詠 5話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

この作品はひたすら練習をしている。
部活系のアニメの場合、ろくに練習もせずにいきなり上達したりすることも
多いが、この作品は本当に丁寧に練習をしている。
練習試合の後に自分たちの問題点や伸ばすべき部分を見直し、
それに準じた練習を行う。

ものすごく丁寧かつ真面目な練習風景だ。
淡々として盛り上がりどころはないものの、
序盤だけでなく中盤もこの作品は丁寧に「野球」というものを芯にとらえ、
キャラクターの一人ひとりの技術を伸ばしていくストーリーが描写される。

この作品は主人公の魔球や有名野球選手のコピーをするキャラは居るが、
あくまでもきちんと「戦略」をねって野球をしている。
キャラクターごとの性格や能力を考慮し打順を決め、
相手に合わせて作戦を決める。

練習シーンは非常に丁寧に描かれてる反面で、
いざ練習試合となるとダイジェストチックにサクサクと勧めてしまう。
せっかく練習シーンの中で積み上げてきた成果を試合で「さらっ」と
見せてしまうため、盛り上がりに繋がりにくい。

キャラ


画像引用元:球詠 10話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

序盤で一気にメンバーが集ってしまっており、
そのせいか印象の薄いキャラクターが何人かいる。
それどころが「主人公」の存在感もやや薄く、
各キャラの特徴や成長を見つつ、更に成長へと導く
マネージャーである「川口 芳乃」のほうが主人公らしさを感じさせる時がある。

彼女は野球が好きで、野球選手が好きな女の子だ。
出会った女の子の手や脚を容赦なく触り、
そこから「どんな選手か」を感じ取れる(笑)

野球選手としての能力はあまりないものの、彼女のコーチングはすばらしく、
彼女の指導で選手がきちんと育っていくのがストーリーでしっかりと感じ取れる。
特に終盤の彼女は自らの「采配」に悩んだり悔しがったり。
主人公よりもきちんと主人公として物語の主軸にいる。

この作品が「きらら」原作ではなく、ギャルゲーなら男で
マネージャーと言う立ち位置の主人公だったかもしれないと感じるキャラであり、
彼女の試合中の解説が試合をよりわかりやすくしてくれる。
キャラが強すぎて主人公やその他のキャラに比べて存在感がありすぎる部分があり、
一気に部員が集まったがために最後まで印象の薄いキャラも多い。

梁幽館高校


画像引用元:球詠 11話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

終盤になると、序盤から中盤までダイジェスト気味だった試合も
きちんと描かれるようになり、相変わらず作画は悪いものの、
この作品の「野球」に対する真面目さがしっかりとにじみ出てくる。
特にラストの「梁幽館高校」との試合はこの作品で最も丁寧に描かれている。

1打席ずつ、キャッチャーの心情、キャッチャーの心情、
バッターの心情、そしてベンチからの心情。
一人一人のその打席にかける「内面描写」が本当にきちんと細かく描かれており、
1打席ごとに素晴らしいまでの緊張感が生まれている。

「野球の試合」というのを丁寧に描き、その試合に挑んでいる選手たちの
内面をきちんと描くことで終盤で「野球の試合の面白さ」をきちんと感じられる。
制作側が描きたかったのはこの試合だった、この試合のために
1クールというストーリー構成の中で序盤から中盤の試合をダイジェストにし、
終盤の試合を描くために尺調整をしていたことが見て伝わってくる。

1クールではなく2クールなら、序盤から中盤の試合も
終盤の試合のように細かく描かれていたかもしれないと感じさせるほどだ。
淡々としたこの作品の淡々とした描写の中で盛り上がりが生まれてくる。

しかし、相変わらずの作画の悪さと演出の弱さはあり、
特に顔の判別もつきにくいのに主人公たちのチームユニフォームと
梁幽館高校のユニフォームが似すぎてて一瞬戸惑ってしまう部分がある。

もっとを結果を出せる選手に…


画像引用元:球詠 12話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

「全国レベル」の相手に対し、彼女たちは必死に食らいつき、
そんな中で自分たちの欠点、自分たちのどこが駄目なのかを痛感する。
試合中の中でも彼女たちの中には「悔しさ」がつきまとう。
悩んでどうしようもなくなってしまう子もいる。

だが、チームメイトが背中を押してくれる。
1打席1打席、彼女たちは噛みしめるようにバッターボックスにたつ。
「もっと練習しようね」「もっと結果を出せるバッターになりたい」
彼女たちの強い思いが、全国への思いをより募らせる。

その思いが結果につながる。

総評:The野球アニメ


画像引用元:球詠 12話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

全体的に見て王道ではあるものの、その王道を淡々と
序盤から積み重ね、その積み重ねがきちんと終盤で生き、
きちんと盛り上がり、最後まで見ると「面白かった」といえる作品だ。

ただその反面、1話から最終話まで基本的に作画は悪く、
元々のキャラクターデザインの古臭さはあるものの、
せっかく真面目に野球をしているのにふとした瞬間のキャラの顔や体格で、
ふいをつかれたかのように笑ってしまうこともあり、
CGによる選手の動きの描写も違和感が生まれてしまっていた。

1クールであるがゆえに序盤から中盤の試合はややダイジェストぎみであり、
掘り下げ不足と印象が薄いキャラクターもいる。色々ともったいない作品だ。
2クールできちんとした尺で、きらららしいキャラデザとしっかりとした
予算とスケジュールでこの作品が作られたら、
もっと多くの人がこの作品面白さがしっかりと伝わったかもしれない。

ストーリー自体はThe王道であり、見続ければ見続けるだけ
面白さがにじみ出てくる作品ではあるが、
作画や地味さや淡々さのせいで損をしている作品だった。

個人的な感想:作画がなー


画像引用元:球詠 6話より
©マウンテンプクイチ・芳文社/新越谷高校女子野球部

本当に作画で損してる作品だ。
海外配信版は日本よりも納期スケジュールが早かったらしく、
日本で放映されたものより更にひどかったらしい。
昨今の社会事情の影響なども合ったかもしれないが、
きちんとした形でこの作品が作られていれば…と思ってしまう。

2期は正直厳しいかもしれないが、原作が完結したら
読んでみたいと思える作品だった。

「」は面白い?つまらない?

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