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ガチムチ先生と可愛いデミちゃんの日常「亜人ちゃんは語りたい」レビュー

日常
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評価 ★★★★☆(70点)全12話

あらすじ 神話やおとぎ話のモチーフとなり、かつて怪物や妖怪などと称され迫害されていた、「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間たちが、世間に「個性」として認められ、一般社会に自然に溶け込んでいる世界。現在では、社会的な弱者である亜人に対する「生活保障」が整備され、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっていた。
引用 – Wikipedia

ガチムチ先生と可愛いデミちゃんの日常

原作はヤングマガジンサードで連載中の漫画作品。
監督は安藤良、制作はA-1 Pictures。

見出して感じるのは主人公のインパクトだろう。
いわゆる「ガチムチ」であごひげと外見からは一切、物語の主人公には見えない。
どちらかというとサブキャラクターに見えてしまうようなデザインだ。
職業も高校教師と至って普通で声が「諏訪部順一」さんなことを除けば、
アニメの主人公感というのが非常に薄い。

そんな普通すぎる彼の前に「亜人」の同僚教師が新任としてやってくる。
この世界における亜人は数は少ないが人間世界に存在し、
「個性」の1つとして受け入れられている。
だが、最初に現れる「亜人」は赤いダサジャージの人間にしか見えないサキュバス。

こういった作品、異型のモンスターやファンタジー上の亜人を扱ってる内容なのに、
最初に出てくる二人のキャラクターが外見からはそうは見えないというのは
ある意味新鮮で、見た目のインパクトから入ったほうが分かりやすいはずなのに、
あえてそういった見た目のインパクトはとりあえず排除し、
逆に地味すぎる見た目で「世界観」と「設定」をじんわりと見ている側に
実感させる。

同じモンスターなキャラクターの日常を扱っている
「モンスター娘のいる日常」や「セントールの悩み」は
キャラクターの外見のインパクトが1話から強烈に存在したが、
両作品と比べてみると、この作品の1話前半の「地味さ」というのが
いかに異質な部類なのかが分かるだろう。

この作品で明らかに亜人とわかるのは「デュラハン」くらいで、
他のキャラクターは亜人で有ることが外見から分かりにくい。
インパクトと言う意味ではキャラクターデザインであからさまに
亜人で有ることが分かるほうが強いのだが、
逆に出落ちに成ってしまう作品も多い。

しかし、この作品はあえて外見の特徴を少なくし丁寧なキャラクター描写をする事で、
出落ちではないきっちりとした「キャラクターの魅力」を
作ろうとしているのがきっちりと感じ取れる。

事実、亜人たちは非常に可愛い(笑)
サキュバスだからこそ誘惑しないように地味でいようとしたり、
レバニラが好きな滅茶苦茶明るいヴァンパイアだったり、
甘えん坊なデュラハンだったり、下ネタが好きな雪女だったりと、
キャラクターそのものが可愛い。

そんな彼女たちを亜人(あじん)と呼ぶのではなく、通称デミちゃんという
呼称がこの世界のJKでは流行っているという、この作品だからこその設定も、
キャラクターが可愛いからこそ馴染みやすい。
そんな彼女たちと主人公は「語りたい」だけだ。

亜人が好きで卒論で彼女たちのことを書こうとしたが許可が降りず会えもしなかった。
しかし、偶然にも彼が勤務する学校に4人の亜人が現れたことで、
彼の亜人への興味が再燃し、彼女たちの日常の悩みを聞きつつ、
以前からの質問を彼女たちに投げかける。
基本的なストーリーはコレである。

亜人たちの特徴は単純に面白い。
伝承やファンタジーの世界でしか語られない彼女たちの
真実を徐々に紐解いていくが、紐解けば紐解くほどのがっかり感じがすごい(笑)
ヴァンパイアは日差しにやや弱く十字架は別に苦手ではなくにんにくも普通に食べる。
吸血行為は一種の「恋愛行動」であり、ギャルみたいな性格だ。

語れば語るほど彼女たちのことはよく理解できるが、
逆に「亜人」としての夢は打ち砕かれていく。
あくまでも彼女たちは個性としての亜人でしかなく、普通の女子校生だ。
少し特別な個性を持つ彼女だからこそ悩みは多く、
女子校生として日常の悩みを主人公にぶつける。

亜人としての特徴と普通の女子校生としての要素、
この2つの要素がきちんと混ざり合い一人ひとりのキャラクターが純粋に可愛い。
亜人としての要素がきちんと「ギャグ」にもなっており、
デュラハンが「頭」だけでデートし、身体は家で留守番というエピソードなど、
この作品だからこその面白さとキャラの可愛さがマッチしている話だろう。

一人だけ例外が有るのはサキュバスだ、彼女は大人な主人公の同僚だ。
だが、彼女の存在がワイワイガヤガヤなJK亜人ちゃんたちの日常とは違う、
大人な女性だからこその悩みやサキュバスだからこその悩みの日常が、
しっとりとした雰囲気を生んでおり、
彼女のエピソードが作品のマンネリを解消している。

主人公が典型的なアニメやマンガの主人公ではないというのも大きいだろう。
これでラブコメの主人公のようにラッキースケベだったり、
聞こえないふりを連発するタイプの主人公だったならば、
この作品のキャラクターの魅力はここまで出なかっただろう。

「ガチムチな外見」の大人な落ち着いた先生という主人公だからこそ、
女子校生な亜人ちゃんたちのキャラクターの魅力を最大限に引き出しており、
大人な亜人のサキュバスの「誘惑」にも耐える。
彼女たちをきっちりと観察し、また生徒として接する主人公がしっかりとしており、
先生としての立場から出てくるセリフにはしっかりとした説得力が有る。

演じている諏訪部順一さんは最初は外見に合わないかとも思ったのだが、
あの声だからこそギャグの際に余計にギャグが際立ったり、
亜人に対して「父性」のようなものを感じさせるキャラに仕上がっていた

総評

全体的に見て強いインパクトはないのだが地味な名作だ。
「亜人」という外見で特徴が出やすい設定をあえて抑えめにし、
女子校生+女教師なヒロインたちの「個性」であることにとどめることで、
彼女のたちの日常をほっこりとした気持ちで見ることができる。

いわゆるシリアスな話は殆ど無い。
雪女なヒロインのエピソードはややシリアスな感じはあるものの、
そこまで引き伸ばさず、逆にあのシリアスな部分をキチンと描いたからこそ、
彼女の変化と成長がわかるストーリー構成になっている。

大人な男子教師の主人公と女子校生+女教師なデミちゃんたち。
この組み合わせだけでしっかりとしたストーリーと、
魅力のあるキャラクターをキチンと描いており、
強烈な「エロ」や爆笑できる「ギャグ」はないものの、
日常的なエロさとキャラクターの可愛らしさとクスクスと笑えるギャグが
しっかりと1つの作品の中でバランス良くまとまっている作品だ。

個人的な感想

個人的には予想以上に面白かった作品だ。
キャラクターの可愛らしさの描写がツボに入ったと言えるのかも知れないが、
一人ひとりのヒロインが本当に可愛らしく、特にサキュバスの誘惑をなんとか
表に出さないように耐える主人公の図がツボだった(笑)

売上的には2000枚前後と爆死とは言え無いがかなり厳しい。
確かに強烈なエロや日常だからこその起伏の無いストーリーであり、
売れにくい作品だったのかもしれないが、もったいないと感じてしまった。
おそらくしばらくしたあとに私はこの作品をもう1度見たくなる。

何度味ても楽しめるスルメ的な味わいの秘めた作品なだけに、
じわじわと売れてゆき、じわじわと配信などが伸びて2期に
つながることを期待したい。
なお、視聴後に原作を全て購入した(笑)

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  1. Y.S より:

    「笑顔で楽しみながら差別について考える事ができる凄い作品」という海外ファンの翻訳コメントにハッとした事があります