「Tokyo 7th シスターズ-僕らは青空になる-」レビュー

2.0
映画

評価 ★★☆☆☆(25点) 全77分

あらすじ 。アイドル氷河期に突入した2034年。国際娯楽指定都市Tokyo-7thでは、多くのアイドルやスタジオが時代遅れとなり姿を消していた。引用- Wikipedia

ご都合主義全開

原作はソーシャルゲームな本作品
監督は北川隆之、制作はLandQ Studios東映アニメーション
77分程の劇場映画作品。

ライブ

映画冒頭、「2032年」という少し先の未来で行われているライブシーンから始まる。
「7th」というアイドルグループのラストライブ、
終わりだけとここから始まる、そんな掛け声とファンの歓声とともに
「オープニング」が流れる。

期待はずれだ。
「お、いきなり冒頭からライブかな?」と思わせておいて
止め絵で構成されたオープニングに切り替わってしまう。

アイドルアニメにおいて「ライブシーン」というものは重要だ。
アイドルたちがもっとも輝く舞台であり、
その出来栄え次第でアイドルアニメは名作にも駄作にもなりえる。
そこには制作陣のセンス、技術、予算、様々なものを感じることができ、
アイドルアニメのライブはそれほど作品にとって重要なものだ。

そんな重要なものが期待させておいてみれないがっかり感は凄く、
「冒頭のライブシーン」を描けないくらいの予算で作られているのか?と
感じてしまう。

キャラ紹介

そんなオープニングがおわるとわかりやすいキャラ紹介が行われる。
彼女たちがどんなアイドルで、どんな施設で、今がどんなアイドル時代なのか
というのを分かりやすく説明してくれる。

2032年まではアイドルというものがブームだった。
しかし、2034年という時代になるとアイドルは氷河期を迎えている。
たった2年で何があったのか、そのあたりのバックボーンは
いまいち良くわからないものの、わかりやすい説明のおかげで
原作をやっていなくとも話の流れにはついていける。

しかし、その反面で「12人」のアイドルは流石に多い。
どこかでみたことのあるようなキャラデザのキャラは
ある程度、原作をやっているファンでなければ
印章残るキャラのほうが少ない。

2時間ほどの尺があるならばともかく、77分程しか無い尺で
「12人」のアイドル全員を掘り下げるのは不可能に近い。
アイドルマスターで言えばプロデューサー=プレイヤーの立場である
「支配人」こそ不在であり、描かれないものの、
12人のアイドルと他のキャラを入れれば77分の尺で14人のキャラが
出てくるのはごちゃごちゃとした印象を受けてしまう。

しかも、そのメインキャラ紹介に11分ほど使ってしまう。
まだ、起承転結の起の部分も描かれずに尺の7分の1、
15%ほどの尺を使ってしまっている。

丁寧なキャラ紹介で原作のキャラをアニメという媒体で
見せたいのはわかるものの、ソシャゲ原作アニメの特有の
キャラの多さに振り回されている感じが序盤から出てしまっている。

そんな12人のアイドルの自己紹介が終わった後に
ライブシーンがようやく描かれる。だが、ただ動いているだけだ。
ライブシーン特有の盛り上がりを生むようなカメラアングルや
演出もなく、何処かで見たことのあるようなダンスを
何処かで効いたことがあるような曲に合わせて歌っているだけにすぎず、
しかも短い。

ライブシーンをやるならやるでしっかりと見せてほしいのに
あまりにも中途半端だ。

わかりやすい悪役

そんなアイドルの紹介が終わるとわかりやすい悪役が出てくる。
潰れかけてる劇場の支配人と出会った彼女たちは、
そんな劇場を潰そうとしている「滑川」がでてくる。
所属するアイドルも居ない、お客も居ない、そんな劇場を
ホテルにしようとしている人物だ。

態度こそわるいものの、彼の行動はあたりまえだ。
彼は劇場のオーナーに対して劇場は「三ヶ月の間に1度でも劇場を満員」にすれば劇場が潰れなくてすむ資金提供を翌月もするという条件を出している。
そんな潰れかけの劇場を守るために
アイドルである彼女たちが手をかそうとする。

話の流れとしてはわかるものの、
たった1日だけ満員にして資金提供が続いても
そもそも所属するアイドルも定期的にライブをするアイドルもいない
劇場ではあまり先はなく、その場しのぎな対策でしか無い。

なかなかお客が集まらず苦戦する彼女たち、
滑川もわかりやすい妨害行為をしまくるものの、
「どうせ最後は満員になるんだろうなー」と展開が読める部分も強い。

ここで何か「アイドル氷河期」という時代だからこその
彼女たちがアイドルの輝きを見せ付けて、お客さんを満員にしたという
ストーリーになるならばアイドルものとしては王道であり、
物足りない部分やツッコミどころはあるものの無難な出来栄えと
言えた作品になったかもしれない。

しかし、純粋にストーリーがひどい。
彼女たちがどうすればお客さんが集まるのか、
滑川の悪質な妨害行為があるなかで悩んでいる中、
潰れかけた劇場のオーナーが動く。

「街頭ビジョンに広告を出します!」

金である(笑)
街頭ビジョン、チラシ、ネット広告と
オーナーが老後の資金を宣伝につぎこみまくっている。
オーナーがアイドルたちの思いに応えるためにやったと言っているものの、
マネーパワーを露骨に出されると見ている側の感情も冷めてしまう。

滑川に関しても彼はビジネスとして契約書通りにやっており、
妨害行為はともかく、その他の部分で文句を言われる筋合いはない。
そういう契約をしたオーナーがわるいのに、契約の詳細をアイドルが知ると

「嘘だったのかよ!満員にしたら助けるって嘘だったのかよ!」

とアイドルに叫ばれても共感しにくい。
最初から満員にしても翌月の資金提供しかしない。
そういう契約だ。

アイドルとしての実力、輝きを見せることで多くの人を魅了し
劇場を満員にし、アイドル嫌いな滑川の考えも改める。
そういうストーリーならば納得できるものの、
そういうストーリーではない。

前日まで全然お客さんが集まっていなかったのに、
劇場閉館が決まると、SNSで拡散され満員になって終わる。
わかりやすいご都合主義なストーリーには何の感動も生まれず、
「アイドルの魅力」も「ナナスタシスターズ」というアイドルの魅力も
感じられない。

結局は「劇場」は潰れて終わる。
老後の資金をすべてつぎ込んだオーナーが心配でたまらない。
滑川も自分のやりたいことをやれと助言を受けるものの、
結局、彼が本当は何をやりたいのかは描かれずじまいであり、
何がしたいのかよくわからない作品になってしまっていた。

総評:ご都合主義

全体的に見てご都合主義と突っ込みどころが目立つ作品だ。
アイドル氷河期時代で潰れかけた劇場を何とかする。
この基本的なストーリーとそれを邪魔するアイドルが嫌いな敵という
キャラクターの配置自体は悪くないものの、
突っ込みどころの多い展開と金の力に物を言わせる展開などが目立ち、
「アイドルの魅力」というものを描ききれていない。

結局、12人のアイドルという77分の尺では多すぎるアイドルを
さばききれておらず、表面的なキャラクター描写で終わってしまい、
肝心のライブシーンも中途半端な物が多く、
手書き作画で描かれている部分は評価したいものの、
ライブシーンの良さを感じるようなライブではない。

ストーリー的にご都合主義な部分も目立っており、
「滑川」という敵が彼女たちのライブと満員の劇場を見て
「何を」したかったのかという結果も描ききれていないため、
どうにもモヤモヤした感じが残ってしまう。

エンドロールの中でのワンカットでオーナーや滑川の
その後が描かれれば印章も違ったかもしれないが、
エンドロールは真っ暗だ。ワンカットもなにもない。

あくまで原作ゲームのファン向けでアニメーションで
彼女たちが動いて喋ってればいいという人向けの作品であり、
原作ゲームファン以外の人が見ても1本の映画としての
満足感は感じられない作品だった。

個人的な感想:うぅーん

うまいことストーリーの歯車が合わさってなかったようなイメージだ。
話の流れとしては王道ではあるものの、金の力に物を言わせたり、
妨害行為が露骨だったり、最後の満員の観客というご都合主義に
至るまでの説得力にかける部分が多く、
「ナナスタシスターズ」というアイドルの魅力を最後まで感じられなかった。

原作ソシャゲ自体は人気なようでもしかしたらTVアニメ化もあるかもしれない。
77分ではなく1クールないし2クールで
「ナナスタシスターズ」というアイドルの魅力を今度こそ感じられる
作品になることを期待したい。

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