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今世紀史上最も駄作のアニメ映画「ポッピンQ」レビュー

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評価☆☆☆☆☆(2点)全95分

あらすじ 通過点でしかないと思っていた卒業式を目前に控え、中学3年生の伊純は前に進めずにいた。そんな時、海で美しく輝く「時のカケラ」を拾った伊純は、不思議な世界「時の谷」へと迷い込む。引用 – Wikipedia


今世紀史上最も駄作のアニメ映画

本作品は東映アニメーション60周年記念のプロジェクトとして
制作されたオリジナル劇場アニメ。
監督は宮原直樹、制作は東映アニメーション。

見出して感じるのは「岡田麿里脚本か?」と思うような雰囲気である。
彼女の手がけた作品はよく
「女の子が走る」「女の子が叫ぶ」「生々しい女性描写」などで
青春感を演出するのがお決まりのワンパターンであるが、
この作品は別に岡田麿里脚本でもないのにその雰囲気がビンビンに出ている。

脚本家の方は荒井修子さんという方だが調べた所、本来はドラマの脚本家のようだ。
最近の作品だと「水族館ガール」「ヒガンバナ警視庁捜査七課」という作品を
手がけているようだが、私個人としては全く知らないドラマばかりだ。
アニメは本作品が初なようで、憶測では有るが
「心が叫びたがってるんだ」あたりを参考にしたのではないだろうか。

この作品に出てくるメインの女の子は5人いる。
彼女たちは中学三年生であり、それぞれが色々な事情と悩みを抱えている。
特に主人公でもある「小湊 伊純」は反抗期MAXであり、
親の仕事の関係で引っ越しを目前な状況だが、
引っ越ししたくないと親に反抗している。中3にもなって。

そして、そんなウジウジ状態から唐突にOPが流れる。
「え?今、OP!?」と思うほどの違和感MAXでストーリーをぶつ切りにして
OPが始まり、何の説明もなく踊りまくっているメインキャラと、
登校の様子が交互に描かれる。

時間も短く印象に一切残らないOPをいきなり入れる意味も分からなければ、
OPを入れるならばもっと早い段階で入れておけよと思わずイラッとしてしまう。
ストーリー構成がダメだということが冒頭の10分位で分かってしまう。・

更にそんな岡田麿里脚本風な青春模様が描かれたかと思ったら、
いきなり異世界へと女の子が飛ばされる。
プリキュアなどの「東映アニメーション」らしいマスコットキャラが出てきて、
まるで女児向けアニメのような展開になる。
はっきりいって「ちぐはぐ」だ。

主人公たちの本来いるべき作品は「岡田麿里脚本」の青春作品なのに、
なぜか異世界ファンタジーが始まる。
あまりにも展開が唐突過ぎて単純に話についていけず、
少し前まで描かれていたウジウジな雰囲気とプリキュアもびっくりな雰囲気との
ギャップに戸惑うことしか出来ない。

主人公は結構、異世界に順応するのが早い。
そのせいで視聴者は感情移入も出来ず、さっきまでウジウジMAXだったのに、
いきなり明るく異世界を探索していても違和感しか感じない。
最近流行りの異世界召喚or転生の作品の主人公だってもう少し戸惑うだろう。

更についでみたいに他のメインキャラも同じ場所に召喚されている。
彼女たちも異常に順応が早く、すぐに敵キャラを戦ったりもしている。
もう少し異世界ということに戸惑ったり、
しっかりとしたキャラ描写をしてほしいのに
そういうことをセず「本題」にどんどん話が進む。

異世界ではポッピン族という何の捻りもないネーミングの種族が住んでおり、
そんなホッピン族が世界の危機を救うために5人の女の子を呼ぶ。
しかも方法はダンス。

序盤の岡田麿里風な青春ストーリーはどこへ?と思うほど
びっくりするほど唐突かつ、びっくりするほど脈絡がない。
最初から女児向けの「東映アニメーション」らしい作品が描かれるなら問題はないが、
冒頭はオタク向けの青春映画風に見せかけておいて、
実は女児向けアニメでした!みたいにされても戸惑うしか無い。

自然なストーリー展開というのがまるで出来ていない。
この作品のターゲット層がよくわからないのだが、
オタク向けと考えれば子供だましすぎる感じが強く、
女児向けと考えるとキャラクター描写がやや重い。

可愛らしいキャラクターデザインのマスコットキャラが踊る様子も
結構ガッツリ見せられるが、女児向けなら「可愛い!」と楽しめるが、
大人が見ても全く楽しくない。
むしろマスコットキャラが踊る様子を見て「私感動しちゃいました」と
涙ぐむキャラクターの反応にドン引きだ。

そうかと思えばまたウジウジとした雰囲気になる。
女児向けアニメのような雰囲気になったかと思えば。
女性キャラクターの性格の悪さが唐突に顔を出し、また雰囲気が暗くなる。
唐突な展開と唐突な展開を繋いで目まぐるしくストーリーが切り替わり、
そのたびに雰囲気が女児向けアニメと青春アニメで切り替わる。

それなのに一部のキャラクター描写が極端に浅い。
メインキャラは確かに5人なのだが、
きっちりと描かれるのは主人公ともう一人くらいで後のキャラの
問題などは回想で描かれたりする適当さで、
ダンスシーンを派手にするための数合わせでしか無い。

更に唐突に挟まれる挿入歌。
「作品の雰囲気」というのを無視した感じMAXの曲であり、
調べた所、この作品の主題歌と挿入歌を歌わせるためにオーディションをシて
わざわざユニットとして結成した「7人」らしいが、
特にそこに意味を一切感じない上に、そこまでしたのなら、
もっと作品の雰囲気にあった曲があるだろうと心底思ってしまう。

ダンス練習シーンも何回見せられるんだよと思うほどだ。
同じようなダンスが徐々に上達してますよと言いたいのは分かるが、
違和感MAXな挿入歌をそのたびに聞かせられて、がっつりとダンスを見せられる。

しかもダンスが上達すると戦闘力まで身につくようなのだが、
この戦闘シーンも心底どうでもいいほどつまらない。
青春、ダンスときてバトルファンタジー要素まで詰め込んで、
90分という尺に収めきれるはずもなく、
作品自体が崩壊しているような作品だ。

全体的に見てセンスのない監督と脚本家がセンスのない作品を作ったと言う感じだ。
脚本家は初アニメなので岡田麿里脚本を参考にした女性キャラ描写と、
東映アニメーションらしい女児向け作品をあわせた脚本で、
大人も子供も楽しめる脚本にしようと思ったのは分かるが
力量不足で中途半端になってしまい90分という尺では何も描ききれていない。

青春、ダンス、異世界、バトルとこの4つの要素が全く持って絡み合っておらず、
90分という尺にそれを無理矢理押し込めたせいで
ダイジェストのような唐突な展開と展開をつないだだけの
ストーリーになってしまっている。

せめてキャラクター描写がもっとしっかりしていれば違っただろう。
だが描く要素が多すぎてきっちりとキャラを掘り下げる前に
話を進めてしまっている感じが強く、常に慌ただしく、
そのくせ、どうでもいい要素やいらないシーンが多すぎる。

表面上の浅すぎるキャラ描写ではキャラクターの性格の悪さだけが際立ち、
結局印象に残るキャラはほとんど居ない。
5人のメインキャラのうち3人くらい別にいらないキャラがおり、
キャラクターのお悩みもなんかいつの間にか解決してるどうでもよさ。
ダンスの盛り上げ要員お疲れ様で終わっているキャラが半数以上だ。

個人的には見ている間に本気で「つまらない・・・」とつぶやいてしまった。
物語のちぐはぐ感、ストーリー展開の唐突さ、センスのない曲、
感情移入をさせてくれないキャラ描写etc…
褒めるべき部分や評価できる部分を探そうとしたのだが無理だった。

唯一評価できるのはダンスの際の
CGの質と可愛らしいキャラクターデザインくらいだろうか?
ダンスシーンだけ切り取ればそれなりに見れるが、
ほんっと曲が合っていないのでダンスシーンも台無しだ。
聖地を狙った要素も微妙に有り、主人公の方言などもあるが、
びっくりするくらい滑ってる。高知県出身にした意味を一切感じない。

更に酷いのが続編を作りたい感じビンビンの展開がエンドロール後に描かれる。
これだけ酷い脚本なのにきちんと「完結」させず意味深かつ続編を匂わしまくる。
少しだけ「続編あるかもね?」くらいなら問題ないが、
びっくりするほどその続編描写が長く、
見終わった後に一切スッキリとしないラストは嫌悪感しか生まれない。

ある意味、強烈に印象に残る「駄作」だった。
こんな出来栄えで続編を作れると思ったのだろうか・・・
ちなみに売上は興行収入が出ないほどの爆死だ。よかった。

奇しくも当サイト史上最も評価の低いアニメ映画となってしまい、
ある意味での殿堂入り(笑)
今後、この作品を超える駄作アニメ映画が生まれないことを願いたい。

超個人的にだがこの作品の曲のためにオーディションで選ばれた7人の
今後が心配である。公式サイトを見ると
スケジュールページすら作られていない(苦笑)
映画が大ヒットして音楽番組に呼ばれる夢を見ていたであろう7人の
夢を壊した大人の責任は重い。

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