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作品自体がS(最低)ランク「勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~」レビュー

勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~ ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:©水月穹・椋野わさび/双葉社・追放された白魔導師の製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(12点) 全12話

あらすじ 「実力不足の白魔導師は要らない」白魔導師であるロイドはある日突然クビを言い渡され、勇者パーティーを追放されてしまう。 引用- Wikipedia

作品自体がS(最低)ランク

原作は小説家になろうで連載している作品。
監督は玉田博、制作はFelixFilm

修行

1話の冒頭から主人公の幼少期から物語が始まるのだが、
なぜか「無音」なシーンがあり、長回しなシーンが多い。
だらーっと幼少期の主人公がスパルタな師匠に育てられる様が描かれるのだが、
安っぽい演出と間延びしたシーンは明らかに尺を持て余している。

師匠の過酷な修行の末に主人公は規格外の力を手に入れているのだが、
比較対象が師匠であり、しかも、厳しい教育方針ゆえに
主人公の「自尊心」と「自己評価」が恐ろしく低くなってしまっている。
対して面白くもない修行パートを1話のAパートという
大切な部分で消費しており、多くの人が1話きりしたことを感じさせる。

作画のクォリティも高くはなく、
ダラダラとしたストーリー展開と間延びしたテンポ、
謎の無音演出など1話のAパートからアニメとしての見せ方が悪すぎる。
特に音響周りは不自然にBGMがないシーンが多いのもかなり気になるところだ。

追放


タイトルから分かる通り、この作品は追放系だ。
昨今のなろうアニメのよくある要素の1つであり、
Sランクや勇者パーティーなどから追放された主人公が
実は使えるやつで…というパターンの作品だ。

師匠の元から逃げ出した主人公は街で冒険者になり、
勇者と言われるもののパーティーにはいる。
「白魔道士」なんて誰でも良かった、あくまで数合わせと体裁のためだ。
そんな白魔道士な主人公の力ゆえに勇者パーティーは
実力以上の実力を出せているのだが、彼らはそれに気づかない。

この過程をたーっぷり時間をかけて描く。
1話Aパートの修行シーンもそうだが、まるで2クールか
4クールのアニメのように描いている。

1話のラストでようやく勇者パーティーが主人公を実力不足と追放し、
主人公も持ち前の自己肯定感の低さゆえに実力不足を真に受け、
ソロで困っているところ、困っているヒロインとたまたま出会う。
そんなヒロインは「Sランクパーティー」の冒険者だ。

Sランク?

2話になると1話でも描いた「追放シーン」やヒロインが困ってるシーンを
わざわざ差し込んで尺稼ぎをしている。
この作品は全体的にそんな漢字であり、露骨な尺稼ぎが目立ちすぎだ。

主人公がはいることになるのは「Sランク」の冒険者のはずだ。
だが、Aランクのクエストを受けてもSランクっぽさがない。
まるでFランク、素人に毛が映えたような戦闘シーンと連携の甘さが目立ち、
強さに関しても特にSランクっぽさがない。

リーダーも貫禄のようなものがく、装備にしても初心者装備のような安っぽさであり、
彼女たちがどうして「Sランク」になれたのかがまるでわからない。
こういった作品においてランクはもはや無意味なことは分かっているが、
「最低でもAランク以上のパーティーしか受けられない」クエスト自体も
それっぽさがなく、Sランクという言葉自体が無意味だ。

この手の作品は安易に「Sランク」という言葉を多用するが、
それに伴う実力などはきちんと描かれているからこそ、
そこに突っ込むことは少なかった。
しかし、この作品は「Sランク」という言葉だけ使って、
「Sランク」という設定の裏付けがうすすぎる。

この世界のAやBやCがどれくらい程度が低いのか、
そういう比較対象もでてこないため、余計にSランクが
最低ランクという意味なのかとすら感じてしまう。

無自覚

いざSランクにはいると無詠唱な強化魔法に、収納魔法という
未知の技術を主人公は見せつけ、その技術の高さにSランクパーティーが驚く。
いつものやつだ。
主人公は追放されたうえに無自覚系だ。

「低レベルなものを見せて済まなかった..」

と自らの無自覚さをひけらかすのは、何度も似たような作品で見た展開であり、
そこに面白さや斬新さ、この作品らしさも感じない。
Sランクパーティーの元白魔道士の妹の病もあっさりと治し、
Sランクパーティーに入ることになる。

1話も2話もダラダラダララと話を進め、
同じようなシーンを多用し、盛り上がりも何も無い。
3話では女性ヒロインたちが水浴び中に「バジリスク」という
魔物がいきなり現れて大ピンチになる。
ちなみにこのバジリスク、特に攻撃もしてこず、ほぼ棒立ちでやられる(苦笑)

Sランクパーティーであらせられる冒険者が、
無防備に魔物がいるかも知れない場所で水浴びし、ピンチになる。
もはや意味不明でしか無い展開であり、戦闘シーンがあったところで
面白みが生まれるわけでもない。作画も本当にひどく、
1クールのうちの4分の1を使っておいて薄味すぎる展開だ。

明らかに主人公の修行方法がおかしく
「並のことじゃない!」って指摘されているのに、
主人公は「俺の修行は並以下ってことか…」と解釈する。
無自覚系にありがちなバカっぽさも話が進むと極まってくる。

パーティー

ストーリー的にやりたいことはわかる、幼少期から師匠と二人きりで
山奥に住み、世間知らずで無自覚な主人公が、
信頼できる仲間をえて徐々に他人を頼りにするようになり成長していく。

そういったストーリーを描きたいのはわかるが、
やってることはパーティーメンバーに「主人公すごい」とひたすら言わせてるだけで、
接待しつづけている。
主人公の力にふさわしいほどの力が彼らにあれば別だが、そんな強さはない。

主人公を追放した勇者パーティーが落ちぶれる展開も
「いつもの」でしかなく、何の面白みもない。
作画のクオリティもどんどんと下がり、がたがたな作画で、
大群の魔物との戦いを描かれても心底萎えるだけだ。

中盤になると街の住民全員が主人公の実力を知り、彼を尊敬するのだが、
それも彼は自らの力に懐疑的だ。
いいかげんにしろと思うほど自覚しない。

終盤

終盤になると掘り下げ不足なSランクパーティーの掘り下げが始まるが、
どうでもいい掘り下げエピソードでしか無く、大して印象が残るわけでもない。
主人公含めてSランクパーティーは5人いるのだが、
そのうちの3人、特に男性二人の印象は最後まで薄い。

中盤辺りから魔族が暗躍して色々としているのはわかるものの、
魔王だのなんだの、本当に新鮮味というものがない割には対して話も進まない。
終盤ではそんな魔族との戦いが描かれるのだが、
作画が死んでいるので盛り上がるわけもない。

しかも、厄介なことにwikipediaなどで調べると
この作品は妙な原作改変を行っており、
コミカライズなどでは死んでいない敵キャラが死んでいる(苦笑)
こんな出来栄えで2期もなにもないからこそ、
原作改変したのかもしれないが、最後の最後までよくわからない作品だった。

総評:Sランクって最低ランクって意味か?

全体的に見て設定の詰めが甘すぎる作品だ。
主人公を追放した勇者パーティーはともかく、
ギルドが「Sランク」と認めたパーティーの強さを一切感じず、
冒険し始めたばかりですみたいな見た目と態度は
Sランクらしさを一切感じず、Sランクという設定が無意味になっている。

中盤くらいになるとAランクやBランクという雑魚もでてくるのだが、
そんな雑魚でさえAランクやBランクなら、C、D、E、Fあたりは
どうなっているのだろうかと思うほどだ(苦笑)
Fランクあたりはミミズ相手でも死ぬレベルじゃなければ
このランク制度の意味を一切感じない。

主人公が無自覚系なのも厄介で、中盤くらいで英雄視されるほどの
功績を残しているのに、健側をし続ける姿は厳しく、
主人公含め、Sランクも、勇者パーティーも苦戦しすぎだ。

作画も終始死んでおり、アニメーションの魅力はない。
棒立ちの作画だったりと申し訳程度に髪を動かしたり、
エフェクトで誤魔化したりするシーンが非常に多く、
以下に作画のひどさを、作画枚数の少なさを誤魔化すかしかを考えていない。

主人公の成長と変化を描きたいのはわかるが、
その主人公の無自覚さゆえに好感を持てず、
ストーリー的な面白さも薄く、
作品自体がS(SAITEI)ランクであり、何もかもがひどすぎる作品だった。

個人的な感想:追放系はもういいよ

もう追放系は飽きた、そう感じさせてくれる作品だった。
なろう系というジャンルの中で追放系は一大ジャンルになったものの、
こすり倒されすぎて、この作品のように新鮮味0の作品も生まれている。
なろう系自体が限界を迎えつつ有るのは感じているが、
そんな親ジャンルの前に子ジャンルであるが限界を迎えた感は否めない。

アニメ製作自体も厳しい現状にあり、
低予算な作品は以前よりも厳しく、こういった作画崩壊ギリギリの作品も
多く生まれている。それでも作画崩壊しないのは素晴らしいものの、
そんなチキンレースを見たくてアニメを見ているわけではない。

今年は名作アニメも多く生まれる一方で、
こういう極端に酷い出来栄えの作品も多くあり、
今のアニメ業界の現状の厳しさをも感じてしまうところだ。

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