ヒカルの碁


ヒカルの碁感想


評価/★★★★★(81点)


ヒカルの碁感想

制作/ぴえろ
監督/かみやじゅん
声優/川上とも子,千葉進歩,小林沙苗ほか


あらすじ
主人公・進藤ヒカルは、ごく普通の小学校6年生。小遣いをカットされたために祖父の家を物色していた際、蔵にあった古い碁盤に血痕を見つけたヒカルは、その碁盤に宿っていた平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)の霊に取り憑かれる。



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囲碁アニメ・・・ここにあり。

原作はジャンプレ連載されていた漫画作品。
おそらく、史上初の「囲碁」を題材にしたアニメ
当時はこの作品をキッカケに囲碁をはじめる子供が多く、囲碁ブームにまでなった。
この記事を見られてる方にも囲碁をやろうと思ったり囲碁部に入ろうとしたり
そういう経験がある方もいるはずだ。

基本的なストーリーは囲碁を中心とした主人公の成長ストーリー
ある日、祖父の家で古い碁盤を見つけた主人公、
すると主人公は平安時代の天才棋士・藤原佐為の幽霊にとりつかれた。
その幽霊の願いは囲碁を打ち「神の一手を極める」という願いだった。
主人公は彼の言われるまま囲碁の世界へと足を踏み入れる。という感じだろうか?

序盤のストーリー展開は世界観、キャラ付けともに非常にいいスタートだ。
特に主人公の心理描写は囲碁を知らない「視聴者」と同じ目線で描かれ、
主人公が囲碁の世界に惹かれていくのと同時に見ているこっちまで
「囲碁」にとりつかれていく。

この序盤の描写と演出はうまい。
あえて詳しい囲碁の描写を省き「なにかすごいことが行われている」という
雰囲気だけでストーリーを進め、その雰囲気に主人公と同じ立場で飲み込まれる。
当時囲碁ブームになったのも納得できるほどの心理描写だ

中盤からは主人公が囲碁に真剣になっていく。
主人公は素人、だがとりつかれている霊は囲碁の達人、
この堆肥が生み出すストーリー展開やキャラクターとの関係性が上手く描かれている
特に主人公のライバルである「トウヤ」のキャラ付けと心理描写は凄まじい。

この「トウヤ」というキャラは子供ながらにプロレベルだ。
だが、そんな彼が囲碁初心者と言い放った彼に敗れる(実際は霊が打った)
そのことにより自らの自身やプライドを打ち砕かれ絶望する。
しかし、彼はもう一人の主人公だ。
主人公の内に潜む「霊」に恐れながらもぶつかりあがく

そんな彼を主人公は憧れと同時に複雑な感情を抱く。
彼は自分を見ているようで自分の中にいる「霊」を見ている
対峙しているのは自分なのに、それに立ち向かえない自分の実力に歯がゆさを感じる

人間同士のドラマが囲碁という舞台で熱く展開する。
本来なら地味な囲碁の勝負、ルールすら完全に把握していないのに
「燃える」展開の数々と勝負の見せ方は、動きの少ないシーンが本来多いはずなのに
アニメとして面白いものに出来上がっているのはある種の感動だ。

制作側がこの作品を面白くしよう、囲碁を楽しませようという気迫がひしひしと伝わり
それに釣られるように声優さんの演技にも熱が入り
本来なら地味なはずの囲碁が熱いものに出来上がっていた。

中盤以降のストーリー展開も熱い。
色々な方向から見た囲碁や、囲碁のプロの世界をストーリーの流れで自然に説明し
見ているこっちが囲碁の世界に詳しくなっていく。
それに誘われるように主人公も「プロ」になるため囲碁に更に撃ちこむ
必死に、もがき、あがきながら挑む様子は純粋に応援したくなる

更に多くなっていく試合の描写も非常にうまい。
あえて囲碁の試合の詳細は極力省き、登場人物たちの打つ様と碁石の音とBGM
そして対決者同士の心理描写で「細かい描写」を敢えて省くことで
囲碁のルールがわからなくても楽しめるアニメというのを
中盤以降も維持し続けているのは好印象だった。

特にただ囲碁の試合を描写していくだけではなく、特殊な状況下での
勝ってはならない囲碁、一色碁などおもしろすぎる特殊な囲碁などは
全76話という長さの中でいい刺激になっていた。

そして終盤にかかっての見事なストーリー展開。
主人公と主人公に取り付いていた「サイ」との別れを描いた終盤は
主人公の成長とサイが彼にとりついていた意味を際立たせ
別れを強調する。

ただ、その後の主人公の挫折が長かった。
それまでストーリーのテンポが早く、時系列の流れも早い。
そのおかげでストーリー展開が目まぐるしく変化し、全76話という長さで
中盤までダレを感じさせなかったが、終盤では主人公の挫折でダレてしまった。

だが、最終話付近で盛り返した。
主人公の挫折からの復帰、ライバルとの宿命の戦い、サイとの夢での再開・・・。
この終盤の物語をまとめる流れは素晴らしかった
全75話という囲碁アニメを完成させたと言っても過言ではない。

全体的に見て素晴らしい出来栄えだ。
囲碁のルールを知らなくても楽しめ、魅力的なキャラクターと主人公の成長、
地味になりそうな囲碁の試合を演出と脚本で面白くみせ、
全76話という長い作品をきっちりと飽きさせずに楽しめることが出来た

残念なのは最終話までの展開や最終話が
「俺達の囲碁はこれからだっ!」になっている点が残念だ。
その展開が残念に感じ、原作を読んでも・・・w

アニメではなく原作の話になってしまうが、
原作はいろいろな意味で問題を抱えたまま中途半端に終わってしまった。
詳しくは検索すればすぐわかると思いますが、
こういうった問題はなんとも悲しいですね。
打ち切りにせよ、あの国の影響にせよ。
物語がなんとも消化不良に終わってしまうのは残念で仕方ない。

個人的には原作よりもアニメを進めたい。
「俺達の囲碁はこれからだっ!」になっているが、
1つの作品を見終えたという感覚はアニメのほうが強い。

今後、囲碁アニメが作られることはあるのだろうか(苦笑)
もしかしたら、これが最初で最後の囲碁アニメになるかもしれない。
囲碁アニメとしては「不朽の名作」と言わざるおえない、
囲碁興味がなくても囲碁がしたくなる、
そんな素敵な作品を名作と言わずにおけない。

あの頃、子供だった人がこのアニメを見てなんとなく覚えている。
そんな人も多いだろう、私もその中のひとりだった。
今現在、立派にオタクなり久しぶりにたまたま目についたこの作品を見返し、
こんなに名作だったのか!と驚いてしまった。

見たことない人はぜひ、見たことがある人はもう1度見てみませんか?
囲碁を打ちたくなることまちがいなし。
だが、実際に打つと・・・(笑)