「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」レビュー

4.0
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映画
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評価 ★★★☆(70点) 全95分

あらすじ ある日の夜、黒川邸で主人の黒川大造が何者かに殺害されるという事件が起こった引用- Wikipedia

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これがコナン映画だ!

本作品は名探偵コナンとしては初の映画作品。
コナン映画は2021年段階で24作品上映されているが、
この作品だけが唯一「主人公である工藤新一に恨みを持つ」犯人だ。
監督はこだま兼嗣、制作はキョクイチ東京ムービー

丁寧


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

基本的にコナン映画では映画冒頭でコナンについての説明が入る。
ナレーションベースで彼がどんな立場に置かれ、
周囲にどんな人間が居るか。長いシリーズの映画作品だからこそ
初見向けの定番になっているシーンだ。

しかし、この作品はそんな説明だけでなく冒頭から
「通常の事件」を解決するコナンの様子がしっかりと描かれる。
推理力のない毛利小五郎の素っ頓狂な推理、そんな彼に麻酔針を放ち、
蝶ネクタイ型変声機でかわりに推理をする主人公。
ナレーションではなくきちんとシーンとして見せることで
コナンという作品を説明をしている。

誰も解けない、気づけなかった証拠を犯人に突きつけて事件を解決する。
6分ほどの尺で「名探偵コナン」という作品の世界観を見せる。
初映画作品らしい丁寧な冒頭だ。

全部まるっとお見通しだ


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

序盤から見ている側に犯人は分かってしまう。
というよりもあえて分からせていると言っていい。
今作での登場人物は少なく、普段コナンに出ているメインキャラを除けば
映画で事件に関わり出てくるキャラクターは3人くらいしか居ない。

そのうちの1人である「森谷帝二」はあからさまな犯人臭を匂わせており、
彼以外に犯人はいないと思わせるほど怪しさ大爆発だ(笑)
名前もシャーロック・ホームズに憧れる工藤新一に対し、
「モリアーティ教授」から取られている。

彼は面識のない「工藤新一」を自身のパーティーに招待し、
そんな招待を受け工藤新一のかわりにコナン達が
パーティーに参加するところから物語が始まる。

刑事コロンボや古畑任三郎のような倒叙ものではないものの、
犯人が分かりやすいからこそ、
コナンがどうやって彼を犯人と断定するのかという面白みが生まれている
犯人がわかりやすいからこそ、見る側も自然と犯人のあらを探し、
コナンと同じ目線で探偵として犯人である彼を見ることで
「ミステリ-」としての面白さを際立たせている。

序盤の何気ないシーンから張り巡らされている伏線、
物語全体にきちんと「犯人」に至るまでのヒントを
コナンにも視聴者にもきちんと描写している。
後の作品が強引な推理だったり、謎解き要素が殆ど無い作品もあるが、
初のコナン映画であるこの作品はしっかりとした「ミステリー」を描写し、
謎解きの面白さを味わえる作品だ

10時間


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

この作品は序盤のシーンを終えると、
「たった10時間の出来事」が描かれている。
流石に24のようにリアルタイムではないものの、
ラジコンヘリの爆破、ペットのキャリーケースに仕掛けられた爆弾と、
小さな体でコナンがスケボーや自転車で町中を駆けまわりつつ
爆弾を何とかする姿は映画としての盛り上がりをきちんと作り上げている。

特に中盤の見せ場である「電車に仕掛けられた爆弾」の謎解きは
ミステリーとしてストレートに面白い。
犯人からは

「環状線の電車の「××の×」に爆弾を仕掛けた、一定速度以下になるか
日没になれば爆発する」

というヒントが与えられ、止めることの出来ない電車と
犯人のヒントから爆弾の位置を特定し、
仕掛けられた爆弾を見つけるシーンはわずか「15分」ほどの
シーンでありながら強い緊張感と印象を残すシーンだ

序盤の段階でスケボーが壊れてしまうのは非常に残念だが、
その代わりの「自転車アクション」はスケボーアクションの代わりとして
きちんと迫力とスピード感のある「見ごたえのある」シーンになっており
ミステリーとアクション、そして爆破という
後のコナン映画でも欠かせない要素が一作目から盛り込まれている。

推理


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

だからこそ終盤の推理シーンが面白い。
「毛利小五郎」のあまりにも的はずれな推理シーンのギャグ要素からの
コナンの推理、そして「意外な動機」は後のコナン映画にも恒例化する
とんでもない動機だ。

なにせコナン映画初の犯人の動機は
「自分が若い頃に作った作品が気に入らなかった」というだけだ。
大迷惑である(笑)

現在まで出ているコナン映画の中でも
「義経になりたかったんや!」などを筆頭に有名な動機は色々あるが、
自分の作った作品が気に入らないからという理由で
爆薬を盗み、人が大勢いる建築物を爆破しまくる犯人の
迷惑さ加減はコナン映画の中でも随一かもしれない。

芸術的な職業ならではの人物像から来る動機は同情や理解は出来ないが、
犯人の人物像やキャラ描写がしっかりしているからこそ、
とんでもない動機が面白く感じるうえに、それが犯人の
悪役としての魅力になり、彼の動機がきちんと彼らしいものになっている。

犯人はなぜ次々と爆破事件を起こしたのか、
そして、なぜ犯人は「工藤新一」に恨みを持つのか。
それが徐々に紐解かれていく終盤は物語全体にばらまかれた
伏線をきっちりと回収していくミステリーとしての面白さが
しっかりとある。

解体


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

そして、そこからラストの最大の盛り上がりへとつながる。
犯人の仕掛けた爆弾によって閉じ込められてしまうヒロインである毛利蘭、
そんな彼女を助けるために壁越しに彼女と会話をしながら、
爆弾を解体するシーンは緊張感を最大限に高めてくれる。

一歩間違えばヒロインが死んでしまうかもしれない緊張感を
しっかりと感じさせてくれる。
毛利蘭は新一の指示を聞きながらソーイングセットの
小さなハサミでゆっくり、ゆっくりと爆 弾を解体していく。

最初のコードを切る瞬間に別の場所の爆破のシーンに切り替わる演出や、
最後のコードを切る際にあえて「モノクロ」にする演出は
にくさすら感じてしまう演出だ。

最後の1本を切るまで緊張感が続き、
最後の一本を切る伏線をただ生かすだけでなく、
犯人も主人公であるコナンも視聴者も予想できないラストへと至る。

赤と青どっちの線を切るか。
もはや使い古された二択のシーンを「名探偵コナン」という作品は
しっかりと盛り上げてくれる。

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総評:原点にして頂点


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

全体的に見てこれぞコナン映画というにふさわしい内容だ。
起承転結のすっきりしたストーリー展開で、
次々と起こる爆破事件で緊迫感を出しつつ、
物語中盤と終盤に盛り上がりどころを用意し、
伏線を活かしたストーリーで物語を気持ちよく映画が終わる。

少ないキャラクターをきちんと描写し、
犯人である「森谷帝二」のわかりやすいが狂った犯人像は
いい意味でも悪い意味でも魅力あふれるキャラクターになっており、
1度見たら彼の犯行動機と名前は頭に残るはずだ、
名脇役ならぬ名犯人といえるだろう。

今見ると、今とはキャラクターデザインがかなり違っており
全体的に顔が長い印象を受ける点や作画のふるさは感じるものの、
そんな古さを感じさせない面白さがしっかりとある。

コナン映画の一作目から「犯人のとんでもない動機」と
「半端ない爆破」と「非現実的なアクション」と
「蘭とのラブロマンス」というコナン映画には欠かせない要素が
しっかりと盛り込まれており、これでこそ原点であり、
のちの作品にも脈々と受け継がれている要素がある。

古い映画のオマージュが所々見えるものの、
それをうまくコナンテイストに落とし込んでおり、
1作目にふさわしい作品だ。

個人的な感想:色褪せない面白さ


画像引用元:金曜ロードSHOW!今夜9時放送「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼より
(C)1997 青山剛昌/小学館・
読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS

久しぶりにこの作品を見返したが、色褪せない面白さを感じられた。
流石に古さは感じるものの、神谷明さん演ずる毛利小五郎や
塩沢兼人さん演ずる白鳥刑事など、ひしひしと懐かしさを感じさせる。
展開がわかっててもきっちりと面白い作品は間違いなく名作だ。

最近のコナン映画は「キャラクター映画」という要素が強くなっており、
それが多くのコナンファンを増やすきっかけにはなっているものの、
いつか「原点回帰」して1作目のような純粋なミステリーな
コナン映画を見てみたいと強く感じてしまう作品だ。

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