評価 ★☆☆☆☆(13点) 全12話
あらすじ 「<水よ来たれ!>」異世界に転生した青年・涼のコップ一杯の水から始まるスローライフ引用- Wikipedia
無味無臭
原作は小説家になろうな本作品。
監督は佐竹秀幸、制作は颱風グラフィックス,Wonderland
うっす
1話冒頭から盛り上がりどころが薄い。
目がさめた主人公が何も言わず、表情1つかえずに、
「水よ来たれ」と唱え水魔法を使う。
淡々とした冒頭のシーンはこの作品そのものであり、
だらーっと淡々としたストーリーを見せられる。
死んでしまった主人公は天使的な存在に選ばれて、転生することになる。
特になにか目的が有るわけでもない、ならなんで転生させるのかという
ツッコミどころが発生するのだが、主人公はスローライフを望み、
水属性が使える体で誰もいない僻地へと転移する。
この主人公がどこか刹那的だ。
僻地に一人で暮らしているのに「孤独」のようなものを感じず、
誰がいるわけでもないのにくそでかい独り言を「敬語」で喋る。
そのキャラ付けは独特では有るが、誰に向かってクソでかい
独り言をしゃべってるんだと突っ込みたくなる。
そんな主人公が淡々と魔法の練習をする。
タイトル通り水属性の魔法を使う主人公が
淡々と練習する、淡々と、淡々と、淡々と。
神様に力を与えられて何の努力もなしにオレツエー!は
批判を生みやすい要素では有るものの、その真逆に行くような
真面目すぎる修行シーンは面白みにかけてしまう。
いきなり唐突に現れたデュラハンとの戦闘シーンという名の
稽古シーンなど、作画のクオリティはしっかりしており、
修行して強くなった主人公の戦闘シーンをしっかりと見せる
アニメーションが「1話」にはしっかりとある。
ストーリーは地味では有るものの、
アニメーションとして盛り上げようという試みを
「1話」では感じられる作品だ。
1話では。
旅
僻地でスローライフをしていた主人公だったが、
そんな僻地で冒険者が遭難しており、彼を助けたことで街にいくことになる。
流れとしてはわかりやすいのだが、この道中も淡々としており、
特に盛り上がりどころがあるわけでもない。ずっと地味だ。
道中でこの世界の常識を教わるという形で、
この作品の世界観や設定を見ている側に説明しているのはわかるが、
2話をまるまるかけて、戦闘はあるものの淡々と道中を描き、
あっさりと街にたどり着いて終わりだ。
1話1話の内容がうすすぎる。
4話になると冒険者に登録しダンジョンに潜ったりする。
いつものやつだ。
そこに悪魔的な存在が現れてバトルしたりするものの、
見ていて感情が揺り動かされない「虚無感」が凄まじい。
ダンジョンブレイク
5話になると「大海嘯 」が起こるかもという状態になる。
「ダンジョンブレイク」だ(苦笑)
言葉を変えれば斬新さが生まれると思ったのかもしれないが、
やってることはいつものなろう系だ。
その調査などに主人公が関わっておらず、ひたすら調べ物をしてたりと、
一人で行動している事が多く、眼の前に起きた状況を対処しているだけだ。
だから実際に「ダンジョンブレイク」、失敬、「大海嘯 」 とやらが起こっても、
主人公は街と出会ったエルフといちゃいちゃしている。
物語の中心に主人公がいない、そのせいで盛り上がりも生まれず、
中盤になると明らかに作画のクオリティもおち、
止め絵の紙芝居戦闘シーンになってしまい、余計に盛り上がらない。
しかも、「ダンジョンブレイク」、失敬、「大海嘯 」 とやらも
主人公が介入すること無くケリがつく。
5話、主人公はただただエルフといちゃいちゃしてるだけだ。
それの何が面白いのだろうか。
あくまで主人公の家はダンジョンの有る街ではなく、辺境のため、
街がどうなろうと構わないのかもしれない、それほど我関せずな主人公だ。
作画
作画のクオリティはどんどんとオチていく、序盤のあの戦闘シーンは
どこへいったんだ?と思うほど中盤からは紙芝居の連続で、
敵やキャラクターが棒立ちなことも多い。
この作品は意図的になのか万策が尽きたからなのかはわからないが、
1クールのうちに2回も声優による特番を挟んでいる。
それを挟まないと間に合わなかったのだろうが、間に合っていない。
1話や2話だけ気合を入れて、その気合がどんどんと抜けていく。
4話で悪魔と戦って、5話でダンジョンブレイクがおこって
そのことについて、ずーっと図書館で調べ物をしている。
5話も、6話も、7話も図書館に引きこもっている。
作画もやる気がなければ主人公もやる気がない。
ダンジョンブレイクが起こったダンジョンの中では
冒険者たちが棒立ちのまま棒立ちな「デビル」(笑)と
戦っているのに、主人公は地上で図書館だ。
メインヒロイン的な立ち位置のエルフとの仲を深めるためなのはわかるが、
ギャルゲーのように特定の場所でしか会えないヒロインのようになっている。
これの何がオモシロイと思ってこういうシチュエーションを
描いているのか、まるで理解できない。
図書館にいたかと思えば、いきなりダンジョンの奥にやってきて
強敵を倒して終わり、またエルフといちゃいちゃする。
ここまで盛り上がらないストーリーはわざとやってるとしか思えない。
意図的にあえて主人公の達観した我関せずスタイルを
ストーリーでも表現しているのかもしれない。
どうでもいい
中盤には悪魔だのデビルだのと戦っていたのに、
終盤になるとスケルトンとゴブリン退治に行く。
もうわざとだろう、わざとじゃないかぎり悪魔だのデビルだのとの
戦闘をした後にスケルトンとゴブリン退治をやるわけがない。
見ても見なくてもいいようなエピソードが描かれる。
主人公以外の視点でのストーリーがあまりにも多い上に長い。
序盤は主人公目線で、中盤は主人公が助けた冒険者目線で、
終盤は帝国の皇女の目線で描かれることが多く、
主人公の存在が水のように薄くなる。
主人公自身も彼らに対する思い入れがないのに、
そんなキャラたちの目線で描かれても
「どうでもいい」感じが強くなり、虚無感が生まれる。
下手すぎる
終盤はそんなどうでもいい皇女が狙われる事件が起こる、
そんな彼女のそばには爆炎の魔法使いとよばれるオスカーという人物がいる。
この二人、ろくに主人公と関わりはない。
主人公は「あれが皇女かー」と遠くで見つめながらお祭りを楽しんでるのみだ。
それなのにオスカーの過去が描かれても心底どうでもいい。
しかも、オスカーは敵と勘違いして
主人公や主人公の知り合いに襲いかかってくる。
厄介でしかない。
結局、襲撃の犯人もよくわからず、主人公も特にきにせず、元の街に戻って終わる。
本当に最初から最後まで物語の盛り上げ方が下手すぎる作品だった。
総評:図書館引きこもり野郎
全体的に見てひどすぎる作品だ。
1話は淡々として達観した主人公のスローライフ自体は悪くなく、
戦闘シーンのクオリティもしっかりしていた。
しかし、1話からずっと話が淡々としており、
話が進めば進むほど何もかもがひどくなる。
作画は1話こそ良かったが、中盤からは止め絵の連続、
棒立ちのキャラクターと盛り上がりが一切ない戦闘シーンばかりで、
作画崩壊こそしないものの、スケジュールなどもギリギリだったことが
絵でわかってしまうクオリティだ。
そしてなにより酷いのはストーリーだ。
中盤、主人公はずっと図書館にこもっている。
外ではダンジョンブレイクが起こっているのに我関せず、
エルフなヒロインとイチャイチャしっぱなしだ。
終盤でもそれは変わらず、皇女が襲われていたりするのに、
主人公はお祭りを楽しんで、勘違い野郎と戦うだけだ。
主人公以外のキャラ描写があまりにも多く、
主人公が物語の中心にいない。
かといって主人公以外のキャラが魅力的でもなく、
終盤など唐突にオスカーというキャラの過去回想を描かれても、
そこに意味が有るとは思えない。
今後なにかがおこりそうな感じを示唆しているが、
先の展開など全く気にならない作品だった。
個人的な感想:なろう系
2025年夏アニメのなろう系で特に感じるのは、
本当にこのなろう系というジャンル自体が限界を迎えているところだ。
散々アニメ化しつくし、名作と呼ばれる作品はすでにアニメ化済み、
あとは後発の作品ばかりがアニメ化されており、
その中でも面白い作品はあったが、そんな面白い作品ももうない。
いわゆる弾切れというやつだ。
かつてのラノベ原作アニメブームの時も末期のときは
ブームのときに生まれた名作を模したような作品ばかりだったが、
それに近い流れが確実に起きている。
なろう系アニメでもひどい作品は多い、
しかし、初期には「ネタ」になるような面白さがあった。
俺なんかやっちゃいましたか?な賢者の孫や、スマホ太郎、
ひどくはあったが、その非道さの中にも楽しめる部分があったからこそ
その作品らしい特徴があった。
しかし、最近はそんな特徴すら失われており、
虚無感や無味無臭な作品が多く生まれている。
ここからなろう系の中で名作と言われるような作品がでてくるのかは
気になるところだが、その可能性は低そうだ。



