繰繰れ!コックリさん

2016年6月29日

評価/★★★★★(81点)

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ギャグが五臓六腑に染みわたる

原作はガンガンJOKERで連載中の漫画作hん。
監督は平池芳正、制作はTMS/だぶるいーぐる

見出して感じるのは・・・ふわっとしたギャグだろう(笑)
文章で伝えにくいボケなのだが、登場人物がふわふわーっとボケて冷静に突っ込む。
ヒロインである「市松 こひな」は所謂電波系少女であり、小学生だ。
常にデフォルメされた姿で描かれておりセリフの抑揚がなく淡々と喋る。

目の前にコックリさんが現れても、冷静に塩を塗った指で目潰ししたり、
窓ガラスの修理費を要求したりと「感情」を感じさせない。
彼女は自称「人形」であり、だからこそ感情のあるセリフを言わない
はっきりいって見方によっては怖さすら感じるのだが
彼女を演じているのが「広橋涼」さんということもあり、声質のおかげで怖さではなく
見事に笑いに変わっている。

暗い部屋で1人カップ麺をすする彼女の姿は本来寂しそうなヒロインではある。
だが、デフォルメされたキャラクターデザインと
彼女に呼び出された「コックリさん」のおせっかいぶりが
彼女の孤独そうな状況を感じさせないコメディな雰囲気を醸し出している。

描き方によっては物凄く悲ししい作品だ。
小学生でありながら一人暮らしをしており、自ら人形を自称し感情を殺している
設定だけ見ると物凄く「重そう」な設定を抱えており、
そんな設定があるのに「ふわふわ」っとした漫才のようなボケを展開している

このギャップがこの作品ならではの不思議な空気感を生んでおり、
寂しいのに笑ってしまう、悲しいのにクスクスしてしまう。
可哀想なヒロインでヒロインに同情してしまうからこそ
こっくりさんの「親心」が見ている側にも強い共感を感じさせる

そして話が進めば進むほど変態キャラクターが出てくる(苦笑)
出てくるモノノ怪の8割はストーカーか変態でありまともな奴は居ない。
回りがキャラクターとして過剰とも言える行動をし、
その過剰な行動に対しヒロインである「こひな」が感情を殺して反応し
小学生のこひなの回りを大人なモノノ怪がバタバタすることで
ギャップが生まれ笑いにつながっている。

イケメンキャラクターが多いため一見、女性向けの作品のも見えるのだが
そのイケメンキャラクターたちが「変態」&「動物的要素」のあるキャラなため
性別が関係なく楽しめ、性別が関係なく可愛いと思える愛すべきキャラクターたちだ
女性向けの狙ったようなわざとらしいシーンもなく、男性向けのセクシーシーンもない。
イケメン的ないかにものなシーンになりそうなときもあるが、
そのシーンになりそうになる直前に台無しになる(笑)
そのお蔭で純粋に小学生の女の子とモノノ怪達の生活とギャグを楽しむことができる

更にキャラクターが増えれば触れるほど笑いが強まってくる
親心あふれるこっくりさんから始まり、ストーカーな犬神、ダメおやじな狸、
ここまではまあ予想できたのだが、
「明らかに宇宙人のグレイ」なヒロインの同級生の山本くんなど
こちらの予想を大幅に超えるキャラクターも出てくる事でマンネリがおきず飽きない。

特にヒロインである「こひな」の顔芸の数々は新しい顔が出る度に爆笑してしまう
笑顔、渋い顔、動揺する顔、溶けかけた顔etc…
普段無表情なだけに表情が変わるだけでギャグになっており
表情だけでなく「さらっ」と出てくるセリフの数々が古風なのだが
小学生が古風なセリフを喋るからこそ笑いになっている。

ひとこで言うなら愛くるしい。
ヒロインもモノノ怪たちもイケメンなのに女になったり、イケメンなのに変態だったり、
イケメンなのにストーカーだったり、可愛いのに無表情だったり
ギャップ萌えともいうべい愛くるしさを秘めており、
愛くるしいキャラクター同士だからこそ微笑ましい雰囲気と笑いが生まれている作品だ

全体的に見て素晴らしい作品だ。
愛くるしいキャラクターたちの日常の中の「ギャグ」は時にほっこり、時には爆笑と
ツッコミ役らしいツッコミがあまりいないのが逆に独特の「空気感」を生んでおり
ツッコミ要素が薄いからこそ生まれるキャラクター同士の間が不思議な雰囲気を醸し出し、
その空気感が見れば見るほどたまらなくなってくる。

逆に言うと1話の段階ではこの空気感の面白さを実感できないかもしれない。
話が進めば進むほど、キャラクターが増えれば増えるほど笑いが強くなり
この作品の雰囲気に慣れて楽しむことができるはずだ。
1クールという短い尺のアニメだからこそ序盤の段階で見るのを辞める人もいると思うが
3話くらいまでは見て欲しい。
3話くらいまで見てもらえばこの作品の「面白さ」が五臓六腑に染み渡っているはずだ

そして最終話Aパート、やられてしまった。
本当に予想外だ、まさかこの作品のこの雰囲気で「泣かされる」事になるとは思わなかった
いつもどおり明るくギャグ満載で終わるのかとおもいきや、
不意打ちのエピソードで思わず涙腺を刺激され、
少しだけ「こひな」と「モノノ怪」たちの別れも匂わせる。

Bパートではいつもどおりの雰囲気で終わることで面白さを再度認識させられる
1度少し感動させられただけに最終話Bパートのギャグがギャップのせいか
物凄く笑えてしまう。
そして最後に「こっくりさんの10円の神頼み」がいい味を出して終わる。

もちろん話が完結しているわけじゃないが、本筋のストーリーがあるわけじゃない。
いつでも終わろうと思えば終われる作品だ、
だからこそ作品の見終わった後の「余韻」を感じさせる終わらせ方は素晴らしかった
これからも愛すべきキャラクターたちの日常は続いていく、終わらせ方としてはベタだが
そこに「でも、いつか別れる時が来る」という寂しい余韻を感じさせることで
作品の印象を見ている側に強く残す作品になっていた。

もちろんギャグアニメなのでギャグの好みや独特の雰囲気による好き嫌いはあると思うが
1つのアニメ作品としての完成度が高い作品だ。
作画面でも崩れることは一切なく表情の変化や激しく細かい動きで
ギャグアニメとしての面白さを後押ししており、1話から最終話までブレることなく
愛すべきキャラクターたちの愛すべき日常を存分に笑えて楽しめる作品だ

この作品で最も評価すべきは「広橋涼」さんの演技だろう。
抑揚のないセリフを喋るヒロインは物凄く難しいはずだ、
少し間違えれば「棒演技」になりかねないところを広橋涼さんの素晴らしい演技力で
抑揚のないセリフからも感情を匂わており、それがストレートにヒロインの魅力になる
作品全体で「新人声優」と呼ばれる声優さんが居ないのも安定して見れた部分かもしれない
ベテラン声優たちが演じるからこそ、この作品の素晴らしい「空気感」が生まれていた

願わくば2期があることを期待したい。
売上枚数がまだ正確に出ていないので微妙なところだが
予想では「3000~4000枚」とギリギリ2期を狙えるラインだ
あとは原作の売り上げ次第で2期を期待できるだろう。
他の作品にはない魅力のある作品なだけに2期は2クールぐらいガッツリ見たいところだ

個人的には見終わった後に「どん兵衛」的なものが食べたくなって仕方がなかった
ぜひ日清さんはこの作品とのコラボを検討していいただきたい(笑)