ファンタジー

特撮×異世界、絆大爆発!「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」レビュー

4.0
戦隊レッド 異世界で冒険者になる ファンタジー
©中吉虎吉/SQUARE ENIX・異世界レッド製作委員会
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評価 ★★★★☆(64点) 全12話

【新番組】TVアニメ『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』ティザーPV

あらすじ 真っ赤なヒーロー、異世界に立つ! 世界征服を企む悪の組織《秘密結社ゼツエンダー》。その野望に立ち向かう、絆で結ばれた5人の戦士たちがいた引用- Wikipedia

原作は月刊少年ガンガンで連載中の漫画作品。
監督は川口敬一郎、制作はサテライト。

無限の絆で未来を作る!

1話冒頭、なにかがおかしい。
異世界もののアニメを見ているはずなのに
まるで日曜朝にやっている「戦隊ヒーロー」のようなシーンが始まり、
悪者がでてきて5人のヒーローがでてきて、ロボットを召喚し、敵をやっつける。
ノリノリな音楽はどこかで聞いたことのあるような既視感すらある。

今作の主人公である「キズナレッド」は
絶縁王との最終決戦をむかえ、単身で戦い、相打ちになる。
その中で彼は「異世界」へと転生するという所から物語が始まる。

昨今は異世界転生アニメが増産されており、
もはやテンプレものは飽き飽きしている。
見る側もそうだが、制作側もそうなのか、
奇をてらった異世界転生モノが増えている。

この作品もまさにそんな作品の1つだ。
もし、異世界に「戦隊ヒーローのレッド」がやってきたら。
そんなifを描いている作品だ。

あっさりと異世界に馴染み冒険者になったレッドは
前世の「変身アイテム」をそのまま使用することができる。
ノリノリな音楽と全身スーツな姿は異世界では異物でしかない、
ちなみに変身後になぜか爆発も起こる(笑)

魔力も使わずに変身するレッドは異世界人にとっては異物でしかない。
本気で変身ヒーローをやり遂げる主人公と、
そんな主人公の行動や設定に突っ込む異世界人、
ボケとツッコミの構図が1話の冒頭できちんと生まれている。

ストーリーの展開も非常に早く、異世界に転移したかと思えば
あっさりと冒険者になっており、冒険者として活動している。
変身ヒーローであるためのアイテムも一切隠さずに、
誰の前でもあっさり変身し、正義を執行しようとしている。

清々しいまでの変身ヒーロー、清々しいまでのレッドぶりに
爽快感すら感じさせてくれる。

元の世界

異世界転生、転移ものだと、なぜ元の世界に戻ろうとしないのかという
疑問が出てくる作品もある。
この作品の場合、手段を探そうとしたものの見つからず、
探しつつも「この世界でレッドなりの正義」を貫き、
困っている人を助けるために活動している。

そのために冒険者になり、旅をしながら困っている人を助けている。
わかりやすい「主人公」であり「正義のヒーロー」だ。
1話で出会ったヒロインの夢を応援するためにも彼は戦い、
ときに変身の際の爆破に巻き込みながらも戦う(笑)

だが、一人ではどうにもならないこともある。
キズナレッドの力は「絆」だ。
異世界でもそれはかわらず、異世界人であろうと関係ない。
絆が芽生えればともに戦う仲間だ、だからこそロボットを召喚し
戦うこともできる(笑)

異世界のモンスターと戦隊ヒーローのロボットが戦う、
摩訶不思議な光景とゴリゴリにもりまくった演出がたまらない。
アニメーションとしての動きは物足りない部分があるものの、
戦隊ヒーローものの様式美という名の演出、爆発が
きちんと戦闘シーンを盛り上げてくれている。

2話になるとなろう系のように「ステータス表記」などもでてくるが、
某雑誌の戦隊ヒーローの能力紹介ページみたいな内容だ(笑)
パンチ力とキック力もしっかり別れているステータス表記は
異世界の常識ではありえないものだ。

その非常識ぶりと異世界という世界観のミスマッチが
ギャグになっており、勢いよく序盤は見せてくれる。
レッドの口調も特徴的であり、
「◯◯だぜ!」といちいちカッコつけて言う感じも
レッドのキャラ立ちにも繋がっている。

いがみ合っていた冒険者でも、レッドとの絆が生まれれば
ともに戦う仲間であり、レッドの武器を使い、
爆発をバックに決めポーズをする始末だ。
レッドの、戦隊ヒーローの世界に異世界人も巻き込まれていく。

決闘

3話では伝説の剣を持つS級冒険者と決闘することになるのだが、
そんな決闘に「ロボット」を出す(笑)
たしかに戦隊ヒーローのレッドとして本気を出せば、
ロボットを出すのは当たり前ではあるのだが、

人間相手にロボットを取り出し、剣の風圧でぶっ飛ばして終わる展開は
荒唐無稽過ぎて笑えてしまう。
異世界ものでは決闘はお約束なのだが、そのお約束を
戦隊ヒーローのレッドが逆手に取るようにぶっ壊していく。

このシチュエーションコメディ状態が安定して描かれており、
やや出落ち感はあるものの、出落ちを感じさせない勢いが
この作品の主人公にはある。

異世界では魔力の種というやばいアイテムをばらまいている
魔族がおり、そんな野望を止めるために異世界人も動いている。
そんな異世界人との絆をつむいでいる。

魔族は魔族で「魔王」との絆を取り戻すために戦っている。
悪の組織にも絆がある、それは戦隊ヒーローとして
戦ってきたレッドには痛いほど分かっている。
絆は大切なものだ、だが、他者の絆を壊す絆を彼は許さない。
それが彼なりの「正義」だ。

正義はときに独善的だ。
レッドの中にもそんな独善的な考えが眠っており、
大切な人を悪に殺された過去が彼の中に黒い感情を眠らせている。
序盤は基本ギャグではあるものの、中盤から
レッドという主人公の「正義」を描こうとしている。

第二のヒーロー

中盤になると主人公以外のキャラが同じように変身した姿で現れる。
かつてこの世界を救った勇者が残した力、
それがまさに変身ヒーローの姿だ。
主人公と同じような存在が過去にも存在したことが明らかになり、
同じような変身ヒーローが現れることで物語にも深みが生まれる。

主人公が変身ヒーローものの力を持つならば、
中盤からでてくるラーニャが変身する「アメン」は
仮面ライダータイプの力だ。
どこかで見たことのあるような「メダル」を切り替えながら
戦い、そんなメダルに合わせて音声まで鳴り響く。

特撮ヒーローが好きならば「元ネタ」を彷彿とさせる要素もきちんとあり、
アメンは「ライダーキック」まで見せてくれる(笑)
主人公は特別な存在ではあるものの、チートではない、
にている力を持つ存在も現れることで世界観に広がりも生まれ、
戦隊ヒーローものだけでなく特撮ヒーロー全体のパロディ要素で
マンネリを防いでいる。

8話では様々な特撮ヒーローを演じた役者さんたちが
ゲスト声優として出演していたりと、
特撮ヒーローファンへのサービスもふんだんに含まれている。

過去

中盤になると主人公の過去も描かれる。
この作品は「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」と同時に
「絆創戦隊キズナファイブ」であると言っても過言ではない。
なにせ8話では戦隊レッドの8話が描かれると同時に
キズナファイブの12話も断片的に描かれる。

おそらく4クール以上の時間をかけて最期の敵を倒した戦隊レッドの過去、
そんな過去がこの作品にはきちんとあり、
今の戦隊レッドがなぜ戦隊レッドになったのか、
過去に何があって異世界にきたのかというバックボーンがあるからこそ、
この作品は面白い。

キズナファイブの曲もしっかりと作られており、
日曜朝の特撮ヒーロー「絆創戦隊キズナファイブ」という
作品のあとの続編のようにこの作品が作られている。

4クール以上の特撮の重みを受け継ぎつつも、
ギャグでありコメディであることは忘れず、
「特撮ヒーロー愛」がふんだんに含まれている。
だからこそシンプルに見ていて楽しい。

1度でも特撮ヒーローというものを見て、
楽しんだ人ならば、この作品を楽しめる。
ちなみに仮面ライダー系の変身道具を敵に奪われるという
これまた王道の展開もある。

アニメでありながら特撮ヒーローだ。
異世界を舞台にしてこの作品はきちんと特撮を、
ヒーローを描こうとしている。
仮面ライダーの力を持つ敵と、戦隊ヒーローの力を持つ主人公のバトル、
まさに夢の対戦だ。

ちなみに敵の中には「トレーディングカードゲーム」みたいな
能力を使うものもいたり、
変身ヒーローを変身する前に倒すなど変身ヒーローにとっての
ご法度を犯す敵も出てくる。

キズナ

今作の主人公はことあるごとに「絆」を連呼する。
絆こそが彼のパワーであり、絆を紡ぐことでより大きな力を使える。
異世界系といえばハーレムやチートという要素を持つ作品が多いが、
この作品は決してチートでもハーレムでもない。

困っている人を助けたい、夢を応援したい。
多くの人との絆を結びたい、そんなレッドの純粋な心が
異世界で大きな力をうみ、そんなレッドだからこそ
「惚れる」ヒロインもでてくる。

それがより大きな絆になり、大きな力になる。
敵である「魔族」が暗躍する事件にレッドたちは絡んでいきながら、
より多くの絆を結んでいく。
だが、それはレッドにとってのの諸刃の剣でもある。

絆をつむぐ、絆を増やす、それが彼の生き方だ。
だからこそ逆に「絆を奪われる」ことを彼は極端に拒絶している。
大切な人を失った過去があるからこそ、絆が消えてしまった過去があるからこそ、
彼は絆というものに固執している。
絆への執着を力に変える「キズナブラック」に最終話で変身する。

いわゆる「闇落ち」だ。
幼い頃に両親を失い、誰よりも「絆」を求めてる主人公だからこその
裏付けされたチート級の強さ、もう失いたくないという思い、
トラウマを埋めるための絆創膏をあえて剥がすことによって
彼は自らを暴走させる。

1クール、暑苦しいまでに「絆」と叫ぶ主人公、
だが、そう叫ぶには理由がきちんとある。
「4クール」描かれた戦隊ヒーローのドラマが、
話が進めば進むほどそれが効果的に作用し、
ただの異世界転移ではない、ただの出落ちで終わらせていない。

絆によって暴走した彼を止めるのも絆の力だ。
1クールで紡いできた彼の絆、信頼関係があるからこそ
元の彼に戻ることができる。
自らの過去、トラウマ、犯してしまった罪を自覚し、
自ら立ち向かおうとしている。

物語的には俺達の戦いはこれからだで終わっているものの、
1クール、この作品らしい唯一無二の面白さを感じることができる作品だった。

総評:この作品には4クールの重みがある

全体的に見て出落ちになりそうなネタではあるものの、
きちんと「絆創戦隊キズナファイブ」という4クール以上かけて
描かれたであろう「特撮ヒーロー」がバックボーンにあるからこそ、
レッドという主人公に厚みがうまれており、
そのおかげで中盤からこの作品らしい面白みがより増してくる印象だ。

序盤は異世界に戦隊ヒーローが訪れることへの異物感を
ギャグにし、中盤からはレッドという主人公を掘り下げながら、
仮面ライダー要素など別の特撮ヒーロー要素も多く出してくる。
終盤にはレッドの過去からの闇落ち展開もあり、
1クールできちんと変化が生まれておりマンネリを感じない。

序盤こそ作画はそれなりだったが、終盤はやや
気になる部分もあり、アニメーション的な盛り上がりは
そこまでないものの、全体的には安定している作品だ。

ストーリー的には序章であり、原作がまだ続いてる。
放送中はそこそこ話題になった部分もあり、
2期の可能性もあるだけに期待したいところだ。

個人的な感想:特撮ネタ

私は特撮ヒーローにそこまで詳しくなく、
特に戦隊ヒーローに関してはにわかだが、
それでも楽しめた作品だった。

中盤から仮面ライダー要素もでてきたことで、
個人的にはそっち方面の特撮要素がでてくることを想像してなかっただけに、
ワクワクしながら1クール見終わった作品だった。

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