評価 ★★☆☆☆(36点) 全109分
あらすじ 再選を果たした朝倉優一郎都知事のもとに 「お前の傲岸不遜な4年間の都政に対し天誅を下す」との脅迫状が送りつけられた。 引用- Wikipedia
前代未聞のやばすぎる大犯罪者
本作品は名探偵コナンの劇場映画作品。 コナンとしては15作品目の作品となる。 監督は山本泰一郎、制作はトムス・エンタテインメント爆破
コナンの映画と言えば爆発だ。
第一作目からの「伝統」も言わんばかりの爆発はもはや芸術の領域であり、
爆発がなければコナン映画じゃないといっても過言ではない。
そんな伝統をこの作品はきちんとと守っている。
冒頭から、「都知事への脅迫状」が届き、
犯人を目撃し、爆弾を発見したコナンは
なんとかしようとスケボーで爆走し、トンネルの中を
グルングルンと回るものの爆破は止められず、
路線は破壊され、地下から飛び出した電車は街中に飛び込みそうになる。
一歩間違えば何百、何千の被害者がでかねない。大事だ(笑)
コナンが警察に連絡をしなければ相当な被害が出ている。
よっぽどの理由がなければここまでしない。
凶悪な犯人の目的と、この作品に対する期待感が
爆発とともに湧き上がるような感覚だ。
この作品にでてくる爆弾の量もかなりのものであり、
黒ずくめの組織が絡んでも居ないのに
犯人の「やばさ」を感じさせてくれる。
冒頭のつかみ、期待感は本当に素晴らしい。
コナン映画の伝統たる爆破とスケボーアクションを
映画開始10分で見せつけてくれる。
犯人はなぜかつて「国土交通省の大臣」だった
都知事を狙ったのか、壮大なストーリーが始まりそうな
「予感」を感じさせてくれる。
コナンはかつて都知事が関わった「ダム建設」が
動機なのでは…?と睨み、今回の事件のさいで都知事が参加することが
中止になったダムの式典が行われる村へと向かうことになる。
雪山
せっかく冒頭で爆発で盛り上げておきながら、
舞台が雪国に移るとスケールが一気に小さくなる。
映画のストーリーというよりはTVSPレベルのストーリーは
淡々としており、盛り上がりに欠ける部分がある。
田舎の村で起きる殺人事件と、8年ぶりに会う村人たち、
過去に飲酒運転をしてひき逃げを起こした人物、
8年間眠ったままだった少年が目覚めたりと、
意味深な人間関係という名の容疑者が次々とでてくる。
新一と毛利蘭のラブロマンス要素もそこまで長いシーンではないものの、
映画のお約束としてきちんといれており、
コナン映画として抑えるべき部分は押さえている印象だ。
序盤をすぎると地味な感じのシーンが続いてしまう。
過去の映画では爆発や次々と起こる殺人や、
コナンの身近な人物が狙われたりと「緊張感」があったが、
この作品はそういった緊張感がなく、盛り上がりも薄く、
ミステリーとしての面白さも薄い。
映画とは思えないスケールの小さい事件だ。
トリックとも言えないトリックで偽装してはいるものの、
わざわざ毛利小五郎を眠らせるほどでもないくらいの
あさーいトリックだ。
そんな浅い事件を1時間以上グダグダとやってしまう。
犯人
ラスト30分になってようやく盛り上がってくる。
犯人が都知事を狙った目的が分かるのだが、
今回の犯人もまたスケールが大きんだか小さいんだかわからない(笑)
なにせ犯人は「ダムの底」に沈んでしまった盗んだ宝石を隠している。
犯人はひき逃げ事故を起こし服役していたのだが、
その前に「宝石強盗」をしており10億円の宝石を盗んでいる。
そんな宝石を自分の家に隠していたのだが、自分が牢屋に入ってる間に
「都知事」がダムを作ってしまい、村ごとダムの底に沈んでしまっている。
犯人の目的としてはシンプルでありダムの
底に沈んだ宝石を取り戻すことにある。
それ自体はわかるのだが、そのために知事が来ないように
地下鉄を爆破し、電話の基地局を爆破し、
ダムの水を抜くためにダムを爆破する(笑)
もう少し別の手段はなかったのか?と
思うほど方法があまりにも回りくどい。
宝石店に強盗をし、強盗の店主を殺し、
帰る途中でひき逃げで知り合いの妹を殺し、
それを目撃した子供を意識不明の重体にし、
ダムの底に沈んだ宝石を取り戻すためにダムを破壊する。
とんでもない犯人だ(笑)
あまりにも犯した罪が重すぎる上に、やっていることが短絡的だ。
そもそもの宝石強盗の理由も「ギャンブルによる借金」であり、
ひき逃げに関しても「飲酒運転」で「スピード違反」という
フルコンボまでかましている。
宝石回収までの手間も凄まじく、
わざわざ東京の地下鉄に爆弾を仕掛け、ダムにも爆弾を仕掛けている。
一体彼がどこから爆薬を仕入れたのかは謎だが、
爆弾の設置の手間暇も半端ない。
ダム職員や友達、小さな子供(コナン)も
当たり前のようにスタンガンを使い気絶させ、
自らの正体に気づいたコナンをうち、蹴りまくり、殺そうとまでする。
村人たちがダムの見ずで命を落とすことも一切顧みず
あまりにもサイコパスなクズっぷりにはドン引きしてしまうほどだ。
コナン映画史上、ここまでクズな犯人はなかなか居ない。
黒ずくめの組織にスカウトされてないことに違和感すら覚える。
ちなみに本作の犯人はダム破壊を犯しているが、
これが裁判で裁かれた場合「出水危険罪」という
日本では適用事例のない罪に該当する。
前代未聞すぎる大犯罪者だ。
暴行、殺人、強盗、危険運転過失致死、
銃刀法違反、誘拐、爆発物取締法違反、出水危険罪。
1度飲酒運転やスピード違反、ひき逃げの罪で捕まった
彼が2度目の裁判で一体何年くらうのか…
そのあたりも気になってしまう作品だ
そんな大犯罪を犯しているものの、
びっくりするほどあっさり事件は解決し、犯人も確保される。
しかし、犯人が仕掛けた爆発のせいでダムが崩壊する。
ラスト15分
この作品のキャッチコピーは「ラスト15分予測不可能!」だ。
この作品のラスト15分を予測できた人はおそらくいないだろう。
なにせあまりにも非現実的だ(笑)
決壊したダムのせいで大量の水が村へと流れ込んできている、
多くの犠牲を出さないためにもコナンはとある行動を起こす。
たった一人の少年が背後に大量の水が迫りくる中で雪山を
博士が改造したスノボーで駆け下りる。
逃げるのにも必死な中で彼は「ダムの水を止める」ために行動する。
彼は逃げる中で「積もったばかりの雪山の新雪」を使えば
なんとかできるかもしれないと思いつく。
普通は思いつかないだろう、明らかに不可能である。
雪崩を1個人が引き起こすなど人間の所業ではない、神の御業だ。
しかし、彼は雪崩を起こす。
彼の行動が結果的に何百、何千もの命を救ったことになるのだが、
見てるこっちはあまりに非現実的な所業に笑うしかない(笑)
タイトルにもなっている沈黙の15分は
「雪崩に巻き込まれた際」のタイムリミットだ。
雪崩を起こすという神の所業を起こしたコナンでも、体は人である。
雪崩に巻き込まれてしまい雪に埋もれてしまう。
ラストの15分は予測できない。
まさにキャッチコピー通りな作品だった。
総評: コナン映画史上もっともクズな犯人
全体的に見て犯人のぶっ飛び具合が凄まじい作品だ。
冒頭のテロのような爆破と終盤のダムの決壊、
小学生であるコナンをボコボコに殴り、当たり前のように殺そうとし、
10億円の宝石を取り戻すために必死だ。
目的のために手段を選ばないスタンスなのは結構だが、
あまりにも発想が短絡すぎる犯人すぎて
そこ概要に目立ってしまっている。
ただ、そこ以外のストーリー部分はかなり地味であり、
中盤はかなり淡々としている。
序盤と終盤のアクションシーンは映画としてはかなり
ド派手であり、犯人のぶっ飛び具合も凄まじいものがあるが、
ぶっ飛びすぎていてついていけない(苦笑)
ミステリーとしての面白みは薄く、
非現実的すぎるアクションをやるがために、
前代未聞の犯罪を犯す犯人像とのバランスも釣り合っていない。
しかし、1度見ると二度と忘れられない作品なのは間違いない。
何年かたつとコナンによる「神の御業」と雪崩を
再びみたくなる。
不思議な魅力がある作為品だ。
個人的な感想:雪崩
やはり「雪崩」のシーンは何回見ても笑ってしまう(笑)
いくら新雪だからといってあれは本当にできるのだろうか?
ぜひ、空想科学読本で検証してほしいレベルだ。
コナンのスケボーは検証した方によると
「時速80キロ」でるようなので可能なのかもしれない。
ぜひ、この作品の雪崩についても物理計算エンジンで計算してほしい。
コナン映画も今や28作品あるが、
この「雪崩」レベルのインパクトのあるシーンはなかなかない。
私のコナン映画ベストシーンを選出するなら確実にベスト5に入る、
それほど衝撃的なシーンだ。
まだ見たことのないという方は広い心でぜひ、ご覧頂きたい。
思わず大爆笑してしまうはずだ(笑)
