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「ハイキュー!!」レビュー

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評価 ★★★★☆(83点) 全25話

あらすじ 「週刊少年ジャンプ」で絶賛連載中・次世代王道スポーツ漫画、『ハイキュー!!』が早くもTVアニメ化!制作は、あのProduction I.G!想いをのせて仲間とボールを”繋ぐ”、それがバレーボール。少年たちの躍動感あふれる激闘を見逃すな!引用- Wikipedia

これぞ”王道”スポーツアニメ

原作は少年ジャンプで連載していた漫画作品。
監督は満仲勧、製作はProduction I.G

小さくても…


画像引用元:ハイキュー!! 1話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

主人公は子供の頃「背が小さくても」活躍するバレーボール選手の試合を
テレビ越しに見る。そんな彼の姿が忘れられず、
3年後、中学3年生になった彼はようやく集めた寄せ集めのメンバーで
公式大会に出るという所から始まる(笑)

かなりの急展開だ。本来、この手の部活モノの場合、
部員集めから始まって他校との試合に挑むのは3話あたりからだったりするが、
もう1話の5分足らずですでに公式戦だ。

そんな公式戦で彼らのチームはほぼ初心者しかいない。
男子バレー部がなく、女子バレー部しかない中学に入ってしまったがゆえに、
ようやく集まったメンバー、憧れていた試合に出るもののトスすら出来ない。
ろくに点もはいらない主人公チームだが、主人公は楽しそうだ。

女子バレー部が練習する中でたった一人で練習した3年間だ。
それだけ彼のバレーボールに対する思いは熱い。
1年、2年、3年、彼の一人の3年間。
試合に出られないのに練習し、頑張った結果の最後の公式試合だ。
もはや1話の時点でクライマックスのようなストーリーだ。

たった一人で練習する姿を同級生たちは見てきた。
だからこそ付き合いでも、彼の3年間の最後を報われるように
バレーボールの経験もない彼らが参加してくれてトスをあげてくる。

「次もあげてやるからな」

バレーの経験もまるでない彼らが主人公のためにバレーをやる。
背が小さい彼が必死に飛び、何度も何度もアタックを決めようとするが決まらない。
必死にあがき勝利に食らいつこうとする姿、決して敵う相手ではない、
だが、彼は本気だ。

負けるかもしれないなんて考えはない。最後の一瞬まで彼は勝利を追い求めている。
物語の「主人公」がそこに存在する。
思わず、最初は応援していなかった人も彼を応援してしまう。
どんな状況でも勝利を求めボールに食らいつくその姿は紛れもなく主人公だ。

本気でバレーボールをやっている。
それが見ていて視聴者にも、敵チームのキャラにさえ伝わる。
だからこそ応援したくなる。だが負けてしまう。
即席チームではかなうことは難しい、バレーボールは個人戦ではなくチーム戦だ。

悔し涙を流しつつも彼はライバルにリベンジを誓う。
応援したくなる熱い主人公がこの作品には存在する。
この1話を見て彼を応援したくならない人はいないだろう。

主人公の存在感、主人公のキャラクターの魅力を1話でしっかりと感じ取れる。
そして物語は高校へと舞台が移る。気持ちのいい1話は完璧だ。
欠点なんて1つもない。

相棒


画像引用元:ハイキュー!! 2話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

スポーツアニメにおけるライバルはライバル校にいて
本来は戦う敵同士だ。しかし、このアニメは1話といい
良い意味で王道から少しずれた見せ方をしてくれる。

主人公が中学時代に1回戦で負けてしまった敵チームのライバル、
彼はいつか彼に勝ってやると誓って高校に入学している。
しかし、肝心のライバルは受験を失敗し同じ高校に入ってしまっている(笑)
本来は1話のリベンジ戦をやれるはずのキャラクターが
2話ではもうすでにチームメイトだ。

良い意味で予想できない。予想外なストーリー展開が
しっかりとした面白さになっている。
敵チームではない、仲間になったからこそライバルでなく、
互いを高める相棒になっていく。

彼も「セッター」というポジションに熱い思いがある。
バレーボールを詳しくない人でも彼が熱くポジションを語るおかげで、
「セッター」というポジションがどんなポジションなのかがみてる側に伝わる。
中学生時代、彼も孤立していた。

チームメイトよりも実力が会ったがゆえにチームメイトがついてこれず、
その怒りをチームメイトにぶつけてしまった。
そんな過去があるからこそ、彼は本気を出せずに居た。
しかし、そんな本気にくらいつく「主人公」と同じチームメイトになる。

ようやく本気を出せる相手が見つかる。
主人公が「目をつぶって」いても、彼の手元にボールを渡す相棒。
ライバルから相棒へ変化してく流れに美しさすら感じる。黄金コンビだ。

先輩


画像引用元:ハイキュー!! 4話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

主人公が入学した「烏野高校」は癖の多い先輩ばかりだ。
その先輩たちを一気に出すわけではない。
話が進む中で少しずつ出していき、一人ひとりが癖が強い。
新入生である主人公と影山 飛雄につっかかってくる(笑)

ややいやみったらしいキャラがいたり、
シンプルでバカっぽいキャラがいたり、いかにも部長といったキャラがいたり。
癖はあるものわかりやすい先輩たちのキャラクターと主人公たちが絡む中で、
きちんと、それぞれの「ポジション」を説明する。

それが説明説明していない。
スポーツものにおけるポジションやルールの説明は本来、
説明口調になってしまうことが多い。
しかし、この作品の場合はあまり説明口調にならない。

ストーリーの中で自然に、なおかつ、そのポジションや技に
キャラクターたちが「情熱」をもってやっているからこそ、
その情熱に合わせて自然とバレーボールの基本知識がみてる側に伝わる。
癖のある先輩たちの指導を受け、ぶつかり合うことで「チーム」になっていく。

きちんとキャラクターの成長が見える。
何度も失敗し、失敗しながら信頼と技を磨き、それが点につながる。
物語におけるご都合主義を感じない。
本来、スポーツアニメはご都合主義でできたものだ。
作者が頭の中で考えた試合運びと結果がある。

しかし、この作品はそんなご都合主義を感じない。
一人ひとりのキャラクターが生き生きとバレーボールを楽しんでおり、
その楽しさが伝わり、丁寧な成長を試合模様を描くことで
「ご都合主義」というのを感じさせないようにしている。

試合の演出


画像引用元:ハイキュー!! 7話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

この作品の試合のシーンの演出は本当に素晴らしい。
バレーボールという激しい試合運びがある競技を
「緩急」をしっかりと付けて描いている。

移動するシーンは素早く、決定的なシーンはスローでじっくり見せた後に
スパイクが決まる瞬間はスピーディーに描く。
「キュキュ」っというシューズの音、ボールを弾く音がそこに交じることで、
本当のバレーボールの試合を見るような目まぐるしさと
息をつかせぬ臨場感を作り出している。

カメラアングルも素晴らしい。
多角的に描きつつ、カメラを瞬時に切り替えることで
よりスピード感を生んでいる。
見ていて気持ちがいい、心地が良い試合シーンの猫写は妥協がない。

変に引き伸ばさずスピーディーに展開される試合が
1試合1試合しっかりとした面白さがある。
キャラクターの一瞬を際立たせるために劇画調で描かれることもあり、
それが本当に一瞬だからこそ価値がある。
演出がしつこくない、だが、際立っている。

試合を見せ、ひとりひとりのキャラクターの活躍を魅せる。
この試合の猫写はこの作品の面白さをより高みへと引き上げている。

ギャグ


画像引用元:ハイキュー!! 6話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

私はスポーツアニメでここまで純粋に笑ったのは久しぶりかもしれない。
主人公が高校生になって他校との初めての試合だ。
本来はもっとシリアスかつ緊張感のあるシチュエーションになってもおかしくない。

しかし、そんな状況で主人公のキャラクターが生きてくる。
彼は極度のあがり症だ。試合前にゲロを吐き、お腹を下し、
あがりまくってまともに試合もできない。
1話の勝ちにこだわっていた主人公は何処に行った?と思うほどの
緊張っぷりは笑うしかない。

そんな中で彼はミスをする。1セット取られるという大事な部分で
味方の後頭部にボールを当ててしまう(笑)
これはバレーボールあるあるなのかはわからないが、
大事な試合でのミスというのを意外な形で見せることでギャグにし、
そこからきちんと真面目に試合が描かれる。

緊張と緩和。ギャグと真面目なストーリーの切り替えが素晴らしく、
その中でひとりひとりのキャラクターをしっかりと深め、
キャラクター深めるからこそ関係性もより強固なものになり、
「チーム」として成長していく。

気持ちよく点が入ったときの喜び、チームとしてバレーボールをやれる喜び、
決して暗くならず、明るくバレーボールというものを心の底から
彼らが楽しんで、本気でやっているのがひしひしと伝わる。
ちぐはぐで危うい。そんな主人公たちのチームのちぐはぐさ、
危うさ、試合の中での成長が見ていて分かる。

主人公があんなにお腹を壊しゲロを吐いて近著しまくりでミスしまくりだった試合、
そんな試合の終盤では「これぞ主人公だ」といわんばかりの
震えるようなプレイイングを見せてくれる。
彼らの顧問先生はバレーボールに関しては素人だ。そんな先生が言う。

「僕はバレーボールに関してまだ素人だけど、
 なにかすごいことが起きているのは分かる」

まさにそれだ。ふわっとしか知らなかったバレーボールの知識、
そんな状態で見始めても顧問の先生と同じように、
決してご都合主義や特殊能力ではない試合模様に魅入られる。

「きっと君らは、強くなる」

そう感じさせる試合とキャラクターをきちんと見せてくれる。
気持ちいいまでの王道だ。

3年生


画像引用元:ハイキュー!! 8話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

主人公は本当に真っ直ぐだ。1度、バレーボールをやめてしまったエース。
そんなエースに彼はエースに憧れるからこそ、
エースに対し「バレーボールの楽しさ」をもう1度伝える。
3年生だからこそ彼らにも色々な思いがある。

優秀な後輩と自分の差、1度やめてしまった過去。
そんな3年生だからこそ抱えている問題を真正面から描いている。
1度挫折したり、挫折しかけたからこそ、いま1度自分を見つめ直し、
もう1度バレーボールというものに立ち向かう。

1年生のまっすぐな情熱でやるバレーボールとは違い、
3年生だからこその思いを抱えてバレーボールをしている。
新入生である主人公たちと先輩たち、
キャラクターの立ち位置がしっかりと描かれている。

「俺は…一人で戦ってるんじゃない、もう1回打ちたいと思うよ」

一人で思いつめたからこそ、チームで戦うことの意味を見出し復帰する。
中盤でもしっかりとこの作品は王道だ。
バレーボールだからこその「つなぐ」ことの意味を
色々な思いを抱える3年生を描くとで際立つ。

そんな3年間で積み重ねてきたもののある3年生と、1年生の対比。
積み重ねてきた努力と才能の比較が素晴らしく、
絶対的なエースと絶対的な守護神が加わることで
チームがより強固なものになる。

ライバル


画像引用元:ハイキュー!! 11話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

スポーツアニメは必然的にキャラクター数が多くなる。
この作品もその部分においては類にもれない。
しかし、そんな大量とも言えるキャラクターをこの作品はきちんと味付けしている。
出た瞬間に印象がつき、試合になり活躍することでより
他校のキャラクターの印象がより深まる。

きちんと主人公たちのチームのキャラクターを描いたからこそだ。
主人公たちがなにが得意でどういうチームでどういう戦略をとっているか。
序盤から中盤までそれをきちんと描いており、
それが見てる側にも伝わっている。

そして中盤からそんな主人公たちのチームの攻略するライバルが出てくる。
視点を他校のチームのキャラクターに変えることで、
主人公たちのチームの弱点がわかり、見てる側もそれを納得できてしまう。
決してご都合主義ではない試合運びがバレーボールというスポーツそのものの
面白さをしっかりと感じさせてくれる。

主人公チームと他校チームでしっかりと技術や戦略が違い、
だからこそ試合が面白い。
1クールかけて築いてきた主人公の決め手があっさり止められる。
唯一で最強の攻撃が止められるのは衝撃だ。

しかし、この作品の主人公は恐ろしい。
そんな絶望しても、くじけてもおかしくない状況で彼は笑っている。
ゾワッとするような主人公の笑顔、1話で見せた勝ちへのこだわり、
バレーボールが好きな彼の魅力をライバル校との試合でもう1度見せることで、
より主人公の存在感が際立つ。

シリアスな状況、危機的な状況になってもギスギスしない。
緊張感のあるシーンの中でもコミカルなキャラクターの動きや
行動を描くことで、緩急がしっかりと付いている。

何度も何度も拾い拾われボールを繋ぐ。
たかが練習試合とは思えない熱さで描かれる1クールのラストの試合、
本当に息をつかせない試合運びが手に汗握る。
他校のコーチに褒められる姿に何故か涙すら流してしまう。

互いを褒め合い、互いを高める。清々しいまでの青春がこの作品にはある。

インターハイ


画像引用元:ハイキュー!! 11話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

中盤からはインターハイが始まる。今まで描かれた試合はあくまで練習試合だ。
練習牛愛で戦った因縁のライバル校も集結し戦う。
癖がありきちんと印象がついているライバルキャラクターたちだからこそ、
再登場しても「誰?」とはならない。キャラクターは多いが、
きちんと印象づけをしている効果が中盤できっちりと現れる。

試合までの静寂、試合が始まってからの声援。
インターハイだからこそ緊張感と盛り上がりの描写があり、
練習試合とは違うことを見てる側にも強く実感させる演出だ。

主役とエキストラ


画像引用元:ハイキュー!! 17話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

16話の話はある意味でモブが主役だ。
主人公たちの一回戦の相手は決して強豪校ではなく、
話の流れ的にも主人公たちが勝つながれだ。
本来なカットし、消化試合的に描かれてもおかしくない試合だ。

しかし、そんな試合だからこそ主役ではない彼らにスポットが当たる。
あっけなく終わる試合、3年生にとっては最後となる試合。
もう6月なのに負ければ彼らにとってのバレーボールは終わりだ。
自分ながらに一生懸命やっていた。しかし、一生懸命やってなかった部分もある。

そんな後悔、自分が主役ではない悔しさと歯がゆさ。
自分たちは主人公ではないエキストラだという思い。

「こうやって終わってく人が全国に何万人もいる、
でも俺たちはバレーボールをやっていたんだ」

部活をやっている人ならば彼らに強い共感を覚えるかもしれない。

鉄壁


画像引用元:ハイキュー!! 3話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

2試合目の敵は「鉄壁」の異名のある学校だ。
その言葉の通り全てを防がれる。
スパイクの際に立ちはだかる「手」の演出、緩急を生かしたシーンは見事であり
スピーディーな試合を展開しつつも魅せることはきっちりと見せている。

立ちはだかる鉄壁を前に主人公たちも対応する。
試合の中で敵を分析し、敵の技に対応できるうように作戦を立て、
ときには試合の中で成長して勝ちをつかもうとする。
序盤と同じように中盤以降もこの作品にはご都合主義はない。

あまりにもかっこすぎる試合運びだ。
この作品は王道だ、だが、その王道から時折外すことで予想外の展開を生み出す。
本来は物語の主人公が決めるべきシーンだ。しかし、
そこを主人公ではない別のキャラが決める。

主人公は「囮」だ。技を巧みに使い分け状況を判断し、
決して自分だけが活躍するのではなく「つなぐ」ことで勝利に導く。
決まるまで何回も繋ぐ、ミスをしてもカバーをしつなぎ、何度も挑む。
バレーボールというものの面白さをしっかりと感じることができる。
主人公だけでないチームとしての「成長」をインターハイで見せている

バレーボールのルールである「ローテーション」
選手の立ち位置が試合の中で頻繁に入れ替わるからこその試合運びが
純粋に見ていて面白い。

セッター対決


画像引用元:ハイキュー!! 21話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

インターハイの1試合目はチームでの繋ぐ勝利を描きつつ、
エースの活躍を描いている。
2試合目はセッター同士の対決だ。
中学時代からの因縁のある相手、同じポジションでかつて憧れていたセッター。
そんな相手との戦いだ。

頭脳戦だ。相手チームの戦略、掛け声による指示まで読まれる。
ミスを誘われ、ミスをすることで精神的に追い込まれる。
頭脳戦と心理戦、たくみな戦略に寄る圧力と「ニヤニヤ」とした表情を
浮かべる「及川 徹」のライバルキャラとしての魅力は抜群だ。

「セッター」というポジションの役目と重要性をより際立たせている。
チームの100%の力を引き出してこそのセッターだ。
たとえ才能で負けていてもライバル校は100%の力を引き出している。
だからこそ焦る。ミスがミスを生み、そのミスがまた精神的に
追い込まれミスを生む。因縁の相手だからこそ余計意識してしまう。

そんな相手に対し、1試合目ではスポットが当たらなかったキャラに
スポットをあてる。才能あふれる1年が入ったことでベンチに入っていた
3年のキャラクターだ。試合に勝つことを優先し、自分はベンチでも良い、
できるだけ多くの試合に挑んでいつかコートに立てればいい。
そんな彼の出番が「21話」でやってくる。

彼は明るい青年だ。いい人だ。
だからこそ、みんなが信頼し、なごやかな空気感が生まれる。
彼も3年間セッターとして活躍していた。才能は劣っても、
チームのことを見てきた時間は負けていない。
彼の視点、彼だからこそできる試合運びになぜか涙腺を刺激される。

彼は決してベンチを温めているだけの人材ではない。
彼もチームの一員だ。それが21話でしっかりと分かる。
一人ひとりがしっかり活躍する、誰も無駄なキャラクターなんて居ない。
二人のセッターがいることの意味がある。

1試合目と同じように「繋ぐ」ことで勝つ。
チームメイトに投げかける言葉も「勝てよ」ではない、「勝つぞ」だ。
決してベンチから応援しているだけの存在ではないことを
印象づけるセリフに鳥肌が立つ。

1度ベンチに下がったからこそ冷静になり見える景色がある。

デュース


画像引用元:ハイキュー!! 24話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

何度も何度も繰り返されるデュース。
決定打にならず、試合はどんどんと延長していく。
どっちが勝ってもおかしくはない、どっちが負けてもおかしくない。

そんな手に汗握る状況を最後の試合で見せてくれる。
一人ひとりが敵も味方も全力で試合をしている。
必死に食らいつき、必死にあがき、飛ぶ。

この作品はご都合主義ではない。勝つものもいれば負けるものもいる。
ご都合主義ではないからこそ主人公が負けることもある。
相手の方が1枚上手だった。だからこそ負けてしまう。

この作品は本当に真っ直ぐだ。真っすぐで真っすぐで純粋だ。
一人ひとりが青春をしている、一人ひとりがバレーボールを真剣にやっている。
だからこそ面白い。
敗北した後の「泣きながらのご飯」のシーンに泣かない人は居ないだろう。

彼らのバレーはここで終わりではない、ここからだ。

総評:なんで清々しいんだ


画像引用元:ハイキュー!! 24話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

全体的に見て素晴らしい王道のスポーツアニメを見せてくれた作品だ。
背が小さいのにバレーボールが好きな主人公がその背の小ささを感じさせない
圧倒的な存在感とジャンプを見せつけ、そんな彼と同じチームのメンバーを
一人ひとり掘り下げながら「バレーボール」における繋ぐことの意味を見出していく
決して一人では勝てない、チームでなければ勝てないのがバレーボールだ。

最初はちぐはぐだったチームが徐々に形になり、
一人ひとりの成長を描きつつチームとして成長していく。
それが見ていてしっかりと伝わる「試合の描写」は手に汗握る迫力のある描写、
大胆なカメラワークと緩急を使いこなした演出で
目を離せないスピーディーな試合運びが見ていてシンプルに面白い。

一人ひとりのキャラクターに癖はあるものの、
きっちりと一人ひとりのキャラクターが印象に残り、
終盤ではベンチに居る選手もきっちりと活躍する。
熱い一人ひとりの青春模様と、バレーボールの面白さが見事に融合し、
「敗北」で終わるラストも希望に満ち溢れている。

俺たちの戦いはこれからだ。多くの作品でみてきた展開だが、
この作品の「これからだ」は清々しく、続きが気になる部分はもちろんがあるが
2クールでストーリーが一区切りしているのも好感の持てる部分だ。
現在は4期まで制作されているものの、もし1期しか作られなかかったとしても
1つの作品としてきちんとまとまりを生んでいる。

ご都合主義がなくまっすぐな王道のスポーツアニメだ。
一人ひとりのキャラクターにしっかり魅力があり、嫌悪感を抱くキャラはいない。
爽やかな一人ひとりの青春模様と2クールしっかりと楽しめた作品だ。

個人的な感想:スポーツアニメあるある


画像引用元:ハイキュー!! 24話より
©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

この作品にもいわゆるスポーツアニメあるあるはある。
試合中の思考シーンだったり、過去回想だったり。
ただ、それがくどくない。くどくなる一歩手前で試合に戻り、
そこからまたスピーディーな試合が描かれるため、
スポーツアニメ特有の過去回想や試合中の思考が余り気にならなかった。

演出が本当にうまい作品だった。
試合中の緩急の付け方、一瞬の作画タッチの変更、カメラワーク。
見ていて面白い、見ていて楽しい。そんなバレーボールの試合が
きっちりとこの作品にはあり、試合の結果もまるで予想できない。

スポーツアニメにおけるご都合主義を感じさせず、
しかし、王道の面白さがある。本当に完成度の高い作品だった。

「」は面白い?つまらない?

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