魔女っこ姉妹のヨヨとネネ

評価/★★☆☆☆(21点)

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魔法少女箒を選ばず、消火器だって跨れば箒だぜ!

原作は「のろい屋しまい」という漫画作品。
アニメ化にあたり完全オリジナルストーリーで映画化された
アニメーション制作は「Ufotable」

見だして感じるのは「迫力の無さ」だろう。
冒頭から魔法生物と魔女っ子姉妹が魔法を使って戦うシーンが有るのだが、
箒にまたがりながら魔法を駆使して戦っているのに「迫力」がない。
箒から落ちて落下していくシーン、敵から攻撃を食らうシーンなど演出が非常に弱く、
「巨大な象」を召喚して押しつぶすという迫力が出そうなシーンで終わるのにもかかわらず
カメラワークも悪いせいか終始迫力が出ていない。

ただ、これはこの作品の趣旨を考えれば妥当な演出とも言える。
この作品はいわゆる「魔法少女」で「魔法バトル」な作品ではない
キャラクターのデザインやクレヨンで描いたような背景やパステルカラーな色合いなど
暖かく柔らかく、一言で言えば「ハートフル」な世界観の作品だ。

しかし、確かにそんなハートフルな世界観ではあるものの、
やはり終始「迫力」がない。
劇場スクリーンで見ればもう少し迫力が出ていた部分もあると思うのだが、
本来もっと「おぉ!」っと唸るシーンや絵力を感じさせられるようなシーンでも絵力がなく
盛り上がらなければならないシーンで中途半端にしか盛り上がられない。
世界観を大事にするあまり、もう一歩演出が足りなくなってる部分が多い。
これでTVアニメならこのクォリティでも納得できたかもしれないが、
劇場アニメにしては「シーンの迫力」が足りない。

これは私が感じた個人的すぎる印象でしか無いが
「大人向け」と「子供向け」の間で揺れ動いているような印象を終始覚える
親子一緒で見に来る人を親子一緒に楽しませようとしているのは分かるが、
そのせいか「どっちつかず」になっている感じが非常に強い

特にストーリーはグダグダだ。
魔法の世界から「謎の魔法」で日本にキてしまった「ヨヨ」と
「呪い」で両親を魔法生物に変えられてしまった家族を中心に話が進むのだが、
非常に淡々と本筋の話が進めながら短いストーリーをつなげていく。

事件が起こってヨヨが日本に来る1話、呪いの発生原因がわかる2話、
日本で夏祭りを楽しむ3話、魔法の世界と人間の世界の融合が始まっているとわかる4話と
アニメ映画を見ているというよりはTVアニメを連続して見せられているような
1話2話3話4話というようなぶつ切り感覚のストーリー構成になってしまっており、
そのせいか1つの映画としてのストーリーの繋がりや展開が弱い。

更に世界観のおかしさ。
魔法の世界からきた「ヨヨ」が初めて焼きそばを食べるシーン、
焼きそばというものを知らないのは納得できるのだが、その焼きそばの美味しさに感動した後に
「目からお汁粉です」というボケを言う。
焼きそばは知らないのにお汁粉は知っているのかという疑問が強く生まれてしまう。

しかしながら、そのぶつ切りのストーリーの中でも悪くないストーリーもある。
特に「命の概念」の違いはこの作品の見所の1つでもあるだろう。
魔法の世界では肉体が死んでも「魂」を呼び戻して生きかえらせることが出来る、
だが人間の世界では死は死だ。
その概念の違いを「ヨヨ」は最初は理解できず、話が進むことでようやく「死」を理解する
死を理解したことで彼女に訪れる変化の描写、そして、そんなヨヨを演ずる
「諸星すみれ」さんの素晴らしい演技は涙腺を刺激される方も多いだろう。

ただ、ストーリー的に終盤で「1クールアニメ」のような展開にしてしまったのは残念だ。
せっかく中盤でヨヨの変化が現れて物語が盛り上がってきたのにもかかわらず、
唐突にご都合主義の連続で物語を片付けようとしてしまい、
強引に話を終わらせてしまった感覚が強く残ってしまった。

全体的に見て映画としての作りができていない。
キャラクターや世界観、1つ1つのストーリー、設定などは悪くないのだが
TVアニメを見ているかのようなストーリー構成とスクリーンで見るのは見劣るシーンの演出、
良くも悪くも「大人も子供」も楽しめる作品にしようとしてどっちつかずになっている印象が強く、
キャラクター数の多さの割にそのキャラクターを使い切れていない感じが非常に強い。

特にタイトルにもなっている「ネネ」の活躍は少ない。
日本に来てしまったのがヨヨだけであり、冒頭意外で一緒に魔法を使うシーンはない。
魔女こっ姉妹のヨヨとネネというタイトルのはずなのにネネの活躍が薄く、
活躍したかと思えば明らかな「ご都合主義」になってしまっている感じが非常に強い。

色々な要素を入れたかったのはわかる。
だが、色々な要素を入れすぎてしまっていてゴチャゴチャした感じが出てしまっており、
更にぶつ切りのストーリー構成のせいでそのゴチャゴチャが余計に散らかってしまい
結果として終盤のストーリーは「ご都合主義」の連続で子供騙しで終わってしまった。

極端な話だが1クールや2クールでNHKあたりでアニメ化すれば化けた作品かもしれない。
あまり掘り下げなかったキャラクターや世界観などを掘り下げつつ、
序盤は「呪い屋」の話、中盤以降でこの日本の話という風にストーリーを展開していけば
もっと面白くなった作品かもしれない。

1時間40分という尺の中では色々な要素を詰め込みすぎてしまった感じが強く、
説明不足になってしまっている部分や勢いでごまかしている部分もあり、
そのごまかしてしまっている部分と終盤のご都合主義の連続のせいで
本来なら映画で最も盛り上がり感動できる最後の「別れ」のシーンが感動しきれなかった。

個人的にはヨヨの「箒」の描写は嫌いではなかった。
単純に箒だけではなく、消火器やスケボー、自転車など
魔法をかけてなんでも空を飛ぶ道具にするという発想は面白い。
個人的 ただ、もう少し「オタク臭い演出」でもよかったのではと感じる部分が多い
ちょっと意識的に「一般人向け」のアニメ映画をつくろうちしている演出が多く、
そのせいかキャラクターの動きがもう一歩弾みきれていない印象を感じるシーンが多かった。