「ネト充のススメ」レビュー

2017年12月16日

評価 ★★★★☆(65点) 全10話

あらすじ 主人公である盛岡森子は、会社生活に疲れ辞職、無職生活を送っている。そんな盛岡森子が考えたのは、「2.5次元の充実生活」すなわち現実世界では無職でコンビニに行くのも躊躇する引きこもりニートが、ネットゲームでカッコイイキャラクターを演じて充実した生活を送ることである。引用 – Wikipedia

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リアルに交差するネナベとネカマ、喪女ネトゲライフ

原作は漫画アプリcomicoにて連載中の漫画作品。
監督は柳沼和良、制作はSIGNAL.MD。
なお角川が絡んでいるわけでもないのに全10話構成となっている。

見出して感じるのは淡々さだろう。
会社を辞めニートとなったヒロイン、時間に余裕ができた彼女は
ネットゲームを始めることにする。
現実世界では女性だが、ネトゲの世界で彼女はいわゆる「ネナベ」することを選び、
あえてイケメン男性キャラで自キャラを作成する。

そんな彼女の日常をたんたんと見せられる。
プレイしているゲームで何か事件が起きるわけでもない、
ログアウトできなくなるわけでもない、デスゲームに参加させられるわけでもない。
普通にネットゲームをプレイしている様子を普通に見せられる。
はっきりいって序盤は面白いとは感じにくいかもしれない。
しかし、話が進んでくるとこの作品の面白さがじわりじわりと伝わりだす。

ネトゲ内では可愛い女性キャラと仲良くなり、
タイトル通り「ネト充」になっていくヒロインだが、
その反面で現実世界ではどんどんと荒んでいき、いわゆる「喪女」になっていく。
髪はボサボサ、部屋は散らかり、食事はコンビニ。

ネトゲにハマった事がある人ならば強い共感を覚える部分が多く、
思わず「あるあるw」と言いたくなるようなネトゲーあるあるを織り交ぜつつ、
話を勧めていく。
この日常描写は淡々としている、だが、その淡々とした中でヒロインの
何とも言えない可愛さに見る側がどんどんと惹かれていく。

自分が女性なのにネトゲ内の女性キャラの行動や言動にいちいち萌えたり、
現実では自分の外見やニートであることを自覚しているからこそ、
コンビニの店員にすらキョドってしまったりと、お腹がすぐに鳴ってしまったりと、
見ていて思わず可愛らしいと感じてしまうヒロインだ。

丁寧なキャラクター描写をじっくりと序盤にやったからこそ、
中盤からのストーリー展開が面白く感じられる。
ネットで仲良くなった人と現実ですれ違うのは本来ならば確率的にかなり低い。
だが、この作品はその低い確率の中でもとびっきり0に近いイベントが起こる。

なにせネットで仲良くなった人と路地でぶつかるという奇跡だ(笑)
見ている側が彼と彼女がネトゲで仲良くしている人物である事は分かるのだが、
彼と彼女ががそれに気づくことはない。
ネットと現実が奇跡的な確率で交差し、交差したがゆえにどんどんと
現実での交流が進んでいく。

その過程が面白い。
一方は現実ではニートな三十路女子でネットではイケメン男性キャラ、
一方は現実ではエリートな若い男性でネットでは萌え萌えな女性キャラ、
ネナベとネカマな2人が互いを認識せずに現実で触れ合っていく。

見ている側は「いつ気づくのか」というのが気になって仕方がない。
ネット上で現実の話を互いがするたびに「もしや?」という疑いが生まれ、
その疑いはありつつもなかなか確信にはつながらない。
この何とも言えない距離感を画きつつも「ネト充」も進んでいく。

この作品は話の進め方が非常に上手い。
1話だけしか見ていない人にとっては「なんか地味で退屈」と感じてしまう作品だろう。
しかし、2話、3話、4話と話が進めば進むほど、
じわじわとストーリーの面白さが染み渡っていく。

展開自体はたしかに遅い。
作品の時間は意外なほど早く進んでおり、
1年位の時間があと言う間の作品内で過ぎていく。
その時系列の割には話の進展は遅いのだが、その進展の遅さがあるからこそ、
徐々に変わっていく人間関係と徐々に進んでいくネト充生活をじっくりと堪能できる。

特に終盤のストーリー展開は素晴らしいとしか言いようがない。
一言で言えばバレてしまう(笑)
目の前に居る人物がネット上で仲良く遊んでいたと気づくまでの展開、
気づいた時のヒロインの反応と、ヒロインにバラすまでの彼の葛藤、
見ている側が思わず「あぁあああ!」と叫んでしまいたくなるような
もどかしさと話の進め方はニヤニヤしっぱなしだ。

全10話という尺をきっちりと使いこなし序盤から終盤までのストーリー構成が完璧だ。
徐々に話を進め、終盤できっちりと盛り上がて余韻を残すラストに落とし込んでいる。
逆にあと2話や3話あったら間延びしてしまっていただろう。
この全10話という尺がちょうどよかった作品だ。

総評

全体的に見てストーリーの進め方がうまかった作品だ。
ネトゲ生活をリアルに描きつつ、現実では創作物でありがちなご都合主義展開を描き、
それが交差し絡み合うことでこの作品らしいストーリーと面白さを生んでおり、
1話から最終話まで起承転結のすっきりしたストーリーを描いている。

特にヒロインを演じる「能登麻美子」さんの喪女な演技が素晴らしい。
彼女の声と演技でなければこのヒロインの魅力が100%味わえなかったと思うほど
素晴らしい演技であり、それに相反するように「櫻井孝宏」さんの演技も素晴らしく、
終盤の彼の心のなかでの葛藤は「櫻井孝宏」さんだからこその
心の機微を感じられる演技だ。

ただ、その反面でいかんせん地味だ。
ネトゲ自体は基本的にキャラクター同士の会話であり、
あまりモンスターとの戦闘などは描かれない。
大きなイベントもなく、イベントらしいのはガチャシーンくらいだ。

現実世界の話もいわゆるご都合主義な感じが目立つつ部分も多く、
ありえないと感じる展開も多い。
そのあり得ない部分を「創作物だから」と目を瞑るか瞑れないかで
個人個人の感想も大きく変わってくる作品だ。

個人的な感想

個人的には終盤の展開でニヤニヤしっぱなしだった(笑)
ヒロインを能登麻美子さんが演じていたという部分も大きいのかもしれないが、
シリアスなシーンもほとんどなくストレスを感じずに気楽に見れた作品だ。

やりようによってはいくらでもシリアスな展開にすすめるような要素は多いのだが、
その展開に進まないキャラクターの性格と魅力で
うまくシリアスになり過ぎにストーリーを進めていた作品だった。

原作はまだ続いているようだが、休載中。
個人的にはこの終わり方含めてこの作品が好きなため、
そのまま休載のほうが(以下略)

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