青春

「プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~」レビュー

2.0
青春
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評価 ★★☆☆☆(31点) 全12話

【PV】プラオレ!アニメPV 第1弾

あらすじ アイスホッケーチーム「ドリームモンキーズ」。本拠地は栃木県日光市。そのチームが開催する体験教室の門を叩いた、地元の中学生引用- Wikipedia

ウマ娘の成り損ない

原作はサイバーエージェントとDMM GAMESによるメディアミックス作品。
2022年3月からはソーシャルゲームがリリース予定の
アイスホッケーを題材にした作品

ホッケー

1話冒頭からホッケーの試合が描かれる。
演技の怪しいメインキャラクターたちが試合をするシーンは
特に迫力もなく、あまり印象には残らない。
アイスホッケーを題材にしたアニメはほとんどなく、
そういった意味ではかなり珍しいのだが、
この作品はホッケーよりも気合を入れている部分がある

ビクトリーダンスである(笑)
なぜかホッケーに勝つとアイドルのような衣装に身を包み、
試合会場でライブをしだす。
ホッケーの試合よりも動きまくりなビクトリーダンスは
アイドルアニメ顔負けだ。

ホッケーアニメを見ようと思ったのにアイドルアニメが始まった。
そんな居酒屋で烏龍茶を頼んだらウーロンハイが出てきたような
「これじゃない」感を冒頭から強烈に味合わされる。

そもそも1話冒頭でホッケーの試合をしているのは「刺繍部」だ。
ホッケーなんだかアイドルなんだか刺繍なんだか、
もうしっちゃかめっちゃかな状況の中で
みんなで温泉に入るシーンまで出てきて乾いた笑いしか出ない。

キャラクターデザインもどこかで見たことのあるようなキャラデザでしかなく、
この作品のためにかき集められた新人声優さんによる演技の危うさとあいまって
1話早々に「期待感」よりも「心配」のほうが上回ってしまう。
そんな刺繍部な彼女達が「アイスホッケー体験教室」に
参加するところから物語が動き出す。

丁寧

1話のAパートはそんな乱雑な要素をひたすらに見せられるものの、
Bパートからは非常に丁寧に「アイスホッケー」が描かれる。
アイスホッケーのルールややり方を体験教室で体験する彼女達を通して
見ている側にも伝えてくれており、
体験教室の中でアイスホッケーの楽しさに目覚める様子をえがいている。

ド派手すぎるとも言える1話Aパートとやや地味なBパート、
この落差が不思議と先の展開を気にならせてくれる。
序盤はやや淡々としている部分もあるものの、
その淡々とした展開の中で丁寧にひとりひとりのキャラクターを掘り下げている。

この作品はソーシャルゲームへの展開を前提としている作品だが、
ソシャゲ原作アニメ特有の「キャラクターの多さ」がない。
メインキャラクターは7人であり、そんな7人のキャラの事情や
「引っ越し」などのベタな展開はありつつも、
ベタだからこそキャラ描写がひかり、キャラの掘り下げにつながっている。

メインキャラの1人の「引っ越し」をきっかけに、
彼女達は「本気」でアイスホッケーに挑もうとする。
3ヶ月前まではただの刺繍部だった4人、経験者といえるのは他校の2人しか居ない。
引っ越しまでに試合をする、そんな目標をたてることで
スポーツものとしてのおもしろさも生まれてくる。

初めての試合もそんなに甘いものではない。
決してご都合主義による勝利なんてものはなく、敗北だ。
だが、敗北を知ったからこそ「次は勝ちたい」と思う。
王道のスポーツアニメの流れをきちんと丁寧に描いており、
1話冒頭のキワモノ感はなんだったんだと話しが進めば感じてくる。

丁寧に練習描写を重ね、少しずつ少しずつ、彼女達が成長していく。
彼女達の監督もいいキャラをしており、アイスホッケーが好きが故に
その情熱も凄まじく、その熱血感が良いキャラクターを作り上げている。

先輩

ただ、そんな丁寧な序盤から怪しくなってくるのが中盤だ。
彼女達は体験教室に入っていた「ドリームモンキーズ」に入るのだが、
当然、そこには「先輩」も存在する。

この先輩たちの存在感がひどく薄く、入ったばかりのメインキャラたちに
スタメンを奪われてしまう始末だ。
先輩たちがどれくらいの経験者なのかはわからないものの、
ほぼ経験者の居ないメインキャラクターたちよりは明らかに経験があるはずだ。
それなのに初めて半年かそこらのメインキャラにスタメンを奪われる(苦笑)

先輩たちもメインキャラ扱いにしてしまうと12人以上の
メインキャラクターになってしまい扱いきれないのはわかるものの、
そのあたりにあまり触れないまま、先輩たちのキャラ描写もほぼないまま、
存在感0になってしまっている。

これならば「ドリームモンキーズ」がまだできたばかりという
設定にしてメインキャラたちしかチームに居ないくらいのほうが
まだ半年しかアイスホッケーの経験がない彼女達が
スタメンに選ばれるのもわかるものの、そういった自然な設定はない。

なにか問題を起こした、怪我をしたなどの納得できる理由があるならばともかく、
なぜ「ドリームモンキーズ」は経験の浅いメインキャラたちを
スタメンにしたのかが謎でしか無い。

試合の開始前には先輩たちもいるのだが、
試合のシーンになるともれなくベンチ入りしているのは
強烈な違和感がうまれてしまっており、
このあたり、もう少し自然な描写にできなかったのかと思ってしまう。

踊れ

1話の冒頭で出てきたアイドル要素も謎でしか無い。
6話で彼女達は「ドリームモンキーズ」として練習試合に挑む、
試合の描写自体は悪くない、練習の成果を活かし、
チームの絆を再確認して試合に挑む流れも悪くなく、
先輩たちが自然にベンチ入りしていることを除けば悪くないと言える描写だ。

しかし、そこに謎のアイドル要素を盛り込んでくる。
なぜか負けたはずの彼女達が「ビクトリーダンス」と称して踊りだす。
かなり強引にこのビクトリーダンス要素を入れ込んできており、
「ウマ娘」でもやや違和感があったが、その違和感を更に強烈にしたような要素だ。

せめて勝って踊れと言いたくなってしまうがそんなの関係ねぇと
いわんばかりに完璧に踊り歌う。
それだけならまだしも勝ったのにやらないときもある。もはや意味不明だ。

ダンスの練習時間をホッケーの練習にさいていれば
練習試合とは言え勝てたのでは?と思う部分もあり、
他のチームはそんなことをしないのに彼女達だけ
ビクトリーダンスをする流れも違和感が凄まじい。

せめてこの作品の世界の女子ホッケーはそういうものだみたいな
共通認識のある世界ならともかく、
監督が思いついただけのアイデアをやらされてるだけに過ぎない。

そもそも彼女達は刺繍部だったはずだが、
序盤をすぎると刺繍部要素はほぼなくなる。
刺繍をしているシーンよりも中盤のサービス回である
ビーチバレーをやってるシーンのほうが長い始末だ。

全日本選手権

終盤になるといつの間にか全日本選手権が始まっており、
彼女達が取材を受けるシーンが有る、当然先輩たちはそこには居ない(苦笑)
先輩たちとは一体なんなのか、あまりにも可哀想だ。
全日本選手権が始まっても先輩たちに出番はない。

もう、見ている間に先輩たちが気になって仕方なくなってしまう。
これが1度も出てきてない名前もないようなモブキャラなら
気にならなかったかもしれないが、きちんと彼女達の前に
先輩としての立ち位置で名前のあるキャラとして1度出てきてるだけに
余計に違和感が生まれてしまっている。

それでもアイスホッケーの描写は悪くない。
アイスホッケーだからこそのローアングルなカメラワークや、
スピーディーな展開、氷を掛ける音、アイスホッケーという
激しいスポーツだからこその「怪我」の描写などきちんとしている。

だが、そんな状況でも怪我で退場しているメインキャラの代わりに出ているはずの先輩がほとんど描写されない。
一人掛けたことでチームワークも悪くなり試合が不利になるという
状況ならば、監督であれば普通なら先輩チームとまるごと
交代させるなどの選択をとってもおかしくないが、そうはならない。

本来はスポーツアニメとして盛り上がりそうなシーンではあるものの、
この「先輩」の要素が強く足を引っ張ってしまっている。
これならば3話で引っ越してしまったメインキャラの1人を
引っ越しさせずに交代要員として7人目のメンバーとして入っていれば
ツッコミどころも生まれないのに、色々とちぐはぐだ。

試合の中での成長や練習シーンなどメインキャラのキャラ描写は
スポーツアニメとして王道ではあるものの、悪くはない。
だが、ソシャゲという都合上、先輩たちのキャラもアニメで
だしておきたかったのはわかるものの、
引っ越したキャラといい、先輩たちと良い、対戦相手の掘り下げの無さといい、
キャラクターを使い切れておらず、振り回されてしまっている。

せっかくアイスホッケーの試合の描写の気合が入っていても、
メインキャラの成長が悪くなくとも、
脚本としてのツッコミどころかあまりにもおすぎるせいで
せっかくの試合を盛り上がりきれない。

決勝

いつの間にか終盤で決勝試合になる。
U18の選手に選ばれたのほどの実力者がメインキャラの1人にいるものの、
他の5人はほぼ素人みたいな先輩の居ない先輩だらけのチームで
勝ち上がってしまう違和感は半端ない。

アニメで「現実的ではない」というのはご法度ではある。
しかし、コレは流石に無理があると思ってしまう。
あまり人気ではないはずの女子アイスホッケーもいつのまにか
会場を埋め尽くすほどの人気も得ている。

しかも決勝の対戦相手は一応、因縁のあるキャラはいるものの
ほとんど掘り下げのない対戦チームだ。
先輩たちやアイドル要素、ビーチバレーや聖地巡礼シーンを削って
せめてこの決勝の対戦相手の掘り下げをもう少しできなかったのかと感じてしまう作品だった。

総評:刺繍ホッケーアイドルバレーアニメ

全体的に見てアイスホッケーの部分だけ見ると決して悪くない。
アイスホッケーをやったこともなかった女の子たちが
体験教室でアイスホッケーの魅力にハマり、
そんな彼女達が練習しながら互いの絆を深め試合に勝っていく。

アイスホッケーの試合の描写もスピーディーに展開され、
きちんと迫力のある見ごたえのある試合描写と、
そんな作画に負けない試合運びが描かれており、
本当にこの部分だけ見ると決して悪くないといえる作品だ。

しかし、その他にも色々と盛り込まれている要素が盛りだくさんで、
その要素を使いこなせていない感じが強く、
ホッケーにしろ、ダンスにしろ、刺繍部にしろ、中途半端になってしまっている。
終盤では聖地巡礼的な要素まで盛り込んできており、
どこを軸にしたいのか、主軸がぼやけてしまっている感じだ。

せめてこのアイドル要素がなければ、
もう少しスポーツアニメとして素直に燃えるものになったかもしれないが、
中途半端なビクトリーダンスが作品全体をぼやかしてしまっている作品だった。

個人的な感想:なんだかなぁ-…

恐らくは北京冬季五輪も意識し、そこにウマ娘的な
スポーツと可愛い女性キャラクターによるライブの融合を狙っていたことはわかる。
その企画意図は理解できるものの、その中で本来は削らなければならない部分を
削りきれておらず、存在感の薄い先輩や対戦相手の掘り下げ不足、
引っ越してしまったメインキャラの所属するチームなど1クールでは
えがききれない要素、さばききれない部分があまりにも多くなりすぎてしまっている。

非常にもったいない作品だ。
ビクトリーダンスと先輩たちの存在さえなければ、
妙な引っ掛かりも生まれずに、もう少しこの作品を素直に楽しめたかもしれない。
そう感じるだけに素直に「もったいない」と感じてしまう作品だった。

ソシャゲの方は3月にリリース予定だが、
ここからソシャゲがヒットして2期をやる可能性もなきにしはあらずだが、
果たして…

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出演声優 増田里紅, 本郷里実, 相良茉優

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  1. 匿名 より:

    途中で切ました。聖地では当て込んでいるようなのが不便です。