服の皺にこだわりまくるアニメが、面白くない訳がないっ!「ふらいんぐうぃっち」レビュー

2016年8月10日

評価★★★★★(85点)全12話
1280

あらすじ 箒を使って空を飛べる魔女の木幡真琴は、15歳になったら独立して家を出るという「魔女のしきたり」に従い、使い魔の黒猫チトと共に、横浜から遠く離れた青森県弘前市にある又従兄弟の圭・千夏兄妹のいる一家に頼って、居候を始めることになる。
引用 – Wikipedia


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服の皺にこだわりまくるアニメが、面白くない訳がないっ!

原作は漫画な本作品。
監督は桜美かつし、制作はJ.C.STAFF。
青森県弘前市を舞台としており、弘前市では様々なコラボが行われた。

見だして感じるのは素晴らしい空気感だろう。
一人の女の子が黒猫とともに電車に乗り、バスに乗り、
青森の親戚の家へと赴く。

こんな何気ない普通のシーンを非常に丁寧に描き、
随所随所にブーツと黒ストッキングをアップにしたりと
妙に「フェチズム」を感じる描写を挟むことで
この作品の主人公に自然と愛着が湧く。

いきなり余談なのだが、この監督は明らかに変態だ。
パンストだけならばまだわかるが、小学生の女の子の靴下の描写や、
スカートのシワでヒップラインや胸を強調したり、肩甲骨を強調したり、
「服の皺」の描写がかなり細かい(笑)

はっきりいってここまで細かく服のシワを描写する作品はあまりない。
予算の潤沢な作品ならいざしらず、ここまで細かく描写する必要は本当はないはずだ。
今から見る人は若干注目しながらみてもらうと
「服の皺」の描写のこだわりかたに強い嗜好をかんじるはずだ。
私はこういう「フェチズム的こだわり」が大好きである(笑)
閑話休題。

キャラクターデザインも素晴らしい。
いわゆる「萌系」とは少し違い、等身が高く、
いちおう主人公の女の子は「15歳」という設定なのだが、
アニメの中での15歳の女の子というよりは、
きっちりと現実世界の15歳の女の子を描いている感じだ。

主人公位が居候する親戚の家に住む又従兄弟である女の子も9歳という設定だが、
他のアニメで言う9歳に比べるとかなり大人じみている。
設定年齢にふさわしいキャラデザといえばわかりやすいだろう。

この作品はいわゆる「日常」アニメだ。ゆるく、ふわっと。
だが、そういう日常アニメの場合はいわゆる「萌え」なデザインが多く、
基本的に等身は低い。
「ゆるゆり」しかり、「きんいろモザイク」しかり、「のんのんびより」しかり。

そんな大ヒットした日常アニメ・マンガに釣られ
最近の日常アニメも萌えキャラデザの作品が多い中で
この作品は萌えキャラデザではない。

更に言えばノイタミナっぽさもある。
ノイタミナというアニメの放送枠はオタクではない「一般人」を
意識した作品が多い媒体だが、この作品はそんなノイタミナっぽさすら感じる。
変にオタクに媚びておらず、普通の人が見ても受け入れやすい。
日常アニメという枠組みの中でこの作品は貴重だ。

そしてストーリー。
この作品のタイトルは「ふらいんぐうぃっち」である。
はっきりいってそのまますぎるタイトルとも言えるのだが、
この「ふらいんぐうぃっち」の要素が
日常アニメという要素とピタッっとマッチしている。

なにせ1話から飛ぶ(笑)
ホームセンターで売っているようなほうきにまたがり、
9歳の親戚の女の子の前で何気なく飛んで見せ、
飛ぶ姿を見て目を女の子はまんまるにする。

文章にすればたった3行にしか満たないシーンを
さりげなく、自然に、あえて派手にではなく、ふわりと見せることで
「日常のアニメの中のファンタジー要素」を引き立たせる。
青森という場所、何もない田舎に、「魔女見習い」が修行に来る。
そんな魔女とそこに住む人の日常をとても、本当にとても優しく描いている。

この作品における「魔女」という存在は本来は秘匿事項らしい。
しかし、主人公はそんなことを忘れているがごとく、
日常の中で自然に魔法を披露する。
だからこそ「日常」というジャンルの中でも魔法という存在が突飛に感じない。

ちょっと抜けている女の子が主人公だからこそ、
魔法というファンタジー要素が出すぎずに日常アニメという枠組みの中で際立ち、
魔法という要素があるのに
この作品は間違いなく日常アニメというジャンルの作品になっている。

逆に言えば日常すぎるくらい日常だ(苦笑)
例えば敵の魔女と戦ったり、大きな恋愛模様が描かれたり、
バイトがてらにほうきで「宅急便」を始めるわけでもない。

空き地に生えてるマンドレイクを引き抜いて友達にプレゼントしたり、
魔女であることは秘密にしないといけないのにほうきで飛んじゃったり、
予知夢を見たり、他の魔女と交流したり、畑を耕したり。

そんな日常の中の不思議な出来事を普通の人間である
主人公の友人だったり、親戚の9歳の女の子だったりが主人公を通して触れる。
その不思議な出来事に対する反応が非常に可愛らしく、
癒されるストーリーを本当に「自然」に描いている。

曲も素晴らしい。
軽快かつ明るい、だが派手すぎない。
「ジブリ」の久石譲さんの曲を明るく、軽くしたような曲が妙に耳に残り、
その曲が何気ない日常シーンを自然ともり立ててくれる。

青森という舞台もこの作品には欠かせない。
雪の中の匂い、都会にはない澄んだ空気感、
木や土の匂いが見ている最中に伝わってくるような描写になっており、
きちんと「背景」を妥協なく描いていることで、
「青森」という舞台設定を作品の中できちんと活かしている。

また、この作品の「料理」の描写も素晴らしい。
カレー、ふきのとうの天ぷらetc…
日常の中の何気ない食べ物の描写が本当に素晴らしく、
思わず口の中によだれが湧き出てくるほど美味しそうだ。
描かれる料理の数々がきっちりと妥協なく描かれているのは本当に素晴らしい。

全体的に見て非常に丁寧かつこだわって作られた作品だ。
魔法が使える魔女を主人公にしつつも彼女のゆるくふんわりとした
キャラクターに相応しい「癒やされる日常模様」を主軸にしており、
日常の中に本当に些細な「魔法」という要素を足すことによって
この作品特有の雰囲気とストーリーを作り上げている。

そのふんわりとしたストーリーをきちんとした描写で盛り上げる。
青森という舞台ならではの背景描写、たまに出てくる料理の描写、
毎話変わるキャラクターたちの服、そんな服のしわのこだわり、
本当に細かい部分がこだわって描かれるため、
大きな事件があまりおこらないストーリーなのに退屈にならない。

日常ものは基本的に会話劇だ。
だからこそ萌え描写に頼りがちな作品が多いが、
この作品はキャラクター本来の可愛さ、キャラクター本来の魅力が
ストーリーの中で際立ち、あざとい萌ではない。

他のキャラが喋っているのを黙って聞いている様子まで
きちんと細かく描いているからこそ、
その黙って聞いている姿にすら愛着を感じ、
正統派なキャラの魅力を感じられる「日常アニメ」になっている。

逆に言えば日常的すぎる描写の数々は
退屈に感じてしまう人もいるだろう。
これは日常アニメというジャンル特有の欠点であり、
個人の好みによるところが大きいだろう。

だが、この作品の「細かいこだわりの描写」に気づけば、
1つ1つのシーンが面白いと感じられるはずだ。
何気ないシーンの中の繊細な描写は日常アニメにおいて欠かせない。
それをこの作品はきちんと最初から最後までたっぷりと見せてくれた。

私はアニメにおける料理描写も大好きだ、
この作品を見てから「ふきのとうの天ぷら」を食べたくて仕方ない。
私はアニメにおけるフェチズム描写が大好きだ、
流石に服の皺というマニアックな要素は私の理解を超えるが、
「黒ストッキング」の描写のこだわりに対しては
監督と固い握手をかわしたいくらいだ、(笑)

このようにこの作品は私の日常作品における「ツボ」に
がっつりとハマる作品だった。

余談だがこの作品における「猫」の演技が素晴らしい。
茅野愛衣さん演じるチトの猫の演技は
最初、茅野愛衣さんと気づかないほど自然だ。

声優さんも新人さんが非常に多いのだが、
逆に新人声優だからこその演技がこの作品の日常描写の中で
光っていた部分もあった。
特に鈴木絵理さんの9歳の女の子の演技は可愛さ爆発だった(笑)

売り上げ的には3000枚前後、
強烈に売れるジャンルや内容ではないだけに
1000枚以下の可能性もあるのでは?と思ったが、
この売上は悪くはない数字だろう。

原作の売り上げ次第では2期も望めるだけに、
期待したいところだ。

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