評価 ★★★☆☆(40点) 全8話
あらすじ 女の子の好感度メーターが見えるようになりました。だけど、幼馴染で片思い中の茉莉花ちゃんの好感度を見たら、ドロドロに溶けてぶっ壊れていて⋯ 引用- Wikipedia
僧侶枠とは哲学だ
原作は「ComicFesta」ほかにて連載中の漫画作品。
監督は佐々木純人、制作はスタジオレオ。
全8話のショートアニメであり、いわゆる僧侶枠で放送された。
モテない
主人公はいわゆるモテない主人公だ。
幼馴染に対して好意を抱いているものの、
モテないうえに存在感のない彼は告白する勇気すらない。
そんな彼がある日、流れ星に願うと
「女子の自分に対する好感度」メーターが見えるようになる。
とんでもないご都合主義と、とんでもなく強引な導入に思わず笑ってしまう。
主人公が星に「ギャルゲーみたいに好感度が見えるようになりたい!」と
願ったら叶ってしまった。それが1話であり、それをもう何の脈絡もなく見せる。
細かいことはいい、こういうシチュエーションをやりたいんだ!という
作り手の清々しささえ感じる導入は、僧侶枠らしさをビンビンに感じさせてくれる。
安直
好感度が見えるようになるというシチュエーションは
男子全員の夢ではあるが、そのメーターの動きが安直だ。
クラスの女子の髪に花びらがついており、それをとってあげると
ぐぅぃぃぃん!とびっくりするくらいの速度で好感度が上がる。
それくらいで好感度が上がるなんてありえない、
逆に好感度が下がる行為では?などと突っ込んではいけない。
突っ込んだら負けである。
ちょっと好感度が上がるような行為をしたら、もうガンガンあがる。
設定が安易すぎる同人ギャルゲーでもやっているような感覚だ。
この安直さ、強引さ、バカバカしさ、全てが心地良い。
しかも、肝心の幼馴染の好感度はなぜか「ぶっ壊れて」おり、
いつも主人公のそばにいてアイスをあーんしてくれるような幼馴染なのに、
好感度メーターから液体が漏れてドロドロしたものになっている。
この時点で、単なる好感度ラブコメではない。
好感度が見えるという安直な設定をやりながら、
一番重要なメインヒロインの好感度だけが正常に機能していない。
このズラし方が、意外と今作の面白さになっている。
変化球
強引に導入した好感度メーターという前提から、
そもそもメインヒロインが外れているというのが今作の面白さでもある。
主人公への愛が重すぎたがゆえに、メーターが耐えられず、
メーターが壊れてしまっているという状況だ。
主人公的にはそのメーターの異様さだけが極まっており、
自分のことが好きなのか嫌いなのかすらよくわからない。
そんな幼馴染を演じているのは「内田真礼」さんだ。
当サイトを長年ご覧になっていただけている方ならご存じの通り
「僧侶枠」というのは、いわゆるセクシーな漫画をTVアニメとして
放送している枠だ。地上波や配信版ではセクシーなシーンをカットしたり、
規制をかけ、5分ほどの放送枠でこっそりやりつつ、
有料サイトでの規制なしバージョンを見てもらうことを目的としている。
簡単に言えばサンプル動画を流している枠である(笑)
そんな放送枠だからこそ、いわゆる有名な声優さんが出演されることはほとんどない。
裏名義で出ていることはあれど、基本的にはセクシーな作品に出ている
声優さんが出ている作品だ。
しかし、この作品は違う。
あの「内田真礼」さんが出ている。
さらに「伊藤彩沙」さんや「釘宮理恵」さんまで出ており、
もう明らかに今までの僧侶枠とは違う。
僧侶枠なのに、普通の地上波アニメでもメインを張るような声優陣が出演している。
この時点で、すでに何かがおかしい。
作品の内容以前に、キャスティングの段階で僧侶枠の常識が揺らいでいる。
セクシーなし
その異常事態にも一応理由はある。
この作品はラブコメだ。頭にセクシーがつかないラブコメだ。
主人公がいくら女性キャラたちの好感度をあげても、
そこからセクシーな展開になることはない。
僧侶枠なのに規制がない、セクシーなシーンがない。
これもまた異常事態だ。
ただ、だからといって退屈かといえばそうではない。
主人公の周囲の女性の好感度が見えるようになるのだが、
その好感度の乱高下の激しさもあいまって、
それがきちんとギャグになっている。
主人公に挨拶されるだけで好感度が爆上がりしたかと思えば、
コケたら好感度が爆下がりする。
そうかと思えばハプニングで女性キャラに触れると好感度メーターがMAXになり、
2本目の好感度メーターまで出てくる(笑)
好感度メーターがあてになるようでならない。
そんな好感度メーターに主人公が振り回されながら、
主人公を巡る女性キャラたちの駆け引きもまたコメディになっている。
僧侶枠として見るとセクシー要素の薄さに驚くが、
ショートアニメのラブコメとして見ると、意外ときちんと成立している。
ここが今作の不思議なところだ。
中盤になると主人公は幼馴染の好感度メーターに
ぶん殴られる始末だ。もうなんでもありな作品になっている。
さらには転校生がやってくるのだが、好感度メーターがそもそもない。
好感度メーターに主人公も見ている側も振り回される作品だ。
アニオリ
7話ではサブタイトル通り「原作を超えた」ようで、
原作にはないアニオリ展開になっている。
昨今、原作のあるTVアニメにおいてアニオリ展開というのは禁忌だ。
だが、僧侶枠はあえてその禁忌に踏み込んでいる。
結果的に多くのヒロインの好感度をあげてしまった主人公、
最終的に幼馴染だけでなく全ヒロインの
好感度メーターがおかしなことになる(笑)
色々とめちゃくちゃな作品ではあるものの、
その滅茶苦茶な中で一応1クールとしての区切りを作ろうとしており、
滅茶苦茶なオチで終わるラストは、あまりのぶっ飛び具合に
清々しい笑顔を浮かべるしかない作品だった。
普通のアニメであれば、アニオリ展開は慎重に扱われる。
しかし、この作品はショートアニメであり、僧侶枠であり、
そもそも好感度メーターがぶっ壊れている作品だ。
だからこそ、この強引なアニオリ展開すら妙に許せてしまう。
総評:僧侶枠がぶっ壊れた!?
全体的に見て、かなり珍しい作品だ(笑)
過去の僧侶枠でも例がないことが起きており、
わかりやすくいえば、普通の地上波のショートアニメだ。
それをなぜか僧侶枠でやっている。これはもう意味不明でしかない。
僧侶枠といえば、基本的にはセクシーな漫画をアニメ化し、
地上波では規制版を流し、有料版で本来の内容を見せる。
その構造そのものに、この枠の意義があった。
しかし、この作品にはその前提がほとんどない。
セクシー要素は薄く、声優陣は妙に豪華で、
内容としても普通のショートラブコメとして成立している。
果たしてこれは「僧侶枠」と言っていいのか?
いや、そもそも僧侶枠というのは我々視聴者が勝手につけた名前、
枠組みでしかなく、別にこういう作品があってもいいのでは?
と、僧侶枠に対する哲学的なことを考えてしまうような作品だ。
何をもって僧侶枠とするのか。
そもそも僧侶枠とはなんなのか。
長年、僧侶枠を見続けてきているからこそ、
あえてもう1度考えてしまうような作品だ。
ショートアニメとしてはやや出落ちに近いシチュエーションを
強引な導入とぶっとんだ展開でうまくコメディに仕上げており、
終盤に出てきた「男の娘」なヒロインに関してはやや掘り下げ不足ではあるものの、
それぞれのヒロインがしっかりとキャラ立ちしており、
そんなヒロインと好感度メーターに振り回される主人公を楽しめる。
作画のレベルは高くないものの、声優陣の豪華さや、
僧侶枠らしからぬ作品の方向性など、色々と衝撃的な作品だった。
個人的な感想:方向性
僧侶枠も来年で10年だ。
ここ最近は僧侶枠として様々な試みをしている感があり、
この作品もその一環なのだろう。
あえてセクシー要素のない、普通のショートアニメを流すことで、
どういう反応を得られるのか。
視聴者が僧侶枠に何を求めているのか。
そういう部分を探っているのかもしれない。
個人的にはあまりにも予想外すぎて、
面白い面白くない以前に驚きが勝ってしまった感じのある作品ではある。
ただ、ショートアニメとしての面白さはしっかりとあり、
好感度メーターを使ったラブコメとしても意外と楽しめる。
僧侶枠なのに、僧侶枠らしくない。
しかし、その僧侶枠らしくなさこそが面白い。
そんな不思議な作品なので、ぜひご覧いただきたいところだ。



